国税庁
平成14年7月に公布された法人税法等の一部を改正する法律(平成14年法律第79号)において連結納税制度が創設され、法人の平成15年3月31日以後に終了する事業年度からこの制度が適用できることになりました。
(注) このパンフレットは、平成14年8月1日現在の法令に基づき、連結納税制度に関する主な内容を解説したものです。
連結納税とは、親法人とその親法人による完全支配関係があるすべての子法人を一のグループとして、親法人がそのグループの所得(連結所得)の金額等を一の申告書(連結確定申告書)に記載して法人税の申告・納税を行う制度です。したがって、この制度を適用する期間においては、原則として、個々の法人ごとに申告・納税を行う必要はありません(法4の2、81の22、81の27)。
(注) 「完全支配関係」とは、発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式又は出資を除きます。)の全部を直接又は間接に保有する関係である一定の関係をいいます(法4の2)。
連結納税の適用を受ける親法人及び子法人は、内国法人のうち次の(1)に掲げる法人に該当し、かつ、(2)に掲げる事実がないものとして国税庁長官の承認を受けたものに限られます。なお、この承認を受けた親法人又は子法人を連結法人といいます(法4の2、4の3)。
(1) 適用可能な法人
イ 親法人 普通法人又は協同組合等のうち、次に掲げる法人を除いたものに限られます。なお、国税庁長官の承認を受けた親法人を連結親法人といいます。
清算中の法人
他の普通法人(外国法人を除きます。)又は協同組合等による完全支配関係がある法人
その他一定の法人
ロ 子法人 親法人による完全支配関係がある普通法人のうち、次に掲げる法人を除いたものに限られます。なお、国税庁長官の承認を受けた子法人を連結子法人といいます。
清算中の法人
資産の流動化に関する法律第2条第3項に規定する特定目的会社
その他一定の法人
(注) このパンフレットにおいては、連結親法人とその連結親法人による完全支配関係があるすべての連結子法人のグループを「連結グループ」と称して説明しています。
(2) 申請却下の対象となる事実(法4の3)
連結納税の適用を受けるための承認申請は、次に掲げる事実がある場合には承認されません。
連結予定法人のいずれかが申請を行っていないこと。
(注) 連結予定法人とは、親法人とその親法人による完全支配関係があるすべての子法人をいいます。
申請を行っている法人に連結予定法人以外の法人が含まれていること。
連結予定法人に次のいずれかの事実があること。
(イ) 連結所得の金額又は連結欠損金額及び法人税の額の計算が適正に行われ難いと認められること。
(ロ) 連結事業年度において、帳簿書類の備付け、記録又は保存が適正に行われることが見込まれないこと。
(ハ) 連結納税に係る承認の取消処分を受けた日又は連結納税の適用の取りやめに係る承認を受けた日以後5年以内に申請を行っている法人があること。
(ニ) 法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められること。
なお、連結法人は、帳簿書類を備え付けてこれにその取引等を記録し、かつ、その帳簿書類を保存する義務があり、国税庁長官、国税局長又は税務署長は、この帳簿書類の備付け等に関して、必要に応じて指示を行うことができることとされています(法4の4)。
(1) 原則(法4の3)
イ 連結納税の適用を受けようとする場合には、最初にその適用を受けようとする親法人の事業年度開始の日の6月前の日までに、親法人及びその親法人による完全支配関係があるすべての子法人の連名で、必要な事項を記載した申請書(以下「承認申請書」といいます。)を親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出しなければなりません。したがって、例えば、最初に適用を受けようとする事業年度が平成16年4月1日から平成17年3月31日までである場合の承認申請書の提出期限は、平成15年9月30日となります。
ロ イの承認申請書の提出後、適用を受けようとする親法人の事業年度開始の日の前日までに承認又は却下の処分がなかった場合には、その開始の日において承認があったものとみなされ、その開始の日以後の期間について連結納税が適用されます。
(2) 親法人の設立事業年度等から適用を受けようとする場合の申請期限の特例(法4の3)
イ 親法人の設立事業年度又は設立事業年度の翌事業年度から適用を受けようとする場合には、承認申請書の提出期限は、上記(1)イにかかわらず、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に掲げる日とされています。
親法人の設立事業年度から適用を受けようとする場合
