(共通事項)

1 米、麦等の酒類原料の取扱い

 法、令及び規則に「米」、「麦」等の酒類の原料として規定しているものは、社会通念上当該物品として取り扱われているものであれば、その細別、名称、形状等の区分は問わない。

(注) 例えば、「水あめ」には、粉末水あめ(水あめの成分から水が除かれて白色の粉末状のもの)を含み、「ぶどう糖」には、粉末、結晶又は液状のものを含む。

2 原料を加工した際分離されたもの等の取扱い
米ぬか、ふすま、果実の搾りかす等のように原料の加工の際に分離されたもの及び人造米等のようにでん粉、穀類等を加工したものであっても当該加工により当該物品に本質的な変化を来していないものは、加工前の物品の名称のものとして取り扱う。

(注) 「本質的な変化」とは、分解、合成、酸化、還元等の化学的操作又は抽出、蒸留等の精製操作により組成又は成分が明らかに変化することをいい、粉砕、成型、加熱、冷却等の単なる物理的操作により成分がほとんど変化しないときはこれに当たらない。例えば、米粉とでん粉を用いて製造した人造米は、米粉及びでん粉として取扱い、その重量の計算は、人造米の数量を、当該人造米に含まれている米粉とでん粉の重量比によりあん分する。

3 「果実」の定義

 法、令及び規則に規定する「果実」とは、日本標準商品分類の分類番号69−8に属する果実(分類番号69−7412のうめ、同69−7413のゆず類及び同69−78の果実的野菜を含み、同69−85の殻果類を除く。)をいう。

(注) 「殻果類」とは、例えば、くり、くるみ、アーモンドのように子房壁が硬化して堅い殻を作り、種子を食用とするものをいう。

4 酒類原料穀類の重量の計算

 法、令及び規則に「米」、「麦」等酒類の原料として規定している穀類の重量の計算は、選粒又は精白等をするものについては、その後の重量による。

5 酒類の原料物品等の定義

 法、令及び規則に規定する「ぶどう糖」、「水あめ」、「有機酸」、「有機酸の塩類」、「アミノ酸」、「アミノ酸の塩類」、「糖類」、「でん粉質物」、「でん粉質物分解物」、「たんぱく質物」、「たんぱく質物分解物」、「無機酸」、「無機塩類」、「色素」、「粘ちょう剤」、「核酸分解物」、「核酸分解物の塩類」、「アルコール含有物」、「含糖質物」、「香味料」、「転化糖」又は「果糖」とは、それぞれ次に定めるところによる。
 なお、これらの物品が化学的合成品である場合には、その使用に当たって食品衛生法の適用を受けることに留意する。

(1) 「ぶどう糖」とは、例えば、結晶ぶどう糖、精製ぶどう糖のようにでん粉質物を高度に加水分解し、かつ、十分に精製したものをいう。
 なお、ぶどう糖とデキストリン等が共存するものについては、固形分中の純粋なぶどう糖の含有率が100分の50を超える場合はぶどう糖として取り扱う。

(2) 「水あめ」とは、加水分解の程度が低いでん粉質物分解物のうち精製程度が高く、不純物の含有量が少ないものをいう。

(3) 「有機酸」とは、例えば、乳酸、こはく酸、酒石酸、くえん酸をいう。

(4) 「有機酸の塩類」とは、例えば、こはく酸ナトリウムのように有機酸がナトリウム、カリウム等と結合したものをいう。

(5) 「アミノ酸」とは、例えば、グルタミン酸、グリシン、L−イソロイシン又はそれらのものの混合物をいう。

(6) 「アミノ酸の塩類」とは、アミノ酸がナトリウム等と結合したものをいう。

(注) アミノ酸の一つであるグルタミン酸は、ナトリウムと結合したグルタミン酸ナトリウムの形で純粋な結晶として市販されている。

(7) 「糖類」とは、例えば、ぶどう糖、果糖、しょ糖、麦芽糖のように比較的低分子で水に溶け一般に甘味を有する炭水化物又はこれらのものの混合物をいう。

(注) 「比較的低分子」とは三糖類以下のものをいう。

(8) 「でん粉質物」とは、例えば、でん粉、穀類、芋類のようにでん粉質を主成分とするもので、そのでん粉質が主として利用されるものをいう。

(9) 「でん粉質物分解物」とは、でん粉質物を加水分解したものをいう。ただし、糖類に該当するものを除く。

(10) 「たんぱく質物」とは、例えば、大豆のようにたんぱく質を主成分とするもので、そのたんぱく質が主として利用されるものをいう。

(11) 「たんぱく質物分解物」とは、たんぱく質物を加水分解したものをいう。

(12) 「無機酸」とは、例えば、りん酸をいう。

(13) 「無機塩類」とは、例えば、炭酸カルシウム、食塩、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸アンモニウムのように無機酸がカルシウム、ナトリウム、カリウム等と結合したものをいう。

(14) 「色素」とは、酒類に色を付けるための物品をいう。なお、天然のものか合成のものかは問わない。

(15) 「粘ちよう剤」とは、例えば、グリセリン、ソルビットのように酒類の粘ちよう性を増加する目的に使用されるものをいう。

(16) 「核酸分解物」とは、例えば、イノシン酸、グアニル酸又はこれらのものの混合物をいう。

(17) 「核酸分解物の塩類」とは、例えば、イノシン酸ナトリウムのように核酸分解物とナトリウム等の結合したものをいう。

(18) 「アルコール含有物」とは、エチルアルコールを含有するものをいう。
 なお、その物が飲用に供することができるものであるかを問わず、液状であるか固形状であるかを問わない。

