事業の廃止等による納税の猶予等の場合の免除

(猶予期間内に納付しなかったやむを得ない理由)

1 法第63条第3項括弧書の「やむを得ない理由」には、納税者の故意又は重大な過失による理由は含まない。

(納付が困難と認められるもの)

2 法第63条第3項の「納付が困難と認められるもの」とは、納税の猶予又は換価の猶予に係る国税の延滞税のうち、その徴収をしようとする時において納付することができないと認められる延滞税の額をいう。

(財産の状況が著しく不良)

3 法第63条第3項第1号の「納税者の財産の状況が著しく不良」とは、納税者が債務超過に準ずる状態に至った場合をいう。

(軽減又は免除されたとき)

3-2 法第63条第3項第1号の「その軽減又は免除がされたとき」とは、猶予をした期間の始期以降において、納税者の財産の状況が著しく不良であって、そのままの状態では事業の継続又は生活の維持が著しく困難になると認められる場合において、その状態に陥ることを避けるために、納期又は弁済期の到来した地方税、公課及び私債権の元本又は利息につき相当額の軽減又は免除がされたときをいう。

(延滞税の納付を困難とするやむを得ない理由)

4 法第63条第3項第2号の「延滞税の納付を困難とするやむを得ない理由があると認められるとき」とは、猶予に係る国税について、不要不急の資産の処分、経費の節減等の相当の努力をしたにもかかわらず、おおむね次に掲げる場合(納税者の故意又は重大な過失によるものを除く。)に該当するため、その国税に係る延滞税の納付が困難となっていると認められる場合をいう。

(1) 納税者につき猶予該当事実がある場合

(2) 納税者がその財産の大部分につき強制執行、担保権の実行としての競売、仮差押え等がされているため、納付資金の調達が著しく困難になっている場合

(3) 納税者の所有する財産が事業の継続又は生活の維持に必要最小限のもの以外になく、また、所得が少額で納付資金の調達が著しく困難になっていると認められる場合

(判定の時期)

5 法第63条第3項各号に該当するかどうかの判定は、免除しようとする時における納税者の状況により行う。

差押え等の場合の免除

(必要な財産)

6 法第63条第5項の「滞納に係る国税の全額を徴収するために必要な財産」とは、差し押さえた財産から国税を徴収できる額(処分予定価額を基にして算定する。)が差押えに係る国税の額以上と判定できる財産をいう。この場合において、その国税につき徴収法第24条第3項《譲渡担保権者の物的納税責任》に規定する譲渡担保財産又は第36条第1号《実質課税額等の第二次納税義務》及び第41条第1項《人格のない社団等に係る第二次納税義務》に規定する第二次納税義務者の財産を差し押さえているときは、その財産から徴収できる額も含めてその国税の額以上かどうかの判定をする。

7 削除

(相当する担保)

8 法第63条第5項の「納付すべき税額に相当する担保」とは、その担保財産の価額(担保が保証人の保証の場合は、その保証人の資力)が担保提供に係る国税の額以上である担保をいう。この場合における国税の額には、未確定の延滞税(同条各項の規定により免除される延滞税の額を除く。)及びその担保の処分に要する費用の額を含む(以下9において同じ。)。
 なお、納付委託に係る有価証券は、上記の担保に含まれない。

(免除の範囲)

9 法第63条第5項の規定により免除する延滞税は、差し押さえた財産又は提供された担保の額がその差押え等に係る国税の額以上と判定できる期間に対応する延滞税に限る。

納付の委託の場合の免除

(弁済委託等の場合)

10 徴収法第67条第4項《差し押さえた債権の取立》の規定による弁済委託の場合(差押有価証券の取立委託をする場合を含む。)についても、法第63条第6項第1号の規定に準じて免除する。

(期限が指定された場合の委託を受けた日)

11 法第63条第6項第2号の「その委託を受けた日」とは、納税者が金融機関に対し、あらかじめ納付すべき日を指定して納付を委託した場合には、その指定された日をいう。

災害の場合の免除

(その他これらに類する災害)

12 法第63条第6項第3号の「その他これらに類する災害」とは、豪雪、津波、落雷、地すべりその他の自然現象の異変による災害をいう。

(納付することができない事由)

13 法第63条第6項第3号の「納付することができない事由」とは、災害により、社会通念上、納付の行為ができないと認められる事情をいい、災害に基因して資金不足が生じたため納付ができない場合は含まれない。

(人為による異常な災害又は事故)

14 令第26条の2第3号《延滞税の免除ができる場合》の「その他の人為による異常な災害又は事故」とは、ガス爆発、交通の途絶、飛行機の墜落、船舶の沈没等をいう。

(申告又は納付ができない場合)

15 令第26条の2第3号《延滞税の免除ができる場合》の「申告をすることができず又は国税を納付することができない場合」とは、13に準ずる。

第二次納税義務等の免除

(第二次納税義務等の免除)

16 第二次納税義務者(徴収法第36条第1号及び第2号《実質課税額等の第二次納税義務》及び第41条第1項《人格のない社団等に係る第二次納税義務》に規定する第二次納税義務者を除く。)又は保証人について、法第63条の規定に該当する事由が生じた場合には、その第二次納税義務者等についても法第63条の規定に準じて免除することができる。

会社更生法の規定による免除との関係

(意見を述べる場合等の基準)

17 会社更生法第169条《租税等の請求権の取扱い》の規定により、税務署長等が延滞税の減免についての意見を述べる場合又は同意をする場合には、おおむね法第63条の規定の趣旨に準じて行う。


目次

● 国税通則法基本通達(徴収部関係)の制定について

● 引用の法令番号

● 省略用語