設立事業年度開始の日から1月を経過する日と設立事業年度終了の日から5月前の日とのいずれか早い日
親法人の設立事業年度の翌事業年度から適用を受けようとする場合
設立事業年度終了の日と翌事業年度終了の日から5月前の日とのいずれか早い日
ロ イの承認申請書を提出した日から5月を経過する日までに承認又は却下の処分がなかった場合には、その5月を経過する日において承認があったものとみなされ、時価評価法人等を除き、適用を受ける最初の親法人の事業年度開始の日以後の期間について連結納税が適用されます。
(注)
1 「時価評価法人等」の意義及びその適用関係については、8(3)を参照してください。
2 親法人の設立事業年度の翌事業年度から適用を受けようとする場合で、かつ、その翌事業年度開始の日が承認申請書を提出した日から5月を経過する日後である場合には、上記の承認があったものとみなされる「5月を経過する日」は、「翌事業年度開始の日」となります。
(3) 制度創設当初の経過措置による申請期限の特例(法附則3)
イ 平成14年4月1日から平成15年6月30日までの間に開始し、かつ、平成15年3月31日以後に終了する親法人の事業年度から連結納税の適用を受けようとする場合には、承認申請書の提出期限は、上記(1)イにかかわらず、適用を受けようとする最初の事業年度終了の日から起算して6月前の日(その日が平成14年12月31日後であるときには同日)とされています。したがって、例えば、最初に適用を受けようとする親法人の事業年度が平成14年4月1日から平成15年3月31日までである場合の承認申請書の提出期限は、平成14年9月30日となります。
ロ イの承認申請書の提出日から最初に連結納税の適用を受けようとする親法人の事業年度終了の日(その日が平成15年6月30日後である場合には同日とし、以下ロにおいて同じです。)までに承認又は却下の処分がなかった場合には、その事業年度終了の日において承認があったものとみなされます。この場合、時価評価資産を有する法人等など一定の子法人に該当するものを除き、適用を受ける最初の親法人の事業年度開始の日以後の期間について連結納税が適用されます。
(注) 「時価評価資産を有する法人等」の意義及び「一定の子法人」の適用関係等については、8(4)を参照してください。
(1) 連結納税に係る承認の取消し(法4の5)
連結法人に次に掲げる事実がある場合には、国税庁長官は、その事実がある連結法人の承認を取り消すことができることとされています。
なお、この取消処分を受けた場合には、その処分のあった日の属する連結事業年度開始の日以後の期間について連結納税は適用されません。
連結事業年度に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が適正に行われていないこと。
連結事業年度に係る帳簿書類の備付け等に関する国税庁長官、国税局長又は税務署長の指示に従わなかったこと。
連結事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録していることなど、その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること。
連結確定申告書をその提出期限までに提出しなかったこと。
(2) 連結納税に係る承認のみなし取消し(法4の5)
連結法人に次表に掲げる事実が生じた場合には、それぞれ次表に掲げる取消対象法人の連結納税に係る承認が取り消されたものとみなされ、みなし取消日以後の期間について連結納税は適用されません。
事実 | 取消対象法人 | みなし取消日 | |
---|---|---|---|
|
連結親法人及びすべての連結子法人 | 完全支配関係が生じた日 | |
|
連結親法人 | 連結子法人がなくなった日の属するその連結親法人の事業年度開始の日(注1) | |
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連結親法人及びすべての連結子法人 | 解散の日の翌日(合併による解散の場合には合併の日) | |
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その連結子法人 | 解散の日(合併による解散の場合には合併の日の前日)の属するその連結子法人の事業年度開始の日(注2) | |
|
その連結子法人 | 完全支配関係を有しないこととなった日の属するその連結子法人の事業年度開始の日(注3) |
(注)
1 連結親法人の事業年度終了の日に連結子法人が解散(合併による解散を除きます。)をしたことにより連結子法人がなくなった場合には、その解散の日の翌日となります。
2 連結親法人の事業年度開始の日に合併による解散をした場合にはその合併の日となり、連結親法人の事業年度終了の日に解散(合併による解散を除きます。)をした場合にはその解散の日の翌日となります。
