平成14年分の推計調査結果から見た主要な点は、次のとおりである。
1 平成14年分の法人数は255万87社で、前年より1,084社(0.0%)増加した。
2 資本金の総額は117兆8,375億円で、前年より6兆1,236億円(5.5%)増加した。
3 法人255万87社のうち 欠損法人は175万7,461社で、その割合(欠損法人割合)は、68.9%であり、前年に比べて0.6ポイント上昇した。
4 営業収入金額は1,438兆6,340億円で、前年より128兆7,736億円(▲8.2%)減少した。
このうち、利益計上法人の営業収入金額は897兆6,903億円、所得金額は32兆8,349億円で、営業収入金額に対する所得金額の割合(所得率)は3.7%となっている。
5 利益計上法人における益金処分の構成比は、社内留保46.1%、法人税額25.5%、支払配当11.4%、役員賞与1.5%、その他の社外流出15.6%となっている。
6 交際費の支出額は3兆7,426億円で、営業収入1,000円当たりの交際費は2円60銭となっている。
7 寄付金の支出額は5,092億円となっている。
8 貸倒引当金、賞与引当金及び退職給与引当金の制度を利用した法人の割合は、それぞれ15.8%、7.8%、3.4%となっている。
9 当期発生分の減価償却費の損金算入限度額は42兆5,220億円、損金算入額は39兆7,099億円で、損金算入限度額に対する損金算入の割合は93.4%となっている。
−法人数は引き続き増加−
平成14年分の法人数は255万87社で、前年より1,084社(0.0%)増加した。
法人数を資本金階級別にみると、資本金1,000万円未満の法人が137万5,699社で、53.9%を占めている。
これに対し、資本金10億円以上の法人は7,264社で、わずか0.3%にすぎない(第1表及び第2表参照)。
また、資本金階級別の法人数の構成割合を平成4年分(10年前)と比較してみると、資本金1,000万円未満の階級では74.1%から53.9%に大幅な減少となっており、一方、資本金1,000万円以上1億円未満の階級では24.5%から44.5%に大幅な増加となっている。
これは、この間に商法改正による最低資本金の引き上げが行われたことが影響しているものと思われる。
第1表 資本金階級別法人数の累年比較
第2表 資本金階級別法人数の構成割合
区分 | 1,000万円未満 | 1,000万円以上 1億円未満 |
1億円以上 10億円未満 |
10億円以上 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
平成4年分 |
% 74.1 |
% 24.5 |
% 1.2 |
% 0.2 |
% 100 |
9 | 51.9 | 46.6 | 1.2 | 0.3 | 100 |
13 | 53.3 | 45.1 | 1.3 | 0.3 | 100 |
14 | 53.9 | 44.5 | 1.3 | 0.3 | 100 |
法人数について業種別の構成比をみると、サービス業(19.2%)、建設業(17.3%)、小売業(14.6%)の占める割合が大きく、鉱業(0.2%)、繊維工業(0.7%)、農林水産業(0.8%)は小さい。
さらに、資本金階級別に業種別の法人数をみると、資本金1,000万円未満はサービス業(20.2%)、建設業(18.4%)、小売業(17.6%)の占める割合が大きく、資本金10億円以上ではサービス業(14.7%)、機械工業(12.5%)、金融保険業(10.4%)の占める割合が大きくなっている(第3表参照)。
第3表 業種別・資本金階級別法人数
区分 | 1,000万円未満 | 1,000万円以上 1億円未満 |
1億円以上 10億円未満 |
10億円以上 | 合計 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
法人数 | 構成比 | 法人数 | 構成比 | 法人数 | 構成比 | 法人数 | 構成比 | 法人数 | 構成比 | |
(業種別) | 社 | % | 社 | % | 社 | % | 社 | % | 社 | % |
