1 この明細書の用途

 この明細書は、法人が法第52条第2項《一括評価金銭債権に係る貸倒引当金》、措置法第57条の9《中小企業等の貸倒引当金の特例》又は平成10年改正法附則第5条《貸倒引当金に関する経過措置》の規定の適用を受ける場合に使用します。

2 記載の手順

 この明細書の記載の順序は、まず中段の「一括評価金銭債権の明細」及び下段の「基準年度の実績により実質的に債権とみられないものの額を計算する場合の明細」の各欄を記載し、次に上段の各欄(「1」から「17」まで)を記載します。

3 各欄の記載要領

 欄  記載要領 注意事項
「当期繰入額1」  当期において損金経理により一括評価金銭債権に係る貸倒引当金勘定へ繰り入れた金額を記載します。  この金額には、貸倒引当金として繰り入れたもののほか、商法第285条ノ4第2項に規定する取立不能見込額として金銭債権の額から控除する方法で表示した金額又は金銭債権の額を直接減額して注記等をする方法で表示した金額のうち、総勘定元帳等において一括評価金銭債権に係る貸倒引当金勘定に繰り入れたものであることが明らかにされている金額を含みます。
「法定の繰入率5」
 分子の空欄には、貸倒引当金の繰入限度額を計算する場合の繰入率を、平成10年改正令附則第9条第5項又は措置法令第33条の8第4項各号に規定する法定の繰入率による場合に、次に掲げる区分ごとに、それぞれ法人の営む主たる事業の区分に応じて、次の数を記載します。
(1)  大法人が平成10年改正法附則第5条の規定の適用を受ける場合
大法人が平成10年改正法附則第5条の規定の適用を受けた場合の表
(2)  中小法人が措置法第57条の9第1項の規定の適用を受ける場合
中小法人が措置法第57条の9第1項の規定の適用を受けた場合の表
 「大法人」とは、期末における資本の金額又は出資金額が1億円を超える普通法人並びに保険業法に規定する相互会社及び外国相互会社をいい、「中小法人」とは、大法人以外の法人をいいます。
 「卸売及び小売業」には、飲食店業及び料理店業を含みます。
 「製造業」には、電気業、ガス業、熱供給業、水道業及び修理業を含みます。
 「割賦販売小売業等」とは、割賦販売小売業及び割賦購入あっせん業をいいます。
(注)  「割賦販売小売業」とは、割賦販売法第2条第1項第1号《定義》に規定する割賦販売の方法により行う小売業をいい、「割賦購入あっせん業」とは、同条第3項第1号又は第2号に規定する割賦購入あっせんを行う事業をいいます。
「繰入限度額6」  公益法人等・協同組合等以外の中小法人及び大法人について記載します。
 この場合、「((2)×(3))又は((4)×(5))」の計算は、貸倒引当金の繰入限度額を計算するときの繰入率を次のいずれによるかに応じ、それぞれ次によります。
(1) 「貸倒実績率3」による場合 ((2)×(3))
(2) 「法定の繰入率5」による場合 ((4)×(5))
 
「公益法人等・協同組合等の繰入限度額7」  公益法人等及び協同組合等に限り、次の場合に応じてそれぞれ次により記載します。
(1) 「貸倒実績率3」による場合 ((2)×(3)×116÷100)
(2) 「法定の繰入率5」による場合 ((4)×(5)×116÷100)
 
