1 この明細書の用途

 この明細書は、損益計算書に掲げた当期(純)利益の額又は当期(純)損失の額を基として、いわゆる申告調整により税務計算上の所得金額若しくは欠損金額又は留保金額を計算するために使用します。

(注) 技術等海外取引の所得の特別控除など特殊な事項のない法人については、この明細書について「簡易様式」を作成してありますから、御利用ください。

2 各欄の記載要領

  欄   記載要領 注意事項
「総額1  損益計算書の当期(純)利益の額又は当期 (純)損失の額を記載します。この場合、当期(純)利益の額又は当期 (純)損失の額のうちに前期から繰り越された利益又は損失の額を含むときは、 前期から繰り越された利益又は損失の額を控除した金額を記載します。  
「社外流出3  利益又は剰余金の処分により当期の配当 (商法第 293 条ノ5第1項に規定する金銭の分配(いわゆる中間配当)を含みます。)、 賞与その他社外に支出する金額を、「配当」、「賞与」又は「その他」に区分して記載します。  利益処分による賞与のうち受給者ごとに債務の確定していない金額があるときは、 その額は「留保2」に含めることとなりますので、「賞与」の金額に含めないで記載します。
「留保2  「総額1」に記載した金額から「社外流出3」に記載した金額の合計額を控除した金額を記載します。  「社外流出3」に記載した金額の方が多いときは、その超える金額を「留保2」に△印を付して記載します。
「損金の額に算入した法人税(附帯税を除く。) 2」  別表五(二)の「計5」の「仮払経理による納付4」及び「損金経理による納付5」の法人税額の合計額を記載します。
(1)  その記載した金額のうち別表五(二)の「仮払経理による納付4」の本書の金額がある場合には、この明細書の「減算」の空欄に「仮払税金」等と記載の上、その合計額を「総額1」及び「留保2」に併せて記載します。
 
