【照会要旨】

 同一年中に贈与を受けた財産について相続時精算課税と暦年課税の適用を受ける場合において、相続時精算課税に係る財産の価額が相続時精算課税に係る基礎控除額(110 万円。以下「精算課税の基礎控除額」といいます。)を超え、暦年課税に係る財産の価額が暦年課税に係る基礎控除額(110 万円。以下「暦年課税の基礎控除額」といいます。)以下であっても、当該暦年課税に係る財産についても申告書に記載する必要がありますか。
 また、相続時精算課税に係る財産の価額が精算課税の基礎控除額以下で、暦年課税に係る財産の価額が暦年課税の基礎控除額を超える場合はどうでしょうか。

【回答要旨】

 相続税法第28 条第1項においては、「贈与により財産を取得した者は、その年分の贈与税の課税価格に係る第21 条の5、第21 条の7及び第21 条の8の規定による贈与税額がある場合、又は当該財産が第21 条の9第3項の規定の適用を受けるものである場合(第21 条の11 の2第1項の規定による控除後の贈与税の課税価格がある場合に限る。)には、・・・・・・課税価格、贈与税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。」と規定されており、この場合の課税価格とは、暦年課税の基礎控除額及び精算課税の基礎控除額の控除前の額(同法第21 条の6の規定の適用を受ける場合には同項の規定の適用前の額)をいうとされています。
 したがって、照会の場合には、相続時精算課税に係る財産の価額が精算課税の基礎控除額を超え贈与税の申告書の提出が必要となるため、暦年課税に係る財産の価額が暦年課税の基礎控除額以下であっても暦年課税に係る財産について申告書に記載する必要があります。
 同様に、暦年課税に係る財産の価額が暦年課税の基礎控除額を超える場合には、相続時精算課税に係る財産の価額が精算課税の基礎控除額以下であっても相続時精算課税に係る財産について申告書に記載する必要があります。
 なお、相続税精算課税に係る財産の価額が精算課税の基礎控除額以下であり、かつ、暦年課税に係る財産の価額も暦年課税の基礎控除額以下の場合には、贈与税の申告書の提出は不要です。

(注) 初めて相続時精算課税を適用する方は、贈与税の申告書の提出が不要な場合であっても相続時精算課税選択届出書の提出が必要です。

【関係法令通達】

 相続税法第21 条の2、第21 条の3、第21 条の5、第21 条の6、第21 条の9第3項、第21 条の10、第21 条の11 の2第1項、第28 条第1項
 相続税法施行令第5条

注記
 令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。