【照会要旨】

 次のような契約を締結して行われるPFI事業については、その資産の契約形態が賃貸借であったとしても、法人税法上、その賃貸借の目的となる資産の引渡しの時にその資産の売買があったものされますが、消費税の取扱いについてはどのようになるでしょうか。

1 事業の概要
  本事業は、民間事業者AがPFI法に基づき建設・所有するB館を、契約期間中(30年間)はC県に賃貸しながら、そのB館の維持管理の業務を受託するというものです。
 なお、契約期間経過後には、民間事業者Aが有するB館の所有権をC県に対して無償で譲渡します。

[参考]

P F I:Private Finance Initiativeの略です。

P F I法:「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年7月30日法律第117号)」の略です。

PFI事業:公共施設等の整備等に関する事業であって、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用することにより効率的かつ効果的に実施されるものをいいます(PFI法第2条第2項)。

2 サービスの対価の支払
  C県は、民間事業者Aに年2回・30年間払いによってサービスの対価を支払うこととしていますが、その対価のうち賃貸料相当額の部分については、本件工事費等及びこれに係る支払利息相当額が積算の基礎となっています。

3 運営と観覧料の徴収・管理
  B館は、民間事業者Aがその所有権を有しますが、対外的に「C県立B館」の名で運営されるとともに、C県は、B館の入館者から観覧料を徴収(実際の徴収事務は民間事業者Aに委託しますが、当日分の観覧料は県の出納員に引継ぎ)し管理します。

4 契約期間の中途における契約の終了
 契約期間の中途において、契約不履行等の一定の事実が生じた場合には、契約の終了があり得ますが、その場合であっても、C県はB館の所有権をすべて保持・取得した上で、契約終了時における本件工事費等の残額及びこれに係る支払利息相当額の合計額の90%ないし100%相当額を民間事業者Aに対して支払います。

《概要図》

概要図

【回答要旨】

1 資産の譲渡等の時期
 照会の事例において、民間事業者AとC県との取引(B館の賃貸借)が、法人税法第64条の2第1項《リース取引に係る所得の金額の計算》の規定により売買があったものとされるリース取引に該当する場合、消費税についても、原則として、その資産(B館)の引渡しの時に、当該資産の売買があったものとして、その引渡した日が資産の譲渡等の時期となります。

(注)1 引渡しを受けた事業者(C県)においては、資産の引渡しの日の属する課税期間における課税仕入れとなります。

2 令和7年度税制改正により、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例は廃止されましたが、一定の事業者は、経過措置により、一定期間(法人については、令和12年3月31日以前に開始する事業年度に含まれる課税期間まで)、当該特例を適用することができます。
 当該経過措置の概要については、「所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合の資産の譲渡等の時期について(経過措置)」をご参照ください。

2 賃貸料相当額に含まれる利息相当額の取扱い
  民間事業者Aが、C県から収受するリース取引に係る資産の譲渡等の対価の額(賃貸料相当額)には、賦払金に対する利息相当額が含まれています。
 消費税法において、資産の譲渡等の対価の額又は当該対価の額に係る金銭債権の額を二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領する場合におけるその受領する賦払金のうち利子又は保証料の額に相当する額で当該賦払に係る契約において明示されている部分を対価とする役務の提供については、利子を対価とする貸付金等に類するものとして非課税とされています(法別表第二3、令103十)。
 照会の賃貸料相当額は、資産の譲渡等の対価の額等を二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領するものですから消費税法施行令第10条第3項第10号《割賦販売等に準ずる方法により資産の譲渡等を行う場合の金利又は保証料相当額》に規定する賦払金に該当し、契約において当該利息相当額が明示されている場合には、当該賦払金に対する利息相当額は非課税となります。

【関係法令通達】

 消費税法第2条第1項第8号、第2項、別表第二第3号、消費税法施行令第10条第3項第10号、消費税法基本通達5-1-9

注記
 令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。