(参考)

蔵銀第667号
昭和60年4月1日

         殿

大蔵省銀行局長 吉田正輝

 今般、貿易関連の円建銀行引受手形について、下記のとおり取扱要領を定めることとした。本措置により貿易関連の円建銀行引受手形を売買対象とし、広く一般投資家が参加する市場を創設することは、円建貿易金融を供与した内外の金融機関に新たなリファイナンスの途を開くものであり、我が国の短期金融市場の整備・拡充に資するとともに、居住者、非居住者の短期資金運用・調達手段の拡充、貿易取引の円建化の環境整備等を通じ、円の国際化にも資するものである。金融機関は、経営の健全性維持及び投資家保護の観点から、貿易取引に確実に裏づけられた手形の供給、二重金融の防止等に十分配意し、本市場の健全な発展に尽力されたい。
 ついては、本通達を御了知の上、貴傘下金融機関に対し、周知徹底方よろしくお取り計らい願いたい。

1 円建銀行引受手形の範囲

 本通達において円建銀行引受手形とは、本邦所在の外国為替公認銀行が引受けを行った貿易関連の円建期限付為替手形で、以下のいずれかに該当する手形をいう。ただし、本邦の輸出者が振り出した手形については船積後30日以内、その他の手形((5)の手形を除く。)については船積後45日以内に引受けが行われたもので、かつ、船積後6ヶ月に郵便日数を加えた期日以前に満期日が到来するものに限る。

(1) 信用状付円建貿易手形
 本邦または外国の輸出者が信用状に基づき、貿易決済のために本邦所在の外国為替公認銀行を支払人として振り出した円建期限付為替手形。

(2) アコモデーション手形
 本邦の輸出者が貿易決済のために振り出し、本邦所在の外国為替公認銀行の買取りをうけた円建期限付為替手形(上記(1)の手形を除く。)を見合いとして、当該輸出者が当該本邦所在の外国為替公認銀行を支払人として振り出した円建期限付為替手形、及び、外国の輸出者が貿易決済のために振り出し、本邦所在の外国為替公認銀行の外国にある本支店の買取りをうけた円建期限付為替手形(上記(1)の手形を除く。)を見合いとして、当該輸出者が当該本邦所在の外国為替公認銀行を支払人として振り出した円建期限付為替手形。

(3) 輸入決済関係手形(直ハネ手形)
 本邦または外国の輸入者が、一覧払条件等による輸入代金決済のためにうけた円資金融資を見合いとして、当該輸入者が本邦所在の外国為替公認銀行を支払人として振り出した円建期限付為替手形。

(4) リファイナンス手形
 円建貿易金融(輸出者が貿易決済のために振り出した円建期限付為替手形(上記(1)の手形を除く。)の買取りまたは輸入代金決済のために供与する円資金融資をいう。)を供与した外国の銀行が、本邦所在の外国為替公認銀行(振出人たる外国の銀行の本邦内支店を除く。)を支払人として振り出した円建期限付為替手形。

(5) 表紙手形
 上記(1)〜(4)の手形を担保として、本邦所在の外国為替公認銀行が自行を支払人として振り出した円建期限付為替手形。

2 円建銀行引受手形の売却単位

 本邦所在の外国為替公認銀行は、円建銀行引受手形のうち金額1億円以上の手形を一般投資家等に対して売却することができる。

3 円建銀行引受手形の第一次売却

 本邦所在の外国為替公認銀行が、円建銀行引受手形を引き受けた後最初に行う当該手形の売却(以下、「第一次売却という。)は、当該外国為替公認銀行が自己勘定で行うものとし、当該外国為替公認銀行は、自ら引受けを行った手形を振出人に返却する取扱いは行わないものとする。

4 取扱上の留意事項

(1) アコモデーション手形の引受けを行う外国為替公認銀行は、二重金融を防止する観点から、アコモデーション手形と、当該アコモデーション手形振出しに際して見合いとされた円建期限付為替手形との対応関係を確認するものとする。

(2) 輸入決済関係手形については、輸入代金決済及び輸入代金決済のための円資金融資が当該手形の振出日に当該手形の引受けを行う銀行において行われることを要する。

(3) リファイナンス手形の引受けを行う外国為替公認銀行は、リファイナンス手形を振り出した外国の銀行が供与した円建貿易金融の内容を確認するとともに、二重金融を防止する観点から、当該振出銀行から、当該円建貿易金融について他の資金調達を行わない旨の確約を書面により徴求するものとする。

(4) 表紙手形の金額は、担保となる手形の金額の範囲内とし、表紙手形の満期日は、担保となる手形の満期日以前であることを要する。

(5) 表紙手形の担保となる手形は、日本銀行において保管されるものとする。

5 流通取扱

 金融機関、短資業者及び金融機関の関連会社は、円建銀行引受手形の売買または売買の媒介等を行うことができる。

6 届出及び報告

(1) 金融機関が円建銀行引受手形の第一次売却または流通取扱を開始するときは、あらかじめその内容を所管行政庁に届出るものとする。

(2) 短資業者が、円建銀行引受手形の流通取扱を行おうとするときは、あらかじめその内容を所管行政庁に届出るものとする。

(3) 金融機関の関連会社が、円建銀行引受手形の流通取扱を行おうとするときは、当該金融機関は、あらかじめその内容を所管行政庁に届出るものとする。

(4) 円建銀行引受手形の第一次売却を行う外国為替公認銀行は、自行引受手形の第一次売却残高を毎月所管行政庁に報告するものとする。

(5) 円建銀行引受手形の流通取扱を行う金融機関(金融機関の関連会杜が取り扱う場合を含む。)及び短資業者は、流通取扱実績を毎月所管行政庁に報告するものとする。

7 金融機関等の範囲

(1) 上記5及び6にいう「金融機関」とは、銀行、相互銀行、信用金庫、信用金庫連合会、商工組合中央金庫をいう。

(注) 農林中央金庫については、別途通達する。

(2) 本通達において「本邦所在の外国為替公認銀行」とは、外国為替及び外国貿易管理法(昭和24年法律第228号)第10条第1項の許可を受けた銀行及び外国為替銀行法(昭和29年法律第67号)に規定する銀行の本邦内の本支店をいう。

(3) 本通達において「外国の銀行」とは、外国の法令に準拠して外国において銀行業を営む者の外国における本支店をいう。

(4) 本通達において「短資業者」とは、「貸金業の規制等に関する法律施行令第1条第3号に基づく大蔵大臣の短資業者の指定」(昭和58年大蔵省告示第124号)により指定を受けた者(外貨資金仲立業専業者を除く。)をいう。

(5) 本通達において「金融機関の関連会社」とは、「金融機関とその関連会社との関係について」(昭和50年7月3日付蔵銀第1968号)にいう関連会社をいう。

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