4 酒類の数量確認に液面計を使用する場合の取扱い

 酒類の数量確認に使用する液面計については、令第53条《申告義務》第1項第4号に規定する機械、器具に該当する。
 なお、酒類製造者が設置した液面計を数量確認に使用する場合の具体的な取扱いは、次のとおり。

(1) 液面計の定義

 液面計とは、液面上に浮子等を機械的又は電気的操作により平衡させ、テープ等を巻き取る方法により液深を測定するものをいう。
 なお、液深の指示機構には、現場指示型と遠隔指示型とがあるが、そのいずれであっても差し支えない。

(2) 許容誤差

 酒類の数量確認に使用する液面計は、当該液面計を設置しようとする容器に取り付けた後、当該容器の高さのおおむね4分の1及び4分の3の2箇所において、採尺による測定と液面計による測定を同時に3回ずつ行い、それぞれの平均値の差が±8mm以内のものとする。

(注)

1 許容誤差(±8mm)は液面計の計器自体の誤差、巻尺の使用公差及びその他の操作上の誤差を勘案して定めたものであるが、通常はこれらの要素が相殺され、±4mm以内にとどまることが多い。

2 誤差の測定は、液面の安定したときに行い、水又は酒類のどちらを使用しても差し支えない。

(3) 精度調査

 液面計を使用している酒類製造者は、使用当初及び耐用年数又は当該液面計の製造者が推奨する保守期間内に、(2)に定める方法により当該液面計の精度を調査し、その事績を記帳する。
 なお、調査の結果、当該液面計の精度が許容誤差の範囲を超えている場合は、所定の精度に調整されるまで、液面計を使用することはできないのであるから留意する。

(4) その他

イ 深さの測定を液面計によることとした容器については、以後、異常のある場合を除き、採尺による深さの測定は行わないこととして差し支えない。

ロ 液面計により深さを測定するときは、1ミリメートルを単位として行い、1ミリメートル未満の端数があるときは、入味深の場合には端数を切り捨て、空積深の場合には端数を切り上げ、1ミリメートル単位とする。

ハ 液面計を設置(調整を含む。)したときの液体(酒類又は水)に比較して著しく比重の異なる酒類を収容する場合で液面計に2mm以上の深さの差が生じるときは、液面計の調整を行い、当該調整事績を第46条の3〈酒類製造者の記帳事項〉に定める深さに関する事項に記帳する必要があることに留意する。

(注) 液面計の調整方法は、液面計の数値を、採尺による実測した数値に合わせる方法と酒類の比重換算により算出された数値に合わせる方法のいずれであっても差し支えない。

5 酒類の数量確認に流量計を使用する場合の取扱い

 酒類の数量確認に使用する流量計については、令第53条第1項第4号《申告義務》に規定する機械、器具に該当する。
 なお、酒類製造者が設置した流量計を数量確認に使用する場合の具体的な取扱いは、次のとおり。

(1) 流量計の要件

イ 積算計を有し、積算計の最小表示目盛の単位は1リットル以下のものであること。

ロ (2)に定めるところにより器差試験を行った結果、その器差が0.5%以内(0.5に端数がある場合には、0.5%以内でないこととする。)であること。

(2) 器差試験の方法等

 イ 計量士等による器差試験

(イ) 器差試験は、国立研究開発法人産業技術総合研究所又は当該流量計の製造者の事業所に勤務する計量士(計量法(平成4年法律第51号)第122条《登録》に規定する計量士の登録を行った者)が行う。

(ロ) 器差試験には、計量法第103条第1項《基準器検査の合格条件》の規定により基準器検査に合格し、かつ、有効期限内にある基準器を使用する。

(ハ) 器差は、当該流量計の積算計により測定した試料の数量を、基準器により測定した当該試料の数量(器差のある基準器を用いた場合には補正した数量)と比較して求める。

(ニ) 器差試験に使用する試料は、水又は当該器差試験に係る流量計を使用する酒類と相当粘度の液体とする。

(ホ) 器差試験を行った場合には、器差試験を行った者から、試験成績書の交付を受ける。

(ヘ) 試験成績書の様式は、別に定める様式とする。ただし、国立研究開発法人産業技術総合研究所において器差試験を行ったものについては、同所の発行する試験成績書によることができる。

ロ 複数の流量計を有する製造場における器差試験の特例
 複数の流量計を有する製造場における流量計(酒類の移出数量及び移入数量を測定するための流量計を除く。)の器差試験については、基準とする流量計を定め、これを基準として流量計の器差の確認を行う次の方法によることとして差し支えない。

(イ) 基準とする流量計は、イに規定する器差試験を受け、かつ、(1)の流量計の要件を満たすものであること。

(ロ) 器差の確認は、使用当初及び耐用年数又は当該流量計の製造者が推奨する保守期間内に、イの(ハ)及び(ニ)に準じて行う。
 なお、流量計の器差が(1)のロに規定する器差の範囲から外れていると認められる場合には、随時器差の確認を実施する。

