住宅特定改修特別税額控除など

 マイホームを増改築等したときには、一定の要件に当てはまれば、所得税の税額控除を受けることができます。

 住宅ローン等を利用してマイホームを増改築等した場合や、住宅ローン等を利用せずにバリアフリー改修工事や一般省エネ改修工事などを行い、令和5年中に居住の用に供した場合で一定の要件を満たすときは、住宅借入金等特別控除や住宅特定改修特別税額控除等を受けることができます。

 住宅ローン等を利用しマイホームを増改築等した場合の控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額(住宅の増改築等の対価の額が住宅ローン等の年末残高の合計額よりも少ないときは、その対価の額)を基に算出します。

 バリアフリー改修工事や一般省エネ改修工事などを行った場合の控除額は、工事の標準的な費用の額(補助金等の交付がある場合には当該補助金等の額を控除した後の金額)を基に算出します。

 控除を受ける際には、必要な書類を添付して、確定申告書を提出する必要があります(住宅ローン等を利用しマイホームを増改築等した場合、給与所得者においては、2年目以後の年分については、年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。)。
 なお、控除を受けるための要件や控除額の算出方法などは次のとおりです。(※)

※令和5年中に居住の用に供した場合の要件等を記載しています。2〜6は住宅ローン等を利用しない場合の控除となります。詳細については、国税庁ホームページをご覧ください。

1 住宅ローン等を利用してマイホームを増改築等した場合

〈控除を受けるための要件〉

  • (1)自己の所有している家屋で、自己の居住の用に供するものの増改築等であること
  • (2)増改築等後6か月以内に入居し、引き続き居住していること
  • (3)増改築等をした後の家屋の床面積(登記面積)が50u以上であること
  • (4)床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住の用に供されるものであること
  • (5)民間の金融機関や独立行政法人住宅金融支援機構などの住宅ローン等を利用していること
  • (6)住宅ローン等の返済期間が10年以上で、分割して返済すること
  • (7)控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下であること
  • (8)次の(イ)〜(ヘ)のいずれかに当てはまる工事で、その当てはまることについて建築士等が発行する増改築等工事証明書などにより証明がされたものであること
    • (イ)増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替えの工事
    • (ロ)区分所有部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕又は模様替えの工事
    • (ハ)家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕又は模様替えの工事
    • (ニ)地震に対する一定の安全基準に適合させるための修繕又は模様替え
    • (ホ)一定のバリアフリー改修工事
    • (ヘ)一定の省エネ改修工事
  • (9)補助金等の額を差し引いた増改築等の工事費用が100万円を超えるものであること
  • (10)自己の居住の用に供される部分の工事費用が、増改築等の工事費用の総額の2分の1以上であること

注:入居した年又はその年の前2年若しくは後3年以内に譲渡所得の課税の特例(3,000万円の特別控除、買換え・交換の特例など)を適用するときは、住宅借入金等特別控除を受けられません。
「土地や建物を売ったとき」参照)

控除額の算出方法

 控除期間は10年間です。

         
〔 住宅ローン等の年末残高
(最高2,000万円)
括弧閉じ × 0.7%= 控除額
(最高14万円)
        ◎100円未満の端数切捨て

確定申告の際に必要な書類

  • (1)(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • (2)住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
  • (3)家屋の登記事項証明書
  • (4)住宅の工事請負契約書の写し
  • (5)(補助金等の交付を受けた方)市区町村からの補助金決定通知書など補助金等の額を証する書類
  • (6)(住宅取得等資金の贈与の特例を受けた方)贈与税の申告書など住宅取得等資金の額を証する書類の写し
  • (7)次の区分に応じた書類
    • 〈控除を受けるための要件〉(8)の(イ)に該当する場合
      工事に係る増改築等工事証明書、建築確認済証の写し、検査済証の写しのいずれかの書類
    • 〈控除を受けるための要件〉(8)の(ロ)〜(ヘ)に該当する場合
      工事に係る増改築等工事証明書

2 住宅耐震改修工事をした場合

〈控除を受けるための要件〉

  • (1)自己の居住の用に供する家屋の改修工事であること
  • (2)昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • (3)一定の耐震基準に適合させるための住宅耐震改修であることについて建築士等が発行する増改築等工事証明書又は地方公共団体の長が発行する住宅耐震改修証明書により証明がされたものであること

