[令和5年4月1日現在法令等]

対象税目

所得税

概要

国内に恒久的施設を有する非居住者が、その恒久的施設に帰属する所得(恒久的施設帰属所得)につきその年において外国の法令により所得税に相当する租税(以下「外国所得税」といいます。)を納付することとなる場合には、次の算式で計算した控除限度額を限度として、その外国所得税額をその年分の所得税額等から差し引くことができます。

控除限度額

所得税の控除限度額は、次の算式で計算します。

(1)所得税の控除限度額=その年分の恒久的施設帰属所得に係る所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の恒久的施設帰属所得金額)

また、その外国所得税額が所得税の控除限度額を超える場合には、次の算式(2)で計算した金額(以下「復興特別所得税の控除限度額」といいます。)を限度として、その超える金額をその年分の復興特別所得税額から差し引くことができます。

(2)復興特別所得税の控除限度額=その年分の恒久的施設帰属所得に係る復興特別所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の恒久的施設帰属所得金額)

(注1) 「恒久的施設帰属所得」とは、次の所得をいいます。

1 非居住者が恒久的施設を通じて事業を行う場合において、その恒久的施設がその非居住者から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、その恒久的施設が果たす機能、その恒久的施設において使用する資産、その恒久的施設とその非居住者の事業場等との間の内部取引その他の状況を勘案して、その恒久的施設に帰せられるべき所得(以下「恒久的施設に帰せられるべき所得」といいます。)

2 組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で、その組合契約等に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの

(注2) 「その年分の恒久的施設帰属所得に係る所得税額」とは、恒久的施設帰属所得に係る所得金額につき、所得税法第165 条第1項(非居住者の総合課税に係る所得税の課税標準等、税額等の計算)の規定により計算したその年分の所得税額をいいます。

(注3) 「その年分の恒久的施設帰属所得金額」とは、純損失または雑損失の繰越控除の規定を適用しないで計算した場合のその年分の恒久的施設帰属所得金額をいいます。

(注4) 「その年分の調整国外所得金額」とは、純損失または雑損失の繰越控除の規定を適用しないで計算した場合のその年分の国外所得金額をいいます。ただし、その国外所得金額が、その年分の恒久的施設帰属所得金額に相当する金額を超える場合には、その年分の恒久的施設帰属所得金額に相当する金額になります。

(注5) 「その年分の恒久的施設帰属所得に係る復興特別所得税額」とは、基準所得税額(その年分の恒久的施設帰属所得に係る所得税額)に2.1パーセントの税率を乗じて計算した金額をいいます。

非居住者に係る外国税額控除の対象となる外国所得税の範囲

外国所得税に含まれるもの

外国所得税とは、外国の法令に基づき外国またはその地方公共団体により個人の所得を課税標準として課される税をいい、外国またはその地方公共団体により課される次のものを含みます。

1 超過所得税その他個人の所得の特定の部分を課税標準として課される税

2 個人の所得またはその特定の部分を課税標準として課される税の附加税

3 個人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で、個人の特定の所得につき、徴税上の便宜のため、所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの

4 個人の特定の所得につき、所得を課税標準とする税に代え、個人の収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課される税

外国所得税に含まれないもの

外国またはその地方公共団体により課される税であっても、次のものは外国所得税に含まれません。

1 税を納付する人が、その税の納付後、任意にその金額の全部または一部の還付を請求することができる税

2 税を納付する人が、税の納付が猶予される期間を任意に定めることができる税

3 複数の税率の中から税を納付することとなる人と外国もしくはその地方公共団体またはこれらの者により税率を合意する権限を付与された者との合意により税率が決定された税のうち一定の部分

4 外国所得税に附帯して課される附帯税に相当する税その他これに類する税

非居住者に係る外国税額控除の対象とならない外国所得税

外国所得税であっても、次の税額は、非居住者に係る外国税額控除の対象にはなりません。

1 通常行われる取引と認められない一定の取引に基因して生じた所得に対して課される外国所得税額

2 非居住者の居住地国において課される外国所得税額(非居住者が支払を受けるべき利子、配当その他これらに類するものの額を課税標準として源泉徴収の方法に類する方法により課される外国所得税額で、その居住地国の法令または租税条約の規定により、その居住地国において課されるその外国所得税額以外の外国所得税額から控除しないこととされるものを除く。)

3 非居住者の居住地国以外の国等において課される外国所得税額のうち、その外国所得税の課税標準となる所得について日本とその国等との間の租税条約が適用されるとしたならば、その租税条約の適用によりその国等が課すことができるとされる額を超える部分(または免除することとされる額)に相当する金額