3 連結子法人が連結親法人による完全支配関係を有しなくなった事実が、連結親法人の事業年度終了の日にその連結子法人の発行済株式又は出資を直接又は間接に有する他の連結子法人が解散(合併による解散を除きます。)をしたことによるものである場合には、その解散の日の翌日となります。
(3) 連結納税の適用の取りやめ(法4の5)
連結納税は、やむを得ない事情があるときは、その適用を取りやめることができます。この適用の取りやめに当たっては、連結グループに属するすべての法人の連名で、適用を取りやめることについての理由等を記載した申請書を連結親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出し、その承認を受ける必要があります。
(注) この適用の取りやめに係る承認を受けた場合には、その承認を受けた日の属する連結事業年度終了の日後の期間について連結納税は適用されません(法4の5)
(1) 連結事業年度(法14、15の2)
連結納税の適用期間中は、原則として連結事業年度ごとに申告・納税を行うことになります。
この連結事業年度とは、連結親法人の事業年度開始の日からその終了の日までの期間をいい、連結親法人と事業年度の異なる連結子法人は、自らの事業年度(以下「営業年度」といいます。)にかかわらず、この連結事業年度の期間を一つの事業年度とみなします。
(注) 連結納税の適用開始、適用の取りやめ等に際して、連結事業年度と各法人の営業年度とを調整するため、それぞれの場面ごとにみなし事業年度の規定が設けられており、このパンフレットにおいては、8から10において代表的なものについて説明していますが、これら以外のみなし事業年度が生じる場面もありますのでご注意ください。
(2) 申告等(法81の22、81の25)
連結親法人は、各連結事業年度終了の日の翌日から2月以内に、連結所得の金額(又は連結欠損金額)等を記載した連結確定申告書を連結親法人の納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
また、連結子法人は、連結確定申告書の提出期限までに、連結子法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に連結事業年度に係る個別帰属額等を記載した書類を提出する必要があります。
(3) 連結確定申告書の提出期限の延長特例(法81の24)
会計監査人の監査を受けなければならないことなどの理由により各連結事業年度の連結確定申告書をその提出期限までに提出できない常況にあると認められる場合には、連結親法人の納税地の所轄税務署長は、連結親法人の申請を受けて、提出期限を2月延長することができます。
この提出期限の延長特例の適用を受けようとする場合には、連結親法人は、適用を受けようとする連結事業年度の終了の日の翌日から45日以内に連結親法人の納税地の所轄税務署長に、申請書を提出しなければなりません。
(注) この申請書の提出をした場合において、適用を受けようとする連結事業年度終了の日の翌日から2月以内に延長又は却下の処分がなかったときには、提出期限が延長されたものとみなされます。
(4) 連結所得に対する法人税額の納付等(法81の27、81の28)
連結親法人は、連結確定申告書に記載した連結所得に対する法人税額を、その申告書の提出期限までに国に納付しなければなりません。
また、連結子法人は、連結親法人が納付しなければならない連結所得に対する法人税額について、連帯納付の責任を負うことになります。
各連結事業年度の連結所得の金額に対する法人税の税率は、連結親法人の区分に応じ次表のとおりとなります。なお、平成14年4月1日から平成16年3月31日までの間に開始する各連結事業年度については、2%の税率が上乗せされており、表中の( )内が上乗せ後の税率です(法81の12、負担軽減措置法16、措法68の8、68の100、68の108)。
連結親法人 |
税率 | ||
---|---|---|---|
普通法人 |
資本の金額又は出資金額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社を除きます。) |
年800万円以下の部分 | 22%(24%) |
年800万円超の部分 | 30%(32%) | ||
資本の金額又は出資金額が1億円超であるもの | 30%(32%) | ||
協同組合等 | 23%(25%) | ||
特定の協同組合等 (特定の地区又は地域に係るもので一定の要件を満たすもの) |
年10億円以下の部分 | 23%(25%) | |
年10億円を超える部分 | 26%(28%) | ||
特定の医療法人 (一定の要件を満たすものとして財務大臣の承認を受けたもの) |
