国税庁

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 平成14年7月に公布された法人税法等の一部を改正する法律(平成14年法律第79号)において、連結納税制度の創設とともに課税ベースの見直しが行われ、平成15年3月31日以後に終了する事業年度から適用されることになりました。

(注)

  1. 1 このパンフレットは、連結納税制度を適用していない法人の事業年度(単体納税の事業年度)に対する課税ベースの見直しに伴う改正事項について、平成14年8月1日現在の法令に基づいて作成しています。
  2. 2 連結納税制度を適用している法人の連結事業年度に対しても同様の措置が講じられています。

1 受取配当等の額の区分が変更され、益金不算入割合が引き下げられるとともに、特定利子に係る措置が廃止されました。

《制度の概要》
 受取配当等の益金不算入の制度は、法人が他の内国法人から受ける配当等の額について、次の区分に応じそれぞれ次に掲げる金額を益金の額に算入しないというものです(旧法23)。
  1. 1 特定株式等につき受ける配当等の額
    益金不算入金額=特定株式等につき受ける配当等の金額−その事業年度において払う負債の利子の額のうち特定株式等に係る部分の金額
  2. 2 特定株式等以外の株式等につき受ける配当等の額
    益金不算入額=(特定株式等以外の株式等につき受ける配当等の額−その事業年度において支払う負債の利子の額のうち特定株式等以外の株式等に係る部分の金額)×80%(益金不算入割合)
(注)
  1. 1 「特定株式等」とは、内国法人が他の内国法人の発行済株式の総数又は出資金額の25%以上に相当する数又は金額の株式又は出資(以下「株式等」といいます。)を有する場合として一定の要件を満たす場合における他の内国法人の株式等をいいます。
  2. 2 「その事業年度において支払う負債の利子の額」からは、金融業を主として営む法人が支払う日本銀行からの借入金の利子などの特定利子が除かれます(旧法令22123)。
《改正の内容》
  1. 1 受取配当等の額の区分の変更と益金不算入割合の引き下げ
     受取配当等の額の区分が次のとおりとされるとともに、次の3に係る益金不算入割合が50%とされました(法23)。
    1. 1 連結法人株式等につき受ける配当等の額 ⇒ 全額益金不算入
      (注) 「連結法人株式等」とは、連結グループ内の他の法人の株式又は出資のうち一定の要件を満たすものをいいます。
    2. 2 関係法人株式等につき受ける配当等の額
      益金不算入額=関係法人株式等につき受ける配当等の額−その事業年度において支払う負債の利子の額のうち関係法人株式等に係る部分金額
      (注) 「関係法人株式等」とは、内国法人の発行済株式の総数又は出資金額のうち法人の有する株式の数又は出資金額の割合が25%以上となるなど一定の要件を満たすものをいいます(連結法人株式等を除きます。)。
    3. 3 1及び2以外の株式等につき受ける配当等の額
      1及び2以外の株式等につき受ける配当等の額の算式
      (注)3に係る益金不算入割合(50%)は、資本の金額又は出資金額が1億円を超える普通法人又は相互会社等が配当等を受ける場合を除き、次の事業年度の区分に応じそれぞれ次の割合とする経過措置が講じられています(平14年7月改正法附則6)。
      1. (イ) 平成14年4月1日から平成15年3月31日までに開始し、かつ、平成15年3月31日以後に終了する事業年度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 70%
      2. (ロ) 平成15年4月1日から平成16年3月31日までに開始する事業年度・・・・・・・・・・・・・・・ 60%
  2. 2 特定利子に係る措置の廃止
     受取配当等の益金不算入額の計算上、その事業年度において支払う負債の利子の額から特定利子を除く措置が、一定の利子に係るものを除き、廃止されました。

