会長
定刻になりましたので、第29回国税審議会を開催いたします。
本日の議事進行を務めます会長の佐藤です。よろしくお願いいたします。
委員の皆様方には大変お忙しいところ御出席賜り、誠にありがとうございます。
本日の国税審議会については、委員の過半数の方々に御出席いただいておりますので、国税審議会令第8条第1項の規定に基づき、本会は有効に成立しております。
御出席いただいております委員の方々につきましては、お手元の座席表のとおりでございます。なお、秋葉賢一委員、太田直樹委員、木村純子委員、藤谷武史委員の各委員は、オンラインで御参加となっております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと存じます。
議事次第のとおり、まず、江島長官より御挨拶を頂戴したいと存じます。
江島長官、よろしくお願いいたします。
国税庁長官
国税審議会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
本日は大変お忙しい中、御出席賜り、誠にありがとうございます。
また、委員の皆様方には、日頃から税務行政全般にわたり、深い御理解と多大な御協力を賜っておりまして、厚く御礼申し上げます。
詳細は後ほど御説明を申し上げますけれども、私からは、国税庁の最近の主な取組について概略3点、申し述べさせていただきます。
1点目は、「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」についてでございます。
グローバル化やデジタル化の急速な進展により経済社会が大きく変化していく中で、納税者の皆様からの信頼を変わらず得ていくためには、将来の経済社会の在り方を見据えつつ、果断に業務改革を推進するなど国税組織自身が変化していくことが不可欠でございます。
こうした大きな環境変化を好機と捉えまして、納税者利便性の向上、それから課税・徴収事務の効率化・高度化、そして事業者のデジタル化促進、3つを柱としまして税務行政のDXをさらに前に進めてまいります。
特に、1つ目の「納税者の利便性の向上」につきましては、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」という将来像に向けまして、納税者目線に立って、相談対応・情報発信など様々な納税者サービスの包括的な見直しを進めておりまして、納税者の自己解決の一助となるようなデジタルコンテンツ等の拡充に引き続き取り組んでまいります。
また、2つ目の「課税・徴収事務の効率化・高度化」につきましては、グローバル化等の進展に伴う事務の複雑・困難化に的確に対応し、組織としてのパフォーマンスを最大化するために、AIを活用した幅広いデータの分析に取り組んでまいります。
これら2つの柱のインフラとして、来年度、令和8事務年度の「全署センター化」と「KSK2の導入」に向けて取り組んでおります。
3つ目の「事業者のデジタル化促進」につきましては、事業者の方々が行う会計・経理等の様々な業務が一貫してデジタル化されることで、帳簿書類等の正確性の向上のほか、事業者の業務効率化そのものが社会全体の生産性向上にもつながり得るということが期待されますので、引き続き周知・広報に取り組んでまいります。
2点目は、「重点課題への取組」についてでございます。
税務行政を取り巻く厳しい状況の中、国税庁の使命を果たすために、限られた人員等を活用し、効果的・効率的にコンプライアンス水準を確保していくために、非違類型等に応じた最適な接触体系を構築するとともに、調査必要度が高い納税者に適切に対応できる事務運営を構築するための取組を通じて、納税者のコンプライアンスリスクに応じた最適な事務運営を推進しております。
このためデータ分析・活用の強化等によりまして、調査必要度が高い納税者を的確に抽出し、消費税不正還付、国際・富裕層、租税回避スキーム事案等に対して、深度ある調査を実施するなど調査の重点化を図る一方で、計算誤りや法令の適用誤りなどが想定される納税者には行政指導等により幅広く接触するなど、国税組織全体として効果的・効率的な事務運営を推進し、税務コンプライアンスの確保を目指してまいります。
3点目は、「酒類業の振興」についてでございます。
国税庁では、酒税の適正・公平な課税とともに、酒類業の所管官庁として酒類業の健全な発達に向けて取り組んでおります。
昨年の12月には、日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されるという明るいニュースがございました。この登録を契機として、国内外の多くのメディアに「伝統的酒造り」の歴史や文化の豊かさを取り上げていただいておりまして、注目度が高まっております。
こうしたことも追い風に、日本産酒類の輸出促進につきましては、農林水産物・食品の輸出額を2030年までに5兆円とする政府全体の目標を踏まえ、引き続き、海外販路開拓支援や現地での需要創出の強化に取り組んでまいります。
酒類業を取り巻く足元の環境は、米国の関税措置の影響、そして主食用米の価格高騰に伴う酒類の原料米についての供給不足や価格高騰などがございますけれども、今後とも関係機関と連携しながら直面する諸課題にきめ細かく対応し、酒類業の振興に取り組んでまいります。
本日の国税審議会におきましては、委員の皆様から、国税庁の取組に対しまして、幅広い御見地から闊達に御議論いただき、忌憚のない御意見、御指導を賜りたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
会長
江島長官、ありがとうございました。
それでは、次の議題、「国税審議会各分科会の最近の活動状況」についてです。
資料2のファイルを御覧ください。
令和7年3月に開催した国税審議会以降に実施した分科会について、記載をしております。税理士分科会が114回、115回、116回と3回開催されており、議題はファイルに記載のとおりであります。御確認をよろしくお願いいたします。
続きまして、次の議題、「国税審議会令の一部改正」についてです。
資料3のファイルを御覧ください。
荷主によるトラック事業者の負担軽減に資する取組を推進するため、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律が改正されました。この改正により国税審議会令の所掌事務等の内容が変更されております。かなり技術的なことです。非常に簡単でございますけれども、御報告に代えさせていただきます。
続きまして、今日のメインの議題であります「税務行政の現状と課題」に入ります。
資料4のファイルを御覧ください。
こちらの議題については、河口総務課長から御説明をいただいた後、委員の皆様から御質問、御意見を頂戴したいと存じます。
それでは、河口総務課長、よろしくお願いをいたします。
総務課長
総務課長の河口です。よろしくお願いいたします。
2ページの目次をお願いいたします。
税務行政の現状と課題について、目次のとおり4つの項目に分けて、ポイントを絞って、特に昨年から変わった点を中心に説明させていただきます。
目次の2つ目から4つ目が、先ほど長官が申し上げた国税庁の最近の主な取組の3点になります。
