全国銀行協会からの照会


平11全企外第36号
平成11年9月22日

国税庁課税部長
河上信彦 殿

全国銀行協会
常務理事 鵜飼 克

 銀行等は、個人に対する住宅ローン債権について流動化を図り、資金調達を行うこととしています。流動化の具体例としては、別添「スキーム図」のような、住宅ローン債権を信託会社(受託者)に譲渡(信託拠出)し、これによって得た信託受益権のうち優先受益権をSPC(特別目的会社、Special Purpose Company)に譲渡する方法があります。
 つきましては、銀行等がこのようなスキームを実施した場合に、租税特別措置法第41条((住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除))および同法第41条の5((特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除))に規定する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」または「住宅借入金等の残高証明書」(以下これらを「残高等証明書」という。)を発行する債権者は、債務者対抗要件を具備しているかどうかの区分に応じ、下記のとおりになるものと解されますが、これらの点について確認いたしたく、ご照会申しあげます。

1 債務者対抗要件を具備しない場合
 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(以下「ローン控除」という。)または特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除(以下「繰越控除」という。)の適用を受けようとする者は、その申告書に残高等証明書を添付しなければならないこととされており、一方、住宅借入金等に係る債権者は、ローン控除の適用を受けようとする者から同証明書の交付の申請があった場合には、当該書類を交付しなければならないこととされているが、住宅ローン債権の譲渡について債務者に通知されない場合(債務者対抗要件を具備しない場合)は、債務者からみると相変わらず借入先(債権者)は原債権者であり、原債権者が残高等証明書を発行することになる。

2 債務者対抗要件を具備した場合
 債務者対抗要件を具備した場合には、債務者は譲受人を借入先と認識することになり、譲受人が租税特別措置法第41条または同法第41条の5に規定する適格な借入先であるときには、引き続きローン控除又は繰越控除の適用を受けられ、譲受人が残高等証明書を発行することになる。
 なお、住宅ローン債権が信託拠出(信託会社に対して譲渡)された場合、所得税法第13条((信託財産に係る収入及び支出の帰属))は、信託財産に係る収入および支出については受益者がその信託財産を有するものとみなして課税する旨規定しているが、信託財産となった住宅ローンの残高等証明書の発行者の判定は所得課税に関係しないので、所得税法第13条は適用されず、譲受人である信託会社が残高等証明書を発行することになる。

以上



● 住宅ローン債権流動化に伴う住宅借入金等特別控除等の適用上の残高等証明書の発行者について(11.9)

1 全国銀行協会からの照会に対する回答

2 全国銀行協会からの照会