記帳や帳簿などの保存の必要性

 1年間に生じた所得を正しく計算して申告するためには、日々の取引の状況を記帳し、帳簿や書類を一定期間保存する必要があります。

青色申告の場合

 青色申告者は、原則として正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳を行うこととされています。複式簿記による記帳に当たっては、市販の会計ソフトを利用することで、簡単にかつ負担なく記帳をすることができます。

帳簿書類の保存期間

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など 7年(※)
その他の書類 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 5年

※前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は、5年

  •  雑所得を生ずべき業務を行う方で、前々年分のその業務に係る収入金額が300万円を超える方は、現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。

白色申告の場合

 白色申告者(青色申告者以外の方)についても、次のような記帳・帳簿等の保存制度が設けられています。

〈記帳・帳簿等の保存制度〉

 事業所得等(事業所得、不動産所得及び山林所得)を生ずべき業務を行う全ての方(所得税及び復興特別所得税の申告の必要がない方も含みます。)は、帳簿を備え付けて収入金額や必要経費に関する事項を記帳するとともに、帳簿や書類を保存する必要があります。

帳簿書類の保存期間

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 5年
書類 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類
  •  雑所得を生ずべき業務を行う方で、前々年分のその業務に係る収入金額が300万円を超える方は、現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。

 

 電子帳簿等保存制度について

  •  保存が必要な帳簿や書類は、紙ではなく電子データとして保存することで、保管スペースが不要となるほか、業務のデジタル化による生産性向上やテレワーク推進等にもつながります。
  •  また、請求書・領収書などを紙ではなく電子データでやりとりした場合には、一定の要件を満たして電子データのまま保存することが必要とされています。
  •  詳しくは、国税庁ホームページ「電子帳簿等保存制度特設サイト」からパンフレットや紹介動画をご覧ください。

青色申告制度

 日々の取引を所定の帳簿に記帳し、その帳簿に基づいて正しい申告をすることで、所得の計算などについて様々な特典が受けられる制度です。

 青色申告をすることができるのは、事業所得等のある方です。
 青色申告をしようとする方は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署に提出してください。

注:その年の1月16日以後に新たに開業した方は、開業の日から2か月以内に提出してください。

 青色申告者には、数多くの特典がありますが、その主なものは次のとおりです。

〈青色申告特別控除〉

 事業所得又は不動産所得を生ずべき事業を営む方が、正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づき作成した貸借対照表及び損益計算書等(青色申告決算書)を確定申告書に添付し、確定申告書を提出期限内に提出する場合は、これらの所得を通じて最高55万円(e-Taxによる申告(電子申告)又は仕訳帳及び総勘定元帳について優良な電子帳簿の要件(「電子帳簿等保存制度特設サイト」参照)を満たして電子データによる備付け・保存を行い、確定申告期限までに一定の事項を記載した届出書を提出している場合は最高65万円)を控除することができます。それ以外の場合は、事業所得等を通じて最高10万円を控除することができます。

〈青色事業専従者給与の必要経費算入〉

 青色申告者と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族で、その事業に専ら従事している人(青色事業専従者)に支払った給与は、あらかじめ納税地の所轄税務署に提出した届出書に記載された金額の範囲内で、青色事業専従者の労務の対価として適正な金額であれば必要経費とすることができます。

〈純損失の繰越しと繰戻し〉

 事業所得等が赤字となり、純損失が生じたときは、その損失額を翌年以後3年間(※)にわたって各年分の所得から差し引くことができます(純損失の繰越し)。また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を前年分の所得に繰り戻して控除し、前年分の所得税の還付を受けることもできます(純損失の繰戻し)。

※特定非常災害により損失が生じた場合は、一定の純損失の金額の繰越期間が5年になります。