連結子法人S1社は、前期に連結子法人S2社に対して譲渡損益調整資産を譲渡して、その譲渡損益を繰り延べていましたが、当期においてS1社を被合併法人、連結子法人S3社を合併法人とする適格合併が行われることとなりました。
この場合、被合併法人となるS1社が繰り延べていた譲渡損益は、どのように取り扱われることとなりますか。
被合併法人となるS1社が繰り延べていた譲渡損益は、合併法人となるS3社に引き継がれ、S3社がその譲渡損益を繰り延べているものとして取り扱うこととなります。
内国法人が譲渡損益調整資産を譲渡しその譲渡損益を繰り延べる規定(法61の13)の適用を受けた場合において、その内国法人(譲渡法人)を被合併法人とする適格合併(合併法人が譲渡法人との間に完全支配関係のある内国法人である場合に限ります。以下同じです。)によりその内国法人が解散したときは、その適格合併に係る合併法人のその適格合併の日の属する事業年度以後の各事業年度においては、その合併法人をこの規定の適用を受けた法人とみなして、法人税法第61条の13の規定を適用することとされています(法61の13
)。
これは、内国法人が連結法人である場合も同様であり、連結法人が譲渡損益調整資産を譲渡しその譲渡損益を繰り延べる規定(法81の3、61の13
)の適用を受けた場合において、その連結法人(譲渡法人)を被合併法人とする適格合併によりその連結法人が解散したときは、その適格合併に係る合併法人のその適格合併の日の属する連結事業年度以後の各連結事業年度においては、その合併法人をこの規定の適用を受けた法人とみなして、法人税法第61条の13の規定を適用することとされています(法81の3
、61の13
)。
したがって、連結子法人S1社が譲渡損益調整資産を譲渡(次の図における)してその譲渡損益を繰り延べている場合において、S1社を被合併法人、他の連結子法人S3社を合併法人とする適格合併が行われた場合には、S3社がその譲渡損益調整資産を連結子法人S2社に譲渡(次の図における
)したものとみなし、S3社がその譲渡損益調整資産の譲渡損益を繰り延べているものとして取り扱うこととなります。
また、その譲渡損益調整資産を取得したS2社がその資産を完全支配関係を有しない連結グループ外の第三者に譲渡するなどしたときには、その適格合併に係る合併法人となるS3社において譲渡したものとみなされた譲渡損益調整資産に係る譲渡損益について、所定の計算により算出した金額は、益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとなります。
【前期】
【当期】
(参考)
繰り延べられた譲渡利益額又は譲渡損失額の戻入れについては、次のQ&Aを参照してください。