2 退職給与引当金制度が廃止されました。

《制度の概要》
 この制度は、法人のうち退職給与規程を定めているものが、使用人の退職により支給する退職給与に充てるため、期末に在職する使用人の全員が自己の都合により退職するものと仮定して計算した場合の退職給与の金額(以下「期末退職給与の要支給額」といいます。)として見積もられる金額のうちその事業年度において増加したと認められる部分の金額を基礎として計算した繰入限度額までの金額を損金経理により退職給与引当金勘定に繰り入れることができるというものです(旧法541)。
《改正の内容》
  この退職給与引当金制度が廃止されました。
 なお、法人の平成15年3月31日以後最初に終了する事業年度(以下「改正事業年度」といいます。)開始の時において退職給与引当金勘定の金額を有する場合には、その退職給与引当金勘定の金額は、それぞれ次の区分に応じて取り崩す必要があります(平14年7月改正法附則82)。
法人 事業年度 取崩金額
1資本の金額又は出資金額が1億円を超える普通法人又は保険業法に定める相互会社等 平成14年4月1日から平成16年3月31日までの間に開始する事業年度 改正事業年度開始の時に有する退職給与引当金勘定の金額に10分の3を乗じて計算した金額にその事業年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額
平成16年4月1日から平成17年3月31日までの間に開始する事業年度 改正事業年度開始の時に有する退職給与引当金勘定の金額に10分の2を乗じて計算した金額にその事業年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額
平成17年4月1日以後に開始する事業年度で改正事業年度開始の日以後4年を経過した日の前日の属する事業年度までの事業年度 改正事業年度開始の時に有する退職給与引当金勘定の金額に10分の2を乗じて計算した金額にその事業年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額(改正事業年度開始の日以後4年を経過した日の前日の属する事業年度は、残額のすべて)
2 1の法人以外の法人 改正事業年度から改正事業年度開始の日以後10年を経過した日の前日の属する事業年度までの各事業年度 改正事業年度開始の時に有する退職給与引当金勘定の金額に各事業年度の月数を乗じてこれを120で除して計算した金額(改正事業年度開始の日以後10年を経過した日の前日の属する事業年度は、残額のすべて)
(注)
  1. 1 法人が改正事業年度において分社型分割、現物出資又は事後設立(以下「分社型分割等」といいます。)を行った場合(その分社型分割等を平成14年8月1日前に行った場合に限ります。)には、その分社型分割等の時までの間は、改正前の規定が効力を有することとされています(平14年7月改正法附則81)。
  2. 2 法人が分社型分割等を行い、1により、改正前の規定による期中退職給与引当金勘定の金額を改正事業年度の損金の額に算入した場合には、その分社型分割等の時において有する退職給与引当金勘定の金額を基準として上記の取崩しを行うこととなります(平14年7月改正法附則82)。
     また、この取崩しを行った後の退職給与引当金勘定の金額が、期末退職給与の要支給額の合計額を超えるときは、その超える部分の金額も取り崩す必要があります(平14年7月改正法附則83)。

3 経過措置により存置されていた旧特別修繕引当金制度が廃止されました。

《制度の概要》
 平成10年度の税制改正において特別修繕引当金制度は廃止されましたが、法人が平成10年4月1日以後最初に開始する事業年度の直前事業年度終了の日において特別修繕引当金勘定が設けられている資産を有する場合には、その資産に係る特別修繕引当金勘定の金額については、廃止前の旧法人税法の規定が効力を有する等の経過措置が設けられています(平10年改正法附則71)。
《改正の内容》
 この経過措置により存置されていた旧特別修繕引当金制度が廃止されました。
 平成15年3月31日以後に終了する各事業年度の終了の日において、平成10年度の税制改正による経過措置を適用し、前事業年度から繰り越された特別修繕引当金勘定の金額がある場合には、その金額に各事業年度の月数を乗じてこれを48で除した金額(各事業年度終了の日における特別修繕引当金勘定の金額を限度とします。)を取り崩さなければならないこととされました(改正後の平10年改正法附則712)。

 お分かりにならない点がありましたら、お気軽に所轄の税務署の法人課税部門(国税局調査部所管法人にあっては国税局の調査審理(管理)課)又は税務相談室におたずねください。

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