農林水産業 | 14,451 | 1.1 | 4,670 | 0.4 | 154 | 0.5 | 23 | 0.3 | 19,298 | 0.8 |
鉱業 | 1,650 | 0.1 | 2,798 | 0.2 | 90 | 0.3 | 111 | 1.5 | 4,649 | 0.2 |
建設業 | 252,725 | 18.4 | 187,346 | 16.5 | 1,828 | 5.7 | 324 | 4.5 | 442,223 | 17.3 |
繊維工業 | 7,235 | 0.5 | 9,396 | 0.8 | 214 | 0.7 | 63 | 0.9 | 16,908 | 0.7 |
化学工業 | 14,653 | 1.1 | 23,463 | 2.1 | 1,480 | 4.6 | 609 | 8.4 | 40,205 | 1.6 |
鉄鋼金属工業 | 31,865 | 2.3 | 30,092 | 2.7 | 918 | 2.8 | 267 | 3.7 | 63,142 | 2.5 |
機械工業 | 44,163 | 3.2 | 48,362 | 4.3 | 2,289 | 7.1 | 908 | 12.5 | 95,722 | 3.8 |
食料品製造業 | 22,490 | 1.6 | 21,518 | 1.9 | 835 | 2.6 | 210 | 2.9 | 45,053 | 1.8 |
出版印刷業 | 20,595 | 1.5 | 22,397 | 2.0 | 466 | 1.4 | 55 | 0.8 | 43,513 | 1.7 |
その他の製造業 | 53,876 | 3.9 | 49,406 | 4.4 | 1,110 | 3.4 | 256 | 3.5 | 104,648 | 4.1 |
卸売業 | 104,617 | 7.6 | 171,799 | 15.1 | 4,956 | 15.3 | 718 | 9.9 | 282,090 | 11.1 |
小売業 | 241,593 | 17.6 | 128,706 | 11.3 | 2,021 | 6.3 | 418 | 5.8 | 372,738 | 14.6 |
料理飲食旅館業 | 85,078 | 6.2 | 35,174 | 3.1 | 1,117 | 3.5 | 232 | 3.2 | 121,601 | 4.8 |
金融保険業 | 23,624 | 1.7 | 14,881 | 1.3 | 1,531 | 4.7 | 753 | 10.4 | 40,789 | 1.6 |
不動産業 | 135,501 | 9.8 | 109,949 | 9.7 | 3,466 | 10.7 | 536 | 7.4 | 249,452 | 9.8 |
運輸通信公益事業 | 31,430 | 2.3 | 48,255 | 4.3 | 2,205 | 6.8 | 688 | 9.5 | 82,578 | 3.2 |
サービス業 | 277,944 | 20.2 | 202,840 | 17.9 | 6,791 | 21.0 | 1,071 | 14.7 | 488,646 | 19.2 |
その他の法人 | 12,209 | 0.9 | 23,783 | 2.1 | 818 | 2.5 | 22 | 0.3 | 36,832 | 1.4 |
合計 | 1,375,699 | 100 | 1,134,835 | 100 | 32,289 | 100 | 7,264 | 100 | 2,550,087 | 100 |
法人数を組織別にみると、株式会社(構成比41.1%) と有限会社(同55.8%) の両者で全体の96.9%を占めている(第4表参照)。
第4表 組織別・資本金階級別法人数
−資本金総額は117兆8,375億円−
資本金の総額は117兆8,375億円で、前年より6兆1,236億円(5.5%)増加した (第5表参照)。
第5表 資本金総額の累年比較
資本金について業種別の構成比をみると、金融保険業が全体の22.0%、運輸通信公益事業が12.0%、機械工業が11.8%を占めている(第6表参照)。
第6表 業種別・資本金総額
−欠損法人割合は68.9%−
