被相続人甲は、全遺産を丙(三男)に与える旨(包括遺贈)の公正証書による遺言書を残していましたが、相続人全員で遺言書の内容と異なる遺産の分割協議を行い、その遺産は、乙(甲の妻)が1/2、丙が1/2それぞれ取得しました。
この場合、贈与税の課税関係は生じないものと解してよろしいですか。
相続人全員の協議で遺言書の内容と異なる遺産の分割をしたということは(仮に放棄の手続がされていなくても)、包括受遺者である丙が包括遺贈を事実上放棄し(この場合、丙は相続人としての権利・義務は有しています。)、共同相続人間で遺産分割が行われたとみて差し支えありません。
したがって、照会の場合には、原則として贈与税の課税は生じないことになります。
民法第907条、第908条、第915条、第939条、第990条
最高裁 平成10年6月11日判決
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。