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- 第27回 国税審議会 議事録
日時: |
令和6年12月3日 9:55〜11:10 |
場所: |
国税庁第一会議室/オンライン |
出席者: |
国税審議会委員 |
佐藤会長 |
土居会長代理 |
秋葉委員 |
遠藤委員 |
太田委員 |
鹿取委員 |
川北委員 |
川嶋委員 |
木村委員 |
小関委員 |
小林委員 |
立道委員 |
手島委員 |
中川委員 |
中空委員 |
廣重委員 |
藤谷委員 |
|
説明者 国税庁 |
奥国税庁長官 |
清野国税不服審判所長 |
小宮国税庁次長 |
高野国税不服審判所次長 |
斎須審議官 |
高橋課税部長 |
田島徴収部長 |
武田調査査察部長 |
原田総務課長 |
山下企画課長 |
三浦酒税課長 |
首藤国税企画官 |
会長
定刻より若干早いのですが、第27回国税審議会を開催いたします。
本日、議事進行を務めます国税審議会会長の佐藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様方には、大変お忙しいところ御出席くださり、誠にありがとうございます。
本日の国税審議会につきましては、委員の過半数の方々に御出席いただいておりますので、国税審議会令第8条第1項の規定に基づき、本会は有効に成立しております。御出席いただいております委員の方々につきましては、お手元の座席表のとおりでございます。
なお、ウェブで御参加される方がいらっしゃいます。秋葉賢一委員、遠藤みどり委員、木村純子委員、中空麻奈委員、藤谷武史委員、以上の方々はウェブでの御参加であります。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと存じます。まず、資料1、議事次第のファイルを御覧ください。
まず、奥長官より御挨拶を頂戴したいと存じます。
長官、どうぞよろしくお願いいたします。
国税庁長官
国税庁長官の奥でございます。本日は、よろしくお願いいたします。
それでは、改めまして、国税審議会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
本日は、大変お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
また、委員の皆様方には日頃から税務行政全般にわたりまして深い御理解と多大な御協力を賜っております。厚く御礼申し上げます。
私からは、国税庁の最近の主な取組について4点ほど申し上げたいと思います。詳細については、後ほど議題の中にあります税務行政の現状と課題の中で説明をいたしますが、その概略につきまして最初にお話をさせていただきます。
1点目でありますが、税務行政のDX、デジタル・トランスフォーメーションについてであります。
国税庁では、令和5年6月、昨年の6月に税務行政のデジタル・トランスフォーメーション−税務行政の将来像2023−というものを策定いたしました。
その中で、納税者の利便性の向上と、そして課税徴収事務の効率化・高度化と、そして事業者のデジタル化の促進という3つの柱、これらを柱といたしまして税務行政のDXを進めるとともに、その組織内事務の基盤として次世代のシステム、私どもはKSK2と呼んでおりますけれども、そのKSK2やガバメントソリューションサービス、これはGSSと呼ばれるものでありますけれども、そういった新しいシステムへの移行を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
特に、納税者の利便性の向上につきましては、あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会という将来像に向けまして、例えばe−Taxとマイナポータルを連携しまして、納税者が御自身の給与情報を御自身で自動的に申告書にダウンロードをして入力できるように、そのようなシステムを公開するなど、相談対応、情報発信等の様々な納税者サービスの使い勝手を向上させるべく、包括的に見直してまいりたいと考えております。
また、第3の柱である事業者のデジタル化促進については、事業者の方が行う会計経理等の様々な業務が一貫してデジタル化をされるということになりますので、そうしますと、単純誤りの防止による帳簿書類等の正確性の向上のほか、事業者の業務効率化が社会全体の生産性の向上にもつながり得るということが期待されることから、引き続き私どもとしても積極的な周知・広報に関係省庁とも協力をしながら取り組んでまいりたいと考えております。
また、組織内におきましても、第2の柱であります課税徴収事務の効率化・高度化を推進するべく、近時、発展が著しい、目覚ましいAI、あるいはデータ解析、データ分析の活用をいたしまして、そのほか研修等を通じた職員のスキルアップ、意識醸成に取り組んでまいりたいと考えております。
以上が、1点目の税務行政のDX化についてでございます。
2点目は、インボイス制度の定着に向けた取組についてでございます。
インボイス制度は、制度の円滑な定着に向けて、事業者の方々からの声を踏まえて周知・広報に取り組んでまいりました。
次の令和6年分の確定申告に向けましては、令和6年からの新規登録者が一定数、また、昨年申告をしていただいた方でも、今回の申告で初めて1年分の取引の申告を行う事業者もいらっしゃるということを踏まえまして、事業者の方々に適正な期限内申告・納付をしていただけるよう、丁寧に対応してまいる必要があると考えております。
3点目は、税務行政の効率的、効果的な事務運営に向けた取組についてであります。
経済社会のグローバル化などによりまして税務行政を取り巻く環境が変化する中、納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現するという国税庁の使命、この使命を確実に果たしていく必要がございます。特に、想定される非違の内容などに応じまして、深度ある調査、それと行政指導等の簡易な接触、これを明確に使い分けた接触方法によって是正を図るといった最適な事務運営の推進、定着を進めてまいります。
4点目は、酒類行政に関する取組についてでございます。
酒類行政については、酒税の適正・公平な課税のほか、酒類業の健全な発達に向けて取り組んでおりまして、今後とも酒類業者の方々の実情も踏まえ対応してまいります。
日本産酒類の輸出促進につきましては、農林水産物や食品の輸出額を政府として2025年までに2兆円、2030年までに5兆円とするという政府全体の目標がございます。この目標を踏まえて積極的に取り組んでまいります。
これに関連いたしまして、日本酒、焼酎・泡盛等の伝統的酒造りについて、ユネスコの無形文化遺産への登録に向けて、近日中にも政府間委員会による審議結果が示される見込みとなってございます。
さらに、来年4月には大阪・関西万博も開催されますので、多くの外国人観光客の方々が日本各地を訪れることが見込まれます。日本酒だけではなくて、ビールやワイン、ウイスキーなど、各地で様々な日本産酒類が製造されております。これらの魅力を存分に伝える機会とすることで、日本産酒類の輸出促進の機運醸成に努めてまいります。
国税庁といたしましては、酒類業界とも連携しつつ、こうした機会を最大限に生かして、引き続き酒類業の振興に取り組んでまいりたいと考えてございます。
