(問1)

  源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)とは、どのような制度か。

(答)

 支払者等から受給者等に交付する必要がある、次の書類(以下「源泉徴収票等」といいます。)については、受給者等本人に書面で交付するほか、受給者等の承諾を得ることで、その書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供(電子交付)することができることとされています(所法2253、2264、2312、措法8の46、37の11の39、37の14の229、41の12の210)。

  • 給与所得の源泉徴収票、給与等の支払明細書(注1)
  • 退職所得の源泉徴収票、退職手当等の支払明細書
  • 公的年金等の源泉徴収票、公的年金等の支払明細書
  • オープン型証券投資信託収益の分配の支払調書
  • 配当等とみなす金額に関する支払調書
  • 上場株式配当等の支払通知書
  • 特定口座年間取引報告書
  • 特定割引債の償還金の支払通知書
  • 未成年者口座年間取引報告書(注2)

(注1)令和5年度税制改正において、「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」については、支払者が受給者から電子交付の承諾を得ようとする際に、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾があったものとみなす」旨の通知をあらかじめ受給者に行い、上記期限までに受給者からの回答がなかった場合には、電子交付の承諾があったものとみなされることとなりました。(所規95の22

(注2)契約不履行等事由が生じた場合に限ります。

 ただし、電子交付について、受給者等から承諾を得ている場合であっても、上記の書類について書面による交付の請求があるときは、書面で交付をしなければなりません。

(問2)

 源泉徴収票等を電磁的方法で提供(電子交付)するためには、どのようなことが必要か。

(答)

  給与所得の源泉徴収票等を電磁的方法により提供(電子交付)するためには、次のことが必要です。

1 受給者等に対し、あらかじめ、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、電磁的方法又は書面で承諾を得ること(所令352の41、3531、3561、措令4の215、25の10の103、26の1713
 なお、「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」について、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾があったものとみなす」旨の通知をあらかじめ受給者に行い、上記期限までに受給者からの回答がなかった場合には、承諾を得たものとみなされます(所規95の22)。

2 電磁的方法について、次の基準を満たしていること(所規92の22、92の3、95の2、1004、措規4の48、18の13の59、19の66

イ 映像面への表示及び書面への出力ができること

ロ 受給者等に対し、受信者ファイルに記録(電子交付)する(した)旨を通知すること
 ただし、給与所得の源泉徴収票等データを、受給者等の使用するパソコン等に直接送信する場合や光ディスク等の磁気媒体等に記録して交付する場合を除きます。

3 受給者等から請求があるときは、書面により交付すること(所法2253、2264、2312、措法8の46、37の11の39、41の12の210

(問3)

  源泉徴収票等を電磁的方法で提供(電子交付)するには、どのような方法があるか。

(答)

  電子交付の方法には、次の方法があります(所規92の21、92の3、95の21、1004、措規4の47、18の13の58、19の66)。

1 電子メールを利用する方法

 電子メールにより、受給者等の使用するパソコン等又は受給者等が契約しているデータセンター等に給与所得の源泉徴収票等データを送信し、これらのパソコン等やデータセンター等に備えられた受信者ファイルに記録する方法

2 社内LAN・WANやインターネット等を利用して閲覧に供する方法

 支払者等が契約しているデータセンター等のサーバ内にあるファイルに記録されている給与所得の源泉徴収票等データを受給者等に対し、社内LAN・WANやインターネット等を利用して閲覧に供する方法

3 CD等の媒体に記録して交付する方法

 給与所得の源泉徴収票等データをCD等の媒体に記録して交付する方法
 なお、これらの電子交付の方法については、次の基準を満たすものでなければなりません(所規92の22、92の3、95の21、1004、措規4の48、18の13の59、19の66

