税の負担者と納税者

・消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。

・消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して、広く公平に課税されますが、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みが採られています。

・商品などの価格に上乗せされた消費税と地方消費税分は、最終的に消費者が負担し、納税義務者である事業者が納めます。

・消費税が課税される取引には、併せて地方消費税も課税されます。

課税される取引

・国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に課税されますので、商品の販売や運送、広告など、対価を得て行う取引のほとんどは課税の対象となります。

・外国から商品を輸入する場合も輸入のときに課税されます。

非課税取引

 次のような取引は、消費税の性格や社会政策的な配慮などから非課税となっています。

  • 1 土地の譲渡、貸付け(一時的なものを除く。)など
  • 2 有価証券、支払手段の譲渡など
  • 3 利子、保証料、保険料など
  • 4 特定の場所で行う郵便切手、印紙などの譲渡
  • 5 商品券、プリペイドカードなどの譲渡
  • 6 住民票、戸籍抄本等の行政手数料など
  • 7 外国為替など
  • 8 社会保険医療など
  • 9 介護保険サービス・社会福祉事業など
  • 10 お産費用など
  • 11 埋葬料・火葬料
  • 12 一定の身体障害者用物品の譲渡・貸付けなど
  • 13 一定の学校の授業料、入学金、入学検定料、施設設備費など
  • 14 教科用図書の譲渡
  • 15 住宅の貸付け(一時的なものを除く。)

納税義務者(課税事業者)

 その課税期間(個人事業者は暦年、法人は事業年度)の基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税の納税義務者(課税事業者)となります。基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、その課税期間においては課税事業者となります。

 特定期間とは、個人事業者の場合はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間のことをいいます。
 なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

例:個人事業者の場合の基準期間と課税期間

個人事業者の場合の基準期間と課税期間例 図

免税事業者

 基準期間の課税売上高及び特定期間の課税売上高等が1,000万円以下の事業者(免税事業者)は、その年(又は事業年度)は納税義務が免除されます。
 なお、免税事業者でも課税事業者となることを選択することができます。
 適格請求書発行事業者の登録を受けている間は、納税義務は免除されません。

税率

・標準税率10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)

・軽減税率8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)

注1:軽減税率の適用対象は次の「消費税の軽減税率の適用対象」を参照ください。

注2:地方消費税額は、消費税額の22/78です。

消費税及び地方消費税の負担と納付の流れ

※ 下記の図をクリックすると拡大してご覧になることができます。
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消費税及び地方消費税の負担と納付の流れ 図

消費税の軽減税率の適用対象

 1「酒類・外食を除く飲食料品」と2「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」の譲渡には、軽減税率が適用されます。

軽減税率の対象

1「酒類・外食を除く飲食料品の譲渡」

 ・飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除きます。)をいいます。
  ここでいう「食品」とは、全ての飲食物をいい、人の飲用又は食用に供されるものです。

 ・「一体資産」とは、例えば、紅茶とティーカップのセットのように、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で、その一体となっている資産に係る価格のみが提示されているものをいいます。
一定の要件を満たす一体資産は、飲食料品として軽減税率の対象となります。

 ・「外食」や「ケータリング」等は、軽減税率の対象とはなりません。一方、「テイクアウト」や飲食料品の「宅配」等は、軽減税率の対象となります。

 ・「外食」とは、飲食店営業等、食事の提供を行う事業者が、テーブル、椅子等の飲食に用いられる設備がある場所において、飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。

 ・「外食」か「テイクアウト」かは、飲食料品を提供する時点で、販売者(売手)が顧客に意思確認を行うなどの方法で判定します。

2「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡」

 ・一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行される新聞を、定期購読契約に基づき販売する場合は、軽減税率の対象となります。

 ・売店等での新聞の販売やインターネットを通じて配信される電子新聞は、標準税率となります。

◇軽減税率の対象となる飲食料品の範囲(イメージ)