本日の審議会におきましては、委員の皆様方から国税庁の取組に対しまして幅広い御見地から活発に御議論をいただき、御意見、御指導を賜りたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。よろしくお願いします。
会長
長官、どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に進みます。
次の議題は、国税審議会各分科会の最近の活動状況についてです。資料2のファイルを御覧ください。
令和5年12月に開催いたしました国税審議会以降に実施した分科会について記載しております。税理士分科会が4回開催されております。議題等については記載のとおりでございます。
引き続きまして、次の議題、税務行政の現状と課題に入ります。
こちらの議題につきましては、原田総務課長から御説明を頂戴し、御質問や御意見を委員の皆様からいただきたいと存じます。
それでは、原田総務課長、よろしくお願いいたします。
総務課長
よろしくお願いいたします。総務課長の原田でございます。
それでは、税務行政の現状と課題につきまして、資料3でございます。こちらを御覧ください。目次にありますとおり、大きく5つの論点に分けて御説明させていただきます。
まず1つ目の、税務行政を取り巻く環境の変化でございますけれども、4ページをお開きください。税務行政を取り巻く環境の変化について御説明いたします。
法人数や所得税の確定申告件数は増加しておりまして、また、経済社会のデジタル化、グローバル化の進展により、税務行政を取り巻く環境が急速に進展する一方で、国税当局の職員数、それから予算額、こういったものはそれほど増加していないという状況にございます。このように国税当局における事務が複雑困難化する状況にございましても、限られた人員、予算、こうした中で国税庁としての使命を的確に果たすべく、DX、BPRを進めていく必要があるということでございます。
次のページ、お開きください。
まず、今申し上げた税務行政のデジタル・トランスフォーメーションについて御説明いたします。
6ページをお開きください。まず、概要を簡単に御説明いたします。
税務行政の将来像2023におきましては、納税者の利便性の向上、それから課税徴収事務の効率化・高度化、こうした柱に加えまして、令和5年6月、事業者のデジタル化促進、こちらも含めて大きな柱としておりまして、この3つの柱に基づいて施策を進めているところでございます。
7ページをお開きください。ここからは、令和5年6月に加えられた柱である、まず、事業者のデジタル化促進について御説明いたします。
経済取引と業務がデジタル化されまして、税務処理も含めて一貫して効率的にデジタル処理できる環境を整備することにより、税務面の正確性の確保に資するとともに、事業者自身にとっても経営の効率化・高度化につながることが期待できるということから、国税としても主体的に事業者のデジタル化を促進していくこととしてございます。
8ページをお開きください。このスライドでは、デジタル化によるメリットを具体的に説明してございます。
デジタル化により、正確性の向上、バックオフィスの業務の効率化を通じた生産性の向上、こうしたメリットを享受することが可能となります。デジタル化に当たっては会計ソフトなどを導入し、デジタルインボイスやAI−OCR等を活用いただくことが効果的でございますので、国税庁では関係機関と協力いたしましてリーフレットや動画を作成し、積極的な周知・広報を行っているところでございます。
9ページをお開きください。
事業者のデジタル化の機運醸成を図るために、地域でデジタル化共同推進宣言を行う、こうした取組で各種団体等と一層の連携・協力を進めているところでございます。これにより先に説明した会計ソフト、デジタルインボイスなどの周知、利用勧奨に効果的に取り組むなど、各省庁や各種団体等との連携・協力を通じて、社会全体のデジタル化に取り組んでございます。
次は、10ページをお開きください。ここからは、6ページで先ほど触れた3本の柱のうちの納税者の利便性の向上について御説明いたします。
納税者の利便性の向上につきましては、納税者目線を大切に各種施策を講じていくこととしております。具体的には、納税者が申告要否や手続を調べ、相談し、申告・納税するといった一連の流れ全体を俯瞰いたしまして、想定される典型的な納税者像、ペルソナと呼んでございますけれども、そのペルソナが税務手続を行う際のカスタマージャーニーを具体化することで、現状の問題点を可視化し、改善策を検討しているところでございます。
11ページをお開きください。納税者の利便性の向上の一つとして、申告手続の簡便化の例を御紹介いたします。
確定申告に必要なデータ、例えば給与や年金の収入金額、医療費の支払い額などのデータを納税者の方が申告データに自動的に取り込み、確認することで、個々の金額を入力することなく数回のクリック、こちらで確定申告が完了するといった仕組みの実現を目指しているところでございます。
この自動入力の対象データにつきましては、年金の収入、ふるさと納税、医療費の支払い額等、年々拡大しているところでございます。
令和6年分の確定申告からは、年金の支払調書の情報も自動入力の対象となってございます。
なお、給与情報の源泉徴収票に係る給与情報の自動入力は、令和5年分の確定申告から実現しており、確定申告する人の約半数が給与所得者であることから、この施策によって非常に多くの方がさらに便利に確定申告を行うことができるようになりました。
ただ、この給与情報の自動入力の対象は、給与支払者がオンラインで税務署に提出した給与所得の源泉徴収票ということになりますので、従業員の方々がより便利に申告できるよう、まずは事業者の方々に対して、引き続き給与所得の源泉徴収票等のオンライン提出の周知をしていきたいと考えたところでございます。
それでは、12ページをお開きください。次に、オンライン相談の充実について御説明いたします。
チャットボットやタックスアンサーなどのデジタル相談の充実を図りまして、利用者自身で税に関する疑問を解決できる環境の整備に努めているところでございます。
チャットボットは、質問に対してAIが回答を選択して提示するウェブサービスでございます。相談内容を選択し質問いたしますと、簡潔な回答と参考情報のリンクが表示されまして、短時間で必要な情報にアクセスできます。
タックスアンサーでは、4つの質問に答えることで必要な情報を検索する、自分に合った条件から探す、こうした機能、それからライフイベント等に応じた検索方法、こういった検索方法を充実してございます。これにより、納税者の方々が情報の探しやすさを向上するということでございます。
今後も、調べたい情報がより簡単に見つかるよう、検索性の向上に取り組んでまいりたいと考えてございます。
それでは、13ページをお開きください。
国税庁におきましては、政府全体のデジタル社会の実現に向けて、納税者利便の向上と税務行政の効率化を図る観点から、e−Taxの利用拡大を推進してございます。グラフのとおり、各手続のe−Tax利用率はこれまで着実に増加してございます。今後も、利用率の中期的な目標の達成に向けて積極的に取り組んでまいります。
14ページをお開きください。
国税庁では、納税者の利便性向上と現金管理に伴う社会全体の事務コスト縮減を図る観点から、令和8年度までに国税のキャッシュレス納付割合を5割とすることを目指しまして、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでいるところでございます。
