【照会要旨】

 甲は、X年に父である乙からの贈与により取得した財産について、相続時精算課税を選択して、次のとおり贈与税の期限内申告を行いました。

【贈与税の申告状況】

特 定
贈与者
財 産 贈与時の価額 相続時精算
課税に係る
基礎控除額
基礎控除後
の課税価格
特別控除額 贈与税額
土地 1,200万円 110万円 1,090万円 1,090万円 0円

 その後、同年中に特定贈与者である丙(母)からの贈与により取得した財産(1,000万円)の申告漏れを把握したため、贈与税の修正申告書を提出することとなりました。この場合、修正申告により新たに納付すべき贈与税額はいくらになりますか。

【回答要旨】

 相続時精算課税の特別控除は、期限内申告書に控除を受ける金額その他必要な事項の記載がある場合に限り適用を受けることができることとされています。
 また、相続時精算課税の適用を受ける財産について上記の事項の記載がない贈与税の期限内申告書の提出があった場合において、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認めるときは、その記載をした書類の提出があった場合に限り、特別控除の適用を受けることができることとされています。
 したがって、丙からの贈与により取得した財産(1,000万円)は、期限内申告書に特別控除の適用を受けようとする財産として記載がないことから、特別控除の適用を受けることができません。
 一方、乙からの贈与により取得した財産(1,200万円)については、期限内申告書にその記載があることから、正しい控除を受ける金額の記載がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認める場合において、正しい控除金額を記載した修正申告書の提出があったときは、修正申告により増加する課税価格についても特別控除の適用を受けることができます。
 この場合における修正申告により新たに納付すべき贈与税額については、次のとおり計算し、190万円となります。

(1) 乙からの贈与により取得した財産(土地:1,200万円)に係る贈与税額。

イ 再計算後の相続時精算課税に係る基礎控除額(当初申告:110万円)

ロ 贈与税額

(2) 丙からの贈与により取得した財産(1,000万円)に係る贈与税額

イ 再計算後の相続時精算課税に係る基礎控除額(当初申告:110万円)

ロ 贈与税額

(3) 修正申告により新たに納付すべき税額

【関係法令通達】

 相続税法第21条の9第1項、第2項、第21条の11の2、第21条の12、第21条の13、第28条第1項
 相続税法施行令第5条第1項、第5条の2
 租税特別措置法第70条の3の2
 租税特別措置法施行令第40条の5の2
 相続税法基本通達21の12−1

注記
 令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。