「貸倒実績率の計算」の各欄 各欄共通   各欄は、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額を計算する場合の繰入率につき、令第96条第2項又は平成10年改正令附則第9条第1項の規定の適用を受ける場合に記載します。  一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算における繰入率を「貸倒実績率3」によるか「法定の繰入率5」によるかは、法人の選択によります。
「当期前3年以内に開始した各事業年度(設立事業年度である場合には当該事業年度)末における一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額9」  当該事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度が次に掲げる区分のいずれであるかに応じ、それぞれ次の額の合計額を記載します。
(1)  当該各事業年度が平成10年3月31日以前に開始した事業年度である場合
 当該事業年度分の平成10年改正前の規則別表十一(一)の「期末貸金額18」の「計」又は当該事業年度分の平成11年改正前の規則別表十一(一)の「期末貸金額24」の「計」
(2)  当該各事業年度が平成10年4月1日から平成13年3月31日までの間に開始した事業年度((3)の事業年度を除きます。)である場合
 当該事業年度分の平成13年改正前の規則別表十一(一)の「期末一般売掛債権等の額22」の「計」
(3)  当該各事業年度が平成13年改正後の令第96条第2項第1号の規定の適用を受ける事業年度(以下「平成13年新令適用事業年度」といいます。)である場合
 当該事業年度分の別表十一(一の二)の「期末一括評価金銭債権の額22」の「計」
 当期が設立事業年度である場合には、当期のこの明細書の「期末一括評価金銭債権の額22」の「計」の金額を記載します。
「令第96条第2項第2号イの貸倒れによる損失の額の合計額11」  当該事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度が次に掲げる区分のいずれであるかに応じ、それぞれ次の額の合計額を記載します。
(1)  当該各事業年度が平成10年4月1日以後最初に開始した事業年度以前の事業年度である場合
 平成10年改正前の令第97条第2項第2号の規定の例による貸金の貸倒れによる損失の額の合計額
(2)  当該各事業年度が平成10年4月1日以後最初に開始した事業年度後の事業年度から平成13年3月31日までの間に開始した事業年度((3)の事業年度を除きます。)である場合
 平成13年改正前の令第96条第2項第2号イに掲げる売掛金、貸付金その他これらに準ずる債権の貸倒れによる損失の額の合計額
(3)  当該各事業年度が平成13年新令適用事業年度である場合
 令第96条第2項第2号イに掲げる売掛金、貸付金その他これらに準ずる債権の貸倒れによる損失の額の合計額
 (1)の貸金の貸倒れによる損失の額には、債権償却特別勘定への繰入額が含まれます。なお、債権償却特別勘定を設けている貸金について貸倒れが生じた場合には、その貸倒れによる損失の額から益金算入した債権償却特別勘定の金額に相当する金額を控除した金額が貸金の貸倒れによる損失の額となります。
 この場合において、当該各事業年度が平成10年4月1日以後最初に開始する事業年度である場合には、当該事業年度において個別評価により貸倒引当金に繰り入れた金額から当該事業年度に益金算入した債権償却特別勘定の金額(当該事業年度の個別評価による繰入れの計算の基礎となった売掛債権等に係る金額に限ります。)を控除した金額を債権償却特別勘定への繰入額に相当するものとして計算します。
 当期が設立事業年度である場合には、当期の売掛金、貸付金その他これらに準ずる債権の貸倒れによる損失の額を記載します。
「損失の額に算入された令第96条第2項第2号ロの貸倒引当金勘定の金額等の合計額12」  当該事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度が次に掲げる区分のいずれであるかに応じ、それぞれ次の額の合計額を記載します。
(1)  当該各事業年度が平成10年4月1日以後最初に開始した事業年度後の事業年度から平成13年3月31日までに開始した各事業年度((2)の事業年度を除きます。)である場合
 平成13年改正前の規則別表十一(一)の「当期繰入額1」又は平成13年改正前の規則別表十一(一)付表の「貸倒実績率の計算上、貸倒れによる損失の額に加える金額23」の「計」のうち少ない金額の合計額
(2)  当該各事業年度が平成13年新令適用事業年度である場合
   別表十一(一)の「貸倒れによる損失の額等の合計額に加える金額19」の「計」の金額の合計額
 当期が設立事業年度である場合には、当期の別表十一(一)「19の計」の金額を記載します。
「益金の額に算入された令第96条第2項第2号ハの貸倒引当金勘定の金額の合計額13」  当該事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度が次に掲げる区分のいずれであるかに応じ、それぞれ次の額の合計額を記載します。
(1)  当該各事業年度が平成10年4月1日以後最初に開始した事業年度後の事業年度から平成13年3月31日までに開始した各事業年度((2)の事業年度を除きます。)である場合
 益金算入額と平成13年改正前の規則別表十一(一)付表の「(6)又は(7)に金額の記載がある場合の(5)の金額8」の「計」のうち少ない金額の合計額
(2)  当該各事業年度が平成13年新令適用事業年度のうち最初の事業年度以外の事業年度である場合
 益金算入額と別表十一(一)の「(23)又は(24)に金額がある場合の(22)の金額25」の「計」のうち少ない金額の合計額
 