また、令和5年度税制改正により、令和6年4月1日以降、e−Taxで申告等データを送信する際に自動ダイレクト、こちらを選択していただきますことにより、別途納付指図を行うことなく法定納期限に自動で口座振替により納付できるようになってございます。なお、この自動ダイレクトにつきましては、e−Taxのほか、民間の各種会計ソフトにも順次対応してございます。さらに、多くの会計ソフトが対応し、利便性が向上するよう働きかけを実施してまいります。
このほかに、還付金の受け取りにつきましては、事前に公金受取口座を登録いたしますと、納税者が還付申告を行う際、還付金の受取方法として公金受取口座への振込を選択することで、口座情報を入力することなく公金受取口座に還付金を振り込むことが可能となってございます。
それでは、15ページを御覧ください。ここからは、3本の柱のうちの最後であります課税・徴収事務の効率化・高度化、こちらについて説明いたします。
データは、智恵・価値・競争力の源泉ということでございまして、税務行政におきましてもデータを活用して事務の効率化、それから高度化を実現しつつ、BPRにも取り組んでいくことが重要だと考えておりまして、引き続き各種の施策に取り組んでいるところでございます。
16ページをお開きください。
具体的には、AIも活用しながら幅広いデータを分析することにより、申告漏れの可能性が高い納税者の判定、それから滞納者の状況に応じた対応の判別、こうしたことに取り組んでいるところでございます。
例えば、こちらに記載している課税の分野におきましては、納税者本人から提供される申告・決算情報等のデータを分析用に加工いたしまして、統計分析、機械学習の手法により分析する、そして、申告漏れの可能性の高い納税者を判定する、その分析結果を活用することで、効率的な調査、行政指導を実施する、そして、調査必要度の高い納税者には深度ある調査を行う。こうした取組を進めているところでございます。
では、17ページをお開きください。続きまして、徴収の分野の取組ということでございます。
国税局や税務署におきましては、滞納整理に当たりまして滞納者に連絡を取る必要がございます。こちらで臨場や電話をしても、様々な理由によりなかなか接触できないといった場合がございます。そこで、滞納者との接触方法につきまして、電話、それから臨場、文書、こうした催告の手段のうち接触できる可能性の高い方法を予測するモデル、こちらを構築いたしまして、効率的な滞納整理の実施を目指しているところでございます。
また、集中電話催告センター室におきましては、個々の滞納者の情報、過去の架電履歴などのデータとAIを活用いたしまして、滞納者が電話に応答する可能性の高い曜日や時間帯、こちらを予測するモデルを構築いたしまして、この応答予測モデルに基づいて架電する取組を行っているところでございます。
次に、インボイス制度の定着に向けた取組について御説明いたします。
19ページをお開きください。
インボイス制度開始後の初めての確定申告が適正に行われるように、様々な取組を行いました。まず、新たに課税事業者となった方々に消費税の申告が必要であることを認識いただくために、ダイレクトメールやテレビCMなどを活用した広報を実施いたしました。また、確定申告書等作成コーナーを2割特例による申告に対応するほか、説明会・事前相談会を開催し、各種コールセンターや税務署等の確定申告会場における万全な相談対応体制を構築したところでございます。
令和5年度の個人事業者の消費税の申告件数は197万2千件で、こちらは令和4年分の申告件数の105万5千件に比較いたしまして約1.9倍増加いたしましたけれども、これらの取組によりまして、令和5年中に新たにインボイス発行事業者になった個人事業者の方々のうちの約9割の方は期限内に申告していただく結果となってございます。
それでは、20ページをお開きください。
制度開始前より多種多様な広報媒体を作成、公表してきましたけれども、制度施行後におきましても、多く寄せられる質問に関して、「お問合せの多いご質問」を更新するなど、機動的に情報を発信するほか、シンプルな内容で分かりやすく情報を伝えるためのホームページを新設いたしました。
引き続き、経過措置等の周知を含め、必要に応じてコンテンツを作成し、随時公表してまいります。令和6年分の確定申告に向けては、新たにインボイス発行事業者になった方をはじめ、丁寧に周知広報及び相談対応を実施しております。
次に、調査・徴収事務に係る重点課題への取組について御説明いたします。22ページをお開きください。
消費税の仕組みを悪用し、下の絵にありますように、国内の仕入れと国外への売上げを架空計上することで、不正に消費税の還付を受けようとする事例が把握されております。この例に限らず、多種多様な手口による悪質な事例が散見されております。消費税の不正還付は国庫金の詐取とも言える極めて悪質な行為であるため、特に厳正に対応しているところでございます。
23ページをお開きください。
消費税は科目別で最大の税収を占めておりまして、また、令和元年10月の税率引上げや昨年10月のインボイス制度導入等、国民の関心も高いということで、一層の適正な執行を努めております。
資料右側の表でございますけれども、それぞれ消費税還付申告者と消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況を示してございまして、令和4事務年度の実地調査件数の合計は6,932件、調査による追徴税額の合計額は577億円に上っているところでございます。
それから、24ページをお開きください。
国税庁では、図の中央にある富裕層や海外取引のある企業による海外への資産隠し、国外で設立した法人を利用した国際的な租税回避、こうしたことに適切に対応するため、情報リソースの充実、それから調査マンパワーの充実、グローバルネットワークの強化、こちらを推進し、課税上問題があると見込まれた場合には積極的に調査等を実施しております。
例えば、国境を越えた経済活動から生じる所得を捕捉し、適正・公平な課税を実現するため、CRS情報、租税条約に基づく情報交換といった制度のほか、国外送金等調書、それから国外財産調書、財産債務調書といった各種法定調書から情報把握に努めているところでございます。引き続き、このように収集・受領した資料情報を総合的に分析することで、国際的な租税回避に的確に対応してまいります。
25ページをお開きください。
有価証券、不動産等の大口所有者、それから経常的な所得が特に高額な方など、いわゆる富裕層に対しまして、国外財産調書、財産債務調書などの法定調書を効果的に活用し、情報収集、分析を行った上で、課税上問題が認められる場合には調査を実施しております。また、CRS情報や国外送金等調書などの各種資料情報を積極的に活用し、調査を実施しているところでございます。
26ページをお開きください。ここからは、滞納の未然防止、それから整理促進の取組について説明いたします。
滞納の未然防止につきましては、新規滞納の発生を抑制する観点から、国税庁のホームページを活用した納期限や納付手続等に関する周知・広報を行うほか、個々の納税者に対してはがきや電話による納付指導、こうしたことを実施しているところでございます。また、滞納の整理促進につきましては、滞納となった国税につきまして、期限内に国税の納付を行っている大多数の納税者との間の公平性を確保する観点から、早期徴収に努めているところでございます。
新規に発生した滞納事案を中心に、全国の納税コールセンターで幅広く滞納整理を実施しているほか、納付が困難な事情がある納税者につきましては猶予制度を適用する、また、納税に対する誠意が認められない場合には的確に滞納処分を実施する、こうした、めり張りをつけた適切な対処を行ってございます。