軽減税率の対象となる飲食料品の範囲(イメージ) 図

消費税の計算の仕方

 消費税は、課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算します。

 消費税率は複数税率のため、税率ごとに区分して計算する必要があります。

消費税(国税)の計算

原則(一般課税)

課税期間中の課税売上げに係る消費税額−課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額=消費税額

注1:「課税売上げに係る消費税額」、「課税仕入れ等に係る消費税額」については、それぞれ税率の異なるごとに区分して計算した金額を合計します。

注2:中小事業者の方の売上税額の計算については令和5年9月30日までの期間、税額計算の特例が設けられています。

 ・課税仕入れ等に係る消費税額を控除するには、帳簿及び請求書等の保存をする必要があります。

  詳しくは次の「区分経理と消費税の仕入税額控除の方式」を参照ください。

簡易な計算方法(簡易課税制度)

 課税期間における課税売上げに係る消費税額に、事業区分に応じた一定の「みなし仕入率」を掛けた金額を課税仕入れ等に係る消費税額とみなして、納付する消費税額を計算します。

課税期間中の課税売上げに係る消費税額−(課税期間中の課税売上げに係る消費税額×みなし仕入率)=消費税額

みなし仕入率

第1種事業(卸売業)

90%

第2種事業(小売業等)小売業、農林漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)

80%

第3種事業(製造業等)農林漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、建設業、製造業など

70%

第4種事業(その他)飲食店業など

60%

第5種事業(サービス業等)運輸・通信業、金融・保険業、サービス業

50%

第6種事業(不動産業)

40%

注:2種類以上の事業を営んでいる場合は、原則として、課税売上高を事業の種類ごとに区分し、それぞれの事業区分ごとの課税売上高に係る消費税額にみなし仕入率を掛けて計算します。

 この制度は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が、事前に届出書を提出している場合に適用されます。

地方消費税の計算

消費税額×地方消費税率※=地方消費税額

※地方消費税率は「78分の22」です。

区分経理と消費税の仕入税額控除の方式

 消費税の申告を行うためには、区分経理を行う必要があります。また、令和5年10月1日以降の取引について消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として適格請求書の保存が必要になります。適格請求書は、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者のみが発行できます。

複数税率に対応した経理及び仕入税額控除制度

・消費税の税率は標準税率と軽減税率の複数税率です。消費税の申告を行うためには、取引等を税率の異なるごとに区分して記帳するなどの経理(区分経理)が必要です。

・課税仕入れ等に係る消費税額を控除する(仕入税額控除)には、帳簿及び請求書等の保存が必要です。
 なお、仕入税額控除の方式は、以下のとおりです。

適格請求書等保存方式(インボイス制度) 令和5年10月1日から

適格請求書等保存方式の概要

・仕入税額控除の適用を受けるためには、一定の事項を記載した帳簿及び適格請求書(インボイス)等を保存しておく必要があります。

・適格請求書の様式は法令等で定められておらず、一定の事項が記載されたもの(請求書、納品書、領収書、レシート等)であれば、その名称を問わず、適格請求書に該当します。

適格請求書発行事業者の登録制度

・適格請求書を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られます。

・適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に申請書を提出し、登録を受ける必要があります。
なお、課税事業者でなければ登録を受けることはできません。

注:令和5年10月1日から登録を受けるためには、令和5年9月30日までに登録申請書を提出する必要があります。

・適格請求書発行事業者は、課税事業者として消費税の申告が必要となります。

・適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号等を国税庁適格請求書発行事業者公表サイトにおいて公表しています。

◇適格請求書の記載例

 赤書き箇所は、区分記載請求書の記載事項に追加される事項です。

適格請求書の記載例 図

区分記載請求書等保存方式 令和5年9月30日まで

・仕入税額控除の適用を受けるためには区分経理に対応した帳簿及び「軽減税率の対象品目である旨」や「税率ごとに区分して合計した税込対価の額」等が記載された請求書等(区分記載請求書等)を保存しておく必要があります。