(19) 「含糖質物」とは、例えば、砂糖、糖蜜、蜂蜜のように糖分その他の成分を含む物品で、その含有糖分が主として利用されるものをいう。

(20) 「香味料」とは、酒類に香り又は味を付ける目的に使用される物品(酒類を含み、その物品を使用することにより製造しようとする酒類の品目を異にするおそれがあるものを除く。)をいう。
 なお、これらの物品が酒類である場合は、当該酒類のアルコール分の総量が、製造される酒類のアルコール分の総量の100分の5を超えない範囲の数量である場合に限り、香味料として取り扱う。ただし、酒類の原料として香味料及び酒類が規定されている場合には、当該酒類(香味料の原料として使用される原料用アルコール以外の酒類を含む。)は、香味料としては取り扱わない。

(21) 「転化糖」とは、砂糖を分解して得られるぶどう糖と果糖の混合物をいう。

(注) 糖類の分析結果は、通常転化糖総量を基準として表示される。砂糖又はぶどう糖のグラム数から転化糖のグラム数への換算は、次による。

1 砂糖1は、転化糖として1.05

2 ぶどう糖1は、転化糖として1.00

(22) 「果糖」とは、果糖及び果糖とぶどう糖の混合物で高度に精製されたもので固形分中の果糖の重量が100分の50を超えるものをいう。

6 酒類原料を溶解し又は薄めた場合の重量の計算

 アルコール、焼酎(法第3条第9号《その他の用語の定義》に規定する連続式蒸留焼酎及び同条第10号に規定する単式蒸留焼酎をいう。以下、第2編において同じ。)、砂糖、ぶどう糖、水あめ、乳酸、こはく酸、グルタミン酸ソーダ、でん粉等を溶解し又は薄めて酒類の原料とする場合に使用する水は、仕込水として使用したものとして取り扱うものとし、当該原料の重量の計算は、その溶解し、又は薄める前の重量(数回にわたって薄める場合は、初回の際に薄める前の重量)による。

7 酒類の原料として取り扱わない物品

 次に掲げる物品は、酒類の原料として取り扱わない。
なお、その使用について食品衛生法の適用を受けることに留意する。

(1) 健全な酒母の育成を図るための手段として、酒母に加える培養酵母又は酵母に付随している必要最少量の培養液

(2) 発酵を助成促進し又は製造上の不測の危険を防止する等専ら製造の健全を期する目的で、仕込水又は製造工程中に加える必要最小限の次の物品

イ 酸類(乳酸(乳酸菌を含む。)、りん酸、りんご酸、無水亜硫酸、酒石酸)

ロ 塩類(食塩、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム液、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム)

ハ ビタミン類(チアミン塩酸塩)

ニ 除酸剤(炭酸カルシウム、アンモニア)

(注) 炭酸カルシウムの成分規格の一つである炭酸カルシウムUについては、ぶどうを主原料とした果実酒及び甘味果実酒にのみ使用できることに留意する。

ホ 発酵助成剤(不活性酵母、酵母エキス(酵母自己消化物を含む。)、酵母細胞壁、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、チアミン塩酸塩、葉酸、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、ビオチン又はこれらで組成されるもの)

へ タンニン(抽出物)、ポリビニルポリピロリドン

ト 酸素、炭酸ガス(二酸化炭素)、アルゴン

チ 果実酒及び甘味果実酒の製造工程中に加えるパーライト、ばれいしょたんぱく質、酵母たんぱく質抽出物、カゼインカリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、カオリン、リゾチーム、二炭酸ジメチル、微結晶セルロース

リ ぶどうを主原料とした果実酒及び甘味果実酒の製造工程中に加えるキチングルカン、ビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体、フェロシアン化カリウム、フィチン酸カルシウム、亜硫酸水素アンモニウム水、メタ酒石酸、DL−酒石酸カリウム、L−酒石酸カルシウム、硫酸銅、L−酒石酸カリウム、炭酸水素カリウム

(3) 酒造の合理化等の目的で醸造工程中に加える次の酵素剤

イ 清酒、合成清酒及びみりんの製造の際に米こうじと併用する原料(清酒については米、合成清酒については令第3条第1項第1号《合成清酒の原料等》に掲げる物品、みりんについては米及びとうもろこしに限る。)の重量の1,000分の1以下に相当する酵素剤

ロ ビール製造の際に麦芽と併用する必要最少量の酵素剤

ハ 法第3条第15号イ及びロに規定するウイスキーの製造の際に麦芽と併用する必要最少量の酵素剤

ニ 果実に含まれるペクチン質の分解を促進するために加えるペクチン分解酵素剤

ホ リンゴ果汁に含まれるでん粉質及び繊維質の分解を促進するために加える必要最小量のα-アミラーゼ及びセルラーゼ

(4) 法第3条第13号イからニまでに規定する果実酒及び同条第14号イからハまでに規定する甘味果実酒の製造工程中に着香又は酸化防止の目的で加える必要最小限のチップ状又は小片状のオーク(ブナ科コナラ属の植物をいう。)

(5) 変調を来したもろみ等の救済のために使用する規則第13条第8項《みなし製造の規定の適用除外等》に掲げる物品

(6) 蒸留の操作を容易するために使用するもみがら

(7) 蒸し米の粘結化を防ぎ、酒造操作を容易にする目的で原料米処理工程中に使用するグリセリン脂肪酸エステル

(8) 泡を消す目的でもろみ等に使用する必要最少量のシリコーン樹脂

8 「アルコール分」等の度数の定義

 法、令及び規則に規定する「アルコール分1度」又は「エキス分1度」とは、法第3条《その他の用語の定義》第1号に規定する「アルコール分」が「1容量」であること又は同条第2号に規定する「エキス分」が「1グラム」であることをいう。

9 アルコールの重量の計算

 アルコールを酒類の原料とする場合における当該アルコールの重量の計算は次による。

イ 当該アルコールの数量(リットル)×当該アルコールのアルコール分(度)÷100=純アルコール数量(リットル)

ロ 純アルコール数量(リットル)÷0.95=アルコール分95度換算数量(リットル)