(ハ) 基準となる流量計を使用して器差の確認を行う場合には、あらかじめ、その実施方法等に関する社内マニュアル等を製造場の所在地の所轄税務署長に提出する。

(ニ) 器差の確認を行った場合には、その記録を保存する。

(3) 使用に当たっての留意事項

イ 流量計を設置した場合は、次に掲げる事項を表示した表示板を当該流量計に取り付け、誤って器差の調整等が行われないよう封かん等の所要の措置を講じる。

(イ) 当該流量計の名称及び型式並びに器物番号

(ロ) 器差試験等を行った年月日

(ハ) 器差試験等を行った者の氏名又は名称

(ニ) 当該流量計の管理責任者の氏名

ロ 常に安定した状態で使用する。

ハ 流量計ごとに定められている流量(常用流量と呼んでおり、通常1時間当たりのキロリットル数(kl(m3)/h)で表されている。)の範囲内で使用する。

ニ 使用中の流量が、常用流量の範囲内であるかどうかを随時確認する。

ホ 器差試験の有効期限内であっても器差が(1)のロに規定する範囲から外れていると認められる場合及び流量計を補修した場合(表示板の補修等の精度に影響がないと認められる場合を除く。)には、(2)のイの器差試験を実施する。

6 少量の容器の申告の取扱い

 容量が20リットル未満の容器については、令第53条第1項第4号《製造設備の申告義務》に規定する容量の測定の方法の申告を省略させても差し支えない。

7 酒母等の製造者の製造設備の申告の取扱い

 酒母等の免許を受け又は酒母等の製造場を移転した酒母等の製造者に対しては、令第53条第2項《酒母等の製造者の製造設備の申告義務》の規定により原則として、同条第1項《製造設備の申告義務》各号に掲げる事項を記載した申告書を提出することを命ずることとする。

8 製造の申告の取扱い

 令第53 条《申告義務》第3項及び同条第5 項に規定する製造方法の開始及び終了の申告の取扱いは、次による。

(1) 令第53 条《申告義務》第3項第4号に規定する「製造方法の詳細」とは、製造段階ごとの原料の種類、原料の処理方法及び仕込配合並びにこす又は蒸留する等の方法をいう。

(2) 申告した製造方法の詳細に変更がある場合には、新たな製造方法の開始の申告を要することに留意する。
 なお、変更前の製造方法による製造を行わないこととなる場合には、終了の申告が必要となる。

(3) 次の場合には、製造方法の開始の申告を要しないことに取り扱う。

イ 原料の種類、原料の処理方法等が同じで、仕込配合比率を同一のまま仕込み数量を増減させた場合。

ロ 申告した製造方法の酒類を製造する場合に原材料の品種、品質の影響等により、原材料の使用数量に合理的と認められる範囲内の増減がある場合。

ハ 試験製造に係る原材料の種類を変更し、又はその使用数量を増減する場合。

(4) 申告した製造方法の酒類の製造を休止する場合には申告を要しないが、その酒類の製造を終了する場合には申告を要することに留意する。

9 製造休止の申告の取扱い

 令第53 条第4項に規定する製造休止の申告は、次に留意する。

(1) 製造休止の申告は、酒類、酒母又はもろみの区分別に、酒類については、酒類の種類別(品目のある酒類については品目別)に申告する。

(2) 製造休止の申告をした休止期間等に変更があった場合には、令第54 条《異動申告》による申告を行う。

10 「酒類の製造場又は販売場の所在地に異動を生じたとき」の取扱い

(1) 令第54条《異動申告》に規定する酒類、酒母等の「製造場の所在地につき異動を生じたとき」又は「販売場の所在地につき異動を生じたとき」とは、当該製造場又は販売場の存する場所の地名若しくは地番に変更のあった場合をいい、同一の建物内若しくは施設内において当該製造場又は販売場を移動した場合も含むものとする。

(注) 例えば販売業者が、店舗内において販売場を移動する場合(販売場を階を異にして拡張する場合等を含む。以下同じ。)又はプラットホーム若しくは駅構内(プラットホームを除く。以下、この(注)において同じ。)の一部を賃借している販売業者が、他のプラットホーム若しくは駅構内の他の場所に販売場を移動する場合は「異動」とするのであるから留意する。

(2) (1)にかかわらず、次に掲げる場合には、令第54条《異動申告》に規定する申告を省略させることとして差し支えない。

イ 販売業者が、同一の建物内若しくは施設内において販売場を移動する場合において、販売業者において販売場が確実に管理されている場合。

ロ 市区町村合併による市区町村名の変更に伴う製造場又は販売場の所在地の変更等異動事項の内容が、異動申告によらずとも明確に特定しうる場合。

11「住所及び氏名又は名称に異動を生じたとき」の取扱い

 令第54条に規定する「住所及び氏名又は名称に異動を生じたとき」とは、酒類等の製造者又は酒類販売業者である法人が、その組織変更(会社法第2条第26号に規定する組織変更のほか、同法638条《定款の変更による持分会社の種類の変更》に定める変更及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)第45条《株式会社への商号変更》に定める特例有限会社の株式会社への移行を含むものとする。)を行った場合を含むのであるから留意する。

