(問45)

 連結親法人P社(3月決算)は、連結子法人S1社(3月決算)及び連結子法人S2社(3月決算)の発行済株式の全てを直接保有しています。
 S1社は、X1年6月15日に譲渡損益調整資産に該当する有価証券をS2社に譲渡し、その有価証券に係る譲渡損益を繰り延べていましたが、P社がX2年10月19日にS1社の発行済株式の一部を連結グループ外の第三者へ譲渡したことによってP社の連結グループから離脱する(P社との間に完全支配関係を有しない)こととなりました。
 この場合に、S1社は繰り延べられた譲渡損益を戻し入れる必要がありますか。
 また、その必要がある場合には、いつ戻し入れることとなりますか。

【回答】

 S1社は、P社の連結グループから離脱した日(X2年10月19日)の前日の属する事業年度(X2年4月1日からX2年10月18日までの期間)において、譲渡損益を戻し入れることとなります。

【解説】

 内国法人が譲渡損益調整資産を譲渡しその譲渡損益を繰り延べる規定(法61の131)の適用を受けた場合において、その内国法人(譲渡法人)がその譲渡損益調整資産に係る譲受法人との間に完全支配関係を有しないこととなったとき(一定の事由に基因して完全支配関係を有しないこととなった場合を除きます。以下同じです。)は、その内国法人のその前日の属する事業年度において、繰り延べられた譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額(その完全支配関係を有しないこととなった日の前日の属する事業年度前の各(連結)事業年度において益金の額又は損金の額に算入された金額を除きます。以下「譲渡損益調整勘定の残高」といいます。)を益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとされています(法61の133)。
 これは、内国法人が連結法人である場合も同様であり、連結法人が譲渡損益調整資産を譲渡しその譲渡損益を繰り延べる規定(法61の131)の適用を受けた場合において、その連結法人(譲渡法人)がその譲渡損益調整資産に係る譲受法人との間に完全支配関係を有しないこととなったときは、その連結法人のその前日の属する事業年度において、その譲渡損益調整勘定の残高を益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとされています(法81の31、61の133)。
 本件では、P社がS1社の発行済株式を一部譲渡したことによって、その譲渡損益調整資産の譲渡法人であるS1社と譲受法人であるS2社との間に完全支配関係を有しないこととなるため、S1社は、P社の連結グループから離脱した日(X2年10月19日)の前日の属する事業年度(X2年4月1日からX2年10月18日までの期間)において、その譲渡損益調整勘定の残高を益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとなります。

解読図