(問37)

S社(9月決算)は、通算親法人P社(3月決算)がX1年12月3日に自社の発行済株式の全てを取得したため、P社の通算グループに加入することとなりました。
 S社は、これによって生ずる加入した日の前日の属する事業年度について、会計期間の末日の翌日を加入日とする加入時期の特例を適用して申告を行うこととし、P社は、S社がその適用を受けるための一定の書類をその提出期限内に納税地の所轄税務署長に提出しました。
 しかし、X2年5月25日にP社がS社の株式を通算グループ外の第三者へ売却したことから、S社はP社による完全支配関係(通算除外法人(注)及び外国法人が介在しない一定の関係に限ります。以下同じです。)を有しないこととなりました。
 この場合、S社はどのような申告を行うこととなりますか。

【回答】

S社は、自X1年10月1日至X2年9月30日事業年度について、通算制度の規定を適用しないで申告を行うこととなります。

【解説】

通算子法人となる法人が、通算親法人との間にその通算親法人による完全支配関係を有することとなった場合において、その完全支配関係を有することとなった日(以下「加入日」といいます。)からその加入日の前日の属する会計期間又は月次決算期間の末日まで継続してその通算子法人となる法人とその通算親法人との間にその通算親法人による完全支配関係があるときには、通算親法人又は通算親法人となる法人が会計期間又は月次決算期間の末日の翌日を加入日とする加入時期の特例に関する一定の書類をその提出期限内に納税地の所轄税務署長に提出することにより、この特例を適用することができることとされています(法148一)。
 このとき、その通算子法人となる法人の事業年度は、会計期間又は月次決算期間の末日に終了し、これに続く事業年度は、その会計期間又は月次決算期間の末日の翌日から開始するものとされています(法148一)。
 また、法人が通算親法人との間にその通算親法人による完全支配関係を有することとなった場合において、この特例に関する一定の書類をその提出期限内に納税地の所轄税務署長に提出したものの、その完全支配関係を有することとなった日からその日の前日の属する会計期間又は月次決算期間の末日までの間にその通算親法人による完全支配関係を有しないこととなるときには、その法人の事業年度は通算親法人による完全支配関係を有することとなった日の前日に終了しないこととされています(法148二)。
 このときにおいて、その法人が通算親法人との間にその通算親法人による完全支配関係を有することとなったとしても、その有することとなった日において通算制度の承認の効力は生じません(法64の911括弧書)。
 本件では、S社はP社によりX1年12月3日に発行済株式の全てを取得されたため、同日においてP社による完全支配関係を有することとなりましたが、X2年5月25日にP社がS社の株式を売却したことにより完全支配関係を有しなくなり、その有することとなった日(X1年12月3日)からその有することとなった日の前日の属する会計期間の末日(X2年9月30日)までの間にP社による完全支配関係を有しないこととなります。ここで、P社はS社の会計期間の末日の翌日を加入日とする加入時期の特例に関する一定の書類をその提出期限内に提出していることから、完全支配関係を有することとなった日の前日(X1年12月2日)に事業年度は終了せず、また、S社にはP社による完全支配関係に係る通算制度の承認の効力も生じませんので、X1年10月1日からX2年9月30日までの会計期間を事業年度として、通算制度の規定を適用しないで申告を行うこととなります。

解読図

(注) このQ&Aにおいて、通算除外法人とは、問2の(1)から(9)までに掲げる法人をいいます。

(参考)
 通算除外法人及び通算子法人となる法人の加入日からその加入日の前日の属する 会計期間の末日まで通算親法人による完全支配関係が継続している場合の事業年度の特例については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問2 通算子法人となることができる法人
  2. 問36 会計期間の中途で通算制度に加入する法人の加入時期の特例