控除額の算出方法

         
〔 住宅耐震改修の標準的な費用
(最高250万円)
括弧閉じ × 10%= 控除額
(最高25万円)
        ◎100円未満の端数切捨て

確定申告の際に必要な書類

  • (1)住宅耐震改修特別控除額の計算明細書
  • (2)増改築等工事証明書又は住宅耐震改修証明書
  • (3)家屋の登記事項証明書

3 バリアフリー改修工事をした場合

〈控除を受けるための要件〉

  • (1)自己の所有している家屋で、自己の居住の用に供するものの改修工事であること
  • (2)改修工事後6か月以内に入居していること
  • (3)改修工事をした後の家屋の床面積(登記面積)が50u以上であること
  • (4)床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住の用に供されるものであること
  • (5)控除を受ける年の所得金額が3,000万円以下であること
  • (6)自己の居住の用に供される部分の工事費用の額が、改修工事の工事費用の総額の2分の1以上であること
  • (7)控除を受ける方が、次の(イ)〜(ニ)のいずれかに当てはまること
    • (イ)50歳以上の方
    • (ロ)要介護又は要支援の認定を受けている方
    • (ハ)障害者である方
    • (ニ)高齢者等(ロ)若しくは(ハ)に当てはまる方又は65歳以上の方をいいます。)である親族と同居を常況とする方
  • (8)次の(イ)〜(チ)のいずれかに当てはまるバリアフリー改修工事で、その当てはまることについて建築士等が発行する増改築等工事証明書により証明がされたものであること
    • (イ)廊下の拡幅
    • (ロ)階段の勾配の緩和
    • (ハ)浴室改良
    • (ニ)便所改良
    • (ホ)手すりの設置
    • (ヘ)屋内の段差の解消
    • (ト)引き戸への取替え工事
    • (チ)床表面の滑り止め化
  • (9)補助金等の額を差し引いたバリアフリー改修工事の標準的な費用が50万円を超えるものであること

控除額の算出方法

         
〔 バリアフリー改修工事の標準的な費用
(最高200万円)
括弧閉じ × 10%= 控除額
(最高20万円)
        ◎100円未満の端数切捨て

確定申告の際に必要な書類

  • (1)住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
  • (2)増改築等工事証明書
  • (3)家屋の登記事項証明書
  • (4)介護保険の被保険者証の写し(〈控除を受けるための要件〉(7)(ロ)又は(7)(ニ)(要介護認定もしくは要支援認定を受けている親族と同居を常況としている人に限ります。)に該当する場合は、それぞれの認定に係るもの)

注:前年以前3年以内に、同一の住宅について、バリアフリー改修工事に係る住宅特定改修特別税額控除を受けている場合は、当該控除を受けられません(一定の場合を除きます。)。


4 一般省エネ改修工事をした場合

〈控除を受けるための要件〉

  • (1)3の〈控除を受けるための要件〉(1)〜(6)の要件に当てはまること
  • (2)次の(イ)〜(ハ)のいずれかに当てはまる工事で、その当てはまることについて建築士等が発行する増改築等工事証明書により証明がされたものであること
    • (イ)()居室の窓の改修工事、又は()と併せて行う()天井等、()壁若しくは()床等の1つ以上に該当する改修工事で、改修した各部位の省エネ性能がいずれも平成28年基準相当以上となること
    • (ロ)(イ)の改修工事に併せて行われる一定の太陽光発電装置の設置工事
    • (ハ)(イ)の改修工事に併せて行われる一定の太陽熱利用冷温熱装置等の設置工事
  • (3)補助金等の額を差し引いた一般省エネ改修工事の標準的な費用が50万円を超えるものであること