平成14年分の法人255万87社のうち、利益計上法人は79万2,626社(構成比31.1%)、欠損法人は175万7,461社(同68.9%)で、欠損法人割合は前年に比べて0.6ポイント上昇した(第7表参照)。
第7表 利益計上法人数・欠損法人数の推移
−所得金額は6兆7,272億円の減少−
平成14年分の営業収入金額は1,438兆6,340億円で、前年より128兆7,736億円(▲8.2%)減少した。
このうち、利益計上法人の営業収入金額は897兆6,903億円、所得金額は32兆8,349億円で、前年に比べてそれぞれ107兆6,853億円(▲10.7%)減少、6兆7,272億円(▲17.0%)減少した。
なお、営業収入金額(利益計上法人)に対する所得金額の割合(以下「所得率」という。)は、3.7%となっている(第8表参照)。
第8表 営業収入金額、所得金額、所得率の累年比較
利益計上法人について、所得率を業種別にみると、鉱業(11.1%)が最も高く、次いで、不動産業(9.1%)、金融保険業(8.0%)、運輸通信公益事業(6.0%)の順となっている(第9表参照)。
第9表 業種別の営業収入金額、所得金額、所得率
利益計上法人の益金処分総額は、35兆8,924億円となっている。
この内訳をみると、社内留保16兆5,443億円(構成比46.1%)、法人税額9兆1,549億円(同25.5%)、支払配当4兆890億円(同11.4%)、役員賞与5,218億円(同1.5%)、その他の社外流出5兆5,823億円(同15.6%)となっている(第10表参照)。
第10表 益金処分の累年比較(利益計上法人)
(1)交際費
−交際費の支出額は3兆7,426億円−
交際費の支出額は3兆7,426億円で、前年より1,709億円(▲4.4%)減少した。
交際費のうち、税法上の限度額を超えたため損金算入されなかった金額は2兆1,730億円で、交際費支出額に占める割合(以下「損金不算入割合」という。)は58.1%となっている(第11表参照)。
営業収入金額1,000円当たりの交際費は2円60銭(前年2円50銭)で、これを資本金階級別にみると、資本金1,000万円未満の階級では7円30銭となっているのに対し、資本金10億円以上の階級では1円40銭となっている(第12表参照)。
第11表 交際費支出額の累年比較
第12表 資本金階級別交際費支出額の状況
また、これを業種別にみると、建設業が5円60銭、不動産業が4円52銭、出版印刷業が4円34銭と高く、一方、機械工業が1円56銭、卸売業が1円60銭、金融保険業が1円78銭と低い(第13表参照)。
第13表 業種別の交際費支出額
(2)寄付金
−寄付金の支出額は5,092億円−
寄付金の支出額は5,092億円で、前年より306億円(6.4%)増加した(第14表参照)。
これを業種別にみると、機械工業が900億円と最も多く、次いで、運輸通信公益事業744億円、化学工業611億円となっている(第15表参照)。
第14表 寄付金支出額の累年比較
第15表 業種別の寄付金支出額
−貸倒引当金の期末残高は15兆3,220億円−
引当金の事業年度末(調査対象期間中に2回以上事業年度末が到来した法人については、最終事業年度末)現在における残高(以下「期末残高」という。)は、貸倒引当金15兆3,220億円、賞与引当金2兆7,869億円、退職給与引当金7兆8,188億円となっている。
また、貸倒引当金、賞与引当金及び退職給与引当金の制度を利用した法人の全法人に対する割合は、それぞれ15.8%、7.8%、3.4%となっている(第16表参照)。
なお、引当金の利用割合を資本金階級別にみると、いずれも資本金規模が大きくなるに従って高くなっている(第17表参照)。
第16表 引当金の累年比較
第17表 資本金階級別引当金の利用割合
−損金算入割合は93.4%−
当期発生分減価償却費の損金算入額は39兆7,099億円であり、当期発生分損金算入限度額42兆5,220億円に対する損金算入の割合(損金算入割合)は93.4%となっている(第18表参照)。
損金算入割合を業種別にみると、最高が鉄鋼金属工業の96.8%、最低が農林水産業の72.1%となっている(第19表参照)。
第18表 減価償却費の累年比較
第19表 業種別の減価償却費