(問42)

 連結法人S1社が他の連結法人S2社に譲渡損益調整資産を譲渡した場合には、その譲渡をした連結法人S1社においてその譲渡損益を繰り延べることになりますが、譲渡を受けた他の連結法人S2社がさらに別の他の連結法人S3社に譲渡をするというように、連結グループ内の法人間で譲渡が行われている限り、その譲渡をした各連結法人では、その譲渡損益を繰り延べたままにしておくということになりますか。

【回答】

 譲渡損益調整資産を譲り受けた他の連結法人S2社が、さらに別の他の連結法人S3社にその資産を譲渡したときには、連結法人S1社が繰り延べた譲渡損益について、所定の計算により算出した金額は、益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することになります。

【解説】

 内国法人が完全支配関係のある他の内国法人に譲渡した譲渡損益調整資産につき、当該他の内国法人において譲渡、償却、評価換え、貸倒れ、除却等の事由が生じたときには、その譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額について、所定の計算により算出した金額は、その内国法人の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとされています(法61の132、令122の144)。
 これは、その内国法人が連結法人である場合も同様であり、連結法人が他の連結法人に譲渡した譲渡損益調整資産につき、当該他の連結法人において譲渡、償却、評価換え、貸倒れ、除却等の事由が生じたときには、その譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額について、所定の計算により算出した金額は、その連結法人の連結所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとなります(法81の31、61の132、令122の144)。
 上記の「譲渡」からは、完全支配関係のある別の他の内国法人への譲渡が除かれていませんので、譲渡損益調整資産を連結グループ内の連結法人S1社から取得した他の連結法人S2社が、その資産をさらに別の他の連結法人S3社に譲渡(次の図における2)したときには、最初の譲渡法人S1社がその最初の譲渡(次の図における1)によって繰り延べた譲渡損益について、所定の計算により算出した金額は、益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとなります。
 一方、他の連結法人S2社は、その譲渡損益調整資産を連結グループ内の別の他の連結法人S3社に譲渡(次の図における2)したことにより生じた譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額を連結所得の金額の計算上、損金の額又は益金の額に算入して、譲渡損益を繰り延べることとなります(法81の31、61の131)。

解読図