ハ アルコール分95度換算数量(リットル)×95度アルコール1リットル当たりの重量(0.8157キログラム)=原料用アルコールの重量(キログラム

10 「連続式蒸留機」の定義

 法、令及び規則に規定する「連続式蒸留機」とは、その蒸留機にアルコール含有物を連続して供給しつつアルコールを連続して蒸留することができる蒸留機で、かつ、その蒸留の過程においてフーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取除くことができる蒸留機をいう。
なお、これらの不純物を蒸留機外に取出す装置を有すると有しないとを問わない。

11 「こす」の意義

 酒類の製造方法の一つである「こす」とは、その方法のいかんを問わず酒類のもろみを液状部分とかす部分とに分離する全ての行為をいう。

12 「発酵させた」の取扱い

 発酵させたものには、発酵させた後こしたもの又はすりつぶしたものを含むことに取り扱う。

13 「蒸留したもの」の範囲

 酒類の製造方法の一つである「蒸留したもの」には、蒸留した酒類を更に繰返して蒸留したもの及びもろみの発酵中に蒸発する気体を冷却して液化したもの(当該もろみに還元する場合を除く。)を含むことに取り扱う。

14 「発泡性を有するもの」の取扱い

 法第3条第3号ハ及び同条第18号に規定する「発泡性を有するもの」とは、温度せっ氏20度の時におけるガス圧が49kpa(キロパスカル)以上の炭酸ガスを含有する酒類をいう。
 なお、法定計量単位としてはN/m2(ニュートン毎平方メートル)、bar(バール)及びatm(アトム)も認められていることから、当該単位を使用した場合及び従来使用していた法定計量kgf/cm2(重量キログラム毎平方センチメートル)との換算を行う場合については、次のとおりである。

(圧力の換算関係)

単位 kgf/cm2 Pa(N/m2) bar atm
圧力 1 9.80665×104 9.80665×10‐1 9.67841×10‐1
1.01972×10‐5 1 1×10‐5 9.86923×10‐6
1.01972 1×105 1 9.86923×10‐1
1.03323 1.01325×105 1.01325 1

(注) ビール、シャンパン及びサイダーの温度せっ氏20度の時におけるガス圧は、おおむね次のとおりである。

ビール 196kPa(2.0kgf/cm2

シャンパン 490kPa(5.0kgf/cm2

サイダー 196kPa〜294kPa(2.0〜3.0kgf/cm2

15 酒類の製成の時期

 酒類の製成の時期とは、法第3条各号《その他の用語の定義》に定める酒類の品目ごとにその製造方法に従って、次のとき又は酒類に炭酸ガス(炭酸水を含む。)を加えたとき若しくは水を加えた場合で品目に異動が生じたときをいう。

品目 製成の時期
清酒  こしたとき(かすこししたときを含む。)。
合成清酒  原料品を混和したとき、発酵させたとき又はこしたとき。
連続式蒸留焼酎及び単式蒸留焼酎  蒸留が終わったとき又は原料品を混和したとき。
みりん  こしたとき(かすこししたときを含む。)又は原料品を混和したとき。
ビール  主発酵(ホップ又は政令で定める物品を加えて更に発酵させた場合を含む。)が終わったとき。
果実酒
1  主発酵(糖類を加えて更に発酵させた場合を含む。)が終わったとき。
2  主発酵(糖類を加えて更に発酵させた場合を含む。)が終わった後又はブランデー等を混和した後にこす場合にはそのこしたとき。
3  ブランデー等、糖類又は香味料を加えたとき。
4  植物を侵してその成分を浸出させるものについては浸出し終わったとき又はろ過したとき。
甘味果実酒
1  主発酵(糖類を加えて更に発酵させた場合を含む。)が終わったとき。
2  主発酵(糖類を加えて更に発酵させた場合を含む。)が終わった後又はブランデー等を混和した後にこす場合にはそのこしたとき。
3  ブランデー等、糖類、香味料、色素又は薬剤を加えたとき。
4  植物を浸してその成分を浸出させるものについては浸出し終わったとき又はろ過したとき。
ウイスキー及びブランデー  蒸留が終わったとき又は原料品を混和したとき。
原料用アルコール  蒸留が終わったとき。
発泡酒
1  主発酵が終わったとき。
2  原料品を混和したとき又はろ過したとき。
その他の醸造酒
1  主発酵(穀類、糖類その他の物品を加えて更に発酵させた場合を含む。)が終わったとき。
2  こしたとき。
3  すりつぶしたとき。
スピリッツ
1  蒸留が終わったとき。
2  原料品を混和したとき又はろ過したとき。
3  主発酵が終わったとき又はこしたとき。
リキュール
1  原料品を混和したとき又はろ過したとき。
2  すりつぶしたとき。
3  原料品を浸してその成分を浸出させるものについては浸出し終わったとき。
粉末酒  粉末状にしたとき又はこれに糖類その他の物品を混和して粉末状にしたとき。
雑酒
1  主発酵が終わったとき又はこしたとき。
2  すりつぶしたとき。
3  原料品を混和したとき又はろ過したとき。

16 品目の判定

(1) 酒類の品目の判定は、原則として、15 <酒類の製成の時期> に該当することとなったときに、法第3条第7号から第23号までの規定により判定する。

(注) 製成後の酒類に水又は炭酸ガス(炭酸水を含む。)を混和したものは、法令で別に定める場合を除き混和前と同一の品目となる。

(2) 製成後の酒類について、当該品目としての要件(アルコール分、エキス分等)を満たさなくなったときは、そのときに新たな酒類を製成したものとして改めて品目の判定を行う。

(3) 法に規定する製造工程に相当する新たな製造方法等が開発・実施された場合には、従来の製造工程が行われたものとして品目を判定する。

(清酒の定義)

1 清酒の原料の種類

 法第3条第7号ロに規定する清酒の原料は、米、米こうじ及び水のほか、清酒かす又は令第2条《清酒の原料》に掲げる物品のうち1種類以上のものとする。

2 清酒の原料となる糖類

 規則第1条の2《清酒の原料となる糖類》に規定する「ぶどう糖以外の糖類ででん粉質物を分解したもの」とは、水あめのほか、例えば、米を原料として加水分解して精製した糖類をいう。

