法人税法等の一部を改正する法律(平成14年法律第79号)により、平成15年3月31日以後に終了する事業年度については、受取配当等の益金不算入制度(法第23条)について益金不算入割合の引下げなどの改正が行われています。
 この改正に伴い、平成15年3月31日以後に終了する事業年度において使用される別表八の明細書については、今後、改正が行われる予定となっていますので、御注意ください。

1 この明細書の用途

 この明細書は、法人が内国法人から受ける配当金等の額について法第23条《受取配当等の益金不算入》(措置法第67条の6《特定株式投資信託の収益の分配に係る受取配当等の益金不算入の特例》の規定により読み替えて適用する場合を含みます。)の規定の適用を受ける場合に使用します。

2 記載の手順

 この明細書の記載の順序は、まず「配当等の収入金額の明細」の各欄を記載し、次に負債利子控除の計算を、1令第22条第1項又は第2項《当年度実績による負債利子等の計算》による場合には、「当年度実績による場合の総資産価額等の計算」の各欄及び「当年度実績により負債利子等の額を計算する場合」の各欄を記載し、2令第22条第4項《基準年度実績による負債利子等の計算》による場合には「基準年度実績により負債利子等の額を計算する場合」の各欄を記載します。

(注)

1 令第22条第4項による場合には、「当年度実績による場合の総資産価額等の計算」の各欄の記載を要しません。

2 令第22条第4項の規定は、平成10年4月1日に存する法人について適用がありますが、次に掲げる場合はそれぞれ次によります。

(1) 当該法人が平成13年4月1日以後に行われる適格合併に係る合併法人である場合には、当該法人及び当該適格合併に係る被合併法人のすべてが平成10年4月1日に存していたもの(当該適格合併が法人を設立する合併である場合にあっては、当該適格合併に係る被合併法人のすべてが同日に存していたもの)に限ります。

(2) 当該法人((1)に該当する法人を除きます。)が平成10年4月1日後平成13年3月31日以前に行われた銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律第3条第1項に規定する合併に係る合併法人である場合には、当該合併に係る被合併法人が平成10年4月1日に存していたものを含み、当該法人((1)に該当する法人を除きます。)が平成10年4月1日後平成13年3月31日以前に行われた同項に規定する合併以外の合併に係る合併法人である場合には、当該法人及び当該合併に係る被合併法人のすべてが平成10年4月1日に存していたものに限ります。

