(問26)

 連結親法人P社(3月決算)がX1年10月1日に連結子法人S社(12月決算)の発行済株式の50%を連結グループ外の第三者に譲渡したことから、S社はP社の連結グループから離脱することとなりました。
 この場合、S社は(1)どのような届出及び(2)どのような申告を行うこととなりますか。

【回答】

  1. (1) S社は、その本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に「連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類」を遅滞なく提出する必要があります。
  2. (2) S社は、連結事業年度開始の日(X1年4月1日)からP社との間にその完全支配関係を有しなくなった日(以下「離脱日」といいます。)の前日(X1年9月30日)までの期間について連結法人として単体申告を行うこととなり、その離脱日(X1年10月1日)からその連結事業年度終了の日(X2年3月31日)までの期間及びその終了の日の翌日(X2年4月1日)からその翌日の属する事業年度終了の日(X2年12月31日)までの期間について単体申告を行うこととなります。

【解説】

  1. (1) 連結親法人が連結子法人の株式を連結グループ外の第三者に譲渡したことに伴い、連結子法人が連結親法人との間にその連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなった場合には、その連結完全支配関係を有しなくなった日において連結納税の承認が取り消されたものとみなされ、その承認は同日以後の期間について、その効力を失うものとされています(法4の52五)。
     この場合、連結親法人は納税地の所轄税務署長に、連結子法人は本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に、その連結完全支配関係を有しなくなった日以後遅滞なく、「連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類」を提出する必要があります(令14の92一)。
  2. (2) 連結親法人が連結子法人の株式を連結グループ外の第三者に譲渡したことに伴い、連結子法人が連結事業年度の中途において、連結親法人との間にその連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなった場合には、その連結事業年度開始の日から離脱日の前日までの期間、その離脱日からその連結事業年度終了の日までの期間及びその終了の日の翌日からその翌日の属する事業年度終了の日までの期間のみなし事業年度が生ずることとされています(法141八)。この場合において、連結親法人事業年度開始の日からその離脱日の前日までの期間は、連結事業年度に含まないこととされています(法15の21三)。
     したがって、S社は、連結事業年度開始の日(X1年4月1日)から離脱日の前日(X1年9月30日)までの期間について連結法人として単体申告を行うこととなり、その離脱日(X1年10月1日)からその連結事業年度終了の日(X2年3月31日)までの期間及びその終了の日の翌日(X2年4月1日)からその翌日の属する事業年度終了の日(X2年12月31日)までの期間について単体申告を行うこととなります。
     なお、S社がP社の連結グループから離脱した後において、P社の決算日X2年3月31日よりも前に迎えることとなるS社の決算日X1年12月31日につき、その日を終了の日とするみなし事業年度は生じないことに留意してください。

解読図

(参考)

完全支配関係及び連結完全支配関係については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問3 完全支配関係と連結完全支配関係の意義