3 こうじ米の重量

 法第3条第7号ロに規定するこうじ米の重量は、こうじの原料に使用した米の重量とする。また、酵素液(米こうじを水に浸し、こうじ中の酵素を水に浸出させたもの)を清酒の原料として使用した場合の米の重量には、当該酵素液の仕込みに使用した米こうじの原料米の重量は算入しないこととし、酵素液の残りかすを清酒の原料として使用した場合の米の重量には、当該酵素液の仕込みに使用した米こうじの原料米の重量は算入する。

4 清酒原料米の重量計算

 令第2条に規定する物品の重量が米(こうじ米を含む。以下5までにおいて同じ。)の重量の100分の50を超えるかどうかは、その仕込みに使用した米、水、清酒かす及び原料として使用した清酒以外の原料の総重量が当該仕込みに使用した米の重量の100分の50を超えるかどうかにより判定する。

5 清酒原料米の重量不足の場合の酒類の品目

 令第2条に規定する物品の重量が、米の重量の100分の50を超えて製造されたものは、清酒には該当しないことから、製造方法等を踏まえ、法第3条各号の規定により品目を判定する。

6 糖類の重量計算

(1) 令第2条《清酒の原料》に規定する「ぶどう糖その他財務省令で定める糖類」の重量には、当該糖類に含有される水分の重量を含めないことに取り扱う。ただし、当該糖類に含有される水分の重量を測定することが困難な場合には、当該水分の重量を含めて計算することとして差し支えない。

(2) 規則第1条の2《清酒の原料となる糖類》に規定する「ぶどう糖以外の糖類ででん粉質物を分解したもの」が液状の場合における糖類の重量の計算方法は、原則として、当該糖類の製造方法等を踏まえ、当該液体に含まれる糖類の重量を合理的に計算する。ただし、米(こうじ米を含む。)を原料として製造する場合で、当該液体の製造方法等による合理的な計算が困難な場合には、次の計算方法によることとして差し支えない。

[計算方法]
米(こうじ米を含む。)の使用重量×0.65=糖類の重量

(合成清酒の定義)

1 「米を原料の全部又は一部として製造した物品」の範囲

 法第3条第8号《その他の用語の定義》に規定する「米を原料の全部又は一部として製造した物品」には、酒類(米を原料として発酵させて蒸留したものを除く。)及び米を原料として製造したでん粉質物分解物、たんぱく質物等を含み、アルコール含有物であるかどうかは問わない。ただし、米を原料として製造した酒類のかすは含まないことに取り扱う。

2 合成清酒に更に合成清酒の原料を加えたものの取扱い

 合成清酒に更に法第3条第8号に規定する物品を加えたものについても、合成清酒に該当することに取り扱う(加えた後の酒類が合成清酒の定義に合致しなくなるものを除く。)。

3 合成清酒原料米の重量超過の場合の酒類の品目

 合成清酒の原料として、米又は米を原料の全部若しくは一部として製造した物品(以下この3において「米等」という。)を使用する場合において、当該酒類をアルコール分20度に換算したときに、米等の重量が当該酒類の重量の100分の5を超えるものは、合成清酒には該当しないことから、製造方法等を踏まえ、法第3条各号の規定により品目を判定する。

4 アミノ酸度の意義等

(1) アミノ酸度とは、令第3条第2項第2号《合成清酒の原料等》に規定する「財務省令で定める方法により測定した場合における原容量10立方センチメートル中に含有するアミノ酸を中和する0.1モル毎リットルの水酸化ナトリウム水溶液の容量」をいう。

(2) (1)の数値の測定方法及び「0.5立方センチメートル以上であること」とは、具体的には次によるのであるから留意する。

[測定方法等]
 室温(温度がせっ氏5度から35度の範囲をいう。以下同じ。)において、検体10ミリリットルを50ミリリットルビーカーに取り、pH計を用いて0.1モル毎リットルでかつ力価1の水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム4グラムを水に溶かして全量を1リットルとした水溶液をいう。なお、この溶液は、試験の度に力価を国税庁所定分析法を定める訓令(昭和36年国税庁訓令第1号)の別冊「国税庁所定分析法」(以下「国税庁所定分析法」という。)に従い標定するのであるから留意する。以下同じ。)により水素イオン指数8.2まで中和する。これに200グラム毎リットルでかつ中性のホルムアルデヒド水溶液5ミリリットルを加え、pH計を用いて0.1モル毎リットルでかつ力価1の水酸化ナトリウム水溶液により水素イオン指数8.2まで滴定した結果が0.5ミリリットル以上であることをいう。

5 酸度の意義等

(1) 酸度とは、令第3条第2項第3号《合成清酒の原料等》に規定する「財務省令で定める方法により測定した場合における原容量10立方センチメートル中に含有する酸を中和する0.1モル毎リットルの水酸化ナトリウム水溶液の容量」をいう。

(2) (1)の数値の測定方法及び「1立方センチメートル以上であること」とは、具体的には次によるのであるから留意する。

[測定方法等]
 室温において、検体10ミリリットルを100ミリリットルの沸騰した水が入っている200ミリリットルビーカーに取り、更に1分間沸騰させる。室温まで冷却し、pH計を用いて0.1モル毎リットルでかつ力価1の水酸化ナトリウム水溶液により水素イオン指数7.2まで滴定した結果が1ミリリットル以上であることをいう。

(焼酎の定義)

1 アルコール含有物を蒸留した酒類に水を加えたものの範囲

 法第3条第9号又は第10号に規定するアルコール含有物を蒸留した酒類に水を加えたものには、蒸留された酒類に水を混和したもののほか、蒸留中の留出液に水を混和したものを含むものとする。