23%(25%) |
連結事業年度の連結所得の金額は、その連結事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額となります。
この連結所得の金額の計算において、例えば、減価償却費の計算(法31)、役員賞与等の損金不算入(法35)は、連結法人以外の法人の所得(単体所得)の金額を計算する場合の方法に基づき行うこととなります。ただし、次に掲げるものをはじめとする一定のものについては、連結所得の金額を計算するための方法が別途設けられていますので、その方法に基づき行うこととなります(法81の2、81の3)。
(1) 連結グループ内の法人間取引
イ 譲渡損益調整資産の譲渡(法81の10)
連結グループ内の法人間で譲渡損益調整資産を譲渡した場合には、その譲渡に係る譲渡利益額(又は譲渡損失額)に相当する金額を連結所得の金額の計算上、損金の額(又は益金の額)に算入し、その譲渡に係る損益を繰り延べることとなります。
(注)
1 「譲渡損益調整資産」とは、固定資産、棚卸資産である土地等、有価証券、金銭債権及び繰延資産のうち一定のもの以外のものをいいます。
2 このイにより損金の額(又は益金の額)に算入した金額は、その譲渡損益調整資産を譲り受けた法人が譲渡、償却等を行った場合や、その譲渡損益調整資産を譲り渡した法人が連結グループから離脱した場合等に益金の額(又は損金の額)に算入することとなります。
ロ 受取配当等(法81の4)
連結法人が受ける連結法人株式等に係る配当等の額については、連結所得の金額の計算上、負債の利子を控除することなく、その全額を益金の額に算入しません。
(注) 「連結法人株式等」とは、連結グループ内の他の法人の株式又は出資のうち一定の要件を満たすものをいいます。
ハ 寄附金(法81の6)
連結グループ内の法人間において支出した寄附金の額は、連結所得の金額の計算上、その全額を損金の額に算入しません。
(2) 繰越欠損金(法81の9)
イ 連結欠損金額の繰越控除
連結グループの各連結事業年度開始の日前5年以内に開始した連結事業年度で生じた欠損金額(連結欠損金額)は、その各連結事業年度において、連結所得の金額を限度として損金の額に算入することとなります。
ロ 適用前に生じた欠損金額の繰越控除
連結納税の適用前に生じた欠損金額であっても、その連結グループが最初に連結納税を適用する事業年度(以下「最初連結親法人事業年度」といいます。)開始の日前5年以内に開始した各事業年度において親法人に生じた欠損金額のほか一定の要件を満たすものは、連結欠損金額とみなすこととなります。
(3) 受取配当等(法81の4)
連結法人が受ける関係法人株式等に係る配当等の額については、その受取額の合計額からその関係法人株式等に係る負債の利子を控除した金額が、益金不算入となります。また、関係法人株式等に係る配当等の額などの連結グループ外の法人から受ける配当等の額から控除する負債の利子は、連結グループ全体で計算することとなります。
(注) 「関係法人株式等」とは、内国法人の発行済株式の総数又は出資金額のうち連結グループに属する法人の有する株式の数又は出資金額の合計の割合が25%以上となるなど一定の要件を満たすものをいいます。
(4) 寄附金(法81の6)
寄附金の損金不算入額の計算は、連結親法人の連結個別資本等の金額と連結所得の金額を基礎として、連結グループを一体として行うこととなります。
(注) 「連結個別資本等の金額」とは、連結法人の資本の金額又は出資金額と連結個別資本積立金額(連結法人の最初の連結事業年度の直前事業年度終了時における資本積立金額とその連結法人の各連結事業年度における資本積立金額の規定(法2十七)に準じて計算した金額との合計額)との合計額をいいます(法2十六の二、十七の三)。
(5) 交際費等(措法68の66)
交際費等の損金不算入額の計算は、連結親法人の資本の金額又は出資金額を基礎として、連結グループを一体として行うこととなります。
(6) 所得税額の控除(法81の14)
所得税額の控除は、連結グループを一体として適用することとなります。
(7) 連結同族会社の特別税率(法81の13)
連結親法人が同族会社である場合には、同族会社の留保金課税は、連結グループを一体として適用することとなります。
(8) 租税回避行為の防止(法132の3)
税務署長は、連結グループに属する法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果になると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、法人税の課税標準、連結欠損金額又は法人税の額を計算することができることとされています。
(1) 適用開始に伴うみなし事業年度[原則](法4の3、14四)
