4−1 個人(相続税法(昭和25年法律第73号)第66条((人格のない社団又は財団等に対する課税))の規定により個人とみなされる人格のない社団等を含む。以下同じ。)が相続、遺贈(死因贈与を含む。以下同じ。)又は贈与(死因贈与を除く。以下同じ。)により信託受益権を取得した場合(相続税法の規定により遺贈又は贈与により取得したものとみなされる場合を含む。以下同じ。)には、当該個人が当該信託受益権の取得をした時において、当該信託受益権の目的となっている信託財産の各構成物を取得したものとして相続税又は贈与税の課税価格等の計算をする。
この場合において、取得した信託受益権が割合をもって表示されているものであるときは、当該個人は、当該信託受益権の目的となっている信託財産の各構成物につき当該信託受益権の割合に相当する部分の取得をしたものとする。
4−2 信託受益権を相続税法第13条第1項((債務控除))に規定する相続又は遺贈により取得した場合において、当該信託受益権の目的となっている信託財産に帰属する債務があるときは、当該債務は、当該信託受益権を取得した者の相続税の課税価格の計算上、同項第1号又は第2項に掲げる債務に該当するものとして同法第13条及び第14条((控除すべき債務))の規定を適用するのであるが、この場合における相続税の課税価格の計算上控除すべき債務の範囲については、次の諸点に留意する。
(1) 信託財産に帰属する債務とは、その信託財産の取得、管理、運用又は処分に関して受託者が負担した債務(公租公課を含む。)及び受益者が支払うべき信託報酬(同法第13条第2項に該当する者が信託受益権を取得した場合にあっては、同項第1号から第3号までに掲げるものに限る。)をいうこと。
(2) 信託財産に帰属する債務が同法第14条第1項の「確実と認められるもの」であるかどうかは、その信託受益権を相続又は遺贈により取得した時の現況によって判定すること。
(3) 取得した信託受益権が割合をもって表示されているものであるときは、控除すべき債務は、当該信託受益権の目的となっている信託財産に帰属する債務のうち当該信託受益権の割合に相当する部分に限られること。
4−3 信託受益権を贈与により取得した場合において、当該信託受益権の目的となっている信託財産に帰属する債務があるときは、その者が、その債務(当該信託受益権が割合をもって表示されているものであるときは、その債務のうち当該信託受益権の割合に相当する部分)の額に相当する対価の額によって当該信託財産の各構成物(当該信託受益権が割合をもって表示されているものであるときは、当該各構成物につき当該信託受益権の割合に相当する部分)を取得したものとして、相続税法第7条((贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合))の規定を適用する。
(注) 債務を含む信託財産の信託受益権を贈与した者に対する所得税法の規定の適用については、2−30参照。
4−4 相続税法第21条の6第1項((贈与税の配偶者控除))に規定する「居住用不動産」には、同項の規定による贈与税の配偶者控除の適用を受けられる者の信託財産として取得(信託受益権の取得によるものを含む。)された土地等又は家屋で同項に規定する居住用不動産に該当するものが含まれる。 この場合において、同項の規定の適用を受けようとする者が、同条第3項の規定により贈与税の申告書に添付すべき相続税法施行規則(昭和25年大蔵省令第 17号)第9条第2号((贈与税の配偶者控除の適用を受ける場合の添付書類))に掲げる登記簿の謄本又は抄本には、取得された信託財産に属する居住用不動産に係る信託原簿の謄本又は抄本が含まれることに留意する。
4−5 相続税法第6章((延納及び物納))及び第8章((雑則))の規定の適用に当たっては、次の諸点に留意する。
(1) 相続税法第38条第1項((延納))に規定する「不動産等の価額」には、相続又は遺贈により信託受益権の取得をした場合の当該信託受益権の目的となっている信託財産に属する不動産等の価額が含まれること。
(2) 信託受益権は、同条第1項及び第3項に規定する担保に該当しないこと。
(3) 信託受益権は、同法第41条第2項((物納))に規定する物納に充てることができる財産には該当しないこと。
(4) 同法第52条((利子税))の規定を適用する場合には、同条第1項第1号イ又は同条第4項に規定する「不動産等」には、信託受益権の目的となっている信託財産に属する不動産等が含まれること。
4−6 個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに信託受益権がある場合において、当該信託受益権の目的となっている信託財産に属する土地等が、その相続の開始の直前において当該相続又は遺贈に係る被相続人等(措置法第69条の3第1項((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))に規定する被相続人等をいう。)の同項に規定する事業の用又は居住の用に供されていた宅地等に該当するものであるときは、当該土地等は、同条の規定の適用については、同条第1項に規定する事業の用又は居住の用に供されていた宅地等に含まれる。
4−7 措置法第70条の3第1項((住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例))に規定する「住宅用家屋」には、個人の信託財産に属する家屋で同項に規定する住宅用家屋に該当するもの(以下この項において「信託住宅用家屋」という。)が含まれるのであるが、この場合における同条の適用については、次のことに留意する。
(1) 個人の信託財産に属する家屋が区分建物の各部分(措置法令第40条の3第2項第2号((住宅用家屋の範囲))に規定する各部分をいう。)の2以上に相当するものであり、かつ、当該2以上の部分のうちに当該個人の居住の用に供される部分とそれ以外の用に供される部分とがあるときは、当該個人の居住の用に供される部分が区分所有登記又は信託契約書(受益権証書を含む。)において区分所有されていることが確認されない限り、同項に規定する「その家屋の床面積の2 分の1以上に相当する部分が専ら当該居住の用に供されるもの」に該当するかどうかの判定については、当該個人の有する信託受益権の目的となっている各部分の全部の床面積の合計を基礎として判定する。
(2) 信託住宅用家屋の新築又は取得につき措置法第70条の3第1項の規定の適用を受けようとする者が同条第3項の規定により贈与税の申告書に添付すべき書類に関しては、次のことに留意する。
イ 措置法規則第23条の4第5項第1号ホ((添付書類))に掲げる登記簿の謄本又は抄本には、信託住宅用家屋に係る信託原簿の謄本又は抄本が含まれる。
ロ 同項第3号ロ及びハの書類には、これらの書類がその信託受益権の目的となっている信託住宅用家屋の取得に係るものである旨の受託者の証明を受けるものとする。
● 土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて
別紙