4 非居住者の居住地国以外の国等において課される外国所得税額のうち、その外国所得税の課税標準となる所得を居住者の所得とした場合にその外国所得税が課されるとしたならば、その国等において、外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律の規定に基づく外国居住者等の対象国内源泉所得に対して所得税を軽減し、または課さないこととされる条件と同等の条件により軽減することとされる部分に相当する金額または免除することとされる額に相当する金額

国外所得金額

国外所得金額は、恒久的施設帰属所得に係る所得金額のうち次の国外源泉所得に係る所得金額をいいます。この国外所得金額につき、純損失または雑損失の繰越控除の規定を適用しないで計算した金額が、その年分の調整国外所得金額として所得税の控除限度額の計算の基礎となります。

なお、租税条約の適用を受ける非居住者について、その租税条約において異なる定めがある場合における国外源泉所得は、その異なる定めがある限りにおいて、その租税条約に定めることとされています。

1 国外にある資産の運用または保有により生ずる所得

2 国外にある資産の譲渡により生ずる一定の所得

3 国外において人的役務の提供を主たる内容とする一定の事業を行う者が受けるその人的役務の提供に係る対価

4 国外にある不動産、国外にある不動産の上に存する権利もしくは国外における採石権の貸付け、国外における租鉱権の設定または非居住者もしくは外国法人に対する船舶もしくは航空機の貸付けによる対価

5 所得税法第23条第1項(利子所得)に規定する利子等およびこれに相当するもののうち次に掲げるもの

(1)外国の国債もしくは地方債または外国法人の発行する債券の利子

(2)国外にある営業所に預け入れられた預貯金の利子

(3)国外にある営業所に信託された合同運用信託もしくはこれに相当する信託、公社債投資信託または公募公社債等運用投資信託もしくはこれに相当する信託の収益の分配

6 所得税法第24条第1項(配当所得)に規定する配当等およびこれに相当するもののうち次のもの

(1)外国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配または基金利息に相当するもの

(2)国外にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託ならびに公募公社債等運用投資信託およびこれに相当する信託を除きます。)または特定受益証券発行信託もしくはこれに相当する信託の収益の分配

7 国外において業務を行う者に対する貸付金等でその業務に係るものの利子(債券現先取引から生ずる一定の差益を含みます。)

8 国外において業務を行う者から受ける次の使用料または対価でその業務に係るもの

(1)工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式もしくはこれらに準ずるものの使用料またはその譲渡による対価

(2)著作権(出版権および著作隣接権その他これに準ずるものを含みます。)の使用料またはその譲渡による対価

(3)機械、装置、車両および運搬具、工具ならびに器具および備品の使用料

9 国外において行う事業の広告宣伝のための一定の賞金

10 国外にある営業所等を通じて締結した保険業法第2条第6項に規定する外国保険業者、同条第3項に規定する生命保険会社または同条第4項に規定する損害保険会社の締結する保険契約等に基づいて受ける年金(年金の支払の開始の日以後にその契約等に基づき分配を受ける剰余金または割戻しを受ける割戻金およびその契約等に基づき年金に代えて支給される一時金を含みます。)

11 次の給付補填金、利息、利益または差益

(1)定期積金契約に基づく給付補填金のうち国外にある営業所が受け入れた定期積金に係るもの

(2)銀行法第2条第4項の契約に基づく給付補填金に相当するもののうち国外にある営業所が受け入れた掛金に相当するものに係るもの

(3)国外にある営業所を通じて抵当証券法第1条第1項に規定する抵当証券に基づき締結された一定の契約に相当するものに係る利息

(4)国外にある営業所を通じて締結された貴金属等の売戻し条件付売買に関する契約に係る利益

(5)外貨建預貯金で、その元本および利子をあらかじめ約定した率により円またはその外貨以外の外貨に換算して支払うこととされているものの差益のうち国外にある営業所が受け入れた預貯金に係るもの