また、特に厳正かつ毅然とした徴収を行う必要がある悪質事案、それから、通常の滞納整理手法では処理進展が図られない処理困難事案などにつきましては、滞納処分免脱罪による告発などを活用いたしまして的確に徴収に努めているところでございます。
最後に、酒類業の振興について御説明いたします。28ページを御覧ください。
日本酒、焼酎・泡盛等の伝統的酒造りにつきまして、令和3年の登録無形文化財登録を経て、令和5年にユネスコ無形文化遺産に再提案されておりまして、近々、もう本当に近々でありますけれども、パラグアイで開催されている政府間委員会において登録に関する審議結果が示される予定となってございます。
これまで国内外におきまして伝統的酒造りに関する周知・広報に取り組んでまいりましたけれども、登録が実現した場合には、その魅力をさらに国内外に発信し、認知度の向上に向けて取り組みたいと考えているところでございます。
29ページをお開きください。
左側の酒類の出荷金額の推移、長期的には減少してございますけれども、ここ数年は横ばいを維持しているところでございます。
右側は、最近の酒類の消費動向でございます。令和4年以降は回復の傾向がうかがえますが、新型コロナウイルス感染症拡大前には戻っていないという状況でございます。高品質な日本産酒類の製造には、米、ぶどうや麦芽といった品質がよくて安価で安定的な原料の供給が不可欠でございます。
国税庁は、酒類製造者、それから酒類業組合等の事業者側に寄り添いまして、農水省等の関係者と必要な調整、それから酒類製造者への支援を行ってまいったところでございます。
令和6年度の清酒等の原料米の価格につきまして、食用米の価格高騰に引きずられて対前年度20%を超えるような値上げが行われている地域もございます。また、この値上げの影響は単年度にとどまらず、酒造用米が食用米の価格を下回る場合などにおきましては、米農家におきまして酒造用から食用への植え替えも検討されるおそれがあり、こうした、今後、中小零細の製造者は原料米の調達が困難になるということを懸念してございます。
こうした状況を踏まえまして、本年の経済対策において、清酒メーカーの運転資金の調達へ信用保証を実施するといった生産性向上・価格転嫁の緊急的な支援を行っているところでございまして、今後もこうした支援を行ってまいるところでございます。
少し、酒類業の振興を図る上での背景に触れさせていただきます。30ページをお開きください。
アルコール健康障害対策基本法におきましては、国等は国民の間に広くアルコール関連問題に関する関心と理解を深めるための事業の実施を努めること等とされてございます。
同法に基づく令和3年、アルコール健康障害対策推進計画の下、本年2月には、厚生労働省が健康に配慮した飲酒に関するガイドラインを公表いたしました。ガイドラインの策定に当たっては、当庁におきまして、各酒類業組合と同省担当部署との意見交換の場を設けまして、当庁からも意見を申し上げ、一定程度反映されているところでございます。
同ガイドラインについては、報道等で、少量の飲酒でも一部の疾病の発症リスクが上がるといったことに焦点が当たりがちでありますけれども、同ガイドラインにおける主たるメッセージとしては、自分に合った飲酒量を決めまして、健康に配慮した飲酒を促すといった内容となっていることが御覧いただけるかと存じます。
31ページをお開きください。
令和5年の日本産酒類の輸出金額は1,344億円となってございまして、過去最高となった令和4年に次ぐ水準となってございます。令和6年1−9月の累計輸出金額が992億円と、対前年度で▲4.3%と若干下がってございますけれども、こちらは中国への輸出の減少というのが主要因でございます。一方、米国や韓国への輸出は好調となっているところでございます。足元はこうした少し上がり下りが見られるところでございますけれども、趨勢的には相当なペースで伸びているところでございます。
32ページをお開きください。
国税庁といたしまして、酒類業の健全な発達に向け、酒類事業者のコンプライアンスの確保を図りつつ、酒類市場や需要の拡大など、酒類産業振興への取組を進めていく必要がございます。
33ページ、お開きください。
上段、酒類事業者による日本産酒類の海外展開や、商品の差別化などによる国内外の新市場開拓などの取組に対しまして、補助金での支援を行ったところでございます。また、販路拡大支援として、商談会等を実施しているほか、認知度向上、ブランド価値向上支援等の取組を実施しているところでございます。
以上、駆け足での説明となりましたが、税務行政の現状と課題の説明を終了いたします。どうもありがとうございました。
会長
原田総務課長、御説明をありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がありました税務行政の現状と課題につきまして、委員の皆様から御意見、御質問等を頂戴したいと存じます。
御発言御希望の方は、対面で御出席の方は挙手をお願いいたします。オンライン参加の方は挙手ボタンを押していただければ幸いです。よろしくお願いします。
鹿取委員、どうぞ。
鹿取委員
御説明ありがとうございました。
私が全然勉強不足で分かっていないんだと思うんですけれども、実は先日、白馬に行きましたら、白馬のホテルがかなりオーストラリア人とか海外の人に買い占められていて、ちょうど今まで日本人の方が、まさに日本ワインをずっと丁寧に扱ってくださったところが、実はオーストラリア人、オーストラリアのファンド会社に買収されてしまって、そこはもう白馬の何10坪という土地を買い占めていて、その話を聞いたときに、日本人のオーナーが日本の企業に売るよりもオーストラリア人に売ったほうが税金が少ないと言われたんですけれども、そんなことあるんでしょうか。それがまず1点。
実際もう白馬は、ある道路の向こうからはもう全部外国人の所有になっていると。両脇、かなり広い範囲になってということも聞いていて、ちょっとそういうことがあったのと、あと、日本ワインのことについてなんですけれども、見ると、日本ワインの輸出31.5%と増えているんですけれども、私も周辺でちょっと気がついているのは、アジアのバイヤーがすごくたくさん来ている。個人のバイヤーが小規模生産者を1年に3回とか同じ人が回っているんですね。
ただ、その受け手の小規模生産者は、輸出しようと思っても書類が結構大変で、それで躊躇している人もいて、何かそういうサポートがあると、小規模生産者なので日本のファンでも買えないというワインもあるんですけれども、その心理としてやっぱり海外で評価されたいという気持ちが生産者にあるようで、例えばパリに輸出したいとか、あるいはシンガポールとか香港とかに出ているんですけれども、そういうこともやっぱりこれからは人口が減ることを考えると、海外市場もある程度考えていかなくてはいけないなと最近ちょっと私も考えを変えています。
なので、そういう何か指導みたいのがあるといいかなと思ったことと、その中には、日本に来てワイナリーをつくりたいという海外の人がちょっと増えてきた。地域おこし協力隊というのは海外の人でもなれるみたいで、余市でこれから将来的につくろうと思う人とか、もう一人はシンガポールの人で、将来長野に来てワイナリーをつくりたい。
また、そこでも不動産の売買というのが発生するなと思って、海外の人が割と日本は土地が購入しやすいという状況にあるみたいで、ただ、大手がどんと入ってきて貴重なその好適地を購入されてしまうということに関しては、今後どういうふうに対応していかれるのか、ちょっとその辺のもしお考えもあればお聞きしたいと思います。
