(問75)

同一の通算グループ内の法人であるA社、B社及びC社の各事業年度の期限内申告における外国税額の控除の計算は次のとおりとなっています。

  1. (1) 自X1年4月1日至X2年3月31日事業年度(以下「前々期」といいます。)
      A社 B社 C社 合計
    所得金額 0 200 400 600
    調整前国外所得金額 200 100 ▲60 240
    調整金額 0(240<540(600×90%))
    調整国外所得金額 200 100 ▲60 240
    法人税の額 0 40 80 120
    外国法人税の額 40 15 0 55
    調整前控除限度額 120×200/600
    =40
    120×100/600
    =20
    120×▲60/
    600=▲12
    48
    控除限度調整額 12×40/60=8 12×20/60=4 12
    控除限度額 40−8=32 20−4=16 0 48
    税額控除額 32(32<40) 15(16>15) 0  
    翌期に繰り越す
    控除限度超過額
    8
    翌期に繰り越す
    控除余裕額
    1
  2. (2) 自X2年4月1日至X3年3月31日事業年度(以下「前期」といいます。)
      A社 B社 C社 合計
    所得金額 0 200 400 600
    調整前国外所得金額 200 100 0 300
    調整金額 0(300<540(600×90%))
    調整国外所得金額 200 100 0 300
    法人税の額 0 40 80 120
    外国法人税の額 35 30 0 65
    控除限度超過額 8  
    控除余裕額 1
    調整前控除限度額 120×200/600
    =40
    120×100/600
    =20
    120×0/600
    =0
    60
    控除限度調整額
    控除限度額 40 20 0 60
    税額控除額 40 21  
    翌期に繰り越す
    控除限度超過額
    3 9
    翌期に繰り越す
    控除余裕額

その後、X3年12月1日にC社の所得金額及び法人税の額につき税務調査に基づく更正が行われ、これに伴い前々期の外国税額の控除の計算における所得金額、調整前国外所得金額、法人税の額が次のとおり変動することとなりました。

解読図
  A社 B社 C社 合計
期限内申告 更正後 期限内申告 更正後
所得金額 0 200 400 460 600 660
調整前国外所得金額 200 100 ▲60 0 240 300
法人税の額 0 40 80 92 120 132
外国法人税の額 40 15 0 0 55 55

通算制度における外国税額の控除では、修更正事由があった場合でも、そのことによる金額の異動は進行事業年度に調整すればよく、修正申告等を行う必要はないそうですが、この場合、A社、B社及びC社の計算はそれぞれ具体的にどのように行うこととなりますか。
 なお、いずれの法人も前々期及び前期において非課税国外所得金額はありません。

【回答】

期限内申告における税額控除額(法人税法第69条第1項から第3項までの規定による控除をされるべき金額をいいます。以下同じです。)と再計算後の税額控除額との間に過不足額が生じることとなる場合であっても、税額控除額は期限内申告の金額で固定することとされており、修正申告等を行う必要はありません。期限内申告の金額との過不足額はいわゆる進行事業年度(修更正を行う場合には原則としてその修更正のあった日の属する事業年度)で調整することとなります。
 本件については、A社は、進行事業年度(当期)において、前々期の税額控除額の不足額8を法人税の額から控除するとともに、前期の税額控除額の超過額5を法人税の額に加算することとなります。また、B社は、進行事業年度(当期)において、前期の税額控除額の不足額4を法人税の額から控除することとなります。

