(問51)

 連結親法人となるP社と、P社による完全支配関係を有する連結子法人となるS社は、連結納税の承認を受けて連結納税を開始することとなりました。
 また、S社は連結納税の開始において時価評価を要しない法人に該当します。
 このとき、P社及びS社には、連結納税を開始する前の事業年度において生じた青色欠損金額がありますが、この青色欠損金額は、連結所得の金額の計算上損金の額に算入できるのでしょうか。

【回答】

 P社及びS社の連結納税を開始する前の一定の事業年度において生じた青色欠損金額は、いずれも連結欠損金額とみなされ、一定の金額の範囲内で連結所得の金額の計算において損金の額に算入されます。

【解説】

 連結親法人の各連結事業年度開始の日前9年(注1)以内に開始した連結事業年度において生じた連結欠損金額(前連結事業年度までに損金の額に算入された金額などを除きます。)がある場合には、その連結欠損金額に相当する金額は、その各連結事業年度の連結所得の金額の計算において、その連結欠損金額の損金算入前の連結所得の金額として一定の金額の50%(注2)に相当する金額(以下「損金算入限度額」といいます。)を限度として、損金の額に算入されます(法81の91)。
 また、連結親法人又は連結子法人に係る次の金額など一定の金額は、連結事業年度において生じた連結欠損金額とみなされます(法81の92)。

  1. 1 連結親法人の最初の連結事業年度開始の日前9年(注1)以内に開始した各事業年度において生じた青色欠損金額等で一定の金額
  2. 2 特定連結子法人(連結納税の開始又は加入において時価評価を要しないこととされる連結子法人をいいます。以下同じです。)の最初の連結事業年度開始の日前9年(注1)以内に開始した各事業年度において生じた青色欠損金額等で一定の金額(連結グループに加入した特定連結子法人については青色申告書である確定申告書を提出していることなど一定の要件を満たすものに限ります。)
  3. 3 特定連結子法人(最初の連結事業年度開始の日の前日が連結事業年度終了の日であるものに限ります。)のその開始の日前9年(注1)以内に開始した各連結事業年度において生じたその特定連結子法人の連結欠損金個別帰属額

 本件では、P社の上記1に該当する青色欠損金額及びS社の上記2に該当する青色欠損金額は、連結事業年度において生じた連結欠損金額とみなされ、損金算入限度額の範囲内で連結所得の金額の計算において損金の額に算入されます。

(注1) 平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度において生ずる連結欠損金額については10年となります(平27年改正法附則301)。

(注2) 次の連結事業年度についてはそれぞれ次の割合によります(平27年改正法附則302)。

平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する連結事業年度 65%
平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する連結事業年度 60%
平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する連結事業年度 55%

また、連結親法人が中小法人等である場合など一定の場合には100%となります(法81の98)。

(参考)

連結納税の開始において時価評価を要しない連結子法人及び連結欠損金額の損金算入額の計算方法については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問33 連結納税の開始に伴う時価評価を要しない法人
  2. 問53 連結欠損金額の損金算入額の計算方法