(受贈者が旧法第70条の4第6項の規定の適用を受けている場合)

1 旧法第70条の4第1項本文の規定の適用を受ける受贈者(以下「受贈者」という。)が同条第6項に定めるところにより推定相続人のうちの1人に対し同条第1項の規定の適用を受ける農地等(以下「特例適用農地等」という。)につき使用貸借による権利の設定をし、同条第6項の規定の適用を受けているときは、当該受贈者が法附則第55条第3項の規定の適用を受ける余地はないのであるから留意する。


(「農業に必要な農作業に従事する」ことの意義)

2 令附則第33条第3項第3号イ及びロに規定する「農業に必要な農作業に従事する」とは、耕うん、整地、播種、施肥、病虫害防除、水の管理、給餌その他の耕作(法附則第55条第4項第1号に規定する耕作を言う。以下同じ。)又は養畜に直接必要な作業に従事することをいい、耕作又は養畜の事業に必要な帳簿の記帳、集金等はこれに含まれないのであるから留意する。


(使用貸借による権利の設定の日)

3 法附則第55条第3項に規定する「当該設定をした日」又は同条第5項に規定する「当該借受代替農地等に係る設定をした日」とは、同条第3項又は第5項に規定する旧特定農業生産法人(令附則第33条第3項に規定する要件を満たす農業協同組合法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第63号)第3条の規定による改正前の農地法(昭和27年法律第229号)第2条第3項に規定する農業生産法人をいう。以下「旧特定農業生産法人」という。)に対する特例適用農地等(法附則第55条第5項の規定の適用を受ける同項の借受代替農地等(以下「借受代替農地等」という。)に係る同項の貸付特例適用農地等(以下「貸付特例適用農地等」という。)を除く。)又は貸付特例適用農地等に係る借受代替農地等に係る使用貸借による権利の設定につき農地法第3条第1項((農地又は採草放牧地の権利移動の制限))の規定による許可があった日(当該許可があった日後に当該権利の設定の効力が生じる場合には当該効力が生じた日をいう。)又は農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律(令和4年法律第56号)第1条の規定による改正前の農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)第20条に規定する農用地利用集積計画(以下「農用地利用集積計画」という。)に定める日をいうのであるから留意する。
 ただし、この場合において、農地又は採草放牧地が旧特定農業生産法人の所在地のある市町村の区域内にあるものとその他の区域内にあるものとに分かれていること等により、当該使用貸借による権利の設定の日が異なることとなるときは、これらの日のうち最も遅い日をもって当該設定の日として取り扱うものとする。(平28課資2-13、課審7-9、令5課資2-12改正)


(使用貸借による権利の設定に関する届出書)

4 法附則第55条第3項又は第5項の規定の適用を受けようとする受贈者が同項に規定する届出書(以下「使用貸借による権利の設定に関する届出書」という。)を使用貸借による権利の設定の日から2か月を経過する日(以下この4において「期限内」という。)までに提出した場合には、当該使用貸借による権利の設定に関する届出書に係る記載又は添付すべき書類に不備があるときであっても、当該不備が軽微なもので速やかに補完されると認められるときには、同項の規定の適用があるものとして取り扱って差し支えない。

(注)  当該受贈者が使用貸借による権利の設定に関する届出書を期限内に提出しなかった場合には、法附則第55条第3項又は第5項の規定の適用は受けられず、旧法第70条の4第1項ただし書又は第10項の規定によりその贈与税の納税猶予税額の全部について納税猶予の期限が確定するのであるから留意する。


(使用貸借による権利の設定をしなければならないこととされている特例適用農地等の範囲)

5 法附則第55条第3項の規定の適用を受けようとする受贈者は、次の(1)に掲げるものについて、また、同条第5項の規定の適用を受けようとする受贈者は、次の(1)及び(2)に掲げるものについて、一の旧特定農業生産法人に対し使用貸借による権利の設定をしなければならないのであるから留意する。
 ただし、次の(1)に掲げるもののうち旧令第40条の6第45項各号に掲げる農地等又は敷地若しくは用地については、当該設定を行わなくても差し支えないものとして取り扱う。(平28課資2-13、課審7-9改正)

(1) 当該設定の時の直前において受贈者が有する農地等のうち旧法第70条の4第1項本文の規定の適用を受けているすべてのもの(同条第15項第3号又は第20項第3号の規定に該当する農地又は採草放牧地(以下「代替取得農地等」という。)を含み、貸付特例適用農地等を除く。)

(2) 当該設定の時の直前において受贈者が有する貸付特例適用農地等に係る借受代替農地等のすべて

(法附則第55条第3項の使用貸借による権利の設定があった場合の旧法第70条の4第1項の担保)