(6)国外にある営業所等を通じて締結された一時払養老保険や一時払損害保険契約等に相当するものに係る一定の差益

12 国外において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づいて受ける利益の分配

13 上記1から12までに掲げるもののほか、次の国外源泉所得

(1)国外において行う業務または国外にある資産に関し受ける保険金、補償金または損害賠償金等に係る所得

(2)国外にある資産の法人からの贈与により取得する所得

(3)国外において発見された埋蔵物または国外において拾得された遺失物に係る所得

(4)国外において行う懸賞募集に基づいて懸賞として受ける金品その他の経済的な利益に係る所得

(5)国外においてした行為に伴い取得する一時所得

(6)国外において行う業務または国外にある資産に関し供与を受ける経済的な利益に係る所得

非居住者に係る外国税額控除の計算方法

非居住者に係る外国税額控除は、外国所得税(非居住者に係る外国税額控除の対象となるものに限ります。以下同じです。)を納付することとなる日の属する年分の所得税および復興特別所得税の額から、それぞれ次の金額を控除します。ただし、継続してその納付することが確定した外国所得税額を実際に納付した日の属する年分において控除している場合には、その方法も認められます。

その年分の外国所得税額が所得税の控除限度額に満たない場合

外国税額控除額は、その年分の外国所得税額となります。

その年分の外国所得税額が所得税の控除限度額を超える場合

外国税額控除額は、その年分の所得税の控除限度額と、次の1または2のいずれか少ない方の金額との合計額となります。

1 その年分の外国所得税額から所得税の控除限度額を差し引いた残額

2 その年分の復興特別所得税の控除限度額

非居住者に係る外国税額控除の繰越控除

次の場合には、非居住者に係る外国税額控除の計算方法で述べた控除額に加え、その年分の前年以前3年内の各年から繰り越された外国所得税額または所得税の控除限度額を基に計算した一定の金額をその年の所得税額から控除します。

外国所得税額が控除限度額を超える場合

その年において納付することとなる外国所得税額が、その年の所得税の控除限度額および復興特別所得税の控除限度額と地方税の控除限度額(その年の所得税の控除限度額に30パーセントを乗じた金額)との合計額を超える場合において、その年の前年以前3年内の各年の所得税の控除限度額のうち、その年に繰り越される部分の金額(以下「繰越控除限度額」といいます。)があるときは、その繰越控除限度額を限度として、その超える部分の金額をその年分の所得税額から控除します。

控除限度額の計算式

(注1)「繰越控除限度額」とは、その年の前年以前3年以内の各年の所得税の控除余裕額または地方税の控除余裕額を、最も古い年のものから順次に、かつ、同一年のものについては所得税の控除余裕額および地方税の控除余裕額の順に、その年の控除限度超過額に充てるものとした場合にその控除限度超過額に充てられることとなるその所得税の控除余裕額の合計額に相当する金額をいいます。

(注2)「所得税の控除余裕額」とは、その年において納付することとなる外国所得税額がその年の所得税の控除限度額に満たない場合におけるその所得税の控除限度額からその外国所得税額を控除した金額に相当する金額をいいます。

(注3)「地方税の控除余裕額」とは、その年において納付することとなる外国所得税額がその年の所得税および復興特別所得税の控除限度額を超えない場合には、その年の地方税の控除限度額に相当する金額を、その年において納付することとなる外国所得税額がその年の所得税および復興特別所得税の控除限度額を超え、かつ、その超える部分の金額がその年の地方税の控除限度額に満たない場合には、その地方税の控除限度額からその超える部分の金額を控除した金額に相当する金額をいいます。

(注4)「控除限度超過額」とは、その年において納付することとなる外国所得税額がその年の所得税および復興特別所得税の控除限度額と地方税の控除限度額との合計額を超える場合におけるその超える部分の金額に相当する金額をいいます。

外国所得税額が控除限度額に満たない場合

その年において納付することとなる外国所得税額がその年の所得税の控除限度額に満たない場合において、その年の前年以前3年内の各年において納付することとなった外国所得税額のうち、その年に繰り越される部分の金額(以下「繰越外国所得税額」といいます。)があるときは、その控除限度額からその年において納付することとなる外国所得税額を控除した残額を限度として、その繰越外国所得税額をその年分の所得税額から控除します。

控除限度額の計算式

(注)「繰越外国所得税額」とは、その年の前年以前3年以内の各年の控除限度超過額を最も古い年のものから順次その年の所得税の控除余裕額に充てるものとした場合にその所得税の控除余裕額に充てられることとなるその控除限度超過額の合計額に相当する金額です。

外国所得税額に異動が生じた場合

外国所得税額が減額された場合

非居住者に係る外国税額控除の適用を受けた年の翌年以後7年内の各年において、その適用を受けた外国所得税額が減額された場合においてその減額されることとなった日の属する年分における外国税額控除等の計算は、次のとおりです。