4ページをお願いいたします。
こちらが、1つ目の税務行政を取り巻く環境の変化についてになります。
法人数や所得税の確定申告件数の増加、経済社会のデジタル化・グローバル化など、税務行政を取り巻く環境の急速な変化により税務行政上の課題は増加している中、職員数や予算額はほぼ横ばいとなっています。
右下2つの表のとおり、実調率は大きく減少しているものの、納税者のリスクに応じて適切な接触方法を組み合わせることにより、追徴税額はほぼ同水準を維持できています。
5ページは、令和6事務年度の法人税の調査事績についてです。
実地調査件数は前年と比較して減少しているものの、追徴税額は2,187億円と前年より増加しています。各種データや事業実態の分析を十分に行うことにより、調査必要度の高い法人を的確に調査した結果、追徴税額が増加したものと考えています。
6ページは、令和5事務年度の所得税の調査事績についてです。
実地調査は、件数、追徴税額ともに前年より増加しており、追徴税額は1,066億円となっています。簡易な接触は、件数、追徴税額ともに前年より減少していますが、実地調査と簡易な接触の合計の追徴税額は1,398億円となっており、これは過去最高になります。調査対象者の選定にAIを活用するなど、高額・悪質と見込まれる事案を的確に調査した結果だと考えております。
なお、令和6事務年度分は、11日に公表予定です。
7ページは、令和5事務年度の相続税の調査事績についてです。
ポツの2つ目と3つ目をまとめて申し上げますけれども、実地調査と簡易な接触ともに、件数、追徴税額いずれも前年より増加しており、特に簡易な接触は、件数、追徴税額ともに事績の公表を始めた平成28事務年度以降で最高となっています。
実地調査と簡易な接触の合計の追徴税額は857億円と過去5年間で最高となり、コロナ禍の影響を受ける前の平成30事務年度の水準を上回るまでに回復しています。調査優先度の高い事案に対する実地調査と、簡易な接触による幅広い是正を、効果的に組み合わせて処理を進めたことから、追徴税額が増加していると考えています。
なお、令和6事務年度分は、10日に公表予定です。
8ページで、税収の推移のグラフを参考でつけております。
10ページをお願いいたします。
ここからは、2つ目の税務行政のデジタル・トランスフォーメーションについて説明します。
昨年も全く同じ資料で説明しましたけれども、国税庁では税務行政のデジタル・トランスフォーメーションに取り組んできておりまして、真ん中のグラフの黄色の納税者の利便性の向上、その隣の緑色の課税・徴収事務の効率化・高度化というこれまでの2つの柱に、新たに2023年にその下の青色の事業者のデジタル化促進という取組を加え、税務行政の将来像2023を策定しています。
箱の2つ目のポツの矢印の、適正・公平な課税・徴収の実現に加え、社会全体のDX推進にも取り組んでいくことで社会に貢献していきたいと考えております。
次ページ以降で、3つに分けて説明いたします。
11ページの納税者の利便性の向上に向けては、普段は税になじみのない方でも、日常使い慣れたツールから簡単・便利に手続を行うことができる環境の構築を目指し、納税者目線を大切に各種施策を講じます。
具体的な取組の詳細については、次ページ以降に説明しますが、左の下の表のところの黒文字のポツのところですけれども、令和8年1月以降、生命保険・損害保険の一時金・年金の支払い調書や既に対象となっているふるさと納税以外の寄附金が自動入力対象になります。
そして、右下の表の同じく黒ポツのところですけれども、令和8年2月以降、チャットボットで相談できる税目に贈与税を追加する予定であります。
12ページです。
国税庁では確定申告に必要なデータ、例えば収入金額、医療費の支払い額などのデータを自動で取り込み、数回のクリックやタップで申告が完了する記入済み申告書の拡充を進めています。
自動入力の対象データは、右の真ん中の表のとおり年々拡大しており、令和8年1月からは、先ほど申し上げました生命保険・損害保険の一時金・年金の支払い調書や日本ユニセフ協会への寄附などの寄附金が新たに自動入力の対象となる予定です。
右下のとおり給与情報の自動入力は、給与支払者がオンラインで提出した給与の源泉徴収票の情報が対象となりますので、従業員の方々がより便利に申告できるよう、事業者に対して引き続き周知・広報に取り組んでいきます。
それから、上の箱の3つ目のポツですけれども、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応としてIDとパスワードのみによる認証方式を運用していましたが、マイナンバーカードの普及やマイナンバーカード方式によるe-Tax利用者が増加していることなどから、本年10月より新規発行を行わないこととしました。
13ページです。
国税庁ホームページに税務相談チャットボットやタックスアンサーを導入しています。今後も回答内容の拡充を図るとともに、調べたい情報がより簡単に見つかるよう検索性の向上に取り組んでいくこととしており、チャットボットについては令和8年2月から贈与税についても相談が可能となる予定です。
下の左右のオレンジ色の表のとおり、件数はともに増加傾向となっております。
14ページです。
グラフのとおり、各手続のオンライン利用率はこれまで着実に増加していることから、令和7・8年度の目標を見直しており、達成に向けて取り組んでいきます。
例えば、一番上のオレンジ色の折れ線の法人税につきましては、令和8年度の目標を括弧書きの見直し前の90%から92%に見直しております。
15ページです。
令和5年10月に50%と目標設定していたキャッシュレス納付割合を10月に見直し、令和8年度までに54%とする目標値を設定し、利用拡大に向けて取り組んでいます。
納付手段の多様化に取り組んでいますが、納付件数の約半数が金融機関での窓口での納付となっております。地方税の納付や取引先への振込のついでに国税の納付を行うことから、不便と感じていないことが要因の1つに挙げられますので、国税の納付以外の支払いも含めてキャッシュレス化が図れるように、地方公共団体、日銀、各金融機関団体、関係民間団体等の関係者の協力を得ながら、利用勧奨、周知・広報に取り組んでいきます。
右の真ん中の青囲みのところですけれども、税務署では本年4月以降、キャッシュレス推進デーを設定して、税務署窓口に納税のために来署された方を対象に職員が利用方法などの説明を行うほか、職員がサポートして実際に利便性を体験してもらう取組などを通じて利用勧奨をしております。
16ページです。
10月に、特に納付件数の多い源泉所得税のキャッシュレス納付について、令和8年度までに利用割合を36%とする目標値を新たに設定しました。本年3月には、e-Taxホームページに開設した体験コーナーで、納税者に利便性を実感していただけるようにしております。
17ページは、先ほど10ページで示した柱の課税・徴収事務の効率化・高度化であります。
