第4節 送達

書類の送達場所

(事務所等が2以上ある場合の送達)

1 送達を受けるべき者に住所等が2以上あるときは、送達すべき書類と緊密な関係のある住所等にその書類を送達するものとする。

(所在不明の法人に対する送達)

2 法人が事実上解散し、又は清算を結了し、その所在が不明であるとき(例えば、登記簿上の法人の所在地に事務所がないとき。)は、その法人を代表する権限を有する者の住所等に書類を送達するものとする。

(制限行為能力者に対する送達)

3 送達を受けるべき者が制限行為能力者である場合においても、その者の住所等に書類を送達するものとする。ただし、その者の法定代理人(民法第25条、第818条、第843条、第952条等参照。)が明らかな場合には、その法定代理人の住所等に書類を送達するものとする。

(破産者等に対する送達)

4 送達を受けるべき者について次に掲げる事実が生じたことが明らかな場合には、それぞれ次に定める者の住所等に書類を送達するものとする。

(1) 破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の決定があったとき又は破産法第91条《保全管理命令》の規定による保全管理人による管理を命ずる処分があったとき  破産管財人又は保全管理人(同法第78条第1項、第81条第1項、第93条第1項参照)

(2) 更生手続開始の申立てがあった場合において、更生手続開始の決定があったとき又は会社更生法第30条《保全管理命令》若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第22条《保全管理命令》の規定による保全管理人による管理を命ずる処分があったとき  管財人又は保全管理人(会社更生法第32条第1項、第72条第1項、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第23条、第45条参照)

(3) 再生手続開始の申立てがあった場合において、民事再生法第64条《管理命令》の規定による管財人による管理を命ずる処分があったとき又は同法第79条《保全管理命令》の規定による保全管理人による管理を命ずる処分があったとき  管財人又は保全管理人(同法第66条、第81条第1項参照)

(4) 外国倒産処理手続の承認の申立てがあった場合において、外国倒産処理手続の承認の決定がされたとき又は外国倒産処理手続の承認援助に関する法律第51条《保全管理命令》の規定による保全管理人による管理を命ずる処分があったとき  承認管財人又は保全管理人(同法第34条、第53条参照)

(5) 法人が解散したとき  清算人又は代表清算人(会社法第483条、第655条等参照)

(6) 相続人不存在のため相続財産管理人が選任されたとき  相続財産の管理人(民法第952条参照)

(7) 送達を受けるべき者が民法第25条《不在者の財産の管理》に規定する不在者に該当するとき  不在者財産管理人(同法第28条参照)

(8) 企業担保権の実行手続の開始決定があったとき  管財人(企業担保法第32条第1項参照)

(在監者に対する送達)

5 送達を受けるべき者が在監中の場合においても、その者の住所等に書類を送達するものとする。この場合、住所等が不明の場合及び本人のために書類を受け取るべき者がない場合には、その者が在監している刑務所等に書類を送達するものとする。

(特定納税管理人が指定されているときの送達)

5-2 法第12条第1項本文の規定による送達を受けるべき者に法第117条第5項《納税管理人》に規定する特定納税管理人があるときは、その送達を受けるべき書類の受領をすることが当該特定納税管理人に処理させる同条第3項の特定事項に含まれる場合を除き、法第12条第1項ただし書の「その送達を受けるべき者に納税管理人があるとき」には含まれないことに留意する(第117条関係7参照)。

郵便又は信書便による送達

(通常の取扱いによる郵便又は信書便)

6 法第12条第2項の「通常の取扱いによる郵便又は信書便」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 郵便のうち郵便法第44条《特殊取扱》の規定による特殊取扱いとされる郵便(速達の取扱いによる郵便を除く。)以外のもの

(2) 民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第6項《定義》に規定する一般信書便事業者又は同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便(以下「信書便」という。)のうち上記(1)に準ずるもの

(通常到達すべきであった時)

7 法第12条第2項の「通常到達すべきであった時」とは、そのときの郵便又は信書便の事情と地理的事情等を考慮して合理的に判定される時をいう。

交付送達

(同居の者)

8 法第12条第5項第1号の「同居の者」とは、送達を受けるべき者と同一の建物内で共同生活をしていれば足り、生計を一にしていることを要しない。

(相当のわきまえのある者)

9 法第12条第5項第1号の「相当のわきまえのある者」とは、書類の送達の趣旨を了解し、受領した書類を送達を受けるべき者に交付することを期待しうる能力を有する者をいい、必ずしも成年者であることを要しない(大正3.7.13行判、平成25.9.17福岡高判参照)。

送達の効力発生時期

(送達の効力発生時期)

10 書類の送達の効力は、その書類が社会通念上送達を受けるべき者の支配下に入ったと認められるときに生ずる(昭和29.8.24最高判、昭和54.3.9最高判参照)。
 なお、一旦有効に書類が送達された場合には、たとえ、その書類が返戻されても送達の効力には影響がない(昭和25.6.3広島地判、昭和17.11.28大判参照)。


目次

● 国税通則法基本通達(徴収部関係)の制定について

● 引用の法令番号

● 省略用語