連結親法人P社は、連結子法人S1社及びS2社とともに×2年4月1日から連結納税を開始しました(いずれも3月決算)。
S1社及びS2社はいずれも特定連結子法人であり、P社、S1社及びS2社の連結納税開始前の事業年度の青色欠損金額は次のとおりです。
×1年3月期発生分 | ×2年3月期発生分 | みなし連結欠損金額 | |
---|---|---|---|
P社 | 0 | 400 | 400 |
S1社 | 200 | 200 | 400 |
S2社 | 300 | 0 | 300 |
また、P社、S1社及びS2社の×3年3月期の連結欠損金額の損金算入前の連結所得金額等は次のとおりです。
連結欠損金額の損金算入前の連結所得金額 | 1,500 |
---|---|
(P社の個別所得金額) | (500) |
(S1社の個別所得金額) | (800) |
(S2社の個別所得金額) | (200) |
この場合の連結欠損金額の損金算入額の計算はどのように行うのでしょうか。
なお、P社に係るみなし連結欠損金額は特定連結欠損金額以外の連結欠損金額(以下「非特定連結欠損金額」といいます。)に該当し、S1社及びS2社に係るみなし連結欠損金額は特定連結欠損金額に該当します。
また、P社は連結欠損金額の損金算入限度額を連結欠損金額の損金算入前の連結所得の金額の50%とする制限が課されない中小法人等などの法人には該当しません。
まず、×1年3月期発生分のS1社及びS2社の特定連結欠損金額に係る損金算入額を計算し、次に、×2年3月期発生分のS1社の特定連結欠損金額に係る損金算入額を計算し、最後に、×2年3月期発生分の非特定連結欠損金額に係る損金算入額を計算することとなります。
連結欠損金額の損金算入額は、連結欠損金額の損金算入前の連結所得の金額として一定の金額の50%(注)に相当する金額(以下「損金算入限度額」といいます。)が限度となります(法81の9)。このため、連結欠損金額の損金算入額の計算では、当期の損金算入限度額に達するまで、連結欠損金額のうち最も古い連結事業年度(連結子法人の最初の連結事業年度開始前の事業年度において生じた青色欠損金額等で一定の金額が連結欠損金額とみなされる場合には、原則として、その事業年度開始の日の属する連結親法人の連結事業年度又は事業年度がその特定連結欠損金額の生じた連結事業年度となります(令155の19
)。)に生じた連結欠損金額から、順次損金の額に算入することとなります(連基通11−1−1)。
また、同一の連結事業年度において生じた連結欠損金額(連結欠損金額とみなされたものを含みます。)のうちに特定連結欠損金額と非特定連結欠損金額があるときは、まず特定連結欠損金額について、損金算入限度額の範囲内で、特定連結欠損金額を有する連結法人の連結欠損金額の損金算入前の個別所得金額として一定の金額(以下「個別所得金額」といいます。)を限度に損金の額に算入し、次に損金算入限度額から損金の額に算入された特定連結欠損金額を控除した金額を限度に非特定連結欠損金額を損金の額に算入することとなります(法81の9一、連基通11−1−1)。
本件における連結欠損金額の損金算入額の計算は次のとおりです。
損金算入額 | 限度超過額 | |
---|---|---|
特定連結欠損金額(S1) | 200 | 0 |
特定連結欠損金額(S2) | 200 | 100 |
非特定連結欠損金額 | 0 | 0 |
合計額 | 400 | 100 |
損金算入額 | 限度超過額 | |
---|---|---|
特定連結欠損金額(S1) | 200 | 0 |
特定連結欠損金額(S2) | 0 | 0 |
非特定連結欠損金額 | 150 | 250 |
合計額 | 350 | 250 |
損金算入額 | 限度超過額 | |
---|---|---|
特定連結欠損金額(S1) | 400 | 0 |
特定連結欠損金額(S2) | 200 | 100 |
非特定連結欠損金額 | 150 | 250 |
合計額 | 750 | 350 |
(注) 次の連結事業年度についてはそれぞれ次の割合によります(平27年改正法附則30)。
平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する連結事業年度 | 65% |
---|---|
平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する連結事業年度 | 60% |
平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する連結事業年度 | 55% |
また、連結親法人が中小法人等である場合など一定の場合には100%となります(法81の9)。
(参考)
連結欠損金額とみなされる青色欠損金額については、次のQ&Aを参照してください。