・免税事業者の方は、自身の消費税申告は必要ないため、仕入税額控除を行うことはありませんが、課税事業者との取引に際しては、課税事業者から、区分記載請求書等の交付を求められる場合があります。

◇帳簿と請求書の記載例

帳簿と請求書の記載例 図

・軽減税率制度、インボイス制度に関する詳しい情報については、国税庁ホームページ内の各特設サイトをご覧ください。

消費税の申告・納付

 確定申告・納付のほか、直前の課税期間の消費税額に応じて中間申告・納付が義務付けられています。

確定申告・納付

 個人事業者は翌年の3月末日までに、法人は課税期間の末日の翌日から2か月以内に、消費税と地方消費税を併せて所轄税 務署に申告・納付します。
 納付の方法(「税金の納付と還付」参照)

 控除不足還付税額のある還付申告書を提出する場合は、消費税の還付申告に関する明細書を添付する必要があります。

中間申告・納付

 直前の課税期間の消費税額が48万円を超える事業者は、次のとおり中間申告と納付を行わなければなりません。

直前の課税期間の消費税額

中間申告・納付回数

48万円超400万円以下

年1回(直前の課税期間の消費税額の2分の1)

400万円超4,800万円以下

年3回(直前の課税期間の消費税額の4分の1ずつ)

4,800万円超

年11回(直前の課税期間の消費税額の12分の1ずつ)

注1:上記金額のほか地方消費税額を併せて納めます。

注2:直前の課税期間の消費税額が48万円以下の事業者であっても、事前に「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出した場合には、自主的に年1回の中間申告・納付をすることができます。

 期限内に申告や納付をしなかったり、間違った申告をすると、後で不足の税金を納めるだけでなく、加算税や延滞税も納めなければならないことがあります。

届出

 次のような場合、事業者は届出をする必要があります。

事由

届出書

提出時期

基準期間の課税売上高が1,000万円を超えることとなったとき(又は1,000万円以下となったとき)

消費税課税事業者届出書(基準期間用)(消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書)

速やかに

特定期間の課税売上高が1,000万円を超えることとなったとき

消費税課税事業者届出書(特定期間用)

速やかに

資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上の法人を設立したとき

消費税の新設法人に該当する旨の届出書

速やかに

免税事業者が課税事業者を選択するとき(又は選択を取りやめるとき)(注)

消費税課税事業者選択(不適用)届出書

選択しようとする(選択をやめようとする)課税期間の初日の前日まで

簡易課税制度を選択するとき(又は選択を取りやめるとき)(注)

消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書

その適用を受けようとする(適用をやめようとする)課税期間の初日の前日まで

課税期間の特例を選択又は変更するとき(又は選択を取りやめるとき)(注)

消費税課税期間特例選択・変更(不適用)届出書

同上

「法人税の確定申告書の申告期限の延長の特例」の適用を受ける法人が、消費税の確定申告の申告期限を延長しようとするとき(又は適用を受けることをやめようとするとき)

消費税申告期限延長(不適用)届出書

その適用を受けようとする(適用をやめようとする)事業年度終了の日の属する課税期間の末日まで

注:免税事業者が課税事業者となること、又は課税事業者が簡易課税制度及び課税期間の特例を選択した場合、原則として、2年間は選択を取りやめることができません。

 総額表示の義務付け

  •  事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合には、消費税額(地方消費税額を含みます。)を含めた価格(税込価格)を表示することが義務付けられています。
     総額表示の義務付けは、事業者が消費者に対してあらかじめ表示する価格が対象となります。したがって、価格を表示していない場合にまで、税込価格の表示を義務付けるものではありません。また、口頭で伝えるような価格は、総額表示義務の対象とはなりません。

    ※事業者があらかじめ消費者に対して行う価格の表示であれば、それがどのような表示媒体(店頭表示、チラシ広告、新聞・テレビの広告など)により行われるものであるかを問いません。

◇具体的な表示方法例(標準税率10%が適用されるものとして記載)

具体的な表示方法例 図