1 その減額されることとなった日の属する年(以下「減額に係る年」といいます。)において納付することとなる外国所得税額(以下「納付外国所得税額」といいます。)からその減額された外国所得税額(以下「減額外国所得税額」といいます。)に相当する金額を控除し、その控除後の金額につき外国税額控除を適用します。

2 減額に係る年に納付外国所得税額がない場合または納付外国所得税額が減額外国所得税額に満たない場合には、減額に係る年の前年以前3年内の各年の控除限度超過額から、それぞれ減額外国所得税の全額または減額外国所得税のうち納付外国所得税額を超える部分の金額に相当する金額を控除し、その控除後の金額について外国税額控除を行います。

3 減額外国所得税額のうち上記1および2の外国税額控除の適用額の調整に充てられない部分の金額は、外国所得税額が減額された年分の雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。

外国所得税額が増額された場合

非居住者が外国所得税額につき非居住者に係る外国税額控除の適用を受けた場合において、その適用を受けた年分後の年分にその外国所得税額の増額があり、かつ、非居住者に係る外国税額控除の適用を受けるときは、増額した外国所得税額は、その増額のあった日の属する年分において新たに生じたものとして非居住者に係る外国税額控除の計算を行います。

対象者または対象物

国内に恒久的施設を有し、この恒久的施設に帰属する所得につき外国所得税を納付する非居住者の方

手続き

申告等の方法

非居住者に係る外国税額控除の適用を受けるためには、次の書類を確定申告書、修正申告書または更正請求書(以下「申告書等」といいます。)に添付をする必要があります。この場合に外国税額控除として控除されるべき金額等は、一定の場合を除き、次の(1)の明細書に記載された金額が限度となります。

(1) 「外国税額控除に関する明細書(非居住者用)」

(2) 外国所得税を課されたことを証する書類

(3) 外国の法令により課される税の名称および金額、その税を納付することとなった日およびその納付の日または納付予定日、その税を課する外国またはその地方公共団体の名称ならびにその税が外国税額控除の対象となる外国所得税に該当することについての説明を記載した書類

(4) 外国所得税が減額され、上記「外国所得税額に異動が生じた場合」の 「外国所得税額が減額された場合」の適用がある場合には、減額に係る年において減額された外国所得税額につきその減額された金額およびその減額されることとなった日ならびにその外国所得税額がその減額に係る年の前年以前の各年において控除されるべき金額の計算の基礎となったことについての説明を記載した書類

(5) 上記(3)の税を課されたことを証するその税に係る申告書の写しまたはこれに代わるべきその税に係る書類およびその税が既に納付されている場合にはその納付を証する書類(納税証明書や更正決定に係る通知書、賦課決定通知書、納税告知書、源泉徴収票などを含みます。)

(6) 国外所得金額の計算に関する明細を記載した書類

また、上記「非居住者に係る外国税額控除の繰越控除」で述べたような繰越控除限度額や繰越外国所得税額がある場合で外国税額控除の繰越控除をするときは、それらに係る年のうち最も古い年以後の各年について、その各年の控除限度額やその各年において納付することとなった外国所得税額を記載した「外国税額控除に関する明細書(非居住者用)」と申告書等を提出し、かつ、非居住者に係る外国税額控除の繰越控除の適用を受けようとする年分の申告書等にこれらの控除を受ける金額を記載するとともに、「外国税額控除に関する明細書(非居住者用)」を添付する必要があります。

なお、このときの外国税額控除額として控除されるべき金額等は、一定の場合を除き、その各年分の申告書等に添付した「外国税額控除に関する明細書(非居住者用)」にその各年の控除限度額やその各年において納付することとなった外国所得税額等として記載した金額を基礎として計算した金額が限度となります。

作成が必要な書類

所得税法施行令第292条の7第2項の規定による共通費用の額の配分を行った場合には、次の書類を作成する必要があります。

(1)共通費用の額の配分の基礎となる費用の明細および内容を記載した書類

(2)合理的と認められる基準により配分するための計算方法の明細を記載した書類

(3)(2)の計算方法が合理的であるとする理由を記載した書類

申告先等

所轄税務署

根拠法令等

所法165の2、165の6、所令292の2、292の7~292の14、所規66の8、66の9、所基通165の6-1、復興財確法13、14、復興所得税令3

関連リンク

◆パンフレット・手引き

確定申告書等の様式・手引き等

◆各種様式

申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)

お問い合わせ先

国税に関するご相談は、国税局電話相談センター等で行っていますので、税についての相談窓口をご覧になって、電話相談をご利用ください。

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