第2項関係

1 「製成数量」の意義

法第47条《申告義務》第2項に規定する製成数量は、第3条(共通事項)の15〈酒類の製成の時期〉において定める時期に測定した酒類の数量をいう。

2 「必要と認めて指定する区分」の意義

 令第53条《申告義務》第6項に規定する「必要と認めて指定する区分」とは、原料用酒類とその他の酒類との区分をいう。

第4項関係

1 酒類の販売数量等の報告を求める場合の取扱い

 法第47条第4項に規定する「酒類の販売業者に対し、その購入若しくは販売した酒類又は所持する酒類の数量について報告を求めることができる。」の取扱いは、次による。

(1) 酒類販売業免許を受けた者に対しては、会計年度ごとに次の事項を記載した報告書を提出させるものとする。

イ 酒類の販売数量

(イ) 他の酒類製造者及び卸売業者に販売した酒類の数量

(ロ) 他の酒類小売業者に販売した酒類の数量

(ハ) 一般の消費者、酒場及び料理店等に販売した酒類の数量

ロ 会計年度末日の酒類の所持数量

(2) 酒類販売業免許を要しない酒場、料理店等に対しては、酒税の取締り上特に必要があると認められる場合に限り、酒類の購入若しくは販売の数量又は酒類の所持数量等を記載した報告書を提出させるものとする。

2 酒類の蔵置所の報告を求める場合の取扱い

 酒類の販売業者が、酒類の蔵置所を設置し、又は廃止しようとする場合には、令第54条の2第1号《酒類の蔵置所の報告義務》の規定により、当該蔵置所の所在地及び名称並びに当該蔵置所を利用する自己の販売場の所在地及び名称等を記載した報告書を提出させるものとし、その取扱いは、次による。

(1) 蔵置所とは、課税済の酒類を単に蔵置する場所をいい、複数の酒類販売場を有する酒類の販売業者が、一括して酒類の仕入れを行い自己の各販売場に移送するため、又は自己の各販売場からの指示に基づき消費者等へ配送するための作業場所(配送センター等)を含む。

(2) 報告書は、蔵置所を利用する自己の販売場の所在地の所轄税務署長に提出させる。ただし、蔵置所の所在地が、当該販売場の所在地の所轄税務署の管轄区域外であるときは、当該蔵置所の所在地の所轄税務署長に提出させることとしても差し支えない。

(3) 一つの蔵置所を利用する自己の販売場が複数あるときは、各販売場の所在地及び名称等を記載した書類を報告書に添付して、当該蔵置所を主に管理する自己の販売場の所在地の所轄税務署長又は当該蔵置所の所在地の所轄税務署長のいずれかに提出させることにより、各販売場ごとに報告書が提出されたものとする。

(4) 蔵置所の設置期間が予め明らかである場合で、当該設置期間を報告書に記載しているときは、当該記載された設置期間の満了日をもって、当該蔵置所の廃止の報告書が提出されたものとする。

(5) 蔵置所の設置期間等報告している事項に異動が生じた場合には、速やかに、異動後の内容を記載した報告書を提出させるものとする。

(6) 中元、歳暮期等一時的に酒類を蔵置する場合であっても、常時自己の倉庫として使用しており(賃借している場合を含む。)、かつ、毎年一定の時期に酒類を蔵置することとしている場合は常設の蔵置所とみなす。

(7) 酒類を蔵置する場所が酒類の販売業者ごとに固定されていない倉庫等に蔵置所を設置しようとする場合において、倉庫業者等との契約により酒類の販売業者ごとに酒類が管理され、記帳等により酒類の販売業者ごとに蔵置している酒類を特定することができる場合には、当該倉庫等を蔵置所とすることとして差し支えない。

3 酒類の販売先等の報告を求める場合の取扱い

 酒税の取締り上特に必要があると認められる場合には令第54条の2第2号《酒類の販売先等の報告義務》の規定により、酒類の販売業者に対して、酒類の販売先の住所、氏名又は名称を記載した報告書を提出させる。

4 「他の酒類の販売業者」の意義

 令第54条の2第2号《酒類の販売先等の報告義務》に規定する「他の酒類の販売業者」とは、法第9条第1項の規定により、酒類の販売業免許を受けた者のほか、酒場、料理店その他の酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業とする者も含むことに留意する。


酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達目次

(前) 第47条 申告義務 〔第1項関係〕

(次) 第48条 申告義務等の承継