6 特例適用農地等が旧法第70条の4第1項に規定する担保に供されている場合には、その特例適用農地等(貸付特例適用農地等を除く。)につき法附則第55条第3項に規定する使用貸借による権利の設定があったときにおいても、その担保を提供した受贈者に対して国税通則法第51条第1項に規定する増担保の提供等を命ずる必要はないのであるから留意する。

(特定農地所有適格法人の合併又は分割の日)

7 法附則第55条第4項に規定する特定農地所有適格法人(以下「特定農地所有適格法人」という。)に係る同条第9項に規定する「当該合併又は当該分割の日」とは、同項に規定する合併法人又は分割承継法人の本店所在地において合併の登記又は設立の登記若しくは変更の登記を完了した日をいうものとする。(平28課資2-13、課審7-9改正)

(合併又は分割の場合の届出書)

8 法附則第55条第9項の規定の適用を受けようとする受贈者が同項に規定する届出書を合併又は分割の日から2か月を経過する日まで(以下この8において「期限内」という。)に提出した場合には、その届出書に係る記載又は添付すべき書類に不備があるときであっても、当該不備が軽微なもので速やかに補完されると認められるときには、同項の規定の適用があるものとして取り扱って差し支えない。

(注) 当該受贈者が届出書を期限内に提出しなかった場合には、法附則第55条第9項の規定の適用は受けられず、同条第4項又は第6項の規定に基づく旧法第70条の4第1項の規定によりその贈与税の納税猶予税額の全部について納税猶予の期限が確定するのであるから留意する。

(法附則第55条第3項又は第5項の規定の適用を受けた受贈者の継続届出書の提出期限及び提出期間)

9 特例適用農地等の全部を租税特別措置法の一部を改正する法律(平成3年法律第16号)による改正前の租税特別措置法(以下この9において「平成3年改正前法」という。)第70条の4第1項に規定する担保に供していた受贈者又は租税特別措置法の一部を改正する法律(平成7年法律第55号)による改正前の租税特別措置法(以下この9において「平成7年改正前法」という。)第70条の4第1項に規定する担保に供していた受贈者(当該特例適用農地等のうちに同条第2項第4号に規定する都市営農農地等を有する者を除く。)は、平成3年改正前法第70条の4第10項の規定により同条第7項に規定する届出書又は平成7年改正前法第70条の4第13項の規定により同条第10項に規定する届出書(以下この9において「継続届出書」という。)の提出義務が免除されるのであるが、当該受贈者が法附則第55条第3項又は第5項の規定の適用を受けたときには、令附則第33条第33項第1号及び第2号又は第34項第1号及び第2号の規定により、使用貸借による権利の設定に関する届出書の提出期限の翌日から起算して3年を経過するごとの日までに当該継続届出書を提出しなければならないこととなるのであるから留意する。この場合において、当該継続届出書の提出期間は、当該使用貸借による権利の設定に関する届出書の提出期限の翌日から起算して3年を経過するごとの日の属する月の前々月の初日から当該3年を経過するごとの日までの期間として取り扱う。

(注) 特例適用農地等の一部を旧法第70条の4第1項に規定する担保に供していた受贈者又は当該特例適用農地等のうちに同条第2項第4号に規定する都市営農農地等を有する受贈者については、法附則第55条第3項又は第5項の規定の適用を受けた場合であっても、贈与税の申告書の提出期限の翌日から起算して3年を経過するごとの日までに旧法第70条の4第22項の規定による継続届出書を提出しなければならないのであるから留意する。

(法附則第55条第3項の規定の適用を受けた特例適用農地等の買換えがあった場合)

10 法附則第55条第3項の規定の適用を受けている受贈者及び同条第4項第1号及び第6項第1号に規定する被設定者である特定農地所有適格法人が、特例適用農地等(旧法第70条の4第1項の規定の適用を受ける農地等(法附則第55条第4項に規定する農地等をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)及び当該特例適用農地等に設定されている使用貸借による権利につき、旧法第70条の4第1項第1号に規定する譲渡等(以下「譲渡等」という。)をした場合において、当該特定農地所有適格法人に帰属すべき使用貸借による権利の譲渡等の対価の額がないときには、当該受贈者が、同条第15項の規定に基づく旧令第40条の6第25項に規定する申請書に、その譲渡等の対価の全部又は一部をもって代替取得農地等に該当する農地又は採草放牧地を取得する見込みであり、かつ、当該代替取得農地等のすべてについて、当該特定農地所有適格法人に対して当該取得の日から2か月以内に再び使用貸借による権利を設定する旨並びに当該特定農地所有適格法人の名称及び所在地を付記して税務署長の承認を受けたときに限り、当該代替取得農地等に相当する当該譲渡等をした特例適用農地等に設定されている使用貸借による権利の譲渡等はなかったものとして取り扱う。(平28課資2-13、課審7-9、平30課資2-19改正)



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