(問10)

連結納税制度の適用を受けている連結親法人P社及びP社の連結子法人であるS社 (いずれも3月決算)は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度において通算制度 へ移行することとしました。
 P社は連結確定申告書の提出期限の延長の特例(所得税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第8号)による改正前の法人税法81の 241、以下同じです。)の承認を受けていますが、P社及びS社は、通算制度へ移行後も 連結納税制度と同様に確定申告書の提出期限の延長の特例の規定(法75の21、以下同じです。)を適用したいと考えています。
 この場合、P社及びS社は確定申告書の提出期限の延長手続を行う必要がありますか。

【回答】

P社及びS社は、確定申告書の提出期限の延長の特例の規定の適用について特段の手続を行う必要はありません。

【解説】

令和4年3月31日において連結親法人に該当する内国法人及び同日の属する連結親法人事業年度終了の日においてその内国法人との間に連結完全支配関係がある連結子法人については、同日の翌日において、通算制度の承認があったものとみなすこととされています(令2改正法附則291)。
  この規定により、通算制度の承認があったものとみなされた内国法人(連結親法人であったものに限ります。以下「移行法人」といいます。)が令和4年3月31日の属する連結事業年度において連結確定申告書の提出期限の延長の特例の規定の適用を受けていた場合には、その移行法人及びその連結事業年度終了の日においてその移行法人との間に連結完全支配関係があった内国法人(同日の翌日においてその移行法人との間に通算完全支配関係を有しなくなったものを除きます。)は、当該翌日において、確定申告書の提出期限の延長の特例による申告期限の延長がされたものとみなされます(令2改正法附則341)。
  本件では、P社が連結確定申告書の提出期限の延長の特例の規定の適用を受けていることから、P社及びP社の連結事業年度終了の日(令和4年3月31日)においてP社との間に連結完全支配関係があるS社は、同日の翌日(令和4年4月1日)において、確定申告書の提出期限の延長の特例による申告期限の延長がされたものとみなされます。
  したがって、P社及びS社は、連結納税制度から通算制度への移行に伴い、確定申告書の提出期限の延長の特例の規定の適用を受けるために特段の手続を行う必要はありません。
  なお、移行法人が令和4年3月31日の属する連結事業年度において連結確定申告書の提出期限の延長月数の指定(所得税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第8号)による改正前の法人税法81の241各号)を受けていた場合についても、その移行法人及びその連結事業年度終了の日においてその移行法人との間に連結完全支配関係があった内国法人(同日の翌日においてその移行法人との間に通算完全支配関係を有しなくなったものを除きます。)は、当該翌日において、その指定に係る月数を確定申告書の提出期限の延長の特例における指定(法75の21各号)に係る月数として延長月数の指定を受けたものとみなされます(令2改正法附則342)。

(参考)
 通算制度への移行に関する手続、通算制度へ移行しなかった法人の確定申告書の提出期限の延長の特例及び確定申告書の提出期限については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問6 連結法人の通算制度への移行に関する手続
  2. 問11 通算制度へ移行しなかった法人の確定申告書の提出期限の延長の特例について
  3. 問19 確定申告書の提出期限