2 焼酎から除かれる酒類

 アルコール含有物を蒸留したものであっても、法第3条第9号イからニまで《その他の用語の定義》に該当する酒類は、焼酎から除かれるものであり、その酒類の品目は次のとおりとなる。

(1) 法第3条第9号イに該当するもの

イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて発酵させたものを蒸留したもので、留出時のアルコール分が、95度未満のものはウイスキー、95度以上のものはスピリッツ

ロ 発芽させた穀類及び水によって穀類を糖化させて発酵させたものを蒸留したもので、留出時のアルコール分が、95度未満のものはウイスキー、95度以上のものはスピリッツ

ハ 果実若しくは果実及び水を原料として発酵させたものを蒸留したもの又は果実酒(果実酒かすを含む。)を蒸留したもので、留出時のアルコール分が、95度未満のものはブランデー、95度以上のものはスピリッツ

(2) 法第3条第9号ロに該当するものは、スピリッツ(いわゆるウオッカ等)

(3) 法第3条第9号ハに該当するものは、スピリッツ(いわゆるラム等)

(4) 法第3条第9号ニに該当するものは、スピリッツ(いわゆるジン等)

3 砂糖等を加えた焼酎の取扱い

 法第3条第9号又は第10号ヘ《その他の用語の定義》に規定する砂糖等を加えた焼酎の取扱いは、次による。

(1) 法第3条第9号に規定する連続式蒸留焼酎又は同条第10号ヘに規定する単式蒸留焼酎に混和することができる物品は、令第3条の2第1項《連続式蒸留焼酎の原料等》に規定する分蜜をした砂糖、酒石酸若しくはくえん酸又はこれらの物品とともに混和する場合の規則第3条《連続式蒸留焼酎の着色料》に規定する食用黄色4号及び食用黄色5号に限る。

(注)

1 砂糖、酒石酸又はくえん酸については、当該混和によって当該酒類に着色又は着香させることとなるものは除かれていることに留意する。

2 「分蜜をした砂糖」とは、砂糖を製造するに当たって、しょ糖液を真空結晶缶による結晶工程操作を加えて、砂糖(しょ糖の結晶体)と糖蜜に分離した際の砂糖部分をいう。

(2) 法第3条第9号又は第10号ヘの規定に基づいて製造した砂糖等を加えた焼酎に、更に令第3条の2第2項の規定に基づいて、同条第1項に規定する物品を混和したものは、法第3条第9号又は第10号ヘに規定する砂糖等を加えた焼酎に該当する。

(3) 法第3条第9号ハ又は第10号ニに規定する焼酎の原料とすることができる「政令で定める砂糖」は、分蜜をしない砂糖で令第4条第2項《しらかばの炭以外のろ過剤等》に規定するものをいう。

(4) 令第3条の2第2項に規定する「木製の容器」とは、かし樽等で貯蔵した結果、樽の成分が酒類に浸出して、貯蔵酒類の香味、色沢等が変化する容器をいい、通常酒類の製造及び貯蔵に使用されている木桶は含まない。

(5) 令第3条の2第2項に規定する「1年以上」の期間の計算に当たっては、過去において木製の容器に貯蔵したことのあるもの又はこれを含むものを再び木製の容器に貯蔵した場合は、それぞれの貯蔵期間を通算する。

4 果実の取扱い

 法第3条第9号イに規定する「果実」には、果実の搾りかすを含むものであり、また、果実を乾燥させたものを粉末状にしたものは、乾燥させた果実として取り扱う。

5 「しらかばの炭」の意義

 法第3条第9号ロに規定する「しらかばの炭」とは、しらかばを原料として製造した炭をいい、そのものの形状及び活性化の有無は問わない。

6 「その他の物品」の意義

 令第4条《しらかばの炭以外のろ過剤等》第1項に規定する「その他の物品」とは、そのものが単独でろ過剤として使用し得るものであるかどうかは問わない。

7 「分蜜をしない砂糖」等の意義

 令第4条第2項《しらかばの炭以外のろ過剤等》に規定する、次の用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

(1) 「分蜜をしない砂糖」とは、積極的な操作を加えて糖蜜を分離しない砂糖をいう。

(2) 「真空結晶缶による結晶工程を経たもの」とは、真空結晶缶を用いてしょ糖液を結晶させる操作を行ったものをいう。

(3) 「加工しないで冷却して製造した」とは、さとうきび、さとうもろこし又はとうもろこしの搾汁を煮沸濃縮したものを、そのまま冷却して砂糖を製造することをいう。

(4) 「粉状又は粒状のもの」とは、さとうきび、さとうもろこし又はとうもろこしの搾汁を煮沸濃縮したものを、冷却工程中又は冷却後において、もみほぐす等して粉状又は粒状としたものをいう。

(5) 「検糖器」とは、(6)に定める直接偏光度を測定することができる器具をいう。

(6) 「直接偏光度」とは、26グラムの砂糖類を温度20度において水100ミリリットルに溶解し、200ミリメートルの観測管に入れて、この中を通過する光線の偏光度により、当該砂糖類のしょ糖分を測定した場合の数値をいう。

8 「留出時のアルコール分」の取扱い

 法第3条第9号ハに規定する「留出時のアルコール分」とは、蒸留機から留出しつつあるときのアルコール分をいうものではなく、酒類が製成されたときのその容器に容在する酒類のアルコール分をいうことに取り扱う。

9 「蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させた」の意義

 法第3条第9号ニに規定する「蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させた」とは、蒸留する際に発生するアルコール蒸気又は液化されて留出するまでのアルコールに、他の物品の成分を浸出させることをいう。
なお、蒸留前のアルコール含有物に他の物品の成分を浸出させて蒸留する場合であっても、他の物品の成分が蒸留後の酒類に含有され、当該他の物品の香味を有しているものは、同号ニに該当するものとして取り扱う。