連結確定申告書は、連結事業年度ごとに作成することとなります。
連結納税の適用開始に当たっては、連結事業年度と異なる営業年度の子法人は、営業年度開始の日から最初連結親法人事業年度の開始の日の前日までの期間を一つの事業年度とみなして単体申告を行うこととなります。
《設例》
(2) 資産の時価評価による評価損益の計上(法61の11)
(1)の場合に、連結納税を適用することとなる子法人は、最初連結親法人事業年度の直前の事業年度終了の時に有する時価評価資産の評価益又は評価損を、その事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に計上することとなります。ただし、例えば、次に掲げるような子法人は、この評価損益の計上を行う必要はありません。
親法人が最初連結親法人事業年度開始の日の5年前の日からその開始の日まで引き続き完全支配関係を有している子法人
親法人又はその親法人との間に完全支配関係のある子法人が、最初連結親法人事業年度開始の日の5年前の日からその開始の日までの間に完全支配関係のある子法人を設立し、かつ、親法人が設立からその開始の日まで引き続き完全支配関係を有している子法人
親法人が、最初連結親法人事業年度開始の日の5年前の日からその開始の日までの間に適格合併により完全支配関係を有することとなり、かつ、適格合併の日からその開始の日まで引き続き完全支配関係を有している子法人(その適格合併に係る被合併法人が最初連結親法人事業年度開始の日の5年前の日からその適格合併の日の前日まで引き続き完全支配関係を有していた法人に限ります。)
(注)
1 「時価評価資産」とは、固定資産、棚卸資産である土地等、有価証券、金銭債権及び繰延資産のうち一定のもの以外のものをいいます。
2 最初連結親法人事業年度の直前の事業年度が平成18年12月31日前に終了する事業年度である場合には、上記からの「最初連結親法人事業年度開始の日の5年前の日」を「平成14年1月1日」と読み替え、各子法人が上記からの子法人に該当するかどうかを判定します(法附則9)。
3 次の(3)及び(4)の場合には、時価評価資産に係る評価損益の計上時期等が異なりますのでご注意ください。
(3) 適用開始に伴うみなし事業年度(親法人の設立事業年度等から適用を受ける場合)
親法人の設立事業年度等から連結納税の適用を受けようとする場合には、上記3(2)のとおり申請期限の特例が設けられています。この特例により親法人の設立事業年度等から連結納税の適用を受けようとする申請を行い承認を受けた場合には、次の及びに掲げる法人(以下「時価評価法人等」といいます。)は、最初連結親法人事業年度終了の日の翌日以後の期間について連結納税が適用されます。
最初連結親法人事業年度の直前の事業年度終了の時に時価評価資産その他一定のもの(以下「時価評価資産等」といいます。)を有する子法人
の子法人が直接又は間接に株式を有している子法人
この場合、時価評価法人等は、最初連結親法人事業年度開始の日の前日の属する営業年度開始の日からその前日までの期間及び最初連結親法人事業年度の期間をそれぞれ一つの事業年度とみなして単体申告を行うこととなります(法4の3一、14六)。
《設 例》[親法人の設立年月日:6月1日]
(注)
1 上記の子法人のうち、最初連結親法人事業年度に合わせたみなし事業年度終了の時において時価評価資産を有している法人は、上記(2)にかかわらず、その終了の日の属する事業年度において評価益又は評価損を益金の額又は損金の額に計上する必要があります(法61の11)。
2 時価評価法人等以外の法人については、原則的には、最初連結親法人事業年度開始の日から連結納税が適用されます。
(4) 適用開始に伴うみなし事業年度(制度創設当初の申請期限の特例の適用を受ける場合)
制度創設当初の経過措置として、上記3(3)のとおり申請期限の特例が設けられています。
この特例による申請を行い承認を受けた場合には、営業年度が連結事業年度と異なる子法人は、時価評価資産を有する法人等を除き、最初連結親法人事業年度の期間中に開始する営業年度の開始の日以後の期間について連結納税が適用されます。この場合、その営業年度の開始の日から最初連結親法人事業年度の終了の日までの期間を一つの事業年度とみなすこととなります(法附則3、4)。
《設 例》
(注)
1 営業年度と連結事業年度が一致している法人(時価評価資産を有する法人等を除きます。)は、最初連結親法人事業年度開始の日以後の期間について連結納税が適用されます。
2 「時価評価資産を有する法人等」とは次に掲げる子法人をいい、この「時価評価資産を有する法人等」に該当する場合には、その子法人は最初連結親法人事業年度終了の日の翌日以後の期間について連結納税が適用されます(法附則3)。
