甲(相続時精算課税適用者)は、X年に特定贈与者である乙(父)及び丙(母)からの贈与により次のとおり財産を取得しましたが、同年中に乙が死亡しました。この場合において、当該財産につき、乙の死亡に係る相続税の課税価格に加算される金額及び丙からの贈与により取得した財産に係る贈与税の課税価格に算入される金額はそれぞれいくらになりますか。
【贈与財産の内訳】
相続時精算課税の適用を受ける財産については、当該財産の価額から相続時精算課税に係る基礎控除の額を控除した残額が贈与税の課税価格に算入されることになりますが、相続開始の年に特定贈与者である被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税の適用を受ける財産については、贈与税の申告を要しないこととされています。
一方で、特定贈与者の死亡に係る相続税の計算においては、こうした相続開始の年に特定贈与者からの贈与により取得した財産の価額から相続時精算課税に係る基礎控除の額を控除した残額は課税価格に加算されることとなります。
この基礎控除の額について、同一年中に相続時精算課税の適用を受ける財産を贈与した特定贈与者が2人以上いる場合で、そのうちに贈与をした年中に死亡した特定贈与者がいるときは、その死亡した特定贈与者からの贈与により取得した財産の価額も贈与税の課税価格に含めて、それぞれの特定贈与者の相続時精算課税に係る基礎控除の額を算出します。
したがって、照会の金額については、次のとおり計算し、乙の死亡に係る相続税の課税価格に加算される金額は900万円、丙からの贈与により取得した財産に係る贈与税の課税価格に算入される金額は90万円となります。
(1) 乙の死亡に係る相続税の課税価格に加算される金額
(2) 丙からの贈与に係る贈与税の課税価格に算入される金額
相続税法第21条の10、第21条の11の2、第21の15第1項、第21条の16第3項、第28条第4項
相続税法施行令第5条の2
租税特別措置法第70条の3の2
租税特別措置法施行令第40条の5の2
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。