[令和5年4月1日現在法令等]

対象税目

所得税

概要

日本国内の会社に勤めている給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には、日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。

このように海外勤務等により非居住者となる人に、国内にある不動産の貸付けによる所得や国内にある資産の譲渡による所得などの、日本国内で生じた所得(源泉分離課税となるものを除きます。以下、「国内源泉所得」といいます。)があるときは、日本で確定申告が必要になる場合があります。

確定申告が必要となる場合には、納税管理人を定め、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を、その人の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。

納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わってする人のことです(納税管理人は法人でも個人でも構いません。)。

所得控除

(1) 医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除または地震保険料控除の額は、居住者期間内に支払った金額を基に計算します。

(2) 配偶者(特別)控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除または勤労学生控除の適用については、海外に出発する日までに納税管理人の届出をした場合は、その年の12月31日、納税管理人の届出をしないで出国した場合は、その出国の日で判定します。

(3) 雑損控除、寄附金控除および基礎控除は、1年を通じて控除額を計算します。ただし、非居住者期間内の雑損控除については、国内にある資産から生じた損失のみが対象となります。

税額控除

(1) 配当控除および外国税額控除の適用を受けることができる場合には、この控除を行い、控除後の所得税を計算します。

なお、非居住者の方の外国税額控除の適用に当たっては、コード1241「非居住者に係る外国税額控除」を参照してください。

(2) 住宅借入金等特別控除については、引き続き居住していることが要件のひとつですが、転勤等のやむを得ない事情がある場合には一定の要件を満たせば適用を受けることができます。

(注)詳しくは、コード1234「転勤と住宅借入金等特別控除等」を参照してください。

手続き

申告等の方法

(1) 出国の時までに納税管理人を指定した場合

その年1月1日から出国する日までの間(以下「居住者期間」といいます。)に生じたすべての所得と、出国した日の翌日からその年12月31日までの間(以下「非居住者期間」といいます。)に生じた国内源泉所得の合計額について、翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通じて確定申告および納税をする必要があります。

(2) 納税管理人を指定しないで出国する場合

居住者期間に生じたすべての所得について、出国の日までに確定申告(準確定申告)をする必要があります。

そして、この準確定申告をしたとしても、非居住者期間に国内源泉所得が生じる場合には、居住者期間に生じたすべての所得と非居住者期間に生じた国内源泉所得との合計額について、納税管理人を通じるなどして、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告および納税をする必要があります。

(3) 年を通じて海外に勤務している場合

海外勤務となった年の翌年以後も、日本国内に国内源泉所得があり、その所得の金額が基礎控除額を超える場合には、原則として、翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通じて確定申告をする必要があります。

この場合の所得控除については、雑損控除、寄附金控除および基礎控除だけが適用できます。ただし、雑損控除については、国内にある資産について生じた損失に限られます。

なお、非居住者が日本または租税条約の相手国の社会保険制度の下で支払った一定の保険料については、一定の金額を限度として控除することができます。

また、国内にある不動産の賃貸料については、原則として、非居住者がその支払を受ける際に20.42パーセント(所得税20パーセント、復興特別所得税0.42パーセント)の税率で源泉徴収されますが、この源泉徴収税額の還付を受けるための申告を行うこともできます。

申告先等

所轄税務署

根拠法令等

所法2、5、7、8、102、120、122、126、127、161、164~166、212、所令258、292、所基通165-1、165-2、通法117、復興財確法8、9、28、実施特例法5の2の2

関連リンク

◆パンフレット・手引き

確定申告書等の様式・手引き等

◆関連する税務手続

[手続名]所得税・消費税の納税管理人の届出手続

◆各種様式

申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)

関連コード

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