3 各欄の記載要領

  欄   記載要領 注意事項
「当期に支払う負債利子等の額2」及び「当期に支払う負債利子等の額13」  当期に支払った負債利子のほか、令第21条《負債利子に準ずるもの》に掲げるものも含めて記載します。  措置法第66条の5第1項《国外支配株主等に係る負債の利子の課税の特例》の規定により損金の額に算入されない負債の利子の金額がある場合には、その損金の額に算入されない負債の利子の金額は、当期に支払った負債の利子等の額から控除します。
「特定利子の額3」  当期に支払った令第22条第3項《株式等に係る負債の利子の額》に掲げる特定利子の額を記載します。  
「基準年度実績により負債利子等の計算をする場合」の各欄 「平成10年4月1日から平成12年3月31日までの間に開始した各事業年度の負債利子等の額の合計額14」  平成10年4月1日から平成12年3月31日までの間に開始した各事業年度において支払った負債利子等の額(当該各事業年度の別表八「2」に相当する金額)の合計額を記載します。  これらの事業年度のうちに株式等を所有していなかったため配当等の額から控除すべき負債利子等の額がない事業年度がある場合には、その控除すべき負債利子等の額のない事業年度の負債利子等の額は含めません
「同上の各事業年度の特定株式等以外の株式等に係る負債利子等の額の合計額15」  「14」に記載した金額のうち、その各事業年度の特定株式等以外の株式等の配当等から控除すべきものとして計算した負債利子等の額(各事業年度のこの明細書の「7」に相当する金額)の合計額を記載します。  
「(14)の各事業年度の特定株式等に係る負債利子等の額の合計額19」  「14」に記載した金額のうち、その各事業年度の特定株式等の配当等から控除すべきものとして計算した負債利子等の額(各事業年度のこの明細書の「10」に相当する金額)の合計額を記載します。  
「当年度実績による場合の総資産価格等の計算」の各欄 「総資産の帳簿価額23」  確定決算に基づく貸借対照表に計上している総資産の帳簿価額の合計額(繰越欠損金、両建勘定、返品債権特別勘定など資産の帳簿価額に含まれないものは控除したところによります。)を記載します。  税効果会計を採用している場合に計上される繰延税金資産勘定の金額は、総資産の帳簿価額の合計額に含まれます。
「特定利子の元本の負債の額等24」  次の(1)から(5)に掲げる金額の合計額から(6)に掲げる金額を減算した金額を記載します。
(1)  固定資産の帳簿価額を損金経理により減算することに代えて損金経理により引当金として経理している金額又は利益処分により積立金として積み立てている金額
(2)  特別償却準備金として積み立てている金額
(3)  土地の再評価に関する法律第3条第1項の規定により再評価を行った土地の同法第7条第1項に規定する再評価差額に相当する金額
(4)  その他有価証券(売買目的有価証券及び満期保有目的等有価証券以外の有価証券)に係る評価益等相当額
(5)  特定利子の元本である負債の額
(6)  その他有価証券に係る評価損等相当額
 税効果会計を採用している場合において、利益処分により圧縮積立金又は特別償却準備金を積み立てているときは、当該積立金等に係る税効果相当額も含めて記載します。
「特定株式等以外の株式及び出資等の帳簿価額26」  各期末における税務計算上の帳簿価額により記載します。
  なお、この場合の特定株式等とは、内国法人が他の内国法人(公益法人等又は人格のない社団等は除きます。)の発行済株式の総数又は出資金額の25%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を、当該事業年度終了の日以前6月以上(当該他の内国法人が当該事業年度終了の日以前6月以内に設立された法人である場合には、設立の日から当該事業年度終了の日まで)引き続いて有している場合における当該他の内国法人の株式又は出資のほか、令第22条の2第3項の規定により読み替えて適用される同条第1項第2号に掲げるものをいいます。
 また、措置法第3条の2《内国法人等に対して支払う利子所得等に係る支払調書の特例》に規定する特定株式投資信託がある場合には、その帳簿価額(外国株価指数連動型特定株式投資信託の帳簿価額を除きます。)を含めて記載します。
 「前期末現在額」には、特定株式等又は特定株式等以外の株式等の区分が前期と当期とで異なる場合であっても、前期のこの明細書の当期末現在額の金額をそのまま記載します。
受益証券の帳簿価額の1/2又は4 相当額27  各期末における税務計算上の帳簿価額により記載します。
  なお、公社債投資信託、外国の信託、特定株式投資信託及び外貨建等証券投資信託以外の証券投資信託の受益証券についてはその帳簿価額の2分の1相当額により、外貨建等証券投資信託のうち特定外貨建等証券投資信託以外のものについてはその帳簿価額の4分の1相当額によります。
 外貨建等証券投資信託とは、信託約款において信託財産の50%超を外貨建証券等又は株式以外の資産で運用することができることとされている証券投資信託をいい、このうち、75%超を外貨建証券等又は株式以外の資産で運用することができることとされているものを特定外貨建等証券投資信託といいます。
「特定株式等の帳簿価額28」  各期末における税務計算上の帳簿価額により記載します。  「前期末現在額」には、特定株式等又は特定株式等以外の株式等の区分が前期と当期とで異なる場合であっても、前期のこの明細書の当期末現在額の金額をそのまま記載します。
「配当等の収入金額の明細」の各欄 「特定株式等以外の株式等」    この場合の特定株式等とは、内国法人が他の内国法人(公益法人等又は人格のない社団等は除きます。)の発行済株式の総数又は出資金額の25%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を、その内国法人が交付を受ける配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上(当該他の内国法人が支払義務確定の日以前6月以内に設立された法人である場合には、設立の日から支払義務確定の日まで)引き続いて有している場合における当該他の内国法人の株式又は出資のほか、令第22条の2第1項第2号に掲げるものをいいます。  
「配当等の収入金額 
29」及び「配当等の収入金額32」
 当期において内国法人から受けた利益の配当(いわゆる中間配当の額を含みます。)、剰余金の分配(出資に係るものに限ります。)若しくは特定株式投資信託(外国株価指数連動型特定株式投資信託を除きます。)の収益の分配の額又は公社債投資信託、外国の信託、特定株式投資信託及び特定外貨建等証券投資信託以外の証券投資信託の収益の分配額(令第19条の3第1項《証券投資信託の収益の分配のうち配当等の額から成る部分の金額》に規定する2分の1(外貨建等証券投資信託のうち特定外貨建等証券投資信託以外のものの収益の分配については4分の1)に相当する金額によります。)(以下これらを「受取配当等の額」といいます。)をその内国法人又は銘柄別に、また、特定株式等に係る配当等と特定株式等以外の株式等に係る配当等とにそれぞれ区分して記載します。
(1)  外国法人又は公益法人等若しくは人格のない社団等から受ける受取配当等の額は配当等の収入金額から除かれます。
(2)  法第24条《配当等の額とみなす金額》の規定によるみなし配当の額がある場合には、別欄として記載し、その発生理由を付記してください。
「左のうち益金に算入される配当等の額30」及び「左のうち益金に算入される配当等の額33」  受取配当等の額(みなし配当の額を除きます。)の元本たる株式等のうちにその利益の配当又は剰余金若しくは収益の分配の計算の基礎となった期間の末日以前1月以内に取得し、かつ、同日後2月以内に譲渡したものがある場合に、その株式等について受けた受取配当等の額につき、特定株式等に係る配当等と特定株式等以外の株式等に係る配当等とにそれぞれ区分して記載します。  同じ銘柄の一部につきその計算期間の末日以前1月以内に取得したものと同日後2月以内に譲渡したものとがある場合には、その該当するものの数は、令第20条《益金に算入される配当等の元本たる株式等》の規定により、その計算期間の末日以前1月以内に取得したものとそれ以前から所有していたものとが平均的にその末日後2月以内に譲渡されたものとして計算した数によります。

4 根拠条文 法23、24、令19〜23、平成13年改正前の令224、規則8の4、8の5、措置法67の6 

法人税申告書の記載の手引