会長
酒税課長
鹿取先生、御質問ありがとうございます。酒税課の三浦です。
2つ目で仰せくださいました、アジアのバイヤーが結構いらっしゃっているということで、非常に有望でないかという御意見をお教えいただいたと思っております。
我々も海外の販路開拓ということで、「Bar Convent Singapore」、シンガポールでの展示会に出展をいたしましたりとか、香港のお話もしてくださいまして、香港でも「Hong Kong International Wine&Spirits Fair」と申しまして、日本産酒類のPRをしてまいりました。
あと、来年は2月なんですけれども……
鹿取委員
酒税課長
フランス・パリで、はい。ありがとうございます。ワインに限定した商談会を開催するなど計画しております。また、生産者の皆様で海外での取組をされており、例えば山梨でもKOJのお取組により評価を勝ち取ってこられたと存じていますので、各酒類の生産者のお取組も引き続き御支援申し上げたいと思っておりますので、また御指導いただければと思っております。ありがとうございます。
会長
第1点の御質問だった、オーストラリア人に売ったほうが税金が安いということがあるのかという点はいかがですか。
酒税課長
会長
課税部長
すみません、ちょっとお伺いした話ですと、具体的な、その国内で売る場合に何かそういった差が生じることは、なかなか想定しづらい。ちょっとお伺いした範囲内ではなかなか正確にお答えする材料を手元に持ち合わせておりません。申し訳ございません。
会長
ありがとうございました。
それでは、次に中空委員、御発言お願いいたします。
中空委員
ありがとうございます。今日は現地へ行かれなくてすみませんでした。
幾つか質問があります。まずは御説明ありがとうございました。
11ページで自動入力の話をしていただきました。デジタル化が進み、申請するときに自動入力はいいですよということは本当にそうだと思うんですけれども、その際必要となくなる紙があります。ふるさと納税だとか、それから給与の明細だとか。そうした紙はもう残さなくていいということなんでしょうか。
あと、今の段階だと申請から5年間は残しときなさいという話になっているかと思うんですけれども、それはどういう扱いになるんでしょうかというのが1つ目の質問です。
続いて13ページですが、様々なデジタル化に関して目標値を設定しておられました。目標値がいささか低い気がしますが、これはなぜかなということと、あと、オンラインが可能ということではなくて、オンラインにいざないたいのであればオンラインを選んだほうが得になるようなこと、例えば500円割引といったら難しいかもしれませんけれども、マイナポイントを少し出すとか、何か工夫があってもいいのかなと思います。
冒頭にお話があった、法人数は増えているのに国税の職員は増えていないんですよという話を踏まえて考えると、デジタル化というのはもっと迅速に進める必要があって、低い目標値を設定しても意味がないのではないかというふうに私は感じました。13ページです。
続いて16ページに関してです。申告漏れの可能性がある人をAIで突き止めるということは、それはそれでとてもよいことだと思った一方、突き止めてどうするんでしょうかという点は教えていただきたいです。突き止めた人だけ、例えば集中して見ていくということになると、それはそれで一体どうなのかというふうに感じました。これを突き止めたところでどう利用するのかについてのお考えを教えてください。
最後、もう一点は、これは今日説明がなかったのですが、22ページから25ページで、不正にどう付き合うかみたいな話があったと思うんです。それをちゃんと抽出しますよという話だったと思うんですが、この手の話で不正というと、インバウンドのときの消費税の免税制度を利用した不正還付事業が思い当たります。不正還付をしているというようなことですが、結構な金額になっていると思うので、そこは忘れていないと思います。それに対してもきちんとした手当てややり方、それから抽出の仕方というのは徹底していただけたらなというふうに思いました。
最後は質問ではなく、今回説明がなかっただけだと思いますので、併せてお願いしたいという次第です。
以上です。よろしくお願いします。
会長
ありがとうございました。
では、最初、デジタル化関係について斎須審議官、よろしくお願いいたします。
審議官
中空さん、よろしくお願いします。斎須でございます。
給与の自動入力、これは広げていきたいと思っておりまして、それには事業者の協力も必要ですし、正確に入力していただく必要があると。マイナポータル連携をご利用いただく場合、書類の保存は不要です。
それから、13ページの目標は低いと、大変励ましの言葉と思っております。だんだん上がってまいりますと、岩盤層みたいなこともございまして、まずはこの目標を達成して、でき得ればまた高い目標をその先に掲げて取り組んでいきたいと思っております。
オンラインが得になるというのは、これはやっていただきますと非常に簡単だというのが分かっていただけると思っておりまして、窓口に来た方をオンラインのほうに誘導するとか、そういった形でやっておりまして、それ以上に得になる工夫というのはちょっとよく考えさせていただければというふうに思っております。
それから、いろんな解析ツールを通じまして可能性の、何か問題のある可能性があるような、16ページですか、データ分析でそれがはじき出されてくるんですけれども、それにつきましては、今までは現場の職員の勘みたいなのに頼っていたものを、そういった勘どころみたいなものをそのアルゴリズムに入れまして、それで抽出してくるということでございまして、これは出てきたものについては、それぞれの課税の状況がどうなっているかというのを個別に見て調査、あるいは行政指導等を実施しているということでございます。
会長
ありがとうございました。
それでは、悪質な税逃れ等について、高橋課税部長からお返事をいただきます。
課税部長
今、斎須審議官のほうからもございましたAIを活用した調査等についてちょっと補足をさせていただきますと、私どものほうでAIを活用いたしました予測モデル、これを用いて分析をいたしまして、この分析結果と、さらには独自に収集をいたしました資料情報を、こちらを併せて職員が検討いたしまして、実際にその申告漏れの可能性が高い納税者を効率的に抽出をして、そういった納税者を対象に深度ある調査を実施するといった取組を進めているところでございまして、具体的にそうした取組の結果、その予測モデルのほうで申告漏れの可能性が高いと判定をした法人に対して行いました調査の法人税、消費税の追徴税額というのは、実際、直近では1,665億円ということで、前年との比較でも193億円増加しているといったようなことがございますので、実際、調査に活用させていただいているというところでございます。
あと、消費税の不正還付につきましては、総務課長からの説明にもございましたけれども、やはり消費税というのが税目別で最大の税収を占めているということ等々もありまして、国民の関心も極めて高いということでございますので、私どもとしても高い問題意識を持って消費税の不正還付に対してはきちっと適切に執行に努めてまいりたいと、このように考えてございます。
会長
ありがとうございました。
それでは、太田委員、御発言お願いいたします。
太田委員
太田です。どうぞよろしくお願いします。
私は、税務行政のデジタル将来像について御意見させていただきたいと思います。
