1 事前照会の趣旨

 私は、幼稚園を営む個人事業主であり、今般、幼稚園から幼稚園型認定こども園に移行するため、A区(以下「区」といいます。)から補助金(以下「本件補助金」といいます。)の交付を受け、園舎を建て替える工事(以下「本件工事」といいます。)を実施することとしました。本件工事は、令和6年度から令和7年度にかけて行うことを予定しており、本件工事により完成する固定資産(以下「対象資産」といいます。)の引渡しを受ける時期は、本件工事が完了する令和8年2月となる予定です。
 対象資産の取得に充てるための本件補助金は、工事の進捗状況に応じて各年度に交付されるものであるところ、令和6年度分の返還を要しないことが確定した本件補助金については令和7年に交付を受け、その翌年に対象資産を取得することとなります(以下、本件補助金のうち、令和6年度分の返還を要しないことが確定した本件補助金を「令和6年度確定分の本件補助金」といい、令和7年度分の返還を要しないことが確定した本件補助金を「令和7年度確定分の本件補助金」といいます。)。
 この場合において、次のとおり取り扱って差し支えないか、照会いたします。
(1) 令和7年分の各種所得の金額の計算上、令和6年度確定分の本件補助金の額は、対象資産の取得が見込まれる限り、総収入金額に算入しません。なお、総収入金額に算入しないこととした金額、交付を受けた所得税法第42条第1項に規定する国庫補助金等の額及びその交付の目的、その国庫補助金等をもって取得しようとする固定資産の取得予定年月日並びにその取得に要する金額の見込額及びその内訳を、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を用いて令和7年分の確定申告書に記載することとします。
(2) 令和8年分の各種所得の金額の計算上、令和6年度確定分の本件補助金の額及び令和7年度確定分の本件補助金の額の合計額について、所得税法第42条第1項の規定を適用して総収入金額に算入しません。
 また、所得税法第42条第1項の規定を適用する場合、令和8年に引渡しを受けた対象資産については、その取得に要した金額に相当する金額から令和6年度確定分の本件補助金の額及び令和7年度確定分の本件補助金の額の合計額に相当する金額を控除した金額をもって取得したものとみなして、同法第49条第1項に規定する償却費を計算します。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

  1. (1) 本件補助金について
     本件補助金は、「A区認定こども園設置促進事業費等補助要綱」(以下「本件要綱」といいます。)に基づき、交付申請等の手続が行われます。
     本件要綱において、交付申請等の手続等について、要旨次のとおり規定されています。
    1. イ 目的
       本件要綱は、幼稚園型認定こども園等の新設に係る費用の一部を補助することにより、幼稚園型認定こども園等の設置促進を図り、もって待機児童の解消並びに児童の教育及び保育の環境の充実を図ることを目的とする。
    2. ロ 交付申請
       本件要綱に基づく補助金を受けようとする認定こども園の設置者(以下「設置者」といいます。)は、交付申請書に事業計画書等の所定の書類を添付して、区長が指定する日までに区長に提出するものとする。
    3. ハ 交付決定及び通知
       区長は、設置者から上記ロによる交付申請があったときは、関係書類を審査し、補助金を交付することが適当と判断したときは、交付決定通知書により設置者に通知するものとする。
    4. ニ 実績報告
       設置者は、補助事業が完了したとき等は、その事実があった日から30日以内又は別に指定する日のいずれか早い日までに、実績報告書に関係書類を添付し、補助事業の実績を区長に報告しなければならない。
    5. ホ 補助金の額の確定
       区長は、上記ニの実績報告を受けた場合において、実績報告書の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、その報告に係る補助事業の成果が補助金の交付決定の内容及びこれに付した条件に適合するものであることを調査し、適合すると認めたときは、交付すべき補助金の額を確定し、確定通知書により設置者に通知する。
    6. ヘ 決定の取消し
      (イ) 区長は、設置者が次の各号のいずれかに該当したときは、補助金の交付決定の全部又は一部を取り消すことができる。
      A 偽りその他不正な手段により補助金の交付を受けたとき。
      B 補助金を他の用途に使用したとき。
      C その他補助金の交付決定の内容又はこれに付した条件その他法令若しくはこの交付決定に基づく命令に違反したとき。
      (ロ) 上記(イ)の規定は、上記ホの規定により交付すべき補助金の額が確定した後においても適用する。
    7. ト 補助金の返還
       区長は、補助金の交付決定を取り消した場合において、補助事業の当該取消しに係る部分に関し、既に補助金が交付されているときは、期限を定めて、その返還を命ずるものとする。
  1. (2) 本件補助金交付までの流れ
    1. イ 令和7年3月 交付申請書等を提出、交付決定通知書を受領、実績報告書等を提出、確定通知書を受領(令和6年度確定分)
    2. ロ 令和7年5月 本件補助金を受領(令和6年度確定分)
    3. ハ 令和8年2月 対象資産の引渡し(予定)
    4. ニ 令和8年3月 交付申請書等を提出、交付決定通知書を受領、実績報告書等を提出、確定通知書を受領(予定・令和7年度確定分)
    5. ホ 令和8年5月 本件補助金を受領(予定・令和7年度確定分)
  1. (3) 本件補助金をもって取得する対象資産は、その交付の目的に適合したものであることを照会の前提とします。

