令和5(2023)年度の特別展示は、「明治〜昭和戦前期の法人所得と税務行政」と題し、法人所得に関する租税の歴史を税務行政の進展と併せて説明しています。
産業革命を経て、日本の製造業は大きな発展を遂げました。そして、第一次世界大戦後に、空前の好景気を迎えました。広範に工場が林立し、減価償却や原価計算等の工業簿記の修得が必要になりました。大正期には、欧米帰りの学者が日本に減価償却や原価計算を紹介するようになり、高等商業学校で学んだ学生がその知識を産業界などに伝えました。
また、産業構造の転換によって、新しい労働者の育成が必要になり、政府は教育改革を企図し、各種学校を整備しました。これにより、働きながら夜間の商業学校で学ぶことが可能となり、高等教育を受ける機会が生まれました。
このような社会の変化を受け、税務当局も税務職員の研修に力を入れるようになり、簿記・会計学に関する能力向上につながっていきました。
そして、より統一的な講習を目指し、昭和16(1941)年に税務講習所が設立されました。