ページ数が8ページですけれども、令和6事務年度における事業者のデジタル化推進に向けた取組ということで、デジタル化による事務処理の実現をした場合ということで、取引から一貫してデジタルによる取引をしまして、会計ですとか税務が全て一気通貫で対応できるということなんですけれども、ぜひこれは、やっぱり我々もしっかりと協力していかなくちゃいけませんですが、やはり日本の中小企業が、9割以上が中小企業ですけれども、中小企業にとってやはり使い勝手のいい、また安いシステムをベンダーと協力しながら連携して対応できるような、そういった環境を早く、いち早く対応していけるような、そういったことをお願いできればと思っております。
デジタルインボイスについてもスタートしたわけなんですけれども、デジタルインボイスについてもやはり同様でありまして、デジタルtoデジタルというような取引が完成すれば簡易になり、そして不正も防げるというふうに思っていますので、これについてはぜひ協力して対応していける、そういったことをやっていきたいと、そう思っております。
会長
ありがとうございました。
斎須審議官、コメントがあったらお願いします。
審議官
ありがとうございます。全く太田委員おっしゃるとおりだと思っております。
ベンダーの各社おりますので、これは連絡会のような形で定期的に会合を持たせていただいております。そういったところでいろんな情報交換しながら、中小企業含めて、使い勝手のよいような納税環境の整備に取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
会長
ありがとうございました。
では、土居会長代理、どうぞ。
土居委員
御説明ありがとうございました。
私は、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションと、それから酒類業の振興について、1つずつ意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションですけれども、長官が冒頭おっしゃったように、まさにさらに進めていただきたいというふうに思います。特に13ページのe−Taxの利用率目標を令和8年度に掲げておられて、これをぜひとも達成していただきたいなというふうに思っている次第です。
それとともに、この利用率が上がってくるということになりますと、これまで確定申告、特に所得税の確定申告ですと、税務署、それから確定申告会場で税務職員の方々がお越しになられる方に対応しておられるという、そういうことがこれまであったわけですけれども、だんだんこのe−Taxが利用率上がっていくにつれて、税務署、税務申告会場にお越しになられる方というのは減ってくるということは当然としてあると思います。そういうような流れを踏まえた税務行政の考え方、税務職員の方々の適材適所の配置というようなものも、ぜひとも今後考えていただきたいなというふうに思います。
申告書を受け取るというところに割いている力を、むしろその調査、徴税のほうにシフトさせるというようなことも、このe−Taxの利用率が上がるにつれて考えられるんじゃないかなというふうに思います。これが、まず税務行政のDXに関する意見。
それから、酒類業の振興ということで、私もユネスコ無形文化遺産の登録を心待ちにしているところでして、朗報を期待したいというふうに思います。
それとともに、これからいかに日本で造られたお酒を海外に輸出していくかというところでは、私の印象でいうと、やはりその生産面のボトルネックというか、量産したくてもなかなかその体制が十分に整わないと。先ほど総務課長も原材料の値上がりということを言及されておりましたけれども、そういう供給サイドでの制約というものが幾つかいろいろ、人材面、原材料面、それから生産設備など様々なその供給面の制約というのをいかに取り除いて、造りたい方々に思い切り造っていただいて、それで輸出するというような好循環を、ぜひとも国税庁としても取り組んで支援していただきたいなというふうに思います。
私からは以上です。
会長
ありがとうございました。
では、前半、高橋課税部長、お願いします。
課税部長
e−Taxにつきましては、これまでの様々なe−Tax推進のための取組の結果といたしまして御指摘ございましたけれども、令和5年度の所得税の確定申告のe−Tax利用割合、約7割に達しております。
一方で、確定申告会場に来られて申告されている方というのは、申告者全体の約1割にまで減少してございます。
今後、国税庁におきましては、納税者利便のさらなる向上を図るというために、令和8年度のe−Tax利用割合を8割とする目標を設定いたしまして、各種の取組を推進しているところでございます。
先ほど土居委員から御指摘ございましたように、e−Tax割合が向上して来署者が減少してきているという状況を踏まえまして、確定申告事務の効率化といった観点から、確定申告会場運営をはじめとした確定申告の在り方について、しっかり、御指摘ございました調査、徴収への人員のシフトといった人員の配分の効率化、最適化といった観点も踏まえまして、今後しっかりと検討を進めていきたいというふうに考えてございます。
会長
ありがとうございました。
後半について、斎須審議官。
審議官
酒の件でございますけれども、まさに供給サイドもしっかりサポートしていく必要があると思っております。
お酒の業界は市場構造が非常に特徴的でございまして、日本酒にしても蒸留酒、あるいはワインとかも同じですけれども、例えば日本酒でいいますと製造所1,500ぐらいありますけれども、そのうちの上位50で7割ぐらいの生産をしていると。
要するに、大規模な酒造メーカーが市場の大きな部分を占めていて、それ以外の中小小規模のものすごい数の事業者がその残りのマーケットでひしめいているということでございまして、やはり供給サイドのことを検討するに当たっては、市場構造も見ながら、大きいところにはどういったサポートが必要なのか、それからまた、中小小規模にはどういったサポートが必要なのかということを考えながら取り組んでまいりたいと考えております。
会長
ありがとうございました。
それでは、ウェブで秋葉委員、どうぞ。
秋葉委員
どうもありがとうございます。
DXに関連して2点ほど御質問しようと思っておりました。
ただ、1点目は、13ページのe−Taxの利用率の推移に鑑みて、税務行政の効率化、これをしっかり図っていただきたいということでありました。先ほどの土居先生のコメントとちょっと重なるところがございますが、見直しを図っていただければというふうに思っております。
同じ観点で、次の14ページのところにキャッシュレス納付の推進とありまして、こちらの進展も大変結構なことでありますが、しかし、こちらのほうは、先ほどの申告手続のオンライン利用率と同程度の割合を目指すとしながらも、現状39%、令和8年まででも5割が目標ということで、少し低めになっているのかなと。特に、税務署の窓口でのキャッシュの取扱いをなくすことができれば相当、税務行政の効率にも資するんじゃないかなと思っておりますけれども、そのために御協力いただいている金融機関窓口、54%ありますけれども、こちらを減らすということが必要と聞いております。
昨今、銀行、支店も閉鎖されたり統合されている中で、金融機関窓口での納付が減らないのはなぜかという。納税者のほうが利用する理由とか、変更が困難な理由とかが把握されているのかどうか含めてお伺いしたいと思います。
会長
ありがとうございました。
じゃ、後半の問題ですか。田島徴収部長、お願いします。
