連結親法人P社(3月決算)がX1年8月10日にS社(12月決算)の発行済株式の全てを取得したことから、S社はP社の連結グループに加入することとなりました。
しかし、P社がその連結事業年度中であるX2年3月20日にS社の発行済株式の50%を連結グループ外の第三者に譲渡したことから、S社はP社の連結グループから離脱することとなりました。
この場合、S社はどのような申告を行うこととなりますか。
S社は、X1年1月1日からX1年8月9日までの期間、
X1年8月10日からX2年3月19日までの期間、
X2年3月20日からX2年3月31日までの期間及び
X2年4月1日からX2年12月31日までの期間について単体申告を行うこととなります。
なお、の期間については、S社において連結納税の承認の効力が生じていることから、連結法人として単体申告をすることとなります。
連結子法人となる法人が連結親法人との間にその連結親法人による完全支配関係を有することとなった場合には、原則として、その完全支配関係を有することとなった日において連結納税の承認があったものとみなされ、その承認は同日以後の期間について、その効力を生ずるものとされています(法4の3)。
また、連結親法人が連結子法人の株式を連結グループ外の第三者に譲渡したことに伴い、連結子法人が連結親法人との間にその連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなった場合には、その連結完全支配関係を有しなくなった日において連結納税の承認が取り消されたものとみなされ、その承認は同日以後の期間について、その効力を失うものとされています(法4の5五)。
事業年度については、連結子法人となる法人が連結親法人事業年度の中途において、連結親法人との間にその連結親法人による完全支配関係を有することとなった場合には、その完全支配関係を有することとなった日(以下「加入日」といいます。)の前日の属する事業年度開始の日からその前日までの期間及びその加入日からその連結親法人事業年度終了の日までの期間のみなし事業年度が生ずることとされています(法14六)。
また、連結子法人が連結事業年度の中途において、連結親法人との間にその連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなった場合には、その連結事業年度開始の日からその有しなくなった日(以下「離脱日」といいます。)の前日までの期間、その離脱日からその連結事業年度終了の日までの期間及びその終了の日の翌日からその翌日の属する事業年度終了の日までの期間のみなし事業年度が生ずることとされています(法14八)。
なお、連結事業年度とは、原則として、連結法人の連結親法人事業年度開始の日からその終了の日までの期間とされています(法15の2)が、連結子法人となる法人が連結親法人事業年度の中途において連結親法人との間にその連結親法人による完全支配関係を有することとなった場合には、その加入日からその連結親法人事業年度終了の日までの期間は、最初連結事業年度とされています(法15の2
四)。また、連結子法人の株式が連結グループ外の第三者に譲渡されたことにより、連結子法人が連結親法人事業年度の中途において連結親法人との間に連結完全支配関係を有しなくなった場合には、その連結親法人事業年度開始の日からその離脱日の前日までの期間は、連結事業年度に含まないこととされています(法15の2
三)。
本件では、S社がP社の連結グループに加入したことに伴って、加入日の前日の属する事業年度開始の日(X1年1月1日)からその前日(X1年8月9日)までの期間(次の図におけるの期間)及びその加入日(X1年8月10日)から連結親法人事業年度終了の日(X2年3月31日)までの期間のみなし事業年度を設けることとなりますが、後者の期間中(X2年3月20日)にS社がP社の連結グループから離脱することから、その期間については、その加入日(X1年8月10日)から離脱日の前日(X2年3月19日)までの期間(次の図における
の期間)及びその離脱日(X2年3月20日)からその連結事業年度終了の日(X2年3月31日)までの期間(次の図における
の期間)のみなし事業年度が生ずることとなります。さらに、その終了の日の翌日(X2年4月1日)からその翌日の属する事業年度終了の日(X2年12月31日)までの期間(次の図のおける
の期間)のみなし事業年度が生ずることとなり、S社は、これらの各期間(次の図における
、
、
及び
の各期間)について単体申告を行うこととなります。
なお、加入日(X1年8月10日)から離脱日の前日(X2年3月19日)までの期間(次の図におけるの期間)については、S社において連結納税の承認の効力が生じていることから、連結法人として単体申告をすることとなります。
(参考)
連結納税の加入及び離脱については、次のQ&Aを参照してください。