3.新商品開発・販売戦略事業

事業の実施状況 事業の効果 事業実施上の問題点
 新商品開発に関して、現在、ギフト対応の独自のセットアップ商品は約8アイテムほどあるが、百貨店への対応を考えた清酒詰め合わせセットが中心となっている。また、単品の独自商品は約10アイテムほどあるが、地元の蔵元と連携した開発販売に力を入れている。  新商品開発に関しては、地域有力蔵元との関係強化が実現していることから今後の更なる商品開発につながる基盤が生まれている。
 更に、地域清酒のセットアップ商品を切り口にして、地域百貨店との販路を構築することができたことにより、地域での当社認知度も高まっていると考えられる。
 新商品開発・販売戦略事業での大きな事業推進上の問題点はないものと考えられる。ただし、経営体質そのものが経営者依存的な傾向があることから、新商品開発・販売戦略構築も経営者の意思決定によるところが大きく、組織的な対応とはなっていない面がある。それだけに、現在の卸業務中心から、小売業進出など新たな事業展開に向かう流れにおける経営者意思決定の重要度が極めて大きくなっていると言える。
 有力清酒ボランタリー・チェーンの地域支部としての取組みを行っている。  ボランタリー・チェーンの地域支部をしていることから、全国銘酒の取り扱いが可能となり、今後の地域酒類卸業者として重要となる意欲ある酒類専門小売店との関係性構築が実現されている。また、加盟メーカーとの関係においても、広範囲の情報の収集と提案が可能になるなどの効果が生まれている。地方中 小酒類卸売業という厳しい状況であっても、新商品開発・販売戦略に力を入れることにより、経営者、従業員ともに新たな事業可能性を実感し、企業活力が生まれていることにつながっている。  
 利益商材の企画・開発は、社長を中心にして蔵元と日本酒の共同開発を行っており、これを「銘酒頒布会」方式で提供している。PBブランドの共同開発になる利益商材の日本酒を「銘酒頒布会」の方式で、毎年5〜8月と10〜3月の期間限定で企画している。 新聞等のパブリシティも活用して小売店の販売促進に繋げている。PBブランド商品は、一つの差別化商品となっており、利益貢献度が高い。  
 利益管理システムがあって、商品別利益率の把握ができており、得意先別、業態別にも把握できるようになっている。 利益管理システムによって、売買差益、受入割戻金、支払リベートなどのリアルタイムな把握が可能になった。  
 地元には優良な造り酒屋が多数存在している。これを活用して清酒のオリジナルブランドを委託製造して販売している。  オリジナルブランドに関しては定価販売を遵守でき、高付加価値を得ている。  
 当社は、これまでオリジナル商品の開発を多く手がけてきた。そば焼酎、樽酒、地元名と原材料を採り入れたワイン等を開発してきた。県内の大手酒造業者に小ロットでのOEM生産を委託した。
 また、小売店への販売量が減少してきている中で、飲食店等への業務卸を拡大してきている。そして、利益率を確保するため小売店リベートは行わず、その他サービスの提供で代替している。
 オリジナル商品の開発により、当企業の知名度が向上した。当企業がある町の観光物産施設に、これらのオリジナル商品を陳列販売してもらうことができた。また、好評な一部の商品では、消費者が直接当企業に買いに来たケースもある。  オリジナル商品を拡販していくには、商圏の狭小さ、取引小売店の少なさ及び小規模性により限界がある。酒類販売の規制緩和の中で、新たな販売先の開拓が課題であると認識している。
 利益商材としては、食料品を中心とした地元の特産品をインターネットにも載せて販売している。新規取扱商品の開拓を積極的に推進して、酒類販売減少を補填するように努力している。  取扱商品の多角化により、名水を中心に売上が増大している。ある名産品はインターネット販売で期間限定を待たずに完売した。  インターネット販売額は期待したほどには大きくない。
 当県のこだわり地酒、地ビールなどをネットで紹介し、販売している。多くの酒蔵を同時に紹介できるのは、卸としての強みではある。しかし、商品の紹介はごく一般的で、購買意欲を起こさせるものまでになっていない。オリジナルな商品もあるが、当社でしか扱わないものという商品であり、企画から参加した開発商品はない。  効果が見えている商品、効果的な販売戦略は見当たらない。システム面も整備されているし、取組みは始まっているが、目的が明確になっていないためか、中途半端で、責任者不在という印象である。  重点戦略、重点事業という位置づけのものがはっきりしていない。手段・ツールは用意されているが、組織的な面、人材面について徹底されておらず、役割、責任が明確でない。自社管理の単品売上などのデータをいかに使うか社内で再度見直す必要がある。
