(問6)

 連結親法人P社は、×3年12月1日にS社(3月決算)の発行済株式の全部を取得し、S社との間に完全支配関係を有することとなりました。
 このS社はP社の連結子法人でしたが、×1年12月1日にP社がS社の株式を連結グループ外の第三者に売却したことにより、連結納税の承認を取り消されています。
 この場合、S社はいつの時点でP社の連結グループに再加入することになるのでしょうか。

【回答】

 S社は、連結納税の承認が取り消された日(×1年12月1日)以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日の翌日(×7年4月1日)から、P社の連結グループに再加入することになります。

【解説】

 連結納税において、連結子法人となることができる法人は、連結親法人となる法人による完全支配関係(連結除外法人及び外国法人が介在しない一定の関係に限ります。以下同じです。)がある内国法人(連結除外法人を除きます。)とされています(法4の2)。
 この連結除外法人には、連結親法人が株式を売却したことによりその連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなったため、連結納税の承認を取り消された法人で、その承認の取消しの日から同日以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していないものが含まれます(法4の2、令14の61四)。
 また、連結除外法人に該当しない内国法人が連結親法人に発行済株式の全部を取得されたことにより、その連結親法人による完全支配関係を有することとなった場合には、その内国法人はその有することとなった日に連結納税の承認があったものとみなされますが(法4の310)、その内国法人が連結除外法人である場合には、連結子法人となることができませんので、その有することとなった日に連結納税の承認があったものとはみなされません。
 この場合であっても、その連結除外法人が連結親法人による株式の売却などにより、その連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなったことで連結納税の承認を取り消された法人であるときは、連結納税の承認の取消しの日から同日以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間が経過した時点で連結除外法人に該当しないこととなりますので、その経過した時点で連結親法人による完全支配関係を有していれば、その内国法人は連結納税の承認があったものとみなされます(法4の310)。
 本件においてS社は、×3年12月1日にP社による完全支配関係を有することとなりましたが、その時点では、S社の連結納税の承認の取消しの日(×1年12月1日)から同日以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日(×7年3月31日)までの期間を経過しておらず、S社は連結除外法人となりますので、連結納税の承認があったものとはみなされません。
 そして、S社は×7年4月1日に連結除外法人に該当しないこととなりますので、その時点でS社がP社による完全支配関係を有している場合には連結納税の承認があったものとみなされ、P社の連結グループに再加入することとなります。
 また、この場合には、「完全支配関係を有することとなった旨等を記載した書類」をP社は納税地の所轄税務署長に、S社は本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に、連結除外法人に該当しなくなった日(×7年4月1日)以後、遅滞なく提出することとなります(法4の2、令14の74)。

解読図

(参考)

連結除外法人の意義、外国法人が介在する場合の取扱い及び完全支配関係の意義については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問2 連結子法人となることができる法人
  2. 問3 完全支配関係と連結完全支配関係の意義
  3. 問4 連結子法人となることができない法人(外国法人が介在している場合)