【解説】

  1. 1 通算法人の税額控除額に変動が生じた場合の外国税額の控除の計算
    1. (1) 税額控除額の期限内申告額による固定
       通算法人の外国税額の控除の計算は、通算グループの要素(各通算法人の所得金額、国外所得金額及び法人税の額の合計額)を用いて行うため、通算法人の過去の事業年度におけるこれらの要素に変動が生じた場合には、通算グループ内の全ての通算法人は、その変動後の要素に基づいて外国税額の控除の再計算を行う必要が生じます。
       ただし、その過去の事業年度について、期限内申告における税額控除額と再計算後の税額控除額との間に過不足額が生じることとなる場合であっても、その過去の事業年度の税額控除額は期限内申告の金額で固定することとされており(法6915)、修正申告等を行う必要はありません(注)。
    2. (注) 税額控除額の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装して税額控除額を増加させることによりその法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合等に該当するときは、(1)の措置は適用されません。
    3. (2) 過不足額の進行事業年度における調整
       上記(1)の過不足額については、対象事業年度(いわゆる進行事業年度をいい、修更正を行う場合には原則としてその修更正のあった日の属する事業年度)において、次の調整を行うこととされています(法691718)。
      1. イ 期限内申告における税額控除額 < 再計算後の税額控除額
         ⇒差額を進行事業年度の法人税の額から控除
      2. ロ 期限内申告における税額控除額 > 再計算後の税額控除額
         ⇒差額を進行事業年度の法人税の額に加算
  2. 2 本件における各通算法人に係る外国税額の控除の計算
    1. (1) 調査後の金額に基づく前々期の外国税額の控除の計算
       本件のC社の調査後の金額に基づく前々期のA社、B社及びC社の外国税額の控除の計算は次のとおりとなります。
        A社 B社 C社 合計
      所得金額 0 200 460 660
      調整前国外所得金額 200 100 0 300
      調整金額 0(300<594(660×90%))
      調整国外所得金額 200 100 0 300
      法人税の額 0 40 92 132
      外国法人税の額 40 15 0 55
      調整前控除限度額 132×200/660
      =40
      132×100/660
      =20
      132×0/660
      =0
      60
      控除限度調整額
      控除限度額
      (期限内申告額)
      40
      (32)
      20
      (16)
      0
      税額控除額
      (期限内申告額)
      40
      (32)
      15
      (15)
      0
      翌期に繰り越す
      控除限度超過額
      (期限内申告額)
      0
      (8)
      翌期に繰り越す
      控除余裕額
      (期限内申告額)
      5
      (1)

      A社は税額控除額の不足額(8)が生じますが、税額控除額は期限内申告額(32)で固定し、この不足額についてはA社の進行事業年度(以下「当期」といいます。)で調整を行うこととなります。
       また、B社は控除限度額が変動しますが、税額控除額(15)は変動しません(控除余裕額のみ変動)ので、期限内申告額に固定する措置は適用されません。

    2. (2) 調査後の金額に基づく前期の外国税額の控除の計算
       本件のC社の前々期の調査後の金額に基づく前期のA社、B社及びC社の外国税額の控除の計算は次のとおりとなります。
        A社 B社 C社 合計
      所得金額 0 200 400 600
      国外所得金額 200 100 0 300
      調整前国外所得金額 200 100 0 300
      調整金額 0(300<540(600×90%))
      調整国外所得金額 200 100 0 300
      法人税の額 0 40 80 120
      外国法人税の額 35 30 0 65
      控除限度超過額
      (期限内申告額)
      0
      (8)
       
      控除余裕額
      (期限内申告額)
      5
      (1)
      調整前控除限度額 120×200/600
      =40
      120×100/600
      =20
      120×0/600
      =0
      60
      控除限度調整額
      控除限度額 40 20 0 60
      税額控除額
      (期限内申告額)
      35
      (40)
      25
      (21)
      0
      翌期に繰り越す
      控除限度超過額
      (期限内申告額)
      0
      (3)
      5
      (9)
      翌期に繰り越す
      控除余裕額
      (期限内申告額)
      5
      (0)

      前期の控除限度超過額及び控除余裕額が変動する結果、A社は税額控除額の超過額(5)が、B社は不足額(4)がそれぞれ生じますが、税額控除額はA社及びB社それぞれ期限内申告額(A社:40、B社:21)で固定し、この超過額及び不足額はA社及びB社それぞれ当期で調整を行うこととなります。

    3. (3) 調査後の金額に基づく当期の外国税額の控除の過不足額の調整
       本件のC社の前々期の調査後の金額に基づく当期のA社、B社及びC社の外国税額の控除の計算は次のとおり当期の法人税の額から控除又は法人税の額に加算します。
        A社 B社 C社
      当期の法人税の額に加算
      (上記1(2)ロ)
      5
      (上記2(2))
      当期の法人税の額から控除
      (上記1(2)イ)
      8
      (上記2(1))
      4
      (上記2(2))

      このように、A社及びB社の前々期及び前期の税額控除額の変動額をA社及びB社それぞれの当期の法人税の額から控除又は法人税の額に加算します。

(参考)
 通算法人に係る外国税額の控除の計算については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問73 通算法人に係る外国税額の控除の計算