(注) アルコール分を95度未満で留出させるような蒸留方法による場合は、他の物品の成分が、留出後の酒類に含有される場合が多いから留意する。

10 単式蒸留焼酎の原料として砂糖を使用する場合の取扱い

 法第3条第10号ニ《その他の用語の定義》に規定する政令で定める砂糖を単式蒸留焼酎の原料として使用することは、大島税務署(鹿児島県)の管轄区域内において製造する場合で、当該砂糖と米こうじとを併用するときに限り認める。

11 アルコール含有物を蒸留したものの品目

 アルコール含有物である酒類を蒸留したもので、そのアルコール分が45度以下(連続式蒸留機により蒸留したものについてはアルコール分が36度未満)の酒類の品目は、次のとおりとなる。

(1) 清酒、合成清酒又はみりんを蒸留したもの…焼酎

(2) 連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎を連続式蒸留機で蒸留したもの…連続式蒸留焼酎

(3) 連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎とを混和したものを連続式蒸留機で蒸留したもの…連続式蒸留焼酎

(4) 連続式蒸留焼酎を連続式蒸留機以外の蒸留機(以下、第2編において「単式蒸留機」という。)で蒸留したもの…連続式蒸留焼酎

(5) 連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎とを混和したものを単式蒸留機で蒸留したもの…連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎の混和酒

(6) ビールを蒸留したもの…スピリッツ

(7) 果実酒又は甘味果実酒を蒸留したもの…ブランデー又はスピリッツ

(8) ウイスキーを蒸留したもの…ウイスキー又はスピリッツ

(9) ブランデーを蒸留したもの…ブランデー又はスピリッツ

(10) ウイスキーとブランデーとを混和したものを蒸留したもの…ウイスキーとブランデーの混和酒又はスピリッツ

(11) 発泡酒を蒸留したもの…焼酎、ウイスキー又はスピリッツ

(12) その他の醸造酒を蒸留したもの…焼酎、ウイスキー又はスピリッツ

(13) スピリッツを蒸留したもの…スピリッツ

(14) リキュールを蒸留したもの…リキュールの原料又は製造方法を法第3条第9号、第10号、第15号から第17号まで及び第20号の規定に照らして判定する

(15) 雑酒を蒸留したもの…雑酒の原料及び製造方法を法第3条第9号、第10号、第15号から第17号まで及び第20号の規定に照らして判定する

(みりんの定義)

1 たんぱく質物分解物の取扱い

 令第5条《みりんの原料等》第2項第1号に規定するたんぱく質物分解物は、当分の間、小麦グルテンを原料としたものに限る。

2 ぶどう糖、水あめ又は米の重量計算の取扱い

 令第5条第1項第2号《みりんの原料等》に規定するぶどう糖、水あめ又は米(以下この2において「ぶどう糖等」という。)の重量には、原料として使用するみりんの原料として使用したぶどう糖等の重量を含めて計算することに取り扱う。

3 原料ぶどう糖等の重量計算の取扱い

 令第5条第1項第3号《みりんの原料等》に規定する原料ぶどう糖等の固形分の重量には、当該原料ぶどう糖等に含有される水分の重量を含めないことに取り扱う。ただし、原料ぶどう糖等に含有される水分の重量を測定することが困難な場合には、当該水分の重量を含めて計算することとして差し支えない。

(ビールの定義)

1 「ホップ」の取扱い

 法第3条第12号に規定する「ホップ」には、ルプリン、フムロン又はホップエキスを含むことに取り扱う。

2 ビールの原料となる香味料

 令第6条第1項第2号に規定するビールの原料となる「香味料」とは、共通事項の5〈酒類の原料物品等の定義〉(20)に定める香味料に含まれる物品のうち、規則第4条第2項に規定する物品をいうのであるから留意する。

3 麦芽の原料の重量計算

 ビールの原料として、麦芽を原料の一部として製造した物品(アルコール含有物を除く。)を使用する場合の麦芽の重量及び麦芽比率は、その物品の原料とした麦芽の重量を含めて計算する。

(注) 麦芽を原料の一部として製造した物品の一部をビールの原料として使用する場合には、その物品の原料(水を除く。)の重量比によりあん分計算を行い、ビールの原料として使用された麦芽の重量を算出する。

4 原料中政令で定める物品の重量計算

 法第3条第12号ロ又はハに規定する原料中政令で定める物品の重量の合計の計算に当たっては、当該物品を原料として発酵させる時点における重量により計算を行う。

(注) 例えば、濃縮果汁を加水により希釈した後に原料として発酵させる場合には、希釈後の濃縮果汁の重量により計算を行う。

5 「残しビール」の意義等

 「残しビール」とは、ビールの製造工程中、発酵容器における発酵又は調熟が終わったビールを移動した際に当該発酵容器に残したビールをいう。

(注) 「残しビール」は、酒類に該当するものであるが、酒母、もろみ及びこうじの定義の3〈残しビール等の取扱い〉に定めるところにより酒母として取扱う場合があることに留意する。

(果実酒及び甘味果実酒の定義)

1 果実酒及び甘味果実酒の原料となる果実

 法第3条第13号に規定する果実酒及び同条第14号に規定する甘味果実酒(以下、第2編において「果実酒等」という。)の原料となる「果実」には、果実を乾燥させたもの、果実を煮つめたもの、濃縮させた果汁又は果実の搾りかすを含む。

2 果実酒等に水を加える場合の取扱い

 法第3条第13号ニ又は第14号ハに規定する果実酒等の製造方法として、第13号イからハまでに掲げる酒類又は第14号イ若しくはロに掲げる酒類に水だけを加える場合は、第13号ニ又は第14号ハに掲げる酒類の製造としては取り扱わない。