税務行政においても、データを活用して、また、データの活用を前提として事務を効率化・高度化しつつ、業務改善にも取り組んでいくことが重要だと考えており、具体的な取組の詳細については次ページ以降で説明しますが、真ん中の左側のオンラインツール等の活用については、納税者との連絡に令和7年10月以降、税務調査等におけるインターネットメールの利用を可能としており、その隣の関係機関への照会等のデジタル化については、令和7年5月以降、法務省が整備している登記情報連携システムの利用範囲を拡大するなど、順次取組を進めております。
18ページです。
AIも活用しながら分析することにより、申告漏れの可能性が高い納税者の判定や、滞納者の状況に応じた対応の判別に取り組んでいます。
真ん中の緑色の帯のところですけれども、令和5事務年度の所得税の調査等による追徴税額は過去最高の1,398億円、令和6事務年度の法人に対する調査による法人税・消費税の追徴税額は直近10年で最高の3,407億円、右下の令和6事務年度の滞納者の電話応答割合は、予測結果を活用しない場合に比べて7.7ポイント上昇となっております。
19ページです。
デジタルの活用による2つの柱を実現するためのインフラとして、紙から電子データ、縦割りシステムの解消、メインフレームからの脱却をコンセプトとしたKSK2の令和8年9月の導入に向けて開発に取り組んでいます。
下の図は、現状のKSKとKSK2を比較したイメージ図になります。
KSK2では、システムから帳票を出力せずに電子決裁するなど、電子データによる事務処理が行えるようになります。さらに調査先など庁舎外からもシステムへのアクセスが可能になり、調査等を効率的に行えるようになります。
20ページです。
各税務署で行っている申告書等の入力や審査等の内部事務を業務センターで集約処理する、内部事務のセンター化に取り組んでいます。令和8事務年度には、全国524署全ての税務署で実施することになります。
1つ目の図の右下の文字のところになりますけれども、効率化により確保できた事務量は、納税者サービスの充実や税務調査、滞納整理、データ活用の充実・高度化につなげていくこととしています。
21ページは、10ページで示した柱の事業者のデジタル化促進です。
国税庁は、税務手続のデジタル化と併せて事業者の業務のデジタル化を促す施策にも取り組んでいます。具体的な取組の詳細については次ページ以降で説明しますが、令和7年度税制改正による電子帳簿保存法の改正についての周知・広報に取り組んでいます。
22ページです。
事業者が日頃行う事務処理について、デジタル化が進展し、そのデータが税務申告、納税まで連携されるようになれば、導入当初にコストが発生するものの、事業者の生産性の向上や正確性の向上、税務コンプライアンスの向上が期待できます。
令和7年度税制改正では、請求書等のデジタルデータを自動で保存し、帳簿に自動連携する仕組みに対応した制度が電子帳簿保存法に新設されたことから、周知・広報を含め、デジタルシームレスの普及に取り組んでいきます。
23ページです。
事業者のデジタル化促進に向け、関係機関等と協力して、リーフレットや動画等を用いて、デジタルインボイスやAI-OCRなどを紹介するなど、周知・広報を行っています。
24ページです。
関係民間団体や税理士会、地元の経済団体など、事業者の業務のデジタル化を支援する団体とも連携・協力し、地域でデジタル化促進宣言などを行っています。
真ん中の下の、奈良県の事例では、レシートをAI-OCRで読み取り、帳簿データに自動で仕訳を行うデモンストレーションを実施しています。
26ページをお願いいたします。
ここからは、3つ目の調査・徴収事務を中心とした重点課題への取組について説明します。
消費税の還付申告税額は増加傾向で、令和5年度は7.3兆円となっています。
資料右側の表は、それぞれ消費税還付の申告者と申告法人に対する実地調査の状況を示しており、個人、法人を合わせて令和5事務年度の実地調査件数は6,335件、追徴税額は405億円となっています。
27ページです。
消費税の仕組みを悪用し、国外への売上げについて現金決済を主張して国内での仕入れと国外への売上げを架空計上することで、不正に消費税の還付を受けようとした事例になります。
この事案につきましては、右下の黄色の矢印のように、外国の税務当局との情報交換制度を活用し実態を解明しましたけれども、左の青の箱のように、本事例に限らず多種多様な手口による悪質な事例が散見されておりますので、引き続き適切に対処してまいります。
28ページです。
図の中央の青の富裕層や海外取引のある企業による海外への資産隠し、国外で設立した法人を利用した国際的な租税回避などに適切に対応するため、左の緑の情報リソースの充実、真ん中下のグレーの調査マンパワーの充実、右オレンジのグローバルネットワークの強化を推進し、課税上問題があると見込まれる場合には調査等を実施しています。
資料下段の表で、令和5事務年度の海外投資等を行っている個人の実地調査件数は2,584件、追徴税額は168億円、令和6事務年度の海外取引法人の実地調査件数は1万195件、海外取引に係る申告漏れの所得金額は2,096億円となっています。
29ページです。
富裕層等に対しては、国外財産調書などの法定調書や、海外との情報交換などを効果的に活用し、課税上の問題がある場合に調査を実施しています。
真ん中の左の表で、令和5事務年度の富裕層に対する実地調査件数は2,407件、追徴税額は170億円、右の表で、そのうち海外投資等を行った富裕層に対する実地調査件数は554件、追徴税額は71億円となっています。
下段は、調査対象者が出資している外国法人であるX社をペーパーカンパニーと認定して、Y社、Z社からの収入を調査対象者の所得として課税した事例になります。
30ページです。
滞納残高は令和元年度まで21年連続で減少していましたが、ここ数年増加傾向にあり、令和6年度の滞納残高は9,714億円となっています。
滞納の未然防止とともに確実な徴収に努めており、新規発生滞納事案は納税コールセンターで幅広く所掌して、システムを活用した電話催告等により、対象者数は増加しているものの処理割合は80%超を維持しています。滞納処分により差し押さえた財産は、公売を実施し、売却代金を滞納国税に充てており、令和6事務年度は2,169件が売却され、総額95億円となっております。
32ページをお願いします。
ここからは、4つ目の酒類業の振興について説明します。
昨年のこの審議会におきまして、私の前任から間もなく結果が分かる予定と説明いたしましたが、その2日後に、先ほど長官が申し上げたとおり日本酒、焼酎・泡盛等の伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録されました。
左下にありますように、引き続き伝統的酒造りに関する各種周知・広報事業を実施してまいります。
33ページです。
左側のグラフのとおり、成人1人当たりの酒類消費数量は、コロナ禍の影響を受けて減少した後は、コロナ禍以前の水準以下となっています。
右の表のとおり、酒類の消費動向につきましては、家庭消費金額はコロナ禍以降、増加傾向であり、飲食店消費金額はコロナ禍以前の水準まで回復しています。
34ページです。
