A社は、一定の条件の下で、社債元本の金銭による償還に代えて、A社が保有するB社の株式で社債元本を償還することができるプレーン型のEB債(他社株転換債)を発行していますが、このEB債はどのように評価するのですか。
1 課税時期が評価日(償還日の数日前)以後である場合で、発行価額に相当する金銭による償還が行われることが確定している場合
財産評価基本通達197-2(利付公社債の評価)(3)に準じて、その発行価額に源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額を加算して評価します。
2 課税時期が評価日以後である場合で、対象株式による現物償還が行われることが確定している場合
満期日に対象株式の引渡しを受けることができる権利(有価証券を目的とする債権的な権利)の価額に源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額を加算して評価します。この場合における満期日に対象株式の引渡しを受けることができる権利の価額は、財産評価基本通達169(上場株式の評価)(1)に準じて課税時期において対象株式を評価した価額とします。
3 課税時期が評価日前である場合
原則として、財産評価基本通達197-2(3)に準じて、その発行価額に源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額を加算して評価します。ただし、財産評価基本通達169(上場株式の評価)(1)に準じて課税時期において対象株式の価額に源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額を加算して評価して差し支えありません。
(理由)
一般的なプレーン型のEB債は、対象株式の評価日(償還日の数日前)の株価が一定の転換価格よりも高い場合には発行価額に相当する金銭で社債元本が償還されますが、評価日の株価が転換価格よりも低い場合には金銭による償還に代えて当該株式で社債元本が償還される仕組みとなっています。
したがって、課税時期が評価日より後の場合には、償還方法が具体的に確定するので、償還されるものに応じて評価します。
一方、課税時期が評価日前の場合には、EB債は法律的には普通社債ですから、原則として、財産評価基本通達197-2(3)に準じて評価することとなりますが、EB債の保有者が有する投資元本割れリスクを評価上考慮する必要があるので、課税時期が評価日であるものと仮定し、課税時期に投資元本割れリスクが顕在化したものとして一定の投資損失を評価上考慮し、対象株式を財産評価基本通達169(1)に準じて評価した価額を基に評価して差し支えありません。
財産評価基本通達 169(1)、197-2(3)
(参考)
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。