「一括評価金銭債権の明細」の各欄 「一括評価金銭債権の明細」のうち「勘定科目」  売掛金、貸付金等貸倒引当金の対象となる売掛債権等を、その勘定科目ごとに記載します。  
「期末残高18」  売掛金、貸付金等について、法人の決算計上額(取立不能見込額として計上されている金額を含みます。)を記載します。
 なお、消費税につき税抜経理方式を採用している法人であっても、消費税込みの決算計上額を記載します。
 取立不能見込額が売掛債権等の種類ごとに区分されていない場合には、その取立不能見込額を「勘定科目」に「取立不能見込額」と記載し、その金額を「期末残高18」に一括して記載します。
「売掛債権等とみなされる額及び貸倒否認額19」  法人の決算上売掛債権等として表示されていないが税務計算上売掛債権等とされるものがある場合又は貸倒損失としたもののうち税務計算上貸倒れとして認められないものがある場合に、その期末現在高を記載します。  
「(18)のうち税務上貸倒れがあったものとみなされる額及び売掛債権等に該当しないものの額20」  「期末残高18」のうちに、例えば、海外投資等損失準備金の積立ての対象とした特定法人に対する債権などが含まれている場合に、その金額を記載します。  
「個別評価の対象となった売掛債権等の額及び非適格合併等により合併法人等に移転する売掛債権等の額21」  別表十一(一)の「19」に金額の記載がある場合の同表の「個別評価金銭債権の額6」の合計額を記載します。  
「実質的に債権とみられないものの額23」
(1)  平成10年改正法附則第5条及び平成10年改正令附則第9条第4項又は措置法第57条の9第1項及び措置法令第33条の8第3項の規定による簡便計算法(以下(2)において「簡便計算法」といいます。)を選択しなかった場合には、例えば同一の相手先に対する売掛金と買掛金とがある場合におけるその売掛金の金額のうち買掛金の金額に相当する金額のように、実質的に債権とみられない金額を記載します。
(2)  簡便計算法を選択した場合には、下段の「基準年度の実績により実質的に債権とみられないものの額を計算する場合の明細」の「実質的に債権とみられないものの額28」の金額を「計」に移記し、その他の各空欄の記載は必要ありません。
 
「基準年度の実績により実質的に債権とみられないものの額を計算する場合の明細」の各欄  平成10年改正法附則第5条及び平成10年改正令附則第9条第4項又は措置法第57条の9第1項及び措置法令第33条の8第3項の規定による簡便計算法を選択した場合に、記載します。  
「基準年度における売掛金等又は一括評価金銭債権の額の合計額25」  次に掲げる区分に応じそれぞれ次により記載します。
(1)  大法人が平成10年改正法附則第5条の規定の適用を受ける場合
 昭和55年4月1日から昭和57年3月31日までの間に開始した各事業年度末における売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(以下「売掛金等」といいます。)の額の合計額
(2)  中小法人が平成12年4月1日以後に開始した事業年度において措置法第57条の9第1項の規定の適用を受ける場合
 平成10年4月1日から平成12年3月31日までの間に開始した各事業年度末における同項に規定する一括評価金銭債権の額の合計額
 簡便方法(1)は、昭和55年4月1日に存する法人(平成13年4月1日以後に行われた適格合併に係る合併法人である場合は、当該法人及び当該適格合併に係る被合併法人のすべて(当該適格合併が法人を設立するものである場合にあっては、当該適格合併に係る被合併法人のすべて)が昭和55年4月1日に存していた適格合併に係る合併法人に限ります。)について適用があります。
 簡便方法(2)は、平成10年4月1日に存する法人(同日後平成13年3月31日までの間に行われた合併又は適格合併に係る合併法人にあっては、当該法人及び当該合併又は当該適格合併に係る被合併法人のすべて(当該合併又は当該適格合併が法人を設立するものである場合にあっては、当該合併又は当該適格合併に係る被合併法人のすべて)が同日に存していた合併又は適格合併に係る合併法人に限ります。)について適用があります。
「同上の各事業年度末の実質的に債権とみられないものの額の合計額26」  昭和55年4月1日から昭和57年3月31日まで(「25」(2)については、平成10年4月1日から平成12年3月31日まで)の間に開始した各事業年度末における実質的に債権とみられないものの額について、この表の「売掛債権等の明細」の「実質的に債権とみられないものの額23」の金額の計算に準じて算出した税務計算上の金額の合計額を記載します。  これらの事業年度において「実質的に債権とみられないものの額」の計算につき基準年度実績によっていた場合には、改めて当年度実績によった場合に計算される金額を計算し、その計算した金額の合計額によります。

4 根拠条文 法52、令96〜98、規則25の2〜25の4、措置法5525、57の9、措置法令33の8、平成10年改正法附則5、平成10年改正令附則9、平成10年改正前の法52、平成10年改正前の令96、97

法人税申告書の記載の手引