  • 受給者等ごとに作成されたファイル(以下「受信者ファイル」といいます。)に記録されている記載事項について、受給者等が電子計算機の映像面への表示及び書面への出力ができるようにするための措置を講じていること。
  • 上記1及び2の電子交付の方法(ただし、電子メールを受給者等の使用するパソコン等に直接送信する場合を除きます。)にあっては、受給者等に対し、記載事項を受信者ファイルに記録する旨又は記録した旨を通知するものであること。ただし、受給者等が当該記載事項を閲覧していたことを確認したときは、通知する必要はありません。

(問4)

  源泉徴収票等を電子交付する場合、そのデータを改変できないような措置を講ずる必要があるか。

(答)

 支払者等と受給者等との間では、法令上、改変できないような措置は求められていませんが、電子データは受給者において改変が容易に行える一面もあるため、真実性等を担保するためには、電子署名を付し電子証明書を添付することをお勧めします。

(問5)

 源泉徴収票等を電子交付するためには、あらかじめ受給者等に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、電磁的方法又は書面による承諾を得なければならないとされているが、具体的にどのように承諾を得ればいいのか。

(答)

 受給者等から電子交付に関する承諾を得る場合の記載事項や書式等について、法令上定めはありませんが、次のような事項を受給者等に対して電磁的方法により示し、「電子交付について承諾する旨、承諾日、受給者等の氏名」などを入力してもらうことによって、承諾を得ることが考えられます。
 (注)令和5年度税制改正において、「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」については、支払者が受給者から電子交付の承諾を得ようとする際に、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾があったものとみなす」旨の通知をあらかじめ受給者に行い、上記期限までに受給者からの回答がなかった場合には、電子交付の承諾があったものとみなされることとなりました(所規95の22)。(問7参照)。

1 電子交付する書類の名称(給与所得の源泉徴収票、給与等の支払明細書の別等)

2 電磁的方法の種類やその具体的な方法

  • 電子メールにより交付する場合・・・電子メールにより送信する旨、電子メールのアドレス等
  • 社内LAN・WANやインターネット等を利用して閲覧に供する場合・・・給与所得の源泉徴収票等データを閲覧に供する旨、給与所得の源泉徴収票等データを掲載するホームページアドレスや閲覧方法等
  • 磁気媒体等により交付する場合・・・交付する媒体の種類等

3 受信者ファイルへの記録方法(XML形式、PDF形式、暗号化して受信者ファイルに記録する旨及びその復号化方法等)

4 交付予定日(毎年○月○日までに交付、給与支給日に交付等)

5 交付開始日

6 その他参考となる事項

 また、上記の事項を記載した書面を受給者等に交付し、その書面に「電子交付について承諾する旨、承諾日、受給者氏名」などを記載してもらう方法なども考えられます。

(問6)

 源泉徴収票等を電子交付するため、受給者等から得る承諾は電子交付を行う都度必要か。

(答)

 受給者等から、事前に電子交付について承諾を得ている場合には、電子交付を行う都度、承諾を得る必要はありません。
 ただし、一旦承諾を得た受給者等から電磁的方法又は書面により電子交付を受けない旨の申出があった場合には、その申出以後、改めて電子交付を受ける旨の申出があるまでの間、その受給者等に対して電子交付はできません(所令352の42、3532、3562、措令4の216、25の10の104、26の1714) 。

(問7)

 源泉徴収票等の受給者等への電子交付を検討しているが、受給者等から承諾への回答がない場合どうすればよいか。

(答)

 源泉徴収票等の電子交付を行う場合、受給者等からその承諾を得る必要がありますので、承諾の可否について確認を行ってください。
 (注)令和5年度税制改正において、「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」については、支払者が受給者から電子交付の承諾を得ようとする際に、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾があったものとみなす」旨の通知をあらかじめ受給者に行った場合、上記期限までに受給者からの回答がなかった際は、電子交付の承諾があったものとみなされることとなりました(所規95の22)。

(問8)

 「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」の受給者への電子交付を行う場合の、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾したものとみなす」旨の通知について、回答期限は具体的にどの程度必要か。

