第2節 担保
1 法第50条第2号の「社債(特別の法律により設立された法人が発行する債券を含む。)その他の有価証券で税務署長等が確実と認めるもの」は、次に掲げる有価証券など、その発行する法人の財務内容及び事業の状況から、元本の償還、利息の支払等が確実であると認められるものとする。
なお、有価証券には、令第16条第1項《担保の提供手続》に規定する振替株式等など、その権利を表象する券面が発行されていないものが含まれる。
(1) その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券
(2) 金融機関が特別の法律により発行する債券
(3) 金融商品取引所に上場されている有価証券
2 法第50条第4号の「立木」とは、立木ニ関スル法律第1条第1項《立木の定義》の規定により所有権保存の登記をした樹木の集団をいう。
3 法第50条第5号に規定する鉄道財団等の財団(以下第50条関係において「鉄道財団等」という。)であっても、その財団としての存続期間(鉄道抵当法第2条の2第2項、第13条、工場抵当法第8条第3項、第10条等参照)の終期が、国税の担保としての抵当権設定の登記又は登録が通常されると見込まれる日より前に到来するものは、その性格上、国税の担保としては不適格であるものとする。
4 法第50条第4号の「保険」には、所得税法第77条第2項第2号《地震保険料控除》に規定する共済に係る契約(共済金の支払を受ける権利の譲渡又は差押えが禁止されているものを除く。)を含み、保険料又は共済掛金が月掛のものを含まない。
(注) 月掛火災保険については、普通火災保険に契約変更ができることに留意する。
5 国税の担保財産に付すべき保険の金額は、その担保財産により担保される国税(その国税が完納されるまでの延滞税、利子税及びその担保財産の処分に要する費用を含む。)の額及びこれに先立つ抵当権等により担保される債権その他の債権の合計額を超えるものでなければならない。
6 法第50条第6号の「税務署長等が確実と認める保証人」とは、別に定める場合を除き、金融機関その他の保証義務を果たすための資力が十分であると認められる者をいう。
7 法人による保証(物上保証を含む。)については、当該法人がその国税の保証をすることが、当該法人の定款に定める目的の範囲内に属する場合に限る。
なお、次に掲げる法人による保証は、定款に定める目的の範囲内に属するものとする。
(1) 担保を提供すべき者と取引上密接な関係のある営利を目的とする法人(昭和33.3.28最高判、昭和41.2.28東京地判参照)
(2) 担保を提供すべき者が取締役又は業務を執行する社員となっている営利を目的とする法人(会社法第356条第1項第3号《競業及び利益相反取引の制限》、第365条第1項《競業及び取締役会設置会社との取引等の制限》、第419条第2項《執行役の監査委員に対する報告義務等》又は第595条第1項第2号《利益相反取引の制限》の規定により株主総会の承認、取締役会の承認又は社員の過半数の承認を受けたものに限る。)
7-2 国税の保証人についても民法第458条の2《主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務》の規定の適用があるから、保証に係る国税につき保証人から納税者の履行状況に関する情報の請求があったときは、その保証人に対し、遅滞なく、その国税の不履行の有無並びにその残額及びそのうち不履行となっているものの額を通知するものとする。
8 担保は、可能な限り処分が容易であって、かつ、価額の変動のおそれが少ないものから、提供を受けるものとする。
9 国税の担保は、その担保に係る国税が完納されるまでの延滞税、利子税及び担保の処分に要する費用をも十分に担保できる価額のもの(担保が保証人の保証である場合は、その国税等の保証義務を十分に果たせる資力を有する保証人)でなければならない。
10 国税の担保財産の見積価額は、次の各号に掲げる金額によるものとする。
(1) 法第50条第1号に掲げる国債については、政府ニ納ムヘキ保証金其ノ他ノ担保ニ充用スル国債ノ価格ニ関スル件に規定する金額
(2) 法第50条第1号に掲げる地方債及び第2号に掲げる社債その他の有価証券については、時価の8割以内において担保の提供期間中の予想される価額変動を考慮した金額
(3) 法第50条第3号に掲げる土地については、時価の8割以内において適当と認める金額
(4) 法第50条第4号及び第5号に掲げる建物等については、時価の7割以内において担保を提供している期間中に見込まれる価値の減耗等を考慮した金額
● 引用の法令番号
● 省略用語