本年4月に閣議決定された「2030年に5兆円」という農林水産物・食品の輸出目標を達成するため、本年5月に輸出重点品目ごとの目標、品目ごとのターゲット国・地域などが設定され、日本産酒類については、右下の表のとおり、酒類は760億円、ウイスキーは750億円、本格焼酎・泡盛は50億円と設定されました。
35ページです。
清酒やウイスキー等の国際的な評価の高まり等を背景に、輸出金額は年々増加傾向であり、令和6年の日本産酒類の輸出金額は令和5年とおおむね同水準の1,337億円となっており、単月ベースでは令和6年8月から15か月連続で前年同月比増となっています。
36ページです。
関税措置があった4月以降の米国への輸出金額累計額を見ると、右上の棒グラフのとおり、昨年とほぼ同水準で、マクロ的には米国関税措置の影響は確認できておりません。
37ページです。
本年夏頃、米国への輸出に取り組む酒類事業者へのヒアリングを実施したところ、表の左側の縦に書いてある直接的影響のその中段のように、米国からの注文の減少や取引価格の値下げを要求された事例が発生していることを把握したことから、ヒアリングで把握したニーズに沿って、右側の緑色の真ん中の輸出先多角化に向けた支援といった事業者に対する支援に引き続き取り組んでまいります。
38ページです。
酒類事業者向け補助金や輸出促進等による酒類事業振興として、令和8年度予算概算要求におきまして36.9億円を要求しています。また、米国関税措置への対応強化、酒米の不足や価格高騰に対応した酒蔵支援強化に必要な経費を事項要求しております。
39ページです。
酒類業振興関係の令和7年度補正予算案には、酒米の不足や価格高騰に対応した酒蔵支援強化、米国関税措置への対応強化を含む輸出促進等による酒類業振興、酒類事業者向け補助金、酒類総研の機能強化として、31.2億円が計上されております。
私からの説明は以上になります。
会長
河口総務課長、ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がありました税務行政の現状と課題につきまして、委員の皆様から御質問、御意見を頂戴したいと存じます。
御発言御希望の方は、対面で出席の方は挙手ください。オンライン参加の方は挙手ボタンを押していただければ幸いです。
それでは、御発言希望の方から、どうぞよろしくお願いいたします。
山内委員、どうぞ。
山内委員
私、この間、税務署に初めて行きまして、証明書の発行みたいな用事があって行ったんですけれども、そのときに、窓口に行っても紙とかで書いて職員さんが証明書を発行してくれるわけではなくて、税務署の中に置いてあるパソコン、こういうパソコンで職員さんがここにこれを入れてくださいみたいな感じで隣に立って教えてくださりながら、私が自分で打って証明書とかを発行するという感じだったんです。
そのときに気づいたんですけれども、14ページにあるe-Tax利用率の推移と書いてあって、着々と上がっていっていて目標90%を超えているような状態なんだけれども、もしかしたらe-Taxを使わないと申告できないからこれだけ上がっていて、実態はみんなが家のパソコンでやっていたりするのではなく、それももちろんたくさんされているんだろうけれども、どうしたらいいか分からないというレベルの人は、税務署に行ったときに、職員さんに教えてもらいながらe-Taxを使って申告しているという件数が結構相当あるんじゃないかなと思って、そういうケース、何と表現するのか分からないんですけれども、そういうケースのこの中の内訳みたいなものって統計を取っていたりしないのかなと、ちょっと思いました。
会長
ありがとうございます。
それでは、高橋課税部長、お願いします。
課税部長
すみません。ちょっと今、手元に数字はないので、確認をした上で、適切な数字があれば後日お知らせさせていただきたいと思います。
山内委員
課税部長
自宅からのe-Taxと、あと署にお見えになってe-Taxをされる場合の数字というのは、恐らく仕分ができていたような気がしますので、そこは確認をした上でお知らせさせていただきます。
会長
企画課長
補足させていただきますけれども、所得税で申し上げますと昨年74%という数字になっておりますけれども、申告人員全体の4割弱の方は御自宅からということになります。確定申告会場に来られて、確定申告期に会場を設けていますけれども、そこに来られて申告された方は1割で、残りの3割ぐらいの方は税理士さんによる代理送信とか、そういう形になってございます。
山内委員
企画課長
いろいろその税目ごとによって少し状況は異なりますけれども、所得税について言えば、会場でやられた方は1割で自宅からは4割弱ということになっております。
山内委員
会長
ありがとうございました。
その自宅って、スマートフォンを含むですね。
企画課長
会長
企画課長
スマホは、ちなみに自宅の半分がスマートフォンになっております。
会長
土居委員
どうも御説明ありがとうございました。
3点ほどコメントを申し上げたいと思います。
まず、1点目は、今まさにその最中ということなんですけれども、令和7年の年末調整ということで、これは国税庁がそうしたというよりかは税制改正でそうなったということだと思うんですが、所得税の基礎控除がかなり複雑になっているがゆえに、例年にないような年末調整、しかもそれを全部、年末調整で対応するということに税制改正がなったものだからということなんですけれども。
既に、今日は御説明ありませんでしたけれども、国税庁のホームページで年末調整の対応は非常に丁寧にホームページ上での説明をなされているので、それはいいことだなといって拝見しておりまして。ただ、実際に携わられるのは源泉徴収義務者の方が年末調整をなさるということですので、引き続きこの年末調整を無事終えられるような形で体制を敷いていただけるといいのかなというふうに思います。
あまり政治のほうが複雑な所得税制にならないようにしていただきたいなという個人的な希望はありますけれども、制度は制度ですので、それを手当てしながらも年末調整が無事終えられることを願っているというのが1点目のコメントです。
2点目のコメントは、AIの活用ということで18枚目に御説明があって、申告漏れの可能性が高い納税者を判定するとか、そういうような形で効率的にこのAIを活用して税務行政を進めていただくということは、大変これはいいことだなというふうに思っております。
さはさりながら、今インフレに転じている経済情勢ということもあり、今までデフレ下ではなかったような金融所得の増加とか、法人税についても、これまで欠損法人だった法人が利益計上法人に転じるというようなこともあったりするというようなことですので、引き続き来年以降もこういう取組をさらに進めていただくということが、私としても極めて重要なものではないかなというふうに思っています。
そういう意味では、今後も物価が上がるということなので、金額も増えていくという方向に名目立てでなるものですから、引き続きこういうような取組を進めていただくのがいいかなと思います。
