担保の処分

(不服申立てに係る国税の担保の処分)

1 法第105条第3項及び第5項《不服申立てに係る国税の担保》の規定により提供された担保については、その担保提供の原因となった不服申立ての裁決又は決定後でなければ処分をしないものとする。
 なお、再調査の請求についての決定から審査請求がされるまでの間(審査請求をすることができる期間内に限る。)は、原則として、不服申立ての係属中の場合と同様とする。

(会社更生法との関係)

2 会社更生手続において国税のために提供された担保の処分についても、法第52条の規定の適用があるが、その処分ができる要件等については、同条の規定と異なる場合(例えば、会社更生法第50条第5項《他の手続の中止等》の規定による滞納処分の続行命令があった場合)がある。

担保財産の処分

(担保財産の差押え)

3 担保財産を滞納処分の例により処分する場合は、担保財産を差し押さえる。この場合において、その担保財産に滞納処分による先行の差押えがされているときは、参加差押えをする。
 なお、その財産が納税者以外の第三者に帰属しているときの差押え又は参加差押えの手続は、その第三者を相手方として行い、滞納者に差押え等をした旨を通知する(徴収法基通第54条関係12参照)。

(注) この場合において、差押え等による時効の完成猶予及び更新の効力は、差押え等をした旨が滞納者に通知された後でなければ生じない(法第72条第3項、民法第154条参照)。
 なお、滞納者に対する通知の前に時効の期間が満了した場合には、時効の完成猶予の効力は生じない。

保証人からの徴収

(個人の保証人に対する取消しの通知)

3-2 国税の担保が個人保証人の保証である場合において、その国税についての延納、納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予(以下3-2において「猶予等」という。)を取り消したときは、その保証人に対し、猶予等を取り消した日から2月以内にその取消しを通知しなければ、民法第458条の3《主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務》の規定により、その保証人からは徴収できない延滞税の額が生じる場合があることに留意する(第49条関係7参照)。

(滞納処分を執行してもなお不足があると認めるとき)

4 法第52条第4項の「滞納処分を執行してもなお不足があると認めるとき」とは、保証人に対して滞納処分(交付要求及び参加差押えを含む。以下4において同じ。)を執行しようとする時の現況において納税者に帰属する財産で滞納処分により徴収できるものの価額が、納税者の有する国税の総額に満たないと認める場合をいい、その判定は、滞納処分を現実に執行した結果に基づいてする必要はない。
 なお、上記の場合における財産の価額の算定については、次に留意する。

(1) 財産について、徴収法その他の法律の規定により納税者の国税に優先する債権(私債権、公課、地方税等)がある場合には、優先する債権額に相当する金額を財産の処分予定価額から控除してその財産の価額を算定する。

(2) 徴収法第76条第5項《給与の差押禁止の特例》の規定により差押えができる給料等がある場合には、原則として、納税者の承諾が得られないものとしてその財産の価額を算定する。

(3) 取立ての方法により処分すべき財産がある場合には、それを換価するものとしてその財産の価額を算定する。

(4) 継続収入に係る債権又は将来生ずべき債権がある場合には、それを換価するものとしてその財産の価額を算定する。

(5) 交付要求に係る財産がある場合には、直ちにそれを換価したとした場合において配当を受けることができると認められる金額を基準として、その財産の価額を算定する。

(6) 滞納処分費を要すると認められる場合には、その見込額を控除してその財産の価額を算定する。

(換価の制限)

5 保証人の財産の売却決定は、主たる納税者の財産について、公売期日等(公売により売却する場合には最高価申込者の決定の日、随意契約により売却する場合にはその売却をする日をいう。)の日後に行う。ただし、保証人の財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき(不相応な多額の保存費を要するときを含む。)は、法第52条第5項の換価の制限はない(徴収法第32条第4項、民事保全法第49条第3項参照)。
 なお、次に留意する。

(1) 第三者に帰属する担保財産がある場合における保証人の財産の換価は、可能な限りその担保財産を換価した後に行う。

(2) 法第52条第5項の「換価」には、取立ての方法による換価は含まれない。

保証と主たる納税義務との関係

(納税の猶予)

6 主たる納税者の国税(以下第52条関係において「主たる国税」という。)について納税の猶予をしている間は、その国税の保証人に対して納付通知書若しくは納付催告書を発し、又は滞納処分をすることはできない。
 なお、保証人の保証に係る国税(以下第52条関係において「保証国税」という。)についてした納税の猶予の効力は、主たる国税には及ばない。

(換価の猶予)

7 主たる国税について換価の猶予をしても、その保証人に対して納付通知書若しくは納付催告書を発し、又は滞納処分をすることができる。ただし、換価については、法第52条第5項の規定により制限される。

(滞納処分の停止による消滅)

8 保証国税についてした滞納処分の停止の効力及びそれに伴う消滅の効果は、主たる国税には及ばない。

(時効の完成猶予及び更新のための訴え)

9 保証国税がある場合において、主たる国税が時効により消滅するおそれがあり、時効の完成猶予及び更新のため他に適当な方法がないときは、必要に応じ、主たる国税の存在確認の訴えを提起する(昭和39.3.26東京地判参照)。

(催告の抗弁権等)

10 国税の保証人については、民法第452条《催告の抗弁》及び第453条《検索の抗弁》の規定の適用がない。


目次

● 国税通則法基本通達(徴収部関係)の制定について

● 引用の法令番号

● 省略用語