【照会要旨】

 所有権移転外ファイナンス・リース取引において、リース料の支払期日の都度請求書等を作成することに代えて、リース取引開始時にリース期間中の支払金額の明細書(一般的に「リース料支払明細書」などと称しているものをいい、以下「明細書」といいます。)に適格請求書として必要な事項を記載して作成・交付し、賃借人がこれを保存している場合には、仕入税額控除を適用することができますか。

【回答要旨】

 明細書に、消費税法第57条の4第1項に規定されている適格請求書の記載事項が記載され、当該明細書を受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間納税地等に保存している場合には、そのリース料総額について仕入税額控除を適用することができます。

※ 所有権移転外ファイナンス・リース取引につき、賃借人が賃貸借処理をしている場合(詳細はこちらを参照)については、リース料の最終支払期日(移転外リース取引について賃貸借処理により計上する最後の課税仕入れ)の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要があります。

(理由)

所有権移転外ファイナンス・リース取引については、売買処理を行うこととされており、その資産の引渡しを受けた時において課税仕入れを行ったものとされます。この点、賃借人が仕入税額控除を行う場合、当該課税仕入れに係る帳簿及び請求書等の保存が要件とされています(法307)。
 リース取引においては、一般に、リース料の支払回数が契約において決められており、また毎月定額であることに加え、リース料の支払方法も振込のほか、口座振替などの方法が選択できます。このため、賃借人・賃貸人の事務効率化を目的としてリース取引の開始時にリース料の支払期日の都度請求書、領収書、リース料総額に対する請求書等を作成せずに、明細書を作成してリース取引開始時に賃借人に交付している場合があります。
 この明細書において、下表の右欄「明細書における記載内容」に掲げる内容のとおり、適格請求書の記載事項が記載されている場合、賃借人がその明細書を受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存している場合には、消費税法第30条第1項に規定する仕入税額控除を適用することができます(令501)。
 なお、この明細書に「月額リース料(月額リース料に係る消費税額等を含む。)及びリース期間における月数」が記載されている場合であっても、それだけでは記載事項を満たしているとは認められませんので、別途「リース料総額」及び「リース料総額に係る消費税額等」の記載が必要となります。

適格請求書の記載事項 明細書における記載内容

イ 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

・リース会社名及び登録番号
ロ 課税資産の譲渡等を行った年月日 ・リース取引開始日(リース資産の引渡しの日)

ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)

・リース資産名

ニ 税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率

・リース料総額
・適用税率
ホ 税率ごとに区分した消費税額等

・リース料総額に係る消費税額等

ヘ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 賃借人の名称

【関係法令通達】

 消費税法第30条第7項、第9項、第57条の4第1項、消費税法施行令第50条第1項

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。