税務講習会の簿記・会計学の講習は、当初は高等商業学校出身の職員が講師を務めていましたが、昭和10(1935)年頃になると、東京商科大学(現一橋大学)等の大学教授が講師となりました。
現場の法人調査は、「法人係」と呼ばれる職員が担当していました。彼らの中には、高等小学校卒業後に、昼間に働きながら夜間の商業学校に通い、そして夜間の高等専門学校に進む者もいました。彼らの経歴を見ると、大正期に始まった教育改革の恩恵を十分に受けた世代といえます。
これらの世代は、税務講習会等において、税務行政や税法のスペシャリストとして後進への講義を担当しました。そして、戦中・戦後の混乱期に実務家として大蔵省主税局にあって、税制改正を支えました。
それぞれ単発で開かれていた税務講習会は、戦争が始まると、一つにまとめられ、昭和16(1941)年に、常設の税務講習所が開設され、そこに引き継がれていきました。現在の税務大学校の前身です。
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大蔵省主催の税務講習会は、全国の税務監督局や税務署に属する職員から有望な人材を選抜し、東京に集めて行われました。
証書の終わりに講習会の科目のリストがあり、商業学、会計学、簿記学の科目が含まれています。
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(嶋川 喜作 氏 寄贈)
昭和16(1941)年に、新たに開設された税務講習所は、講習を開始しました。そして、一年間の講習を修了し、初めての修了式を迎えました。
その際、優秀な修了生に贈られた記念の銀時計です。
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(田中 嘉男 氏 寄贈)
第1期の研修生が講習を書き留めていた経済学の講義ノートです。講師として教えていたのは、東京帝国大学経済学部の難波田春夫でした。
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