(注) 規則第13条第6項に該当するときは、新たな酒類の製造となるものであるから留意する。

3 「既に加えたブランデー等」の取扱い

 法第3条第13号ニ及び第14号ハ《その他の用語の定義》に規定する「既に加えたブランデー等」には、果実酒等を製造するときに加えたもの、その後において更に加えたもの及び法第43条第1項第6号《みなし製造》の規定により酒類の保存のために加えたもの全てを含むことに取り扱う。
なお、ブランデー等を加えた果実酒等を果実酒等の原料等とするために未納税移出する場合には、移入製造場において「既に加えたブランデー等」の数量を把握する必要があるため、移出製造場において、当該ブランデー等を加えた果実酒等に係る製造方法を明らかにさせる。

4 果実酒等にブランデー等を加えた場合の混和割合の取扱い

 法第3条第13号ニ又は第14号ハ若しくはニに規定する果実酒等のうち、ブランデー等を加えたものについての混和割合は、当該ブランデー等を加えた後の果実酒等のアルコール分の総量に対する加えた当該ブランデー等のアルコール分の総量の割合をいうことに取り扱う。

(例) 次の製造方法の場合においては、その混和割合は、次のように90.0パーセントとなる。

1 製造方法
製造方法

2 混和割合の計算
混和割合の計算

5 ブランデー等のアルコール分の総量が100分の90を超えるものの取扱い

 法第3条第14号ハ又はニ《その他の用語の定義》に規定する甘味果実酒を製造する場合で、ブランデー等を加えた場合のブランデー等のアルコール分の総量が、当該ブランデー等を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の90を超えることとなったものは、そのエキス分が2度未満のものはスピリッツに、そのエキス分が2度以上のものはリキュールに、それぞれ該当する。

6 果実酒等にブランデー等を加える時期

 法第3条第13号ニ又は第14号ハに規定する果実酒等を製造する場合のブランデー等を加える時期は、主発酵が50パーセント以上進行した場合に限る。

7 第13号ニに規定する酒類の範囲

 法第3条第13号ニに規定する果実酒にブランデー等若しくは糖類、香味料又はこれらと水を加えたものも、同号ニに規定する酒類に該当することに取り扱うこととする。

8 第14号ハ又はニに規定する酒類の範囲

 法第3条第14号ハに規定する甘味果実酒にブランデー等若しくは糖類、香味料、色素又はこれらと水を加えたものも、同号ハに規定する酒類に該当することに取り扱うこととし、同号ニについても同様とする。

9 「加えた糖類の重量」の計算方法

 令第7条に規定する「加えた糖類の重量」を転化糖として換算する方法は、次による。

(1) ぶどう糖及び果糖
 転化糖の重量=ぶどう糖又は果糖の重量×1

(2) 砂糖
 転化糖の重量=砂糖の重量×1.05

10 「果実に含有される糖類の重量」の計算方法

 令第7条に規定する「果実に含有される糖類の重量」(転化糖の重量)の計算方法は、次による。

[計算方法]
果実に含有される糖類の重量=果汁の容量×転化糖分/100

[計算例]
ぶどう果汁500リットルに含有される糖類(転化糖)の重量を算出する。

イ 果汁の温度及び比重を測定し、温度15度における比重に換算する。

(例) 果汁の温度20度、比重1.0600の場合、温度15度における比重は、1.0610となる。

ロ 次の算式により転化糖分を算出する。
 転化糖分=(温度15度における比重−1)×100×2.7−2.5=(1.0610−1)×100×2.7−2.5=13.97(小数第3位は切捨て。)

ハ 果実に含有される糖類の重量を算出する。
 果実に含有される糖類の重量=果汁の容量500リットル×転化糖分13.97/100=69.9kg

11 オークの取扱い

 令第7条第4項に規定する「オーク」とは、共通事項の7の(4)に定める植物をいう。

(ウイスキーの定義)

1 発芽させた穀類の取扱い

 法第3条第15号イ及びロに規定する「発芽させた穀類」には、発芽させた穀類を糖化させたもの(糖化液)を含むことに取り扱う。

2 第15号ハに規定するウイスキーの範囲

 法第3条第15号ハに規定するウイスキーに、アルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えた場合において、当該ウイスキー及び加えたスピリッツに含まれる同号イ及びロに規定するウイスキー(以下、これらを「ウイスキー原酒」という。)のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10以上のものは、同号ハに規定するウイスキーに該当する。
なお、法第3条第15号イ又はロに規定するウイスキーが含まれている酒類を同号ハに規定するウイスキーの原料等とするために未納税移出する場合には、移入製造場において、当該酒類に含まれる同号イ又はロに規定するウイスキーのアルコール分の総量を把握する必要があるため、移出製造場において、当該酒類の製造方法を明らかにさせる。

3 留出時のアルコール分の取扱い

 法第3条第15号イ及びロ《その他の用語の定義》に規定する「留出時のアルコール分」の取扱いは、焼酎の定義の8(「留出時のアルコール分」の取扱い)の定めを準用する。

4 ウイスキーに使用する色素の取扱い

 法第3条第15号ハに規定する色素は、当分の間カラメルに限る。

(ブランデーの定義)

1 果実の取扱い

 法第3条第16号イ《その他の用語の定義》に規定する果実の取扱いは、焼酎の定義の4(果実の取扱い)の定めを準用する。

2 留出時のアルコール分の取扱い

 法第3条第16号イ《その他の用語の定義》に規定する「留出時のアルコール分」の取扱いは、焼酎の定義の8(「留出時のアルコール分」の取扱い)の定めを準用する。

3 果実酒かすを水に浸したものの取扱い

 法第3条第16号イに規定する「果実酒かす」には、果実酒かすを水に浸して、そのアルコール分を浸出させたものを含むことに取り扱う。

4 ブランデーに使用する色素の取扱い

 法第3条第16号ロに規定する色素は、当分の間カラメルに限る。

5 第16号ロに規定するブランデーの範囲

 法第3条第16号ロに規定するブランデーに、アルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えた場合において、当該ブランデー及び加えたスピリッツに含まれる同号イに規定するブランデー(以下「ブランデー原酒」という。)のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10以上のものは、同号ロに規定するブランデーに該当する。
なお、法第3条第16号イに規定するブランデーが含まれている酒類を同号ロに規定するブランデーの原料等とするために未納税移出する場合には、移入製造場において、当該酒類に含まれる同号イに規定するブランデーのアルコール分の総量を把握する必要があるため、移出製造場において、当該酒類の製造方法を明らかにさせる。

