民間給与実態統計調査については、国税庁所管統計の整備に関する検討会での議論を踏まえて見直しを行い、今回(令和4年分)の調査から新たな復元推計手法を適用して調査を実施している。

1 見直しの趣旨・背景

 国税庁は、従来、所管する統計調査等の品質向上に自主的に取り組んでおり、加えて統計委員会からの建議及び統計改革推進会議が公表した政府方針(注)を踏まえ、令和3年7月に、舟岡史雄信州大学名誉教授を座長とする「国税庁所管統計の整備に関する検討会」を組織し、統計に関する専門家と議論を進めてきた。
 令和5年6月に、上記検討会における議論を踏まえ、民間給与実態統計調査の見直し内容を取りまとめ、令和4年分の調査から新たな復元推計手法を適用して調査を実施した。併せて、本統計の利用者が的確に暦年ごとの比較を行うことが可能になるよう、平成26年分から令和3年分についても、新たな復元推計手法に基づいて計算を行い、その結果を参考として公表することとした。

(注)「公的統計の総合的品質管理を目指した取組について(令和元年9月30日総務省統計委員会建議)」、「統計行政の新生に向けて(令和元年12月24日統計改革推進会議・統計行政新生部会)」

2 見直し内容

(1) 調査対象外となった事業所への対応

標本抽出時点(6月末)以後の休廃業などにより、調査の基準日(12月末)において調査の対象とならないことが判明した事業所について、標本として抽出した事業所の総数から差し引き、回収率を算出して、復元推計を行う。

(2) 階層が変動することとなった事業所への対応

復元推計する際に使用する抽出率は、標本抽出時点の階層の抽出率を使用するとともに、標本抽出時点の給与支給人員が調査の基準日において異なることが判明し、階層が変動することとなった事業所について、母集団の加減算を行う。

(3) 税務データを活用した欠測値補完

同一階層内における無回答の発生割合の差異を補正するため、低階層について階層内を細分割して推計するとともに、無回答の事業所について、税務データの国税局別・規模別の給与支給人員を活用した欠測値補完の処理を行う。

(4) 従来の統計作成手法の見直し

標本抽出時点における枠母集団から、調査の基準日における目標母集団への補正について、労働力調査をベンチマークとした処理を廃止し、税務データを活用した欠測値補完などにより推計した目標母集団に対する処理を行う。

3 これまでの見直しを反映した数値の公表

 平成26年分から令和3年分までの参考値については、上記の見直し内容に加え、過去に実施した以下の見直し内容を反映させている。

(1) 平成27年分調査時の変更点

事業所規模の表章区分「10人未満」について、「1〜4人」及び「5〜9人」へ細分化。

(2) 令和元年分調査時の変更点

従来の復元方法(標本抽出率の逆数を乗じる方法)から、「事業所用の調査票」に記載された「実際の給与所得者数」を用いて復元する方法に変更。

(3) 令和2年分調査時の変更点

「乙欄適用者」を除いた統計表を集計・公表。

4 新たな復元推計手法による調査結果

 新たな復元推計手法に基づいて計算した平成26年分から令和3年分までの統計表(参考値)はこちらから。

5 参考(リンク)