徴収部長
御質問ありがとうございます。徴収部長の田島でございます。
キャッシュレス納付の推進については、非常に熱心に金融機関の皆さん、それから関係民間団体の皆さん、税理士の皆さんに御協力をいただいて、特に金融機関の窓口において税金を納める方にキャッシュレス納付の利用の方法の御紹介をさせていただいているところでございます。
そういう中であって、着実に少しずつ利用件数は増えているところですが、御質問の、金融機関の窓口で税金を納付される方というのはどういう方なのかということについては、実際問題、納税者の方がキャッシュレス納付を利用されるか、それか金融機関の窓口または税務署の窓口で納付するかについては納税者の選択でございますので、具体的な原因を特定することというのはなかなか難しいところでございますが、その上で申し上げると、これまでのキャッシュレス納付の利用勧奨の取組においては、事業者の方からは、例えば日々の事業活動の中で金融機関窓口で様々な取引に係る決済を行っておりまして、国税の納付もそのときに併せて行っているとか、金融機関には通常赴く機会があるので、赴くこと自体不便だと思っていないという声も伺っているところでございまして、私どもとしては、そういう中でキャッシュレス納付の利便性をぜひ御認識いただける、御理解いただけるように、今後とも利用勧奨に努めていきたいと考えているところでございます。
会長
ありがとうございます。
秋葉委員、第1点目はコメントということで受け取ってよろしいですか。
秋葉委員
はい。先ほど土居先生のと重なりましたので、e−Taxの利用率が増加している、この裏返しとして、当局側のほうでもシステム投資等がかかっていると思いますので、税務の効率化を一層図っていただきたいということで、コメントで結構です。
会長
ありがとうございました。
ほかに御発言は。
手島委員、どうぞ。
手島委員
委員の手島です。御説明ありがとうございます。
酒類業の振興に関して28ページのところにあります、冒頭に長官がお話ししてくださったように、まさに今週、ユネスコの無形文化遺産登録ということの決議を待っているところですが、今回の伝統的酒造りということは、28ページの樽の写真の前にコメントというかキャッチコピーがあるように、「こうじ菌を使った伝統的な酒造りの技術は、日本が誇る文化です」ということです。こうじ菌ということの背景には、地域の風土や食文化など、そういったことも含めて日本の日本酒、泡盛・焼酎といったものを認めてもらいたいという動きを数年かかって、ようやく今に至っているわけです。日本酒を含めた国酒の発展には、地域との関係ということがとても大切なことなので、国税庁さんがずっと取り組んでくださってきたGIということが今後益々重要になると思っています。
最後のページにあります、このGIということが、やはり日本酒、泡盛・焼酎について、国内外で話していくときに、とてもその地域との親和性を生んでくれて、すごく幅広い層の人たちに、酒類としての関心がない人たちにも広く周知をしていただいたという認識を持っています。今後、ユネスコの無形文化遺産登録が決定されたときに、さらにこのGIとの連携ということで酒類の振興ということを考えていっていただけたらというお願いとさせていただきたいと思います。
会長
ありがとうございます。
これは、コメントはどちら。
審議官
ありがとうございます。
GIも30まできまして、ますます各地、各国税局といろいろなことを相談しながら進めていきたいと思います。ありがとうございます。
会長
ありがとうございました。
ほかに御意見。
小林委員、どうぞ。
小林委員
御説明ありがとうございました。
私は、重なるかもしれませんけれども、税務行政のDX化の部分についてちょっとお伺いをしたいと思います。ページでいうと資料11ページでございます。
確定申告が例年2,300万件台と、そのうち還付申告がおよそ半数を占めているであろうと言われております。その中で、各種のデータ連携が十分になされていくということは非常に簡素化、また、納税者の利便性にすごく資する施策だというふうに思います。
その中で、特に還付申告者の中において医療費の還付というのは非常に多いと思うんですね。この自動入力の対象が順次ということでございますが、医療費というものも当然含まれていると。
医療費という話になりますと、マイナ保険証がいよいよ元年ということでスタートしたわけでございますけれど、ちょっとイメージとして教えていただきたいんですが、この連携をするに当たって、マイナ保険証等との連携なのか、それとも、例えば健保組合、国保組合、そういうところからのデータ連携なのか、そういうところがちょっと具体的に分からないところあるもんですから、イメージで結構なんですが教えていただければということでございます。
会長
審議官
医療費のほうの連携につきましては、支払基金を経由する場合の連携になっておりまして、ちょっと私ども課題として考えておりますのは、例えば保険者が直営でやっているような場合には支払基金を経由しないという場合もございまして、こういったものは連携されておりません。
今後、医療のほうもDXをやっておりますので、よく連携して、できれば手入力なく自動連携で情報を取れるような、さらに徹底していけるような方策を考えていきたいと考えております。
会長
廣重委員
私は質問というよりも意見とか感想を述べさせていただきたいと思っておりまして、納税者の利便性のところで、10ページですけれども、e−Tax、それが非常に便利だなというふうに思っておりまして、例えばなんですが、我が家では、うちの家族は確定申告は私が準備をするという家だったんですね。2人分、私が確定申告の作業をしていたんですけれども、e−Taxが導入されてから、うちの家族も自分で行うようになりましたし、あと、今頃の時期になりますと試算をする。どれぐらい税金を納めなきゃいけないのか試算をして、ふるさと納税をするとか、そういったことで非常に便利に使わせていただいております。
キャッシュレス納付というのをまだやっていないので、これからやってみたいなというふうに思っています。
それから、2点目ですけれども、法人の運営をしている事業者でもあるんですね。インボイス制度ですけれども、あれが導入されて個人事業者の申告件数が1.9倍になったということで、非常に目覚ましい進歩ではなかろうかと思います。会計ソフトを買い換えたりとか、ちょっと困難な面もありましたけれども、やはりこういうことに資するのであればやってよかったのかなというふうに思っています。
それから、酒類業の件なんですけれども、ユネスコ無形文化遺産はぜひ登録になってほしいなというふうに思っておりますが、健康被害のガイドラインの件に御協力なさったということで、これ、大学生なんかにあの紙を配ってあげてほしいななんていうふうに思ったりしております。
それと、今日の審議内容とは全く関係がないのですけれども、私はある中核市の消費者教育コーディネーターというお仕事も担当させていただいておりまして、そこの市で年間、小中学校三、四十校に消費者教育をするという機会を得ております。その中で租税教室というのをやっていらっしゃるというのをお伺いしまして、見学させていただきました。この審議委員を担当させていただいている関係で見学させていただいたところ、最初、税金を払いたい人と聞いたら誰も払いたくないのに、最後には全員が払いたくなっているという魔法のような授業を見せていただいて、本当に勉強になり、私自身の消費者教育にもとても役に立ったということで、ぜひお礼を申し述べたいというところでございます。
以上です。
会長