控除額の算出方法

         
〔 一般省エネ改修工事の標準的な費用
(最高250万円)
括弧閉じ × 10%= 控除額
(最高25万円)
        ◎100円未満の端数切捨て

確定申告の際に必要な書類

  • 3の〈確定申告の際に必要な書類〉(1)〜(3)に掲げる書類

注:前年以前3年以内に、同一の住宅について、一般省エネ改修工事に係る住宅特定改修特別税額控除を受けている場合は、当該控除を受けられません。


5 三世代同居改修工事をした場合

〈控除を受けるための要件〉

  • (1)3の〈控除を受けるための要件〉(1)〜(6)の要件に当てはまること
  • (2)次の(イ)〜(ニ)のいずれかに当てはまる三世代同居改修工事で、その当てはまることについて建築士等が発行する増改築等工事証明書により証明がされたものであり、改修後、調理室、浴室、便所又は玄関のうちいずれか2以上の室がそれぞれ複数になること
    • (イ)調理室を増設する工事
    • (ロ)浴室を増設する工事
    • (ハ)便所を増設する工事
    • (ニ)玄関を増設する工事
  • (3)補助金等の額を差し引いた三世代同居改修工事の標準的な費用が50万円を超えるものであること

控除額の算出方法

         
〔 三世代同居改修工事の標準的な費用
(最高250万円)
括弧閉じ × 10%= 控除額
(最高25万円)
        ◎100円未満の端数切捨て

確定申告の際に必要な書類

  • 3の〈確定申告の際に必要な書類〉(1)〜(3)に掲げる書類

注:前年以前3年以内に、同一の住宅について、三世代同居改修工事に係る住宅特定改修特別税額控除を受けている場合は、当該控除を受けられません。


6 耐久性向上改修工事をした場合

〈控除を受けるための要件〉

  • (1)3の〈控除を受けるための要件〉(1)〜(6)の要件に当てはまること
  • (2)住宅耐震改修又は(及び)一般省エネ改修工事を併せて行うこと
  • (3)()小屋裏、()外壁、()浴室・脱衣所、()土台・軸組等、()床下、()基礎若しくは()地盤に関する劣化対策工事又は()給排水管若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、次の(イ)及び(ロ)の要件を満たすこと
    • (イ)認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づくものであること
    • (ロ)改修部位の劣化対策並びに維持管理及び更新の容易性が、いずれも増改築による長期優良住宅の認定基準に新たに適合することとなること
  • (4)補助金等の額を差し引いた耐久性向上改修工事の標準的な費用が50万円を超えるものであること

控除額の算出方法

         
〔 住宅耐震改修(又は一般省エネ改修工事)の
標準的な費用+
耐久性向上改修工事の標準的な費用
(最高250万円)(※)
括弧閉じ × 10%= 控除額
(最高25万円)
        ◎100円未満の端数切捨て

※住宅耐震改修工事及び一般省エネ改修工事を併せて行う場合は最高500万円

確定申告の際に必要な書類

  • (1)3の〈確定申告の際に必要な書類〉(1)〜(3)に掲げる書類
  • (2)都道府県・市区町村等の長期優良住宅建築等計画等の認定通知書の写し

注:前年以前3年以内に、同一の住宅について、耐久性向上改修工事(一般省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事に係るものに限ります。)に係る住宅特定改修特別税額控除を受けている場合は、当該控除を受けられません。


留意事項

  登記事項証明書については、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」等に不動産番号を記載することなどにより、その添付を省略することができます。

  一般省エネ工事に太陽光発電設備設置工事を含む場合は、限度額を100万円加算します。

  上記2〜6の工事をした場合には、一定の要件の下で、その個人の居住の用に供した日の属する年分の所得税の額から、次に掲げる金額の合計額(対象改修工事に係る標準的な費用の額の合計額と1,000万円から当該金額(当該金額が控除対象限度額を超える場合には、当該控除対象限度額)を控除した金額のいずれか低い金額を限度)の5%に相当する金額を控除することができます。

  • (イ)上記2〜6の各工事に係る標準的な費用の額のうち控除対象限度額を超える部分の額
  • (ロ)上記2〜6の各工事と併せて行う増築、改築その他の一定の工事に要した費用の額(補助金等の交付がある場合には当該補助金等の額を控除した後の金額)の合計額

  住宅ローン等を利用して改修工事を行い、住宅借入金等特別控除を受けるときは、住宅特定改修特別控除(上記3〜6)を受けることができません。
(「マイホームを持ったとき」参照)