3 2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由

  1. (1) 法令の規定
     所得税法第42条第1項は、居住者が、各年において固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金等(以下「国庫補助金等」といいます。)の交付を受け、その国庫補助金等の返還を要しないことがその年12月31日までに確定した場合において、その年12月31日までにその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をしたときは、その交付を受けた国庫補助金等の額に相当する金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない旨規定しています。そして、同項の適用を受けた固定資産については、同条第5項及び同法施行令第90条第2項第1号により、その固定資産の取得に要した金額に相当する金額からその固定資産に係る国庫補助金等の額に相当する金額を控除した金額をもって取得又は改良したものとみなして、同法第49条第1項に規定する償却費の計算を行うこととされています。
     また、所得税法第43条第1項は、居住者が、各年において固定資産の取得又は改良に充てるための国庫補助金等の交付を受け、その国庫補助金等の返還を要しないことがその年12月31日までに確定していない場合は、その国庫補助金等の額に相当する金額は、その者のその年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない旨規定しています。
  2. (2) 当てはめ
    1. イ 令和7年分の各種所得の金額の計算
       本件補助金は、区の補助金であることから所得税法第42条第1項に規定する国庫補助金等に該当することは明らかです。
       また、偽りその他不正な手段により本件補助金の交付を受けた場合、本件補助金を他の用途に使用した場合又は本件補助金の交付決定の内容若しくは条件等に違反した場合には、交付決定の全部又は一部を取り消すことができることとされており、これらの場合には、既に交付を受けた本件補助金については、返還を要することとされていますが、この返還条件は一般的な返還条件ですので、所得税法第42条にいう返還を要しないことが確定したかどうかの判定に際しては、直接の関連性はないものと考えられます。
       本件要綱においては、上記の一般的な返還条件のほかに返還に係る定めはないことから、令和6年度確定分の本件補助金は、交付を受けた令和7年の12月31日までに返還しないことが確定したものと考えます。
       そして、前述のとおり、本件工事は2年度にわたるものであるところ、私は、令和7年に令和6年度確定分の本件補助金の交付を受け、その交付を受けた年の翌年2月において、その交付の目的に適合した対象資産の取得をする予定となっていることから、国庫補助金等の交付を受けた令和7年において、その年12月31日までにその交付の目的に適合した固定資産を取得しないため、文理上、所得税法第42条第1項及び同法第43条第1項が規定する場合のいずれにも当たらないようにも思われます。
       しかしながら、国庫補助金等の交付を受けた場合には、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されますが、国庫補助金等の総収入金額不算入の制度は、国庫補助金等の受入れに伴い課税利益が生ずるものとした場合には、その国庫補助金等によって取得を予定された資産の取得資金が税の分だけ不足することとなり、それだけ国庫補助金等の交付の目的が達成できなくなる可能性があるため、その調整のための手段として設けられているものと思われます。
       そうすると、私が交付を受ける本件補助金は、その交付対象が幼稚園型認定こども園の新設に係る費用であり、固定資産の取得をその交付目的とするものであることからすれば、その交付を受けた年の12月31日までに工事等が完了せず固定資産を取得することができない場合であっても、国庫補助金等の交付時点で固定資産の取得が見込まれる限り、国庫補助金等の交付時点では課税関係を生じさせず、固定資産を取得する年分において総収入金額不算入とすることを認めることが制度の趣旨に合致します。
       したがって、令和7年分の確定申告書に一定の事項を記載する場合には、令和6年度確定分の本件補助金の額については対象資産を取得する時に収入すべきものとして、令和7年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととして差し支えないものと考えます。
       なお、令和7年分の確定申告書には、上記により総収入金額に算入しないこととした金額、交付を受けた所得税法第42条第1項に規定する国庫補助金等の額及びその交付の目的、その国庫補助金等をもって取得しようとする固定資産の取得予定年月日並びにその取得に要する金額の見込額及びその内訳を、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を用いて記載します。
    2. ロ 令和8年分の各種所得の金額の計算
       上記イのとおり取り扱う場合には、令和8年分の各種所得の金額の計算上、令和6年度確定分の本件補助金の額及び令和7年度確定分の本件補助金の額の合計額について、所得税法第42条第1項の規定を適用して、総収入金額に算入しないものとすることができると考えます。
       また、所得税法第42条第1項の規定を適用する場合、令和8年に取得する対象資産は、その取得に要した金額に相当する金額から令和6年度確定分の本件補助金の額及び令和7年度確定分の本件補助金の額の合計額に相当する金額を控除した金額をもって取得したものとみなして、同法第49条第1項に規定する償却費を計算します。

以上

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