ありがとうございました。
コメントということでいただきますが、国税庁側から御発言ありますか。よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、ほかに御発言の御希望は。川嶋委員どうぞ。
川嶋委員
すみません、御説明ありがとうございました。3点ほど、私も質問ではなくてコメントさせてください。
13ページに、e−Taxの利用率の目標がありますが、かなり高まっているほうだと思うんですけれども、最後一伸びしないのは、恐らく、やはり日本の社会も高齢化が進んでいて、なかなかオンラインではできない高齢者の方、オンラインにはなじみがない方もかなりいらっしゃると思うんです。
私もチャットボットとか使ったりするんですけれども、なかなかかゆいところに手が届かない回答が多くて、最後は結局電話で相談するみたいなことが多々ありますので、オンライン相談もいいことだとは思うんですが、やっぱりこの利用率を上げていくためには、チャットボットだけではなくて、窓口とか電話の相談で高齢者の方にも分かるような仕組みが何がしか必要なのかなと思って伺っておりました。
あと、2点目、AIのデータ分析の活用って、これ、とてもすごく画期的なことだと思いまして、先ほど御質問の流れの中で1,665億円の実績があるというお話もあって、すごいなと思って伺いましたが、こういう技術があるということによって抑止力というか、こういうので今までのようにはすり抜けられないんだよということも一つの効果だと思いますので、こういう実績、AIを使って申告漏れが見つかりやすくなっているんだということも、ぜひ対外的にも広めていただくことで、積極的に納めていただくというふうにも活用していただきたいなと思いました。
あと、3点目、お酒の話なんですが、ほかの先生方もおっしゃっているとおり、無形文化遺産登録にいよいよ近づいているということで、大変すばらしいことだと思うんですが、やはりこれを機会にすることが大事だと思うので、もちろんこうじ菌を使った伝統的な酒造りだけではなくて、日本酒全体の底上げにつながるような活動をぜひ積極的に展開していただきたいと思いました。
ちょっと最近仕事が変わりまして、子供の関係をやっているものですから、やっぱりなかなかお酒造りの話を子供に教えようというと、ちょっとお酒だからどうしようかなと躊躇してしまうこともあるんですが、やっぱり酒造りの技術とか、発酵させるとか、そういうプロセスとか、すごく子供にとっても物が変化するとか、物づくりの一つの手法としては興味深いものだと思うので、うまく若い人、ちっちゃいお子さんだけではなくても、もうちょっと高校生とか大学生ぐらいのこれからお酒を学ぶという方にもアプローチできるようなものだといいなと思って伺っておりました。
あくまで意見ですので、感想も含めて結構でございます。ありがとうございます。
会長
ありがとうございました。御意見と伺いましたが、斎須審議官、お願いします。
審議官
ありがとうございました。
高齢者の方とか、なかなかこのデジタル化に対応できないという御指摘は、そのとおりだと思います。窓口に来られた方、窓口は、税務署でやっているところも地方公共団体やっているところもデジタル、付き添って伴走的に御支援して、それでデジタルでやっていただいたりとかで、一回やっていただくと恐らく来年、自分御自身でできるようになるかもしれませんし、そういった地道な活動は引き続きやっていきたいと思っております。
ただ、相談のほう、チャットボット、なかなか的確な答えがないという御指摘は本当に耳に痛いんですけれども、これは毎年毎年、相談の実績なんかも含めまして高度化を進めておりますので、ぜひまた御意見いただければ、もし改善していたらお褒めいただけると私ども職員も大変やる気になるかと思っております。
それから、お酒のほうですけれども、ユネスコ無形文化遺産登録、大変大事だと思います。やはり酒の文化、歴史等知ってもらえるように国内外のイベント等、今の国会に提出いたします補正予算にも計上しております。様々な周知広報活動をしたいと思います。
若い方、子供さんにも分かりやすいように。実は日本酒造組合中央会も含めまして分かりやすい動画作っておりますが、なかなか知られていないというところもございますので、そういったところも頑張ってまいりたいと思います。
御指摘ありがとうございます。
会長
ありがとうございます。
それでは、課税部長、お願いします。
課税部長
AIデータ分析を活用して調査を行っていますという話ですけれども、一応これまでもそういった調査をしっかりやっていますということは、記者発表のときですとか、対外的にも先般も公表しているところでございますけれども、さらに効果的に周知・広報の仕方を考えて、きちっと税務当局はそういったところまで目配せをしているといいますか、委員御指摘あった抑止力という観点も踏まえて、しっかりPRをしていきたいと思っております。ありがとうございます。
会長
ありがとうございました。
ほかには。
立道委員、どうぞ。
立道委員
発言の機会をありがとうございます。私は、公衆衛生の立場から2点だけコメントさせていただきたいと思います。
2025年問題というのが今、医療経済の分野では非常に大きな問題になっています。それはなぜかというと、団塊の世代のほとんどが75歳以上になるからでございまして、今後人口動態の観点から、相続税の問題が相当ボリュームとしては大きくなっていくことを示唆させていただきます。
あともう一点、酒に関する健康問題という報告がございましたけれども、「Lancet」という非常に医学の世界で有名な雑誌に、お酒自体が、今までは1合程度飲むと死亡率が減少するということが信じられてきましたが、今回の報告では、飲酒量に比例して直線的に死亡率が上がっていくとの論文が出たということでガイドラインが出されたという経緯でございます。ただ、現時点で1日1合程度では、わずかな上昇であることから、適正の飲酒を目安にすることを目的に、ガイドラインをつくったという経緯でございます。
私のほうからコメントとして、以上でございます。
会長
ありがとうございました。
どなたかありますか。
じゃ、ほかに委員の方から。
小関委員、どうぞ。
小関委員
お酒の振興の観点で、こうじ菌を使ったという、扱っている一人として喜ばしい限りなんですけれども、こうじ菌って一般的に言うとカビに当たりますので、カビって大丈夫なのかという危惧される一般市民の方もいられると思うんですけれども、こうじ菌というのは日本古来で育種されてきたものですので安全だよ、安全なカビなんだよということも含めてPRしていただけると助かります。
以上でございます。
会長
ありがとうございました。
よろしいですか。
ほかに御発言は。ウェブの方もよろしいですか。
特にこれ以上御発言がないようでしたら、この議題はここまでとさせていただきまして、会議全体を通じて御質問、御意見等あられましたら、どうぞお願いいたします。よろしゅうございますか。
それでは、本日の会議の議事要旨及び議事録につきましては、国税審議会議事規則第7条第2項に基づき、公表させていただきます。公表に当たっては、事前に皆様の御発言内容に誤りがないかを確認させていただきたいと思います。
また、議事要旨の内容につきましては、恐縮ですが、会長一任ということでお願いできますでしょうか。
会長
ありがとうございます。
それでは、本日の審議を終了することとし、これをもちまして第27回国税審議会を閉会とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
――了――