それから、3点目は酒類業の振興ということで、確かに国際情勢が目まぐるしく変わっているので、日本産酒類の輸出というものについても国際情勢を見極めながらということで、今回はアメリカの関税措置ということでしたけれども、今後、関税以外の要因で様々に、為替レートも含めてですけれども様々に国際経済情勢が変わってくるというところはあるかと思いますけれども、底力のある我が国の酒類を世界的にもどんどん売り込んでいくということは、とても大事なことではないかと思います。
この国税審議会としては、ユネスコ無形文化遺産登録後、初めての総会ではあるんですけれども、そういう意味では登録できておめでとうございますということでありますけれども、これをさらにいい形で活用していただいて、酒類の輸出を進めていただくということに国税庁としても取り組んでいただきたいなというふうに思います。
私からは以上です。
会長
土居会長代理、ありがとうございました。
1点目の年末調整関係について、2点目のAIの活用について、高橋課税部長、お願いいたします。
課税部長
御意見ありがとうございます。
年末調整への対応につきましては、事前に令和7年度の税制改正を受けた対応につきまして、私ども国税庁といたしましても、源泉徴収義務者の方々に事前のその制度の周知・広報というのは進めてきたわけでございますけれども、今後とも引き続き源泉徴収義務者の方々に寄り添って、しっかり説明をした上で必要な支援、手助け、サポートをしていきたいというふうに考えてございます。
AIの活用につきましては、御意見ありがとうございます。そういう意味では、もっとやっていくようにということで、そういう激励というふうに受け止めてございますけれども、引き続き私どもとしてAIを活用して、的確かつ効率的にその調査の選定を行うといったような取組をさらに積極的に進めながら、適正・公平な課税の実現に努めてまいりたいというふうに思っております。
ありがとうございます。
会長
3点目の酒類業については、藤崎審議官お願いいたします。
審議官
お酒担当の審議官の藤崎でございます。
先生のほうからありましたとおり、昨年12月にユネスコの無形文化遺産に登録をされまして、それから大体1年ということでございます。
まず、外国においては認知度の向上ということで取組をさせていただいているので、引き続き国内に来たインバウンドの方も含めて、そういった認知度の向上ということと、それから今年の4月に輸出の目標というのも定まっておりますので、2030年に向けてその目標が達成できるようにということで、国内の体制も整えながらやっていきたいというふうに思っております。
会長
ありがとうございました。
鹿取委員、よろしくお願いします。
鹿取委員
今日はありがとうございました。
日本の市場についてなんですけれども。例えばフランスとかイギリスとかアメリカとか調べますと、どの年代がお酒を飲んでいるか、その飲んでいる比率がここ5年でどのぐらい減ったかとか、データがちゃんと出ているんですね。例えばフランスでは、55歳以上が主に飲んでいて、20代はかなり減少傾向と、ほとんど飲まないというデータが出ていて、非常にそれが日本でも起きているんではないかと思って危惧しております。
ですが全く今、実態をつかめるデータがないという状況で、ぜひ国税庁の方で実態をまずつかんで、非常に危機的な状況だと思っておりますので、そういう調査をするという可能性はあるかどうかお聞きしたいと思います。
会長
酒税課長
酒税課長でございます。
御指摘はごもっともだと思います。私どもの手元には今はっきりお示しできるものはないですが、一応、厚生労働省であるとか、また総務省のデータであるとか、あと酒造組合などもデータを収集しておりますので、我々としてもそういうものをしっかりと分析して、我々として発信できるように整えていきたいというふうに思っております。
ありがとうございました。
会長
ありがとうございました。
ほかには。
中空委員、どうぞ。
中空委員
御説明ありがとうございました。税務行政のDXとかが進んでいることが分かりまして、引き続き頑張っていただければと思います。
そういう中で幾つか。これは意見なんですが、相続税の話があったと思うんです。相続税自体をここでどうしようという国税審議会の話ではないと思うのですが、世界的に見て日本の相続税が高過ぎるという問題については、やっぱり考えていかなきゃいけないかなというふうに思います。
多くの富裕層の人たちがやっぱり日本を捨てて世界に行ってしまうという傾向、それを止めようとする動きというのもあるんですけれども、やっぱり相続税そのものを見直すということをしていかないと、日本国の資産の流出だとか競争力のある人を外に出してしまうとか、様々な問題を実ははらんでいるというふうに感じておりますので。
これ、ここの場ではそれを捕捉している、大口・悪質の人たちをちゃんと見てAIで判断して徴税しましたということなんだと思うんですけれども、そもそもの税金の在り方というものを考えていくということも必要なんじゃないかということは、意見として述べさせていただきたいと思います。
もう一点が、酒税、酒類のほうなんですが、関税の影響にかかわらず売れていましたという話があって非常に心強く思いました。これは日本酒も美味しいし当然かなということが思う一方で、ページが37ページなんですが、米国からの注文の減少や一時停止でも大多数は影響がなかったのに、支援として補助金を出しますというふうに書いてあるように見えてしまいまして、それはそれでどうしてかなというふうに思ってしまいます。基本的には、影響がなかったのに補助金を出すということについては、理解が得られないのではないかというふうに思います。
酒米についても、酒米が不足しているということも話としては理解はできるんですけれども、競争力をつける、産業として育成するのであれば、酒米を保護しましょうとか、高くなったからお金を出しましょうというのも本当はおかしくて。日本酒の価格を上げていくことに、もうちょっとサポートしていくということが本来の姿なのではないかというふうに思います。なので、例えば緊急的に、酒米が今年は米不足、その食糧米のほうが、食用米のほうが値段が上がったのでという特殊状況があるからということだったら理解しなくもないのですが、やはり長期的に見ると日本酒の価格を上げていくということでないとこれは話が違うのではないかと思うので、このままで続けていっていいですねという話ではないのかなというふうに思います。
なので、根本的に日本酒の競争力をサポートするようなことにお金を使うべき、支援をしていくべきということで見ていただければと思います。その意味で、関税政策の影響が来年以降もどれぐらい出てくるのか、そして、実際にマクロ的には影響出ていませんという、先ほど総務課長のお話でしたが、本当にそれでよいのか。言い方を変えると、インフレ下で、かつ為替もいろいろ変わっていて関税も変わっていて影響がないのであれば、本当に強いんじゃないかという気もしてくるわけなんですが、そういう、ここはそのまま見ておいていいのか。来年以降の見通しがあれば、もしあれば教えていただきたいと思います。
その意味で支援の在り方というのは変えていっていただきたいというのが、これはコメントであり要求です。
以上です。ありがとうございます。
会長
1点目の相続税の件は、当審議会としては御意見を承ったということでお願いをいたします。