(発泡酒の定義)

1 「麦芽又は麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの」の意義

 法第3条第18号に規定する「麦芽又は麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの」には、麦芽又は麦を原料の全部としたものを含む。

2 「麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたもの」の意義

 法第3条第18号《その他の用語の定義》に規定する「麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたもの」とは、焼酎、ウイスキー又はブランデーに該当する酒類以外のもの(例えばいわゆるウオッカ又はジン等)をいう。

3 発泡酒の原料の重量計算

 発泡酒の原料の重量計算における麦芽比率の計算に当たっては、ビールの定義の3〈麦芽の原料の重量計算〉の定めを準用する。

(注) 麦芽を原料の全部又は一部としたアルコール含有物は、平成29年改正令(酒税法施行令等の一部を改正する政令(平成29年政令第110号)をいう。以下同じ。)附則第3条《発泡酒の原料の重量の計算に関する経過措置》によることに留意する。

4 「残し発泡酒」の意義等

 「残し発泡酒」とは、麦芽、麦等を発酵させた発泡酒のうち、発泡酒の製造工程中、発酵容器における発酵又は調熟が終わった発泡酒を移動した際に当該発酵容器に残した発泡酒をいう。

(注) 「残し発泡酒」は、酒類に該当するものであるが、酒母、もろみ及びこうじの定義の3〈残しビール等の取扱い〉に定めるところにより酒母として取扱う場合があることに留意する。

(リキュールの定義)

1 リキュールの原料となる酒類の取扱い

 法第3条第21号に掲げるリキュールの原料となる酒類とは、製成された酒類をいうものとし、発酵過程中の酒類(アルコール分1度以上を有するもろみを含む。)は含まないことに取り扱う。

2 リキュールから除かれる「その性状がみりんに類似する酒類」の取扱い

 令第8条の2第1号《みりんに類似する酒類》の取扱いは、次による。

(1) 酒類の製造過程で、既に木灰が加えられているものについては、既に加えられている木灰の重量も令第8条の2第1号に規定する木灰の重量に含まれるものとして取り扱う。

(2) 木灰汁を酒類の原料とする場合の木灰の重量は、木灰汁に使用した木灰が全て溶解したものとして計算する。

(計算例)
木灰21キログラムに水を加え、100リットルの木灰汁を作り、その上澄液60リットルを酒類6,100リットルに加え、6,160リットルの酒類を製成した場合の木灰の重量は次のとおりである。

1 原料とした木灰の重量
原料とした木灰の重量

2 製成酒類1キロリットル当たり木灰のキログラム数
製成酒類1キロリットル当たり木灰のキログラム数

(令第8条の2第1号に該当)

3 吸光度

(1) 吸光度とは、令第8条の2第3号に規定する「財務省令で定める方法により測定した場合における光を吸収する度合」をいう。

(2) 当該数値の測定方法は、具体的には次によるのであるから留意する。

[測定方法]
日本産業規格(産業標準化法(昭和24年法律第185号)第20条第1項に規定する日本産業規格をいう。)に定める吸光光度分析通則に従い、検体について、10ミリメートル長のセルを用いて、波長430ナノメートルにおける吸光度を光電光度計又は分光光度計により測定した結果をいう。

(酒母、もろみ及びこうじの定義)

1 酒母の取扱い

 法第3条第24号に規定する「酒母」とは、アルコール分の有無を問わないものとし、また、同号及び規則に定める用途に供するものを除いては、酒類製造の用に供すると供しないとを問わないことに取り扱う。

2 もろみの取扱い

 法第3条第25号に規定する「もろみ」とは、アルコール分の有無を問わないものとし、また、「発酵させる手段を講じたもの」には、発酵過程中において冷却等の手段を講ずることにより1度以上のアルコール分を有しないこととなるものであっても、通常の状態に放置したときは、1度以上のアルコール分を有することとなるものも含む。

3 残しビール等の取扱い

 残しビール等(残しビール及び残し発泡酒をいう。以下同じ。)のうち、次の用途に使用するものは、発酵容器から取り出した時点をもって、その残しビール等全体を酒母として取り扱う。

(1) ビール又は発泡酒を製造するための酵母。ただし、残しビール等をビール又は発泡酒と酵母に分離した場合を除く。

(2) 乾燥酵母等(酵母細胞を死滅させ発酵力をなくした不活性なものをいう。以下同じ。)の製造

(3) 医薬品、飼料等の原料

(注)

1 ビールの製造に残し発泡酒を使用した場合には、その残し発泡酒に使用した原料によりビールに該当しない場合があることに留意する。

2 アルコール分を有する残しビール等(麦芽を原料の全部又は一部としたものに限る。)を発泡酒の製造に使用する場合の当該残しビール等は、平成29年改正令附則第3条《発泡酒の原料の重量の計算に関する経過措置》のアルコール含有物に該当することに留意する。

3 この規定の用途以外に使用する残しビール等は、ビールの定義の3〈「残しビール」の意義等〉及び発泡酒の定義の4〈「残し発泡酒」の意義等〉による酒類であることに留意する。

4 こうじの原料の取扱い

 こうじの原料の取扱いは、次による。

(1) 法第3条第26号に規定する「こうじ」の原料には、液状のものも含むことに取り扱う。

(2) 令第9条《こうじの原料》に規定する「でん粉質物以外の物品」とは、こうじの製造操作を容易にする等のために使用するもみがら等をいう。

5 種こうじの取扱い

 種こうじ及び種こうじから分離した胞子は、法第3条第26号に規定する「こうじ」として取り扱う。


酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達目次

(前) 第1編総則

(次) 第6条 納税義務者