 また、オリジナル商品もあるが、差別化された競争力あるものにはなっておらず、その段階まで目指されていない。
 平成16〜17年、蔵元共同で商品開発を行った。180ml小瓶で付加価値の高いものなどを開発している。県内大規模小売業で試験販売を行なった。平成17年において商品の開発や共同利用を行い、原料にこだわった酒類を開発した。  小売店にとって差別化できる商材を提供できている。付加価値を上げているので、高い利益率を確保できる。ディスカウンターにはない商品であり、安売りされず、思い通りに市場に供給できる。  ロットをこなさなければならないこと。
 卸売業専用焼酎や地域限定商品の開発、販売を実施した。また、焼酎と特定商品の詰め合わせの開発、酒類以外では、PBブランドのお茶や水割り用として県内の水を販売した。 焼酎、緑茶については、年間一定の販売額を確保できている。 新商品のうちとくにオリジナル商品において、計画と実績との乖離が大きい。独創的な商品開発は発展途上にあるとみている。また、今後は、インターネットを介した通信販売を検討中である。
 焼酎生産者に対しては、資材・原料の供給や小口配送・価格低下に貢献している。 生産者への資材・原料の供給高は、平成17年4月〜18年3月は、453,000千円であった。  
 商品開発では地域特産品を他県のワイナリーに委託し製品化したワインを主に土産品向けに販売している。また地域内の一般酒店と連携したオリジナルカートンの作成によりディスカウント酒店との差別化を支援している。  開発商品のワインは数量的には僅か(2000本/年)の販売実績であるが、土産店やホテル等への販路開拓ができ、ひとつの突破口としての役割を果たした。  本格的な商品開発は、資金・設備・技術力・人材などがネックとなり、小規模の卸売業者が対応するには限界がある。
 酒類以外の食品(豆腐など60品目)を開拓し、小売店へ紹介している。  酒類以外の食品売上高は、年間7,200万円に達している。  オリジナル商品開発についての売れ行き見込み(数量)が把握し難く、つい取組みが消極的となってしまう。また、売筋商品のみを取扱うことにより、個性のある地元の商品が消えていく運命にあることに一抹の不安を感じることがある。
 主に量販店向けに売れ筋商品情報、利益商材情報、各地の地酒、焼酎情報を提供。取引銀行を核として異業種交流会を定期的に開催し、酒類のトレンド情報を発信している。また、商工会議所事業の一環として酒類関係の講演会を実施している。  ネットワークでの売れ筋商品等の情報提供取引先からは、適切な在庫品種・量が保たれ、同時に在庫回転率が高まったと好評である。  
 安定的な取引の確保に向けて同業者の情報交換と取引方法等の研究を実施している。  地域内の同業者間での交流が促進され、対小売店・メーカーへの発言力が高まり、利益率向上への好影響もみられた。  
 酒類等の消費・販売動向はメーカー等の情報を活用している。取引先小売業の売れ筋商品の把握は日々の商品動向や営業担当者の情報により行っている。  業態別グルーピング分析により売れ筋商品の差異が明確になった。これにより取引先毎に販売情報を提供できる態勢が整った。  販売促進面にあっては、コスト的にメーカー依存は否めない。特に業務用の取引きにおいては、設備機器も含めた要求が条件となる業界慣習があり、『真のパートナー』とまではなりづらい。
 リベートの供与基準については自社基準として下記のようなものを定めているが、競合上必ずしも原則どおりには行かないことがあり、個別店、ケースごとになることもある。売上高が年間1千万円以上、代金支払いが1ヶ月以内の支払の条件を満たす得意先に対し6%を最低として、その程度により最高9%までを供与することにし、見積書として得意先に提示している。  自社基準により支払リベートの管理を行ったこともあり、支払リベートの総額の減少を実現した。平成15年は受取リベート総額の約60%を支払リベートとして支出したが、平成16年には約30%、平成17年には約25%へと減少している。このことが平成16年には税引前純利益がマイナスであったものを平成17年にはプラスに転化できた要因ともなっている。  支払リベートについては、競合他社の内容が把握困難であり、適正なものであるかの判断がつきにくい。
 オリジナル焼酎の企画、生産。現在5社で専売商品を発売している。また、焼酎生産者と共同開発のための勉強会(現在12社)を実施している。  専売焼酎の発売は順調に推移、加盟企画生産者も増加傾向にあり、小売・卸ともに利益となっている。商品として今後も育成する。