2点目の37ページの支援の在り方と、それから来年の支援の在り方が分かっていれば教えてほしいという御質問と、2点ありますので、よろしくお願いいたします。
審議官
酒担当の審議官でございます。
まず、1つ目でございますけれども、お酒に関する支援の在り方ということでございますが、まず、その輸出に関していうと、大多数の方々は今大きな影響はないということでございます。一部影響が出ている方もいらっしゃいますので、その方についてはアメリカ一本足打法ではなく、第三国向け輸出とか、そういうのに取り組むということについて、多角化という観点からもいろいろと取り組んでいただく必要があるだろうと。そういったときに、これまでも支援してきておりますけれども、引き続きそういった支援を行っていくということが必要なんだろうというふうに思っております。
それから、原料米の価格高騰につきましては、我々としても今、価格差の補填ということを国によって行っているというわけではございませんでして、やはりいきなり2倍近くまで上がりますので、その点については地域、地域の実情に応じて重点支援地方交付金を活用して各地域の御判断として酒蔵の支援というのを行っていただきたいという中で、差額補填ということをおやりになる自治体もありますし、それから販売促進みたいな形でやっているような地域もあるというような状況でございます。
中空委員から御指摘のありました競争力の強化という点については、まさにおっしゃるとおりだと思っておりまして、我々としては、原料の価格が上がった場合には、やはり最終的にはその商品の価格に反映していくというのが持続的なその形なんだろうと思っておりまして、そういった意味では、最後の39ページのところに書かせていただいておりますけれども、右の上のほうですけれども、適正な転嫁に向けた環境整備ということで、原材料費等の適正転嫁に関する要請文書の発出、それから実態把握等を通じて、1年ですぐに全部上げられるかどうかは別問題でございますけれども、そういった取引環境の整備というのにも努めていきたいというふうに考えております。
それから、アメリカの関税の影響、マクロでの影響は出ていないということを申し上げましたけれども、現時点において出てきていない、大多数においては出てきていない、一部の方については影響出ているという状況でございます。
これがどうなるかということですけれども、これは先行きを懸念する方は結構いらっしゃいます。それは関税の負担の仕方というよりもアメリカ経済そのものが結局どうなっていくんだろうということで、飲食店の消費も含めてアメリカの景気自体がどうなっていくんだということで、ちょっとそこが見通せないねとおっしゃる方もいらっしゃいまして、マクロのアメリカの経済の状況、それから、関税の取引でこれまで駆け込みと言うと変ですが、上がる前に輸出できていたのが、在庫がたまっていて、それがはけてきた後にどうなるのかとかですね。あるいは、そもそも計画的に出しているので影響ないとかです。
事業者さんによってそれぞれおっしゃることは全く違うので、それぞれ個々の事業者さん次第という面もあるんですけれども、大きなところでは、マクロで結局アメリカ経済が最後どうなって、消費がどうなるかということを懸念しておられる方が多いというような状況でございます。
したがって、先行きについては、引き続きよくよく見ていくだろうというふうに思っておりまして、そういう中で37ページのところでございますけれども、状況については細かくヒアリングをしながら把握に努めていきたいというふうに思っております。
会長
中空委員
はい、分かりました。ありがとうございます。
ただ、今の御説明をいただいて、より思ったんですが、とするとちょっと有利過ぎるかなと。アメリカの景気が悪くなったら補填されるんなら、そんな楽な業界はなくてというふうにもちょっと感じてしまうので、どこからどこまでが競争力なのかということはちょっと思ってしまったということと、あと、これは更問で教えていただきたいんですけれども、一部の方には影響があったというのは、去年対比でどれぐらい落ちると影響があったとみなして補助金対象になるんでしょうか。
会長
酒税課長
酒税課長でございます。
どれだけというその基準を明確に定めているわけではなくて、これは今年の9月までに、政府として米国関税の影響で緊急対策でいろいろ政府全体でヒアリングとか対策を立ててきましたので、その中で一応我々としても緊急で対応できるということで補助金で。米国関税の影響を受けて、その輸出量が減ったということを客観的に示していただいた場合にはです。
中空委員
酒税課長
ええ、ないです。そのときは基準は定めていないので、下がったということをそれだけで補助金対象にしているわけではないので、それとともにその多角化とか新しい取組、意欲的な取組をしていただいたら出すという形にしていて、考慮するときの一要素として米国関税の影響があった場合には、その点についても加味して少し点数を足すといいますか。そして、さらにその多角化や新しい商品の開発などといった取組もやっているところを支援するといったところで、ただ米国関税の影響を受けただけではなくて、意欲ある社でその中で影響を受けた社を支援するという形でやっておりました。
会長
ありがとうございます。
この点はこれでよろしいですね。
中空委員
会長
ありがとうございます。
ほかには。
髙梨委員、どうぞ。
髙梨委員
御説明ありがとうございました。
伺っていまして、デジタル化が大分、徐々に進んでいるのかなというふうに思って聞いていたんですけれども、国民の利便性が高まるということもさることながら、その結果、事務が効率化されて、例えば何か残業が減ったとか少ない人員で事務ができるようになったというような意味での効果というのは、目に見える形で表れてきているんでしょうか。もしそうであれば、教えていただきたいということと。
あともう一つなんですが、30ページで滞納の未然防止と整理促進というところで、コロナが始まったあたりから、滞納残高がずっと20年以上減少していたものが増えていると、増え続けている。その理由が、コロナ後の徴収決定済額の増加に伴う新規発生というふうに書いてあるんですけれども、コロナが落ち着いてからちょっと時間もある程度たったのかなという気もしまして、それ以外に理由があるとしたら、どんなことなのか教えていただければと思います。
会長
企画課長
企画課長の大柳でございます。
委員から大分デジタルの利用が進んできているというふうにいただきました。我々、e-Taxをはじめデジタル化を進めておりますのは、やはりマンパワーをなるべくかけずに、納税者の利便それからその納税者対応の質を維持したまま、それをデジタルの力を借りてやった上で、そのマンパワーをより不足している分野に投入しようというところでございます。
この資料の最初のほうにございましたけれども、実調率が下がってきているという中におきましてもその調査は追徴税額を維持しているのは、デジタルの力を借りて納税者サービスのほうの質を維持しながら、必要なマンパワーをその調査のほうに振り向けていると、そういうことがこの辺にも表れてきているのかなというふうに考えているところです。
会長
徴収部長
質問ありがとうございます。
