平成29年11月
広島国税局

1 実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数

相続税の実地調査は、平成26年に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案等について実施しました。
 実地調査の件数は628件(平成27事務年度661件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は511件(平成27事務年度526件)で、非違割合は81.4%(平成27事務年度79.6%)となっています。

2 申告漏れ課税価格

申告漏れ課税価格は146億4千3百万円(平成27事務年度142億3千6百万円)で、実地調査1件当たりでは2,332万円(平成27事務年度2,154万円)となっています。

3 申告漏れ相続財産の金額の内訳

申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等57億7千4百万円(平成27事務年度50億7千4百万円)が最も多く、続いて土地17億6千6百万円(平成27事務年度21億2千9百万円)、有価証券16億3千万円(平成27事務年度14億1千5百万円)の順となっています。

4 追徴税額

追徴税額(加算税を含む。)は26億9千1百万円(平成27事務年度23億7千9百万円)で、実地調査1件当たりでは429万円(平成27事務年度360万円)となっています。

5 重加算税の賦課件数

重加算税の賦課件数は35件(平成27事務年度47件)、賦課割合は6.8%(平成27事務年度8.9%)となっています。

(別表) 相続税の調査事績

事務年度等 平成27事務年度 平成28事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
661 628 95.0
2 申告漏れ等の非違件数
526 511 97.1
3 非違割合(2/1 ポイント
79.6 81.4 1.8
4 重加算税賦課件数
47 35 74.5
5 重加算税賦課割合(4/2 ポイント
8.9 6.8 −2.1
6 申告漏れ課税価格(※) 百万円 百万円
14,236 14,643 102.9
7 6のうち重加算税賦課対象 百万円 百万円
1,405 1,435 102.1
8 追徴税額 本税 百万円 百万円
2,084 2,365 113.5
9 加算税 百万円 百万円
295 326 110.5
10 合計 百万円 百万円
2,379 2,691 113.1
11 実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格(※)(6/1 万円 万円
2,154 2,332 108.3
12 追徴税額(10/1 万円 万円
360 429 119.2

(※) 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。このため、付表1「申告漏れ相続財産の金額の推移」の金額と一致しない。

(付表1) 申告漏れ相続財産の金額の推移

平成24事務年度から平成28事務年度の相続税の申告漏れ相続財産の金額の推移を表したグラフ

(付表2) 申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

平成24事務年度から平成28事務年度の相続税の申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移を表したグラフ

(付表3) 海外資産関連事案に係る調査事績

 納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、相続税調査の実施に当たっては、租税条約等に基づく情報交換制度を効果的に活用するなど、海外資産の把握に努めています。資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、海外資産関連事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施します。

事務年度等 平成27事務年度 平成28事務年度  
項目 対前事務年度比
1 海外資産関連事案に係る実地調査件数
17 18 105.9
2 海外資産に係る申告漏れ等の非違件数 14 13 92.9
5 4 80.0
3 海外資産に係る重加算税賦課件数 0 0 -
0 0 -
4 海外資産に係る申告漏れ課税価格 318 百万円 284 百万円 89.3
56 102 182.1
5 4のうち重加算税賦課対象 0 百万円 0 百万円 -
0 0 -
6 非違1件当たりの申告漏れ課税価格(42 2,271 万円 2,185 万円 96.2
1,120 2,550 227.7
  • (注) 海外資産関連事案とは、1相続又は遺贈により取得した財産のうちに海外資産が存するもの、2相続人、受遺者又は被相続人が日本国外の居住者であるもの、3海外資産等に関する資料情報があるもの、4外資系金融機関との取引のあるもの等のいずれかに該当する事案をいう。
  • (注) 左肩数は、国内資産に係る非違も含めた計数を示す。

平成24事務年度から平成28事務年度の海外資産関連事案に係る調査事績を表したグラフ

(付表4) 無申告事案に係る調査事績

 無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。

事務年度等 平成27事務年度 平成28事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
53 51 96.2
2 申告漏れ等の非違件数
33 35 106.1
3 非違の割合(21 ポイント
62.3 68.6 6.3
4 申告漏れ課税価格 百万円 百万円
3,650 3,458 94.7
5 追徴税額 本税 百万円 百万円
153 129 84.3
6 加算税 百万円 百万円
30 26 86.7
7 合計 百万円 百万円
183 155 84.7
8 実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格(4/1 万円 万円
6,887 6,780 98.4
9 追徴税額(7/1 万円 万円
345 304 88.1

 国税局においては、実地による税務調査を適切に実施する一方で、納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。
 その一環として、税務署が保有する情報から相続税の無申告が想定される相続人等に対し、無申告理由のお尋ね等による書面照会を行うなど、自発的な期限後申告書の提出を促す取組も実施しております。

(付表5) 贈与税に係る調査事績

 国税局では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査時等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、本事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。
 また、納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。

事務年度等 平成27事務年度 平成28事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
270 210 77.8
2 申告漏れ等の非違件数
246 189 76.8
3 申告漏れ課税価格 百万円 百万円
1,378 1,088 79.0
4 追徴税額 百万円 百万円
391 346 88.5
5 実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格(3/1 万円 万円
510 518 101.6
6 追徴税額(4/1 万円 万円
145 165 113.8

1.調査事績に占める無申告事案の状況(平成28事務年度)

○ 国税局では、あらゆる機会を通じて把握した生前の資産保有・移動状況に関する情報を蓄積・活用するなどして、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めています。

平成28事務年度の調査事績に占める無申告事案の状況を表した図

2.調査事績に係る財産別非違件数(平成28事務年度)

平成28事務年度の調査事績に係る申告漏れ財産の内訳を表した図

(注) 各財産の件数は非違件数(延件数)、( )内の数値は構成比。

各県別(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)の状況

鳥取県
 島根県
 岡山県
 広島県
 山口県