最初連結親法人事業年度終了の日の属する営業年度の前営業年度(その営業年度開始の日が最初連結親法人事業年度開始の日前である場合にはその営業年度)の終了時において時価評価資産等を有する子法人
最初連結親法人事業年度終了の日の属する営業年度開始の日がその最初連結親法人事業年度開始の日前である子法人(の法人を除きます。)
又はの子法人が発行済株式又は出資を直接又は間接に保有する子法人
3 上記の子法人のうち、最初連結親法人事業年度終了の時において時価評価資産を有しているものは、上記(2)にかかわらず、その終了の日の属する事業年度においてその資産に係る評価益又は評価損を益金の額又は損金の額に計上する必要があります(法附則9)。
(5) 特別勘定の取崩し等
連結納税の適用開始に当たり、子法人が特定資産の買換え等に係る特別勘定を設定している場合等には、その子法人は、その特別勘定として経理された金額のうち最初連結親法人事業年度の直前の事業年度までに益金の額に算入されていない金額(その金額が一定の金額未満のものは除かれます。)を、その直前の事業年度において益金の額に計上するなどの調整計算が必要となります(措法65の8ほか)。
(1) 連結納税に係る承認のみなし承認(連結グループへの加入)(法4の3)
法人が連結親法人による完全支配関係を有することとなった場合には、法人は、その有することとなった日において連結納税に係る承認を受けたものとみなされ、その有することとなった日以後の期間について連結納税が適用されます。
(2) 連結グループへの加入に伴うみなし事業年度(法14七)
連結グループに加入した子法人は、(1)のとおりその加入の日(連結親法人による完全支配関係を有することとなった日)以後の期間について連結納税が適用されます。この場合、連結グループへの加入に際し、子法人は、営業年度開始の日から加入の日の前日までの期間及び加入の日からその加入の日を含む連結親法人事業年度終了の日までの期間をそれぞれ一つの事業年度とみなし、前者は単体申告を、後者は連結申告を行うこととなります。
《設 例》[加入の日:7月1日]
(3) 資産の時価評価による評価損益の計上(法61の12)
連結グループに加入した法人は、加入直前の事業年度において、その加入直前の事業年度終了の時に有する時価評価資産の評価益又は評価損を益金の額又は損金の額に計上しなければなりません。ただし、例えば、次に掲げるような子法人は、この評価損益の計上を行う必要はありません。
連結法人が全額出資して設立した法人
連結親法人が、適格合併により完全支配関係を有することとなった法人(その適格合併に係る被合併法人が適格合併の日の5年前の日からその適格合併の日の前日まで引き続き完全支配関係を有している法人に限ります。)
(注) 加入直前の事業年度が平成18年12月31日前に終了する事業年度である場合には、上記の「適格合併の日の5年前の日」を「平成14年1月1日」と読み替え、各子法人が上記の子法人に該当するかどうかを判定します(法附則10)。
(4) 特別勘定の取崩し等
連結グループへの加入に際し、加入する法人が特定資産の買換え等に係る特別勘定を設定している場合等には、上記8(5)と同様に、加入直前の事業年度において調整計算が必要となります(措法65の8ほか)。
(1) 連結グループからの離脱に伴うみなし事業年度(承認の取消処分による場合)
連結納税に係る承認の取消処分を受けたことに伴い、連結グループから離脱した法人には、その取消処分のあった日の属する連結事業年度開始の日以後の期間について連結納税は適用されません(法4の5)。この場合、連結グループから離脱した法人は、離脱の日の属する連結事業年度開始の日からその終了の日までの期間及びその終了の日の翌日から子法人の営業年度終了の日までの期間をそれぞれ一つの事業年度とみなして単体申告を行うこととなります(法14十六)。
《設例》[取消処分のあった日:7月1日]
(2) 連結グループからの離脱に伴うみなし事業年度(承認のみなし取消しによる場合)
承認のみなし取消しに伴い連結グループから離脱した法人には、上記4(2)のとおり、みなし取消しの原因となる事実に応じたみなし取消日以後の期間について連結納税は適用されません。
多くの場合には、取消しの事実の生じた日の属する連結事業年度開始の日以後の期間について連結納税は適用されませんので、(1)と同様の申告を行うこととなります。ただし、例えば、連結子法人が連結事業年度終了の日に合併以外の事由による解散をした場合には、その連結子法人には、その解散の日の翌日以後の期間について連結納税は適用されませんから、次の設例のように申告を行うことになりますので、みなし取消日にご注意ください。
《設例》[連結子法人の解散:3月31日]
お分かりにならない点がありましたら、お気軽に所轄の税務署の法人課税部門(国税局調査部所管法人にあっては国税局の調査審理(管理)課)又は税務相談室におたずねください。