確かに令和6年度も含めまして5年連続の滞納残高の増加になって、大変厳しい状況だというふうに認識しております。ただ、先ほど別のページで税収が過去最高をずっと更新し続けているというのもありまして、前年度もそうだったんですけれども、徴収決定税額という課税額、これがずっと過去最高を更新し続けております。
実は、前事務年度、基本的に滞納残高というのは発生して整理して残りということになるんですけれども、それは確かに5年連続増加しているんですけれども、実は整理額も過去、ここ5年間でいえば最高額をずっと更新しているんですね。なので、ただそれに追いつかないだけの新規発生があるということが一番大きい状況でございます。
じゃ、その発生の原因は何かというと、これは資金繰りの問題だったり、あといろんな状況によりますので、これは一概に言えないというのが我々のほうの認識でございます。
会長
ありがとうございました。
よろしいですか。ありがとうございます。
土居会長代理、どうぞ。
土居委員
今の関連でちょっとお伺いしたいんですけれども、消費税がそもそも8%だったのが10%に上がって税率が上がった分、当然その納税額が増え、仮に取引税抜き額が同じでも納税しなければいけない額が増えるということによる要因もインフレ以外にあり得るということと、あとインボイスが導入されたのでそれの影響とか、あとは課税事業者にあえてなる事業者が増えたとかというような要因が論理的にはあり得るのじゃないかなと思ったんですが、そのあたりいかがでしょうか。
徴収部長
ありがとうございます。
そういう話はよく言われる話でございます。確かに消費税については、税率が上がるたびに分母となる徴収決定済額が増えているので額としては増えてきております。
ただ、いわゆる滞納発生しやすいかどうかということについては、いろんな見方があるんですけれども、滞納発生割合という課税額に占める滞納の割合というんですかね。それを見ますと、例えば平成10年度は6.9%ございました。それが平成20年度4%で、平成30年度からは、2%前後で推移しており、減少傾向にあるので、必ずしもその税率の引上げに伴って滞納が発生しやすくなっているかどうか、金額は増えているのは確かなんですけれども、というのは一概には言えないのかなというのが一つと。
あと申告所得税という別の税目で見ますと、申告所得税の令和6年度の滞納発生割合は4%ですので、2%と比べると申告所得税のほうが滞納しやすいというのはあるのかなというのはあります。なので一概には言えないなということと。
あとインボイスが導入されました話につきましては、最終的に事業者がどの税目で滞納を発生させるかというのは、最終的には事業者の判断になるんですが、これについてはなかなか我々としては言いにくい部分はあるんですけれども、昨年2月の国会で当時の加藤財務大臣もおっしゃっているんですけれども、個人事業主については、新たにインボイスの発行事業者になった方の滞納発生割合と、インボイス発行事業者全体の滞納発生割合、あと消費税の課税事業者全体の滞納発生割合がほぼ、同じだったんです。なので、インボイスが入ったからとか、インボイスが入ったおかげで新規に課税事業者を選択された方が滞納を発生しやすいかというと、必ずしもそういうことはないのかなというのが一応見立てでございます。
あとは、いろいろ言われるのは、去年の場合はちょっと特殊事情というか、これもよく言われるんですけれども、法人税の中間納付書を、いろいろ社会のデジタル化の観点から、今まで事前に送っていたんですけれども、紙の納付書を送っていたんですけれども、もうキャッシュレス納付をされている方とかe-Taxで申告されている方とかについて、一部送らなくなったというのがあります。
それは納付書自体はもう必要ないので送っていないんですけれども、中間とかだと、その中間申告しなきゃいけないねというのを忘れてしまうというのがあって、一瞬滞納が発生するというところがありまして、そういうものの分がもしかするとあるかもしれないねというのはあるんですけれども、ただ、それはほんの一瞬でございまして、その後、電話かけてどうしましたという話になれば納付されてくる話なので、それはどのぐらい影響あったかというのはあまり評価できないんですけれども。
いろんな要素があり得るので、いずれにしても我々としては、そういう例えば気づきの問題であれば気づきを与えないといけないということで広報・周知、その注意喚起についてやっていって、そういううっかりミスがないように、とにかく滞納を発生しないように何とかしたいということで、取組を進めているということでございます。
会長
ありがとうございました。
よろしいですね。
ほかには、いかがでしょう。ウェブで御参加の委員の方々、特に御発言希望ありませんか。挙手はないように思いますが。
どうぞ、対面の方も。はい、どうぞ。
山内委員
すみません、せっかくe-Tax体験をしてきたので、もう一つだけ、いいですか。
私も普段税理士さんにお任せしちゃっているので、全然分からなかったんですね。窓口で、オンラインでできますよ、スマホでできますよと言われて、その案内の紙を渡されて、そのとおりに進んでいったら、利用者識別番号みたいなものは持っていたんですけれども、パスワードもあったんですね。それを打ち込んだんですね。そうしたら、はねられちゃって、暗証番号を再発行してくださいと言われたんですね。スマホで暗証番号の再発行をしたら、そこで画面が終わっちゃって、暗証番号の再発行が書面で送られてくるという流れだったんです。これは、ちょっと厳しいぞと思って。
今度、令和8年9月にKSK2導入されるということで、そこで職員さんにちょっとお話聞いて、職員さんもこのe-Taxどう思いますか、使いづらいんですかって聞いたら、職員さんも、使いづらいです、正直みたいなことをぽろっとおっしゃっていて。そのときは私KSK2が何なのか全く分からなかったんですけれども、KSK2というのが来年導入されるって聞いていて、私たちも本当に期待しているんですみたいなことをぼそぼそ言っていらっしゃったので。頑張って、せめて暗証番号の発行が書面になるようなものではないことを私は祈っておりますという。
触ってみて、ちょっとやっぱり、いにしえのインターネット感があるなと思いまして、全体に。今、民間のアプリ、銀行とか金融機関のアプリとか、めちゃくちゃ利便性が上がっていて、私も古い時代のインターネットを知っているから、見て、ああ、なるほどみたいな感じでいけるんですけれども、今の優秀なアプリ、利便性の高いアプリに甘やかされた若者たちが使いこなせるかと言われると、結構本当にきょとんみたいな感じだと思うので、KSK2の開発頑張ってください。
私からは以上です。
会長
山内委員、ありがとうございました。
大柳企画課長、お願いいたします。
企画課長
はい、すみません。厳しい御指摘ありがとうございます。
山内委員
企画課長
委員言われたように、再発行のときは今、紙でということになっております。以前は、発行するときも税務署に一回来ていただいてみたいなことだったんですけれども、今は初回は全部オンラインでできるんですけれども、その再発行のときは一応その本人確認等は厳格にしなきゃいけないということで、一応紙ベースでやっているというところでございます。