(注)  この仮払税金をその後の事業年度において消却した場合には、その消却をした事業年度において、次の区分に応じ、次のように処理します。
 損金経理により消却した場合その税金が損金不算入のものであると否とを問わず、この明細書の「加算」の空欄に「仮払税金消却」等と記載の上、その合計額を「総額1」と「留保2」に記載します。
 納税充当金で消却した場合この明細書には記載しないで、別表五(一)において、 前期から繰り越された「仮払税金」の「減2」にその消却した金額を△印を付して記載するとともに、「納税充当金 27」の「減2」に同額を記載します。
(2)  別表五(二)の「損金経理による納付5」に外書の金額がある場合には、この明細書の「加算」の空欄に「未収過誤納金」等と記載の上、その金額を「総額1」及び「留保2」に記載します。
「損金の額に算入した道府県民税(利子割額を除く。) 及び市町村民税3」  別表五(二)の「6」、「7」、「中間9」及び「計16」の「仮払経理による納付4」及び「損金経理による納付5」の金額の合計額を記載します。
「損金の額に算入した道府県民税利子割額4」  別表五(二)の「利子割8」の「仮払経理による納付4」及び「損金経理による納付5」の金額の合計額を記載します。
「損金の額に算入した納税充当金5」  別表五(二)の「損金の額に算入した納税充当金32」の金額を記載します。
「損金の額に算入した附帯税(利子税を除く。)、加算金、延滞金(延納分を除く。)及び過怠税6」  別表五(二)の「加算税及び加算金25」から「過怠税28」までの「当期中の納付税額35」の各欄の金額の合計額を記載します。
「加算」の「9」以下の空欄  法人が費用又は損失として経理した金額で当期の所得の金額の計算上損金の額に算入されないもの及び当期の所得の金額の計算上益金の額に算入すべき金額で法人が収益として経理しなかったもの等について、その事項及び金額を記載します。この場合、留保されている金額は「留保2」に、社外に支出されている金額は「社外流出3」に、それぞれ記載します。  税効果会計を採用している場合において、損益計算書上、税引前当期純利益から減算した「法人税等調整額」があるときは、「加算」の空欄に、例えば「法人税等調整額損金不算入」等と記載の上、当該金額を「総額1」及び「留保2」に記載します。
「納税充当金から支出した事業税等の金額13」  別表五(二)の「事業税36」から「39」までの金額の合計額を記載します。  
「法人税等の中間納付額及び過誤納に係る還付金額15」  法人税、道府県民税及び市町村民税の中間納付額並びにこれらの税の過誤納に係る還付金額について、法人がそれを当期利益の額に含めている場合にその金額を記載します。
 なお、道府県民税利子割額の還付金額も含めて記載します。
 利子税相当額の還付金については、その納付した時に損金の額に算入されていますので、この欄で減算することはできません。
「所得税額等及び欠損金の繰戻しによる還付金額等16」  次に掲げる還付金額で当期にその還付を受けることが確定したものについて、その額を当期利益の額に含めているといないとにかかわらず記載します。この場合に、これらの確定した還付金額を当期利益の額に含めていないときは、「加算」の空欄に「未収の所得税額の還付金等」として「総額1」及び「留保2」に記載し、その後の事業年度でこれらの還付金を当期利益の額に含めた場合には、その金額を「減算」の空欄に「未収の所得税額の還付金等」と記載の上、還付金の額を「総額1」及び「留保2」に記載します。
(1)  所得税額の還付金額、控除対象外国法人税額の還付金額及びみなし配当金額の25%相当額の還付金額
(2)  欠損金の繰戻しによる還付金額
(3)  国税通則法の規定による附帯税(利子税を除きます。)の還付金額
(4)  地方税法の規定による各種加算金及び延滞金(同法第65条、第72条の45の2又は第327条の規定による納期限の延長を受けた期間に係るものを除きます。)の還付金額
(5)  (1)から(4)まで及び「法人税等の中間納付額及び過誤納に係る還付金額15」に記載されるもの以外の租税で損金の額に算入されないものの還付金額
 前期分の申告において所得税額の還付が生じたため、その還付を受けていた場合において、その後前期分の法人税につき更正処分があり、その還付を受けた所得税額の全部又は一部に相当する金額が追徴があったときは、その追徴された金額に相当する還付所得税額は、この欄には記載しないでください。
 この場合、その還付を受けた所得税額が当期利益の額に含まれているときは、その追徴された所得税額に相当する金額は、減算の空欄に「追徴された所得税額」等として「総額1」及び「留保2」の欄にそれぞれ記載します。
「減算」の「17」以下の空欄
(1)  確定した決算において費用に含まれていないもので当期の損金の額に算入すべきもの又は収益に計上されているもので当期の益金の額に算入しないもの等について、その事項及び金額を記載します。この場合、法人計算外で経費とするもの(経費の認定損)のように税務計算上留保した金額を減少させるものは、「留保2」に記載します。
(2)  措置法第65条の2の規定による収用換地等の場合の所得の特別控除額、措置法第65条の3から第65条の5までの規定による特定事業の用地買収等の場合の所得の特別控除額(別表十(五)「18」、「33」、「38」又は「43」)又は 平成10年改正前の措置法第62条の2の規定による新規取得土地等に係る累積損金不算入負債利子額の損金算入額(別表十五の二「9」又は「10」)は、措置法第65条の2第9項等の規定により利益積立金額を構成しますので、「減算」の空欄に「収用等による特別控除額」、「新規取得土地等の累積損金不算入負債利子額の損金算入額」等と記載の上、その額を「総額1」及び「社外流出3」(※印を付けます。)に記載します。
(3)  利益処分の方法により経理した準備金の金額で損金の額に算入するものは、「減算」の空欄に、例えば「利益処分等による準備金積立額認容」等と記載の上、その積立額の全額(税効果会計を採用している場合には、当該積立額の全額とこれに対応する税効果相当額との合計額)を「総額1」及び「留保2」に記載します。この場合、積立限度超過額があるときは、「加算」の空欄に「○○準備金積立超過額」等と記載の上、その積立限度超過額を「総額1」及び「留保2」に記載します。
 なお、準備金に積立限度超過額がある場合には、このような加算及び減算をしないで、その積立額のうち積立限度相当額を「減算」欄に記載しても差し支えありません。
(1)  前期以前の留保金額に利益処分による賞与のうち受給者ごとに債務の確定していない金額が含まれていた場合で、当期にその受給者ごとに債務が確定したときは、「減算」の空欄に「前期に留保とされた役員賞与」等と記載の上、その全額を「総額1」及び「留保2」に記載するとともに、「加算」の空欄に「役員賞与」と記載の上、同額を「総額1」及び「社外流出3」に記載します。
(2)  税効果会計を採用している場合において、損益計算書上、税引前当期純利益に加算した「法人税等調整額」があるときは、「減算」の空欄に、例えば「法人税等調整額益金不算入」等と記載の上、当該金額を「総額1」及び「留保2」に記載します。
「非適格合併又は非適格分割型分割による移転資産等の譲渡利益額又は譲渡損失額35」
(1)  合併(適格合併を除きます。)により合併法人に資産及び負債の移転をした場合に、資産及び負債の当該移転による譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額を被合併法人の合併の日の前日の属する事業年度分のこの明細書に記載します。
(2)  分割型分割(適格分割型分割を除きます。)により分割承継法人に資産及び負債の移転をした場合に、資産及び負債の当該移転による譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額を分割法人の分割型分割の日の前日の属する事業年度分のこの明細書に記載します。
 譲渡損失額を記載する場合は、その金額を△印を付して記載します。
 
「所得金額又は欠損金額39」    「総額1」の金額は、「留保2」の金額に「社外流出3」の本書の金額を加算し、これから「※」の金額を加減算した額と符合することになります。

法人税申告書の記載の手引