【照会要旨】

 所有権移転外ファイナンス・リース取引(所得税法施行令第120条の2第2項第5号又は法人税法施行令第48条の2第5項第5号に規定する「所有権移転外リース取引」をいい、以下「移転外リース取引」といいます。)につき、賃借人が会計上賃貸借処理(通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理をいいます。以下同じです。)をしている場合には、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとする処理(分割控除)は認められるでしょうか。

【回答要旨】

 移転外リース取引に該当する場合には、リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入れとして処理(一括控除)することとなります。
 ただし、移転外リース取引につき、賃借人が賃貸借処理をしている場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)しているときは、これによって差し支えありません。

(理由)

 移転外リース取引については、リース資産の引渡し時にリース資産の譲渡(売買)があったものとして取り扱われるため、移転外リース取引によりリース資産を賃借した賃借人においては、当該リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において一括控除することになります(※)が、賃借人が会計上賃貸借処理をしている場合には、分割控除して差し支えないこととしております。

※ 

 例えば、会計上賃貸借処理をしている賃借人が一括控除する場合など、会計処理の方法と消費税額の計算が異なる場合、帳簿の摘要欄等にリース料総額を記載する方法や、会計上のリース資産の計上価額から消費税における課税仕入れに係る支払対価の額を算出するための資料を作成し、帳簿と合わせて保存する方法などにより、帳簿においてリース料総額(対価の額)を明らかにする必要があります。

 なお、令和7年度税制改正により、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準)が廃止されましたが、賃貸人における処理にかかわらず、賃借人において会計上賃貸借処理が可能な場合には、引き続き分割控除して差し支えありません。

(参考)

 移転外リース取引に係るリース資産の課税仕入れの時期については、そのリース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間(リース期間の初年度)において一括控除することが原則であるため、賃貸借処理に基づいて分割控除している場合には、以下の点にご留意ください。

1 仕入税額控除の時期を変更することの可否

  •  例えば、賃貸借処理しているリース期間が3年の移転外リース取引(リース料総額990,000円)について、リース期間の初年度にその課税期間に支払うべきリース料(330,000円)について仕入税額控除を行い、2年目にその課税期間に支払うべきリース料と残額の合計額(660,000円)について仕入税額控除を行うといった処理は認められません。

2 簡易課税から原則課税に移行した場合等の取扱い

  •  次に掲げるような場合のリース期間の2年目以降の課税期間については、その課税期間に支払うべきリース料について仕入税額控除することができます。
    • (1) リース期間の初年度において簡易課税制度を適用し、リース期間の2年目以降は原則課税に移行した場合
    • (2) リース期間の初年度において免税事業者であった者が、リース期間の2年目以降は課税事業者となった場合

【関係法令通達】

 消費税法第30条第1項、所得税法第67条の2、法人税法第64条の2、所得税法施行令第120条の2第2項第5号、法人税法施行令第48条の2第5項第5号、消費税法基本通達5-1-9、11-3-2

注記
 令和7年4月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。