確かに我々の仕組み、その納税者からのアンケートなどを踏まえて、毎年毎年利便が高まるように、少なくとも民間のサービスのレベルぐらいまでは頑張ろうと開発者一同やっておりますので、ぜひ応援をいただければと存じます。
すみません。ありがとうございます。
山内委員
会長
ありがとうございました。よろしいですか。
特になければ、ちょっと私から3点質問させていただけますでしょうか。
1点目は実調率等の問題ですが、5ページから7ページを見ると、実地調査と簡易な接触の比率を見たときに、法人税だと例えば実地調査が5万4,000件で簡易な接触が8万5,000件ですから、簡易な接触が大体1.6倍ぐらいで、相続税だと約2.2倍ぐらいなんですが、所得税は実地調査が4.7万件に対して簡易な接触が55.7万件あると、11.8倍もあるという突出した構造になっていると思います。
所得税が特に多いと見るのか、法人税は簡易な接触をしにくいという何か事情があるのか、そのあたり、これだけの開差が出てくるのはなぜかということを、お分かりであれば教えていただきたいというのが第1点です。
第2点が、デジタル化の関係で国・地方間データ連携ということが挙げられていますが、近年どういう連携が加わっているのか。それから、KSK2において国・地方間データ連携がどのように進むのかということについて、教えていただければ幸いです。
最後に、29ページで富裕層の海外取引について、非違が見つかった件数が487件で追徴税額が71億ということで平均1,400万円というのはちょっと、富裕層をつかまえて調査したにしては少し少ないかなという印象もありますが、この点について何かコメントがあればいただきたいという、以上3点です。
よろしくお願いいたします。
課税部長、どうぞ。
課税部長
1点目と3点目につきまして、私からお答えさせていただきます。
1点目の実地調査と簡易な接触の比率の関係でございますけれども、なかなかクリアにこうですというのを、申し上げることが困難なんですけれども、簡易な接触というのは、その内容として申告書の明白な誤りですとか、あるいはその添付書類が不備であるといったようなものがその簡易な接触の内容といいますか、簡易な接触の対象となる事案ということでございます。
所得税の申告につきましては、これ申告件数がもう圧倒的に多うございます。2,339万件ということで、相続税、法人税と比べて圧倒的に多いということで、そういった中で、やはり申告に不慣れな方からの申告というのが非常に多いんではないかというふうに思われまして、そのため、その所得税の申告においては、そういう簡易な接触の対象となる申告書の明白な誤りですとか添付書類の不備があるからではないかというふうに推測をいたします。
法人税、相続税の場合は、所得税に比べて税理士の関与が割合が多いといいますか、そこはある程度しっかりしたものが、申告内容のものが多いということではないかと思ってございます。
3点目、富裕層の関係の追徴税額、ちょっと小さいんじゃないかという、そういう御意見といいますか、そういった問題意識に基づく御質問だと思いますけれども、当然ながら、富裕層につきましても調査優先度の高いものから調査を実施しております。海外投資などを行った富裕層への実地調査の1件当たりの追徴税額、これは実地調査件数の554件で調査による追徴税額71億円を割った数字ですので、会長の数字と若干ずれますけれども、それが1件当たり1,290万円ということでございまして、一方で、その所得税全体の実地調査全体の1件当たりの追徴税額、これが資料にもございますけれども224万円ということですので、一応その約6倍にはなっているということでございます。
繰り返しになりますけれども、これはもうちょっと頑張る必要があるんじゃないかというような激励の意味というふうに受け止めておりますので、やはりこの富裕層による国際的な租税回避というのは課税の公平を損なって、ほかの納税者の信頼を揺るがすという大きな問題であるというふうに私どもとしても思っておりますので、これからも不断に事務運営をきちっと見直しながら、適正・公平な課税の確保に向けて積極的に引き続き努力を、取組を進めてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
会長
企画課長
2点目の国・地方連携の状況でございますけれども、会長御承知のとおり、国と地方の間ではその税務情報をやり取りしておりまして、所得税の申告でe-Taxで来たもの、それから書面で来たもの、それを電子化しまして、地方当局に送っていると。地方当局からはその扶養是正の情報などをいただいて、こちらのほうで是正に使っているというところでございます。
あと、従来は5種類の法定調書を地方のほうに渡すということになっておったんですが、令和9年からは地方税のシステム、大分うちと合わせて向こうのほうも刷新されておりまして、令和9年からは追加で9種類の調書を送れると。
さらには、今まで書面で行っておりました個人住民税の照会とか、あと自動車税の照会とか、そういったものについてもオンラインでできるようになるというところで今進めておるところでございます。
会長
ありがとうございました。
地方が大変待っているというか、eLTAX側は更新3年待ったんですね、KSK2の始動まで。大変期待しておられて、今、企画課長がおっしゃった令和9年のほうを特に着目しておられると思います。個人事業税のところの、今は多分、紙でコピーしに税務署に行っているデータが令和9年からは全部デジタルで来るというように期待されているようなので、どこまでが可能というか、分かりませんが、向こうの期待が大きいということはお伝えしておきます。
企画課長
今も、紙のやつも全て一応送ってはいるんですけれども、後ろの付表とか、そういうものも全て令和9年からは電子で送れるということになりますので、そういう観点からは、我々も向こうのほうに期待をしているところもございますので、いずれにしても国・地方で連携して、ちょっとでも効率化に努めていきたいと思っておるところでございます。
会長
ありがとうございます。
ほかにはいらっしゃいませんか。
ネットの委員もよろしいですか。
それでは、御発言希望も終わったようですので、このあたりで質疑応答を終了させていただきます。
本日の議題は以上となりますが、会議全体を通して、あるいは税務行政への御注文等など、さらに御発言がありましたらお願いいたします。
よろしいでしょうか。それでは、ここまでといたします。
なお、本日の会議の議事要旨及び議事録につきましては、国税審議会議事規則第7条第2項に基づき、国税庁ホームページにおいて公表させていただきます。公表に当たりましては、事前に皆様の御発言内容に誤りがないかを確認させていただきたいと存じます。
議事要旨の内容につきましては、会長に御一任いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
会長
ありがとうございます。それでは、会長として責任を持って議事要旨を作成させていただきます。
それでは、本日の審議会を終了することとし、これをもちまして第29回国税審議会を閉会させていただきます。
ありがとうございました。
――了――