連結法人S1社は、その有する譲渡損益調整資産を連結グループ内の他の連結法人S2社に譲渡する予定です。
このような連結法人間における資産の譲渡は、一種の内部取引とも考えられますが、連結納税においては、その譲渡に係る譲渡損益を繰り延べる措置は講じられていますか。
また、譲渡損益の繰延べの措置が講じられているとすれば、その繰り延べられた譲渡損益はどのような事由が生じた場合に連結所得の金額に反映させることとなりますか。
連結法人間で譲渡損益調整資産を譲渡した場合には、その譲渡をした連結法人S1社において譲渡損益を繰り延べることとなります。
また、その繰り延べられた譲渡損益について、例えば、その資産を取得した連結法人S2社がその資産を譲渡したときには、所定の計算により算出した金額は、益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとなります。
内国法人(普通法人又は協同組合等に限ります。)がその有する譲渡損益調整資産をその内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人(普通法人又は協同組合等に限ります。)に譲渡したことにより生じた譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、その譲渡した事業年度の所得の金額の計算上、損金の額又は益金の額に算入することとされています(法61の13)。
この場合の「譲渡損益調整資産」とは、固定資産、棚卸資産たる土地(土地の上に存する権利を含みます。)、有価証券(売買目的有価証券又はその譲渡を受けた当該他の内国法人において売買目的有価証券とされるものを除きます。)、金銭債権及び繰延資産でその資産の譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上のものをいいます(法61の13、令122の14
)。
本件は、その内国法人及び他の内国法人が連結法人である場合ですが、この場合でも同様に、連結法人S1社が、その有する譲渡損益調整資産を連結グループ内の他の連結法人S2社に譲渡したことにより生じた譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、その譲渡した連結事業年度の連結所得の金額の計算上、損金の額又は益金の額に算入することとされ(法81の3、61の13
)、譲渡損益が繰り延べられることとなります。
また、繰り延べられた譲渡損益について、例えば、次のような事由が生じたときには、所定の計算により算出した金額は、益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとなります(法81の3、61の13
、令122の14
)。
(参考)
連結法人間取引における譲渡の意義及び譲渡損益調整資産を譲渡した連結法人がその資産を取得した連結法人との間に完全支配関係を有しないこととなった場合の繰り延べられた譲渡利益額又は譲渡損失額の戻入れについては、次のQ&Aを参照してください。