(答)

 法令上、回答期限の定めはありませんが、受給者の方の勤務状況等を考慮し、回答に必要な期間を十分に見積もっていただくようお願いします。

(問9)

 「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」の受給者への電子交付を行う場合の、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾したものとみなす」旨の通知については、どのように行えばよいか。また、制度周知に当たり、就業規則等に記載する必要はあるのか。

(答)

 通知の方法については法令上、規定されていませんので、受給者の方への確実な通知を前提に、適宜の方法(例えば、電子メール、書面等)で行って差し支えありません。
 なお、制度周知に当たり、就業規則への記載についても、法令上特段求められておりません。

(問10)

 源泉徴収票等を会社のサーバ内に保存し、社内LAN・WANを利用して閲覧できるような方法をとった場合、閲覧可能となった旨の受給者等への通知は、具体的にどのような方法で行えばよいのか。

(答)

 通知の方法については法令上、規定されていませんので、適宜の方法(例えば、電子メール、書面等)で行って差し支えありません。
 ただし、受給者等が源泉徴収票等を閲覧したことを支払者等が確認した場合には、通知を省略しても差し支えありません(所規92の22、92の3、95の21、1004、措規4の48、18の13の59、19の66) 。

(問11)

 源泉徴収票等を電子交付する場合、様式は所得税法施行規則別表等に規定されているものでなければいけないのか。

(答)

 源泉徴収票等を電子交付する場合は、所得税法施行規則別表等に規定する記載事項を網羅していれば、必ずしもこの様式で提供する必要はありませんが、電子交付を受けた受給者等がその記載内容を確認できるようにする必要がありますので、この様式での交付をお勧めします。

(注)

1 電子交付する給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票又は公的年金等の源泉徴収票は、書面で交付したものと区分するため、「摘要」欄に「電子交付」と表示するなど電子交付であることが分かるようにしてください。

2 e-Taxホームページで公開する仕様書に基づいて作成した法定調書等のデータは、同ページで公開するスタイルシート(様式情報)を利用することで、所得税法施行規則別表等に規定する様式で画面表示が可能です。

(問12)

 源泉徴収票等を電子交付する場合の「電子計算機の映像面への表示ができる措置」とは具体的にはどのようなことか。

(答)

 受給者等が電子交付を受けたデータをパソコン等のディスプレイに映像で表示でき、可視できる状況であれば、差し支えありません。
 なお、文字がコード化されているなど、受給者等が内容(文字・数字等)を判断できないようなデータである場合には、映像面への表示ができることにはなりません。

(問13)

 源泉徴収票等を電子交付する場合、受給者等が書面で出力できることが必要とされているが、受給者等がプリンターを有しており印刷できるかどうかを確認する必要があるか。

(答)

 電子交付する場合、受給者が書面への出力ができることが要件とされていますので、電子交付した給与所得の源泉徴収票等データがプリンター等で出力可能かどうかを支払者等が確認していればよく、プリンターを有しているかどうかを確認いただく必要はありません。

(問14)

 源泉徴収票等の電子交付を受けた受給者等が、当該源泉徴収票等の書面による交付を希望する場合、支払者等への請求方法は決められているのか。

(答)

 適宜の方法(例えば、電子メール、書面等)で請求をして差し支えありません。

(問15)

 源泉徴収票等の電子交付を承諾した受給者が、今後の源泉徴収票等の交付方法について書面交付に変更する場合には、どのような手続が必要か。

(答)

 源泉徴収票等の交付者等に電磁的方法又は書面により、その旨を申し出てください(所令352の42、3532、3562、措令4の216、25の10の104、26の1714 )。
 例えば、「電子交付に代えて、○年分以後の給与所得の源泉徴収票(○年○月分以後の給与等の支払明細書)から書面による交付を